ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)とは
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)とは、企業やブランドに対して高い忠誠心を持ち、継続的に商品やサービスを利用をしているロイヤルティーの高い顧客のこと。リピーターとは異なり、価格や利便性だけでなく、ブランドそのものに愛着を持ち、積極的に支持・推奨する点が特徴である。
「ロイヤル顧客」「ブランドアンバサダー」「プレミアムユーザー」などと言い換えられることもある。
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)は、単に購入回数が多いだけではなく、企業にとっての長期的な利益をもたらす存在である。
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の重要性
新規顧客獲得のコストは、既存顧客維持の5倍かかるといわれている。新規顧客の獲得には、広告費やマーケティングコストがかかる一方で、既存顧客、特にロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の維持には比較的低コストで済む。さらに、彼らは企業にもたらす価値が大きく、経営戦略において優先的に考慮すべき対象である。
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)が重要視される理由は、主に以下の5点にある。
1. 高いLTV(顧客生涯価値)をもたらす
2. 口コミ・紹介による新規顧客の獲得
3. 価格競争に巻き込まれにくい
4. クレームや離反リスクが低い
5. 事業の安定化と成長を支える
1. 高いLTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)をもたらす
LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)は、一人の顧客が企業にもたらす累積売上を示す指標である。ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)は、一般の顧客に比べて購買頻度が高く、長期間にわたって企業のサービスを利用するため、LTVが高くなる。結果として、一人のロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を維持することで、企業は安定した収益を確保できる。
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2. 口コミ・紹介による新規顧客の獲得
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)は、ブランドに対して強い愛着を持ち、その魅力を積極的に周囲に広める傾向がある。SNSや口コミを通じてポジティブな評価を発信することで、企業は新たな顧客を低コストで獲得できる。特に、第三者の推薦は広告よりも信頼されやすく、購買意欲の向上につながる。
3. 価格競争に巻き込まれにくい
価格の安さを重視する顧客は、競合他社の割引やキャンペーンに容易に流れてしまう。しかし、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)はブランドの価値や独自性を理解し、価格以上の理由で商品やサービスを選ぶ。そのため、企業は過度な価格競争に巻き込まれることなく、安定した利益を確保できる。
4. クレームや離反リスクが低い
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)は、ブランドへの理解が深いため、多少の不満があってもすぐに離れることは少ない。むしろ、建設的なフィードバックを提供し、企業の改善に貢献するケースも多い。これにより、企業は長期的に顧客満足度を向上させることができる。
5. 事業の安定化と成長を支える
新規顧客の獲得に依存するビジネスモデルは、マーケティングコストの増大や市場環境の変化によって収益が不安定になりやすい。一方で、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を多く抱える企業は、定期的な売上が見込めるため、事業の安定性が向上する。特に、サブスクリプションモデルや会員制サービスにおいては、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の維持が企業の成長に直結する。
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を増やすには?
1.さまざまな部門で対応策を考える
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を増やす取り組みは、マーケティング部門だけでなく、企業全体で行うべきである。カスタマーサポート、営業、商品開発などの部門が一体となり、顧客満足度を向上させることが求められる。
- カスタマーサポート:迅速かつ的確な対応を行い、顧客の満足度を向上させる。
- 営業・カスタマーサクセス(BtoB向け):長期的な関係を築くため、定期的なフォローアップを行う。
- 商品開発:顧客のフィードバックをもとに、継続的に商品やサービスを改善する。
部門ごとの連携を強化し、顧客にとっての価値を最大化することが、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の増加につながる。
2.アンバサダーマーケティングを活用する
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)は、ブランドの「アンバサダー」としての役割を果たすことがある。彼らの影響力を活用し、口コミを促進することで、さらに多くのロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を生み出すことができる。
- ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を公式アンバサダーに認定し、ブランドの魅力を広めてもらう。
- SNSやブログでの発信を促すために、ハッシュタグキャンペーンやレビュー投稿を奨励する。
- 紹介プログラムを設けることで、友人や知人を誘うインセンティブを提供する。
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)自身にブランドの認知拡大を担ってもらうことで、新規顧客の獲得コストを抑えつつ、より強固なブランドコミュニティを形成することができる。
3.コミュニティマーケティングを展開する
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)をさらに育成するためには、顧客同士がつながる場を提供し、ブランドへの愛着を深めることが有効である。
