ガラケーは死なず
~ガラケーユーザーを見放していませんか?~
最近のガラケーユーザーの動向
スマートフォンが隆盛といわれる現在、ガラケー(フィーチャーフォン)のユーザー数は減少傾向にあります。まだスマートフォンのシェアは2013年時点で携帯キャリア全体の4割ほどですが、確実にスマートフォンがシェアを伸ばし続けています。
しかし、ガラケーユーザーはまだまだしぶとく残っていくのではないか、私はそのように見ています。ガラケーには、機能的にはスマートフォンには劣るものの、逆にそのシンプルさゆえにスマートフォンにはない魅力を有しているのです。
- スマートフォンよりランニングコストが安い場合が多い
- スマートフォンは機能が多すぎて、使いこなすのが難しい
- 通話とメールだけならガラケーで十分
- ガラケーのほうが電池の持ちがはるかによい
- PCかiPadなどのタブレット端末があれば、ネットやアプリをわざわざスマートフォンで使う利点がほとんどない(携帯性くらい)
このため、スマートフォンに乗り換えながらも思ったほどメリットが得られず、ガラケーに逆戻りするユーザーも少なくありません。これらを見越して、携帯キャリア側でもガラケーの新作を発表するなど、スマートフォン一辺倒だった戦略の見直しを図る動きも見られます。
ガラケーユーザーにはどんな対策が必要か?
この動きは、今後のメールマーケティングの戦略とも無縁ではありません。最近はスマートフォンユーザーの増加を見越し、ガラケー用のサイトやページを閉鎖したり、極端なケースではガラケー向けの配信をやめる企業も現れ始めています。しかし、これらの対応はガラケー回帰の動きと完全に逆行しています。
ガラケーユーザーを見放してしまうことは、あまりにもったいないと思いませんか?数が減っているとはいえ、まだまだガラケーは携帯所有者の中ではかなりの割合を占めています。それらのユーザーを見放すことで、実は企業自ら機会損失を招いているに等しいのです。
とはいえ、ガラケーユーザーに対してこれまで通りのコンテンツを用意し、配信をすればよいのかというとそういうわけではありません。
ガラケーユーザーの最も大きな特徴としては、経済性に関する意識が高いということです。要するに、携帯端末にあまりコストをかけたくない、必要最小限の機能があればいい、という考え方の人が多いのです。最も安い料金プランに入り、Webにはあまり接続せず、メールと電話以外は使用しないユーザーも少なくありません。
この特徴が最も顕著に表れるのが、サイトの閲覧率です。ガラケーユーザーのサイト閲覧率は、スマートフォンユーザーよりもはるかに少ないと言われています。料金を気にするガラケーユーザーが、Webへの接続を進んでするとは思えません。
このことから考えられる対策としては、以下が上げられます。
- ガラケーユーザー向けのコンテンツ制作にはあまりコストをかけない
- ただ、ガラケーユーザーも相当数いるので、ガラケー用の配信コンテンツも用意はするがシンプルにする
具体的なコンテンツの作成方法
では、どのような配信コンテンツを用意すればよいでしょうか。
先述の対策の中の「シンプルにする」というのは、メール本文のURLからサイトへのリンクを前提に配信するのではなく、メール配信の速報性を生かし、いち早く伝えたい情報を厳選し、メール本文だけでもユーザーが有益と感じてもらえそうなコンテンツにするということです。例えば、セール情報であれば、商品のラインナップとそれに応じたリンクを載せるのではなく、特に注目してもらいたい目玉商品に絞るといった具合です。
ユーザーの関心を引くにはデコメールによる配信が効果的ですが、原稿の制作コストに余裕がない場合はテキストメールでも問題ないでしょう。URLにアクセスしなくても、例えばセール情報やお得なキャンペーンの案内であれば、それだけでもユーザーの関心を引き、送り手のメッセージをダイレクトに伝えることができます。目玉商品だけでなく、商品のラインナップや詳細な商品情報など、もっと情報が見たいという場合だけURLからアクセスしてもらえればいいのです。
メール本文内のリンク先ページは、ガラケー対応にしておくに越したことはないのですが、コストなどの理由でガラケー用のページは用意したくないという場合は、メール本文のリンク先URLの下に「PCまたはスマートフォンでご覧ください」と記載しておきます。ユーザーも、どうしても気になるのであれば閲覧可能な端末で見るようにするか、URLを転送するなどの手間は惜しまないでしょう。そういう意味では、リンクできないURLを多く載せるのはガラケーユーザーの心証を損ねることにもなりかねないので、配信コンテンツ内のURLは少なめにします。
私はアパレルメーカーのテキスト形式のメールマガジンを週に1~2回の割合でガラケーで受信しているのですが、本文に載っている目玉のセール情報はよく見ても、全くURLにアクセスしません。それでも何の製品が今お得なのかメールですぐわかるので、気になってその情報を元に時々店に足を運んだりします。
このようにシンプルな内容でも、ユーザーにお得な情報をきちんと伝えることができれば、URLのクリック率が低くても、ガラケーユーザーがメールマガジンに関心をなくすことはありません。本当にメールマガジンに関心がないかどうかは、配信のたびにどの程度の解約率になるのか、あるいは解約時に理由を聞くフローを設け、解約理由の内容がコンテンツに関心がないとの回答が多いのかどうか、といったことを検証していけばよいでしょう。
ガラケーユーザーのサイト閲覧率は低いですが、かといって情報がいらないというわけではありません。すぐに情報が伝わるというメール配信の速報性の力を生かしつつ、ガラケーユーザーにも引き続き有益な情報を提供していくことが、既存ユーザーの繋ぎ止め・リピーターの拡大に非常に効果的なのです。
メールマーケティングの基本シリーズ
Vol.1 効果的な配信を行うために必要なこと
Vo.2 目的を明確にする
Vo.3 メールマーケティングの実行を阻む3つのわな
Vo.4 どのようにメールマガジンのコンテンツを構成すればよいか
Vo.5 これは避けたい!コンテンツ作成、配信設定の注意点
Vo.6 【効果測定】思ったような効果がない場合、どのようにすべきか?
まずは、読まれるメール配信のための基礎知識から
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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。