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ユーザーのアクティブ化に向けた
「ラ ロッシュ ポゼ」のCRMデータ活用
“御社”のマーケティング活動、新規顧客の獲得だけに意識が向いてはいませんか?こんな時よく置き去りにされているのが「非アクティブユーザー」です。すでに商品を認識しているこの層のアクティブ化が、マーケティングROIを高めるためには重要であり、情報を届けきるためのコミュニケーション設計が不可欠です。
今回ご紹介する「ラ ロッシュ ポゼ」は、シナジーマーケティングが2011年から支援を開始した、日本ロレアル株式会社の化粧品ブランドです。2016年からCRMデータを基にマルチチャネルでの新たな施策にチャレンジし、徐々に成果を上げ始めています。
写真左より
山尾 万里 氏
日本ロレアル株式会社 アクティブ コスメティックス事業部 デジタルマーケティングコーディネーター
井上 麻衣子 氏
日本ロレアル株式会社 アクティブ コスメティックス事業部 eビジネスマネージャー
古賀 裕人
シナジーマーケティング株式会社 第2営業グループ リーダー
内田 純矢
シナジーマーケティング株式会社 マーケティングソリューション部 部長
※部署名・役職は取材当時(2017年8月)のものです
敏感肌の方に健やかな日々と笑顔を届ける、ラ ロッシュ ポゼのスキンケア
女性の身だしなみに必要不可欠な化粧品。毎日使うものですが、少なからず肌に負担がかかってしまうこともあり、悩まれている方は少なくありません。
ラ ロッシュ ポゼは1975年に創設された歴史のあるブランドです。商品のテーマは「皮膚科医が採用する敏感肌のためのスキンケア」。重度な敏感肌の方から、健康志向で敏感肌向け製品を選びたいという方まで幅広く使ってもらえるような製品をラインナップしています。また、これらの製品は成分の厳しい検査が行われ、必要最小限の成分を配合。医師や皮膚科医から推奨される機能性化粧品としても注目されています。
日本では、クリニックや調剤薬局をはじめ、バラエティショップやECサイトでの販売で広く流通しています。シナジーマーケティングはそんなラ ロッシュ ポゼのEコマースのWebマーケティングを包括的に支援しています。
増え続ける「非アクティブ率」に、CRMでどう戦うか
ラ ロッシュ ポゼとシナジーマーケティングの出会いは、2011年まで遡ります。当初の主な支援内容は、メールマガジンの作成や配信代行。ECサイト制作のご相談を頂いてからは、購買データの分析に携わりました。2016年後半から、Web広告などを取り入れたより包括的なCRMのご支援をさせていただくことになりました。
2011年にECサイトを立ち上げてから会員数は順調に増加し、会員獲得に対する施策はとても上手くいっているように思えました。そんな中で見えてきたのが非アクティブなユーザー、つまり「購入しているけれど、年間1回程度の人」の存在です。
「新規会員は順調に増え売上も伸びてはいましたが、年々売上は鈍化してきていて。データを分析してみると、アクティブユーザー数は増加しているが年に1回しか購入していない非アクティブユーザーのほうが伸びが大きく、結果としてアクティブユーザーの構成が縮小していることが判明しました。売り上げを作るという課題を解決するためには、上がり続けている非アクティブユーザーの割合を減らしていくことが急務でした。」(内田)
「年間を通したCRM分析は積み重ねでやってきたので、お客様の購買傾向はある程度把握できていました。例えば、当社の製品をご購入される初回の方は、UVケア関連製品がほとんど。時期的にもUVケアは春夏に限られてしまうため1回の購入で終わってしまうのですが、そこをいかにシーズンにとらわれないスキンケア商品に繋げるか、という課題がありました。」(山尾さん)
メールと広告、複数チャネルを使用したアプローチ
今回のCRMを活用した施策の提案は、大きく2つに分けられます。
1. F2転換を目指すメール施策
1つ目は、年間の購入数を2回に増やすためのメール施策です。2016年当時、メールは一斉配信がほとんど。一斉配信から脱却し、明確なセグメントを切った配信を行うことでお客様が欲している情報をしっかりと届けたいというのが、今回の大きな題目です。
「購買分析をした結果、
- 1年の購入回数が多いお客様は、スキンケア商品の購入が多い
- 過半数以上のリピート顧客が、30日以内に2回目の購入をしている
という傾向がみえました。そこで、年間分析で判明した2回目に購入しやすいスキンケア商品をピックアップし、その商品を訴求することで次の購入に繋げられるのではないかと考えました。」(古賀)
<実施内容>
- 施策のゴール:メール起点での2回目購入(1回のみの購買者の割合を減らす)
- 施策実施期間:2017年4月~6月
- 実施施策:メールを月1回配信し、2回目に購入しやすいスキンケア商品を訴求する
<結果>
- メールへの反応や配信後の購買が最も良好なのは、最終購買から60日経過したタイミング
→年間購買2回以上への引上げを目的とするメールは、このタイミングが望ましい - 最終購買から30日~60日のタイミングは、メールへの反応はよいものの直後の購買は発生しにくい
→このタイミングでメールを送るのであれば、直接的な商品求ではなく、商品の使い方やスキンケアについてのコラムなど、メルマガへの関心が高まる内容をメインにする - 最終購買が2016年のグループは、メールへの反応は鈍いものの、配信後に5%程度の購買が発生しており、休眠防止に一定の効果はある