- 会員制のオンラインコミュニティを作る(専用フォーラムやFacebookグループなど)。
- リアルイベントやオフライン交流会を開催することで、顧客との関係を強化する。
- ブランドの開発プロセスに顧客を巻き込む(新商品モニターや投票制度の導入など)。
コミュニティを通じて顧客とのつながりを強化し、ブランドのファンを増やすことで、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の増加につながる。
4.CRMを活用する
CRMとは、製品やサービスを提供する企業が、顧客との間に信頼関係を作り、購入してくれた顧客をリピーターに、リピーターからファンになるような活動を行い、顧客と企業の相互利益を向上させることを目指す総合的な経営手法である。
CRMシステムを導入することで、顧客データを分析し、個々の顧客に最適な対応を行うことができる。CRMを活用した具体的な施策として、以下のようなものがある。
- 購買履歴に基づくパーソナライズ施策:顧客の過去の購入履歴を分析し、最適な商品やサービスを提案する。
- ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)向けの特別プログラム:特定の購入頻度やLTVを超えた顧客に対し、特典や限定サービスを提供する。
- 自動化されたエンゲージメント施策:メールやプッシュ通知を活用し、適切なタイミングで情報を提供する。
なお、CRMの目的である「顧客との良好な関係構築」と「顧客ロイヤルティーの向上」は、完全に同一の概念ではない。しかし、CRMを活用したマーケティング施策を継続的に実施することは、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を増やすうえで極めて有効な手段の一つである。
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ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)を判別する指標
顧客の状態を定量的に評価するためには、適切な指標を用いることが一般的である。代表的な指標として、以下の4つが挙げられる。
顧客満足度
顧客満足度とは、顧客が企業に対して抱く満足度を示す指標である。顧客満足度を測定する方法はいくつか存在するが、代表的なものとしてCSI(Customer Satisfaction Index)と、CSIを基に日本向けにカスタマイズされたJCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)がある。
JCSIは、顧客が商品やサービスに対して抱く「購入前の期待」や「購入後の満足」を含む6つの項目についてアンケート調査を実施し、その結果を分析する手法である。
ただし、顧客満足度はあくまで商品やサービスに対する満足の度合いを示す指標であり、顧客ロイヤルティーを直接的に測るものではない。顧客満足度が高くても、アフターサポートが不十分であったり、競合のサービスに魅力を感じたりすることで、顧客が離脱する可能性がある点には注意が必要である。
顧客継続率
顧客継続率(リテンションレート)は、一定期間において取り引きを継続している顧客の割合を示す指標である。この指標を算出する際には、対象期間の開始時点における既存顧客数、期間終了時の総顧客数、および期間中に増加した新規顧客数を基に計算を行う。
顧客継続率の計算式
顧客継続率=(期間終了時の総顧客数-期間内の新規顧客数)÷期間開始時の既存顧客数×100
この指標は、特にサブスクリプションサービスやSaaS(Software as a Service)において、顧客ロイヤルティーを測定する際によく用いられる。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(Life Time Value)とは、顧客との取引開始から終了までの期間において、企業が得られる利益の総額を示す指標である。日本語では「顧客生涯価値」と訳される。
LTVの計算方法にはいくつかの種類があり、代表的な計算式として以下のものが挙げられる。
代表的なLTVの計算式
(1)LTV=平均購入単価×平均購入回数×継続期間
(2)LTV=平均購入単価×粗利÷解約率
(3)LTV=年間取引額×収益率×継続期間
(1)は、基本的なLTVの計算式であり、主にリピート購入が発生する商材のLTVを算出する際に用いられる。
(2)は、解約率がLTVに大きな影響を与える商材向けの計算式であり、特にサブスクリプション型ビジネスに適している。
(3)は、収益率を考慮した計算式であり、主にBtoB商材における企業の利益を算出する際に活用される。
NPS(ネット・プロモーター・スコア)
NPS(Net Promoter Score)とは、顧客が商品やサービスを他者に推奨する意向を測定する指標である。
顧客に対して、「あなたはこの商品(サービス・企業・ブランド)を親しい人にどの程度勧めたいと思いますか?」と質問し、0~10の11段階で評価してもらう。回答結果に基づき、顧客を以下の3つのカテゴリに分類する。
- 推奨者(9~10点):積極的に商品やサービスを推奨する顧客
- 中立者(7~8点):特に強い推奨意向を持たない顧客
- 批判者(0~6点):商品やサービスに不満を持つ可能性がある顧客
NPSの計算式
NPS=推奨者の割合-批判者の割合
顧客満足度が顧客の現在の満足度を示すのに対し、NPSは顧客の将来的な行動を予測する指標とされる。NPSが高いほど、顧客が商品やサービスを継続的に利用し、企業の収益向上につながる可能性が高いことが知られている。
※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、およびNPS関連の商標は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標またはサービスマークである。
ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の割合の一般的な水準
業界やビジネスモデルによって異なるが、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の割合の目安は 全顧客の20%前後 とされることが多い。
この数値は「パレートの法則(2:8の法則)」に基づくものであり、企業の売上の約80%は上位20%の顧客によって生み出されるという傾向があるためである。
しかし、サブスクリプション型ビジネスやBtoBの長期契約型ビジネスでは、ロイヤルカスタマー(Loyal Customer)の割合が50%を超えるケースもある。一方で、単発購入が中心のBtoCビジネスでは10%以下にとどまることも少なくない。
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