リソースが限られる成長企業だからこそ、最小のコミュニケーションで最大の成果が出せるツールが必要
~マーケティング専門の部署がない状態で営業効率を向上~
株式会社LOCUSは2010年の創業以来、大手企業から中小企業まで多くの企業の動画制作を手掛け、現在では年間3,000本以上の動画を制作。さらに動画関連のコンサルティングサービスも提供するなど、動画制作業界ではトップクラスの実績を誇る注目企業です。
同社が創業からわずか9年で大きな成長を遂げた背景には、視聴者に強く訴求するクリエイティブ力はもちろんですが、そこにはマーケティングの力がありました。しかし同社にはマーケティング専門部署がありません。そのような状況で、いかに売るための仕組みを構築したのでしょうか?
同社で主にマーケティングをご担当されている田中文子様にお話をお伺いしました。
写真左より
田中 文子 氏
株式会社LOCUS 管理部 事業推進グループ マネージャー
和田 慎太郎
シナジーマーケティング株式会社 UX本部 BD室
※部署名・役職は取材当時(2019年9月)のものです
1. 多くのリストを保持しながらも、案件創出のための機会を損失
― 貴社の抱えていたマーケティングに関する課題を教えてください。
田中様 弊社は2010年創業の若い組織で、数年前まで見込み顧客の名刺管理も十分にできていない状況でした。Salesforceに顧客情報が入っていない状態からマーケティング活動をスタートしましたので、できていないことをひとつずつクリアしていかないといけない状況でした。例えば、コーポレートサイトから資料請求をいただいた見込み顧客への対応も十分ではなく、当時、月20件以上の資料請求があったにも関わらず放置されており、Webマーケティングが機能しているとは言えない状況でした。
― せっかく多くのリードを獲得しているのに、営業との連携やリードナーチャリングができていなかったのですね。
田中様 そのとおりです。見込み顧客をチャネル別にセグメントしていなかったので、コミュニケーションのタイミングや手法も一様でした。さらに見込み顧客は、Webだけではなく通常の営業活動や展示会経由など多くのチャネルでも獲得しており、リストは約2万件にのぼっていました。このように多くのリストを保持しながらも案件創出のための機会を損失していることが大きな課題となっていたのです。
― さらにマーケティングの専門部署もないと聞いています。
田中様 私の所属は事業推進グループで、さまざまな業務のひとつにマーケティングがあり、兼務をしています。弊社の多くの社員はさまざまな業務を兼務していますので、特別なことではありません。このようにリソースが限られる状況であっても、売るための好循環のサイクルを構築していかないといけないので、まずは利用していたツールの再検討を行いました。このツールで何をしたかったのか?に立ち帰り、MA(マーケティング・オートメーション)やBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを含めて再検討しましたが、もともと導入していたSynergy!LEADの活用が最適であるという結論にたどり着きました。
2. 高度な自動化ツールより、最小のコミュニケーションで最大の成果を出せるツールが必要
― 田中様がマーケティングをご担当する前からSynergy!LEADを導入されていたとのことですが、当時はうまく機能していなかったのでしょうか?
田中様 私がマーケティングを担当するまでは、十分に機能していませんでした。営業にSynergy!LEADの機能とそれらを活用したWebマーケティングの可能性を説明できていなかったことが理由だと感じます。
例えば、Synergy!LEADには、トラッキング機能があります。これを活用すると、見込み顧客の動きを感知でき、たとえ失注したとしても、後日サイトに戻ってきてくれた方がどのような行動を取ったのか、これらのデータから真のニーズを把握することができます。このようなツールを活用したWebマーケティングの有効性を営業チームに浸透できていなかったと思います。
― Synergy!LEADを再度活用しようと思われたのはどのような理由からでしょうか?
田中様 MA(マーケティングオートメーション)ツールを含めて再検討した際、弊社にはMAは高機能すぎると感じました。ツールを導入すること自体が目的ではありませんし、高機能なツールを導入さえすれば見込み顧客の検討度合いが自動的に引きあがるようなものでもありません。弊社のように顧客管理をデータの整理から始めるような会社では、MAのような自動化ツールで複雑な仕組みを回すより、まずは見込み顧客に対して最適なタイミングで、適切なコンテンツを提供することで、弊社を想起してもらえるようにしたいという考えがありました。そのためすぐに活用でき、弊社のやりたいことが過不足なく実現できるSynergy!LEADを再活用することにしました。
― 確かにMAやBIツールは導入後の運用にハードルがあります。
田中様 おっしゃるとおりです。先程述べたように、私はマーケティングの他にも業務を兼任していますので、運用が負担にならず、最小のコミュニケーションで最大の成果を出せるツールが必要でした。
3. 最適なタイミングで最適なコンテンツをお送りすることで見込み顧客の興味関心を醸成
― Synergy!LEADを活用し始めて、どのような効果がありましたか?
田中様 具体例を挙げますと、弊社のWebサイトには「問い合わせフォーム」と「資料請求フォーム」の2種類があります。これまでは、この資料請求をしていただいた方への対応フローとしては、まず一律の内容で「会社案内」と「活用事例」をダウンロードできるメールをお送りし、その後、営業チームが架電するという流れでした。しかしニーズを把握しないまま、獲得したリードに架電をしていたので、「まだ動画制作を検討している段階ではない」とお断りされることが多く、成約に結びつけることが難しい状態が続きました。
そこで、Synergy!LEADを活用し、獲得したリードの育成(ナーチャリング)に取り組みました。資料請求をしていただいた方には、まず会社案内だけをお送りし、会社をご理解いただきサービスへの関心が高まってくるであろう1ヶ月後に、再度メールを送って活用事例も見てもらえるように段階を踏んだアプローチをおこなっています。このように、見込み顧客にとって最適なタイミングで、期待値に見合った情報を提供することで、興味関心を醸成できるようになったことは大きな一歩です。
― 営業サイドの反応はいかがでしたか?
