NRRとは

NRRとは、Net Retention RateもしくはNet Revenue Retentionの略で、既存顧客からの収入の増減を確認することが可能な指標である。日本語では「売り上げ継続率」と訳される。企業として成長をしていくためには顧客の維持が必須である。特にSaaS事業を展開していると既存顧客からの収益を維持できているのかどうかを把握することはとても重要で、事業の安定的成長の鍵となる。NRRを高水準で維持し続けているということは、顧客との関係性が良好であることの表れであり、新規顧客獲得に多くのコストや人材を割かなくとも事業成長が見込める状態であるといえる。

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NRRの計算方法

NRRはMRRをもとに計算される。

MRRとはMonthly Recurring Revenueの略で月次経常収益のことを指す。MRRには以下4つの種類がある。

  • New MRR:新規ユーザーから得られる月次経常収益
  • Expansion MRR:既存ユーザーのグレードアップによる月次経常収益
  • Downgrade MRR:既存ユーザーのダウングレードにより、失われた月次経常収益
  • Churn MRR:既存顧客がサービスを解約したことにより、失われた月次経常収益
<NRRの計算式>

NRR(%) = ( 月初のMRR + Expansion MRR – Downgrade MRR – Churn MRR ) ÷ 月初のMRR × 100

ポイント

NRRの計算には新規契約での売り上げ(New MRR)は含まれない。既存顧客との関係性にフォーカスした指標である。

(例)

  • 月初のMRR:200万円
  • Churn MRR:10万円
  • Downgrade MRR:20万円
  • Expansion MRR:50万円
  • NewMRR:50万円

(200+50-10-20)÷200✕100=110%

NRRの数値変動が意味する要因の一例

NRRの値が100%を上回る=グレードアップや継続利用者が多い

  • 商品やサービスに独自性がある
  • 顧客満足度が高い
  • カスタマーサクセスやサポートがうまく機能している

NRRの値が100%を下回る=ダウングレードや解約が多い

  • 多くのユーザーが商品やサービスを使いこなせていない
  • 顧客満足度が下がっている
  • 商品やサービス、サポートに不満がある
  • アップセルクロスセルを効果的に行えていない

NRR向上を目的とした「アップセル」や「解約防止」には、CRM

顧客の課題やニーズを把握しないまま、やみくもに解約阻止やアップセル提案をしても成果には繋がりにくい。既存顧客のデータ分析を行い、「誰がどのようなニーズを持っているか」「課題は何か」を明確にすることが重要。

そのための第1歩が、CRMシステムの導入である。CRMシステムとは、顧客情報や行動履歴を一元管理できるシステムのこと。このシステム内にある情報を活用・分析することで、顧客に適切なアプローチを行い長期的な関係性の構築・アップセルに役立てられる。

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