→最終購買から時間がたっているため、「お久しぶりです。その後いかがですか?」といった休眠層を意識したコミュニケーションや、新商品の紹介が有効
2. 情報をリーチさせきる広告施策
2つ目の施策は、既存顧客に情報をリーチさせきることでCRM効果を高める、ということを目的とした広告施策です。EC会員に対して広告でリーチし、購買を促進します。この場合、メールは購読していないけれど、ラ ロッシュ ポゼの商品を過去に購入しているというユーザーにも情報を届けることができます。
<実施内容>
- 施策のゴール:CRM広告起点での購買数の増加
- 施策実施期間:2017年4月~6月
- 実施施策:夏前シーズンの売れ筋商品「UVケア商品」の訴求
<結果>
- 購買頻度の高い会員のCV数が1番多く、ROASも非常に高い
→対象者が購買意欲をもって広告をクリックしている - メールを購読していないユーザーからも狙い通りコンバージョンがでている
→メールが届かないターゲットへの広告チャネルでのコミュニケーションは効果がある
「ラ ロッシュ ポゼの場合、リスティング広告やリターゲティング広告を行う一方で、既存のお客様にメールマガジンを送るのは、大部分のお客様が被ってしまうという仮説があったんです。今回のCRM施策では、メールを読んでいないユーザーに対して広告で情報をフォローしていくという提案をいただきました。チャネルを重複させることなくお客様に対してコミュニケーションを取っていけるのは、とても魅力的で意味のある施策でしたね。
結果として、当社で実施しているリターゲティング広告の獲得効率を上回ることができました。それだけでなく、既存のお客様に向けたリマインドができたのは大きかったです。ちゃんと分析の結果をもとにアクションに繋げられているのが、全部一貫でやってもらっていることのメリットなのかなと思います。」(山尾さん)
メールを購読していないユーザーは、ブランドから離れた訳ではなかった
今回の施策は、既存の顧客に対するリマインドが大きな役割を果たしているという側面もあります。
- F2転換を目指すメール配信の結果として、1年に1回しか購入していない「非アクティブユーザー」の割合が2ポイント低下した
- 広告では、メールを購読していないユーザーからの購入も多くあった
「メールは、開封しない人、購読をしない人が一定数いらっしゃいます。でも、そういう方々も決してブランドが嫌いになったわけではないはずで、ただ、メール(≒ブランドからの情報)を受け取らなくなった結果、そのブランドが身近ではなくなり購入しなくなった、という可能性もありますよね。もしそうなのであれば、なるべく多くのお客様に届く可能性のあるよう複数のチャネルでコミュニケーションを設計すればいい。それがいまのテクノロジーで実現可能です。今回の結果は、マルチチャネルでのアプローチ施策の第一歩としてすごく良かったですね。」(古賀)
一方で、これらの施策はまだまだ始まったばかり。「非アクティブ率を下げる」という目標に対し、まだまだ改善の余地があるというのが、正直なところです。
「非アクティブ率の改善という点に関しては、まだ明快な結果は見えてきていません。ただ、CRMの施策は、何かひとつをやったからといって大きな成果が出るものでもないと考えています。ひとつひとつの施策を一貫して取り組み、改善を積み重ねていくことで大きな成果に繋がるはずです。どうやったら全体の数値にもっと大きな影響を与えられるのかを、前向きに探っていくことが次のステップですね。」(山尾さん)
顧客のステージに合ったチャネル選びが、今後の鍵を握る
ラ ロッシュ ポゼとシナジーマーケティングのCRMデータを用いた施策は、今後も続いていきます。次なる課題を聞きました。
「今回の広告施策をやってみて、シナジーマーケティング、広告運用をしている代理店、当社の3社で、売上最大化というひとつの目標に向かってとても上手く連携が取れたんじゃないかと思っています。シナジーマーケティングはコミュニケーションの取り方やアドバイスが的確で、第三者の目線で上手く広告運用に意見をくださるので、このように深く連携しながら施策を進めていく中で、今までできなかったことを実現していけると良いですね。」(山尾さん)
「購買した回数以外にも、会員のステージというものは存在します。メールをみる文化のない人には、メールよりLINEで。普段から定期的にご購入してくださる人にはメールでなど、セグメントに対して適切なチャネルで情報を届けていくのが、今後の課題ですね。また、2回買った人をどう3回目に繋げていくかなど、次の施策も引き続きやりたいと考えています。使えていないチャネルもまだまだ沢山あるので、違うコミュニケーションツールも取り入れながら、今後もご提案させていただければと考えています。」(古賀)
「これからも試行錯誤しながらになるとは思いますが、引き続きパートナーとして、一緒にいろいろとチャレンジしていきましょう。」(井上さん)
CRMデータは、企業にとっての大きな資産です。これらを活用しながら、ユーザーの状況に合ったチャネルで情報を届ける。小さな改善を積み重ねていった先に、大きな成果が待っているのでしょう。
これからも、ラ ロッシュ ポゼとシナジーマーケティングの挑戦は続きます。
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