田中様 これまでは、リード対応に多くの営業リソースが割かれる。その割に成果が出ないという繰り返しでしたが、それらを改善できたと感じてくれていると思います。
また弊社は、受注をして(動画を制作して)終わりではなく、しっかりとターゲットに視聴されているか? お客様の課題を解決できているか? など、弊社がバリューを提供できたかどうかを重視しています。そのため、納品後も動画の閲覧状況や反応をメールでお聞きするなど、お客様との継続的なコミュニケーションをおこなっています。営業サイドは、これらリテンションの面からも有効な活動であると認識してくれているのではないでしょうか。
4. 施策を進めていくうえで関係者に取り組む目的やメリットを明確に伝えることが重要
― さきほど、マーケティングの専門部署はないとお聞きしましたが、改めて体制について教えてください。
田中様 私はマーケティング専任ではありませんが、他のメンバーは私が専任だと思っているようです。メール配信などは、広報担当者と協力して進めています。その中で「メールの配信停止の方法はこうしたほうが良いのでは?」や、「HTMLをこう書いたらどう?」などの解決策は他のメンバーにも常に共有・相談し、改善を図るなど、部門の垣根を越えてマーケティングに取り組んでいます。
― 田中様が社内の関係各所に依頼をおこなう際、心掛けていることはありますか?
田中様 ひとつ言えるとすれば、「取り組む目的やメリットを明確に関係者に伝える」ということでしょうか。例えば、「確度の高いリードを獲得するために、見込み顧客の方にこのタイミングで、このようなコンテンツを提供したいので、名刺情報を忘れず登録してください。」という依頼の仕方です。依頼と同時に、取り組む目的とメリットを伝えないと人は動いてくれませんし、何より関係者全員で同じ方向を向いて施策を進めていくうえで、欠かせないことだと思います。
― では次に和田さんにお聞きします。ツールの提供側であるシナジーマーケティングの担当者として、田中様とその活動をどのように感じていますか?
和田 田中様にSynergy!LEADの使い方を説明させていただくと、その幅をどんどん広げて活用してくださいます。ここまでツールをフル活用いただいているのはLOCUS様しかいないのではないかと思います。またLOCUS様の企業文化として、わからないことを「わからない」と言え、同時に、やりたいこともしっかりと言葉にされていると感じます。田中様が、わからないことをわからないままにせず、操作方法から活用方法に至るまで、些細なことでも聞いてくださると、私はそれにお応えしたいと思いますし、お応えすることでさらにSynergy!LEADを活用いただけ、結果的にLOCUS様の売上げ向上に貢献できていると感じられることが担当者としての喜びです。また、田中様は、新しい知識を得るとそれを活用するために、すぐに行動に移してくださいます。社内外をうまく巻き込みながら、日々新たな施策を積極的に推進される姿は、田中様の人柄が出ているように感じます。
5. 今後は次のステージとしてインサイドセールス部門を立ち上げていく
― 今後、マーケティングと営業の連携を考えるにあたって、展望はありますか?
田中様 インサイドセールス部門の立ち上げを検討しており、営業チームも興味を持ってくれています。今その準備をしていて、ナーチャリングを目的として過去の名刺を営業担当に出してもらうことから始めました。それをデータにしたリストが1万数千件あるので、メールアドレスが今も使われているかどうかを確認するため、いったんメルマガを送ろうと考えています。
ただ、メールアドレスが実際に使われていても、受け取られた方に動画制作のニーズがあるかどうかはわかりません。ですから、動画制作に興味を持ってもらえた際はLOCUSのことを思い出していただけるような施策を考え、顧客が情報を欲しいと思ったタイミングで適切なアプローチができるよう、Synergy!LEADを活用したマーケティング施策を行っていきたいと考えています。
― 以前のLOCUS様のようにデータがあるけど活用できていないという企業や担当者に対して、アドバイスがありましたらぜひお願いします。
田中様 お客様から1回問い合わせがあったとします。それが失注してしまったり、そのときの購買にいたらなかった場合、そのお客様が1年後に他社サービスを利用して購買を行っている割合は8割程度ある、という話はよく聞く話です。しかし、以前の弊社では、一度問い合わせをいただき失注してしまったお客様のことをフォローするという文化が出来上がっておらず、そのお客様が数年後に他社で動画制作を行っているという話を耳にし、悔しい思いをしていました。Synergy!LEADのようなツールがあれば、今動画制作を検討しているタイミングかどうかわからない方に、営業担当者の工数を割かずにアプローチやフォローが出来るので、このようなツールを導入し、常に顧客をフォローし続けるのは、ひとつの手ではないかと思います。
― この度は貴重なお話をありがとうございました。
本事例のテーマである、リードナーチャリングの取り組み、マーケティングオートメーション導入に関して、必要な情報やポイントをまとめているブログ記事をご覧いただけます。(閲覧に特別な登録等必要なし)
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。