KPIとは

KPIとは、Key Performance Indicator(キー パフォーマンス インジケーター)の略で、「重要業績評価指標」と訳される。簡単にいえばKPIとは中間目標であり、ゴールに向かうまでのプロセスの目標数値である。目標達成にむけたパフォーマンス状況を測るために設定する。

例えば、食費2万円(月)という目標を掲げたとする。
そのためには1週間当たりの食費は5,000円におさえる必要がある。この「1週間当たりの食費5,000円以内」がKPIに該当する。

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KPIとKGIの違いとは

KGI(Key Goal Indicator)が最終目標(ゴール)の指標であるのに対して、KPIはゴールまでの達成状況を定点観測する定量的な指標のことである。そのため、KPIの達成がKGIに直結するように、KGIからKPIを逆算して設定する必要がある。

KPIとOKRの違いとは

KPIが指標であるのに対し、OKRは手法である。

OKR(Objectives and Key Results)とは、挑戦的な目的を達成するために用いる、目標設定・目標管理のフレームワーク。Google、Oracleなど、米国のシリコンバレーを代表する有名企業が導入したことで、注目を集めている。OKRではKPIのように100%の達成を理想とせず、達成度60~70%で成功と評価できるほどのストレッチ目標を設定する点が特徴である。

KPIの設定が重要な理由

KPIの設定が重要な理由として、以下の4つが挙げられる。

  • 業務の最終目的が明確になり、達成への最短ルートを築ける
  • 達成までの心理的障壁が下がる
  • 評価の基準を統一することができる
  • PDCAサイクルを円滑に回すことができる

業務の最終目的が明確になり、達成への最短ルートを築ける

KPIは、現在行われている施策が、KGIの達成に向けて適切に遂行されているかどうかを定量的に把握するために使用される。KPIを設定することで、最終目標に対する現時点の進捗を把握しやすくなり、達成に向けて必要なプロセスを考えやすい。結果最短ルートで達成に向けて個々人が活動することができるようになる。

達成までの心理的障壁が下がる

例えば「年間売上〇億円」などのような半期や通年など長い期間を経て達成する高い最終目標だけを追うよりも、身近な中間目標を設定し、着実に達成するという成功体験を生むことは心理的障壁を下げることにもつながる。

評価の基準を統一することができる

KPIは定量的な数値を用いて設定されることが多いため、誰が見ても判断基準が統一される指標として活用することができる。また、数値目標であれば達成したか未達成であったかも一律の判断ができるため、次に必要なアクションに対する共通認識も持ちやすい。

PDCAサイクルを円滑に回すことができる

最終目標を達成するために、KPIを継続的に測定・監視し、業務の振り返りを行うことで、日々の活動の課題の抽出と、具体的な改善が行われる。もし、KPIの目標値と実績に大きな乖離が生まれる場合は、KPIの設定が適切ではないため、KPI設定の見直しや、日々の業務の見直しが必要となり、目標達成に向けてのボトルネックを改善することでPDCAサイクルを円滑に回すことができる。

KPIを設定する

KPIの設定に役立つフレームワークを2つ紹介する。

  • KPIツリーの作成
  • SMARTの法則

KPIツリーの作成

KPIツリーとは、KGI達成のために必要なKPIを樹形図の形にして可視化した図のことを指す。KGI達成のために必要なアクションは1つとは限らず、KPIツリーを作成することで漏れや重複がなくKPIを設定することができる。達成度合いを定点観測する際も、未達成につながるボトルネックの早期発見が可能。

▼KPIツリーの設定例

KPIツリーの設定例

SMARTの法則

SMARTの法則とはKPIの設定に役立つ要素の頭文字を取ったもののことを指す。具体的には以下の5項目がある。設定するKPIはこの5項目に当てはまる内容となっているか、確認しながらすすめていくとよい。

  • Specific(明確な)
    定義の曖昧なKPIは、客観的評価を難しくする。曖昧な表現を避け、誰もが理解できるように設定する必要がある。「売り上げ向上」「業務効率化を図る」「粘り強い営業活動」などの表現は、いずれも人によって解釈が変わる。「●●を●●%向上」と具体的に定め、必要な行動を明確にしていく。
  • Measurable(測定可能な)
    達成度を測定できないKPIの設定は避ける。測定が可能なKPIを設定することで、遅れなどの問題が生じた場合でも改善策を講じることができる。
  • Achievable(達成可能な)
    根拠のない目標ではなく、過去の実績などに基づいた現実的で達成が見込める目標を設定する。達成できそうもない高すぎる目標設定は従業員のやる気を損なったり過度の負担を強いたりする恐れがある。
  • Relevant(関連した)
    KPIはゴールまでの達成状況を定点観測する指標である。そのため、KGIとの関係性がしっかりとあることが求められる。
  • Time-bounded(期限が定められた)
    いつまでに目標を達成するかの期限を明確に定める。

KPIの具体例

一般的に、目標達成のために最も影響度が高く、なおかつ定量的に測定できる中間指標がKPIとして採用される。

KPIは、事業内容や組織体制、職種などによってさまざまだ。以下に、職種別のKPIを例としてあげる。ただし、KPIはあくまでも組織のKGIに基づいて設定するものである点に、留意が必要である。

営業 売上高
新規コール数
アポイント件数
商談転換率
新規契約数
平均受注単価
リピート率
マーケティング メール開封率
メルマガ配信停止数
リード数
成約率
リピート率
顧客単価
平均受注単価
コンバージョン数
送客数
直帰率
PV数
ユニークユーザー数
広告インプレッション数
広告CTR(クリック率)
広告コンバージョン数
広告コンバージョン率
広告CPA(顧客獲得単価)
SNSからの流入数
SNSエンゲージメント数
システム開発 エラー件数
標準化率
テスト終了件数
プロダクト改善数
製造業 総合設備効率
ライン編成効率
稼働率
不良率
事故発生件数
度数率
採用 応募者数
採用人員数達成度
内定者の辞退者数
1人当たり採用コスト
入社配属後一定期間経過後の人事評価結果
入社配属後一定期間経過後の本人の満足度
採用人員の質に対する事業部・部門の満足度調査
採用後平均在職期間
経理・財務 ROE(自己資本利益率)
ROA(総資産利益率)
当座比率
固定比率
棚卸し資産回転率
固定資産回転率

KPI管理

KPIは、目標達成に向けたプロセスの管理に役立つ指標だ。

KPIが最終目標の達成に向かって問題なく進行しているか、定期的に把握・評価・分析することをKPI管理と呼ぶ。

KPI管理に役立つITツール

KPIの効率的な管理には、ITツールの活用が有効だ。例えば、マーケティング活動におけるKPI管理にはCRM(顧客関係管理)を活用するとよい。

CRMによるデータのリアルタイムな可視化は、現状を迅速に把握し、即座に対応するための行動を促す。また、チーム全体でKPIが常に確認できるため、組織全体での目標達成意識が高まり、個々のパフォーマンスも向上する。

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