ブランドアイデンティティとは
企業が顧客に持ってもらいたいイメージのことを指し、長期的なブランド戦略の策定や企業活動を決定する中で核となる、非常に重要な概念である。
ブランドアイデンティティ構築のメリット
ブランドアイデンティティを構築することで得られるメリットとしては、大きくは以下4つがあげられる。
- 企業活動や関わる人の行動基準の統一
- 他社との差別化
- 顧客との関係強化
- 従業員満足度の向上
企業活動や関わる人の行動基準の統一
顧客と企業のすべての接点における視覚・行動・言語の表現が統一され、顧客の印象に残りやすくなる。
他社との差別化
その企業にしかない要素が詰め込まれたブランドアイデンティティは、顧客に「自社が選ばれている理由」としてはっきりと示すことができ、他社と差別化するための武器となる。
顧客との関係強化
ブランドアイデンティティを構築することが、ブランド活動の第1歩である。なぜなら、顧客にどう思われたいかと、消費者・顧客が心の中で描くブランドイメージを一致させる活動がブランド構築であるからだ。
ブランドアイデンティティが社員間に共通言語として浸透すれば、顧客に対してブランドの魅力を正しく伝えることが可能になる。
従業員満足度の向上
ブランドアイデンティティは顧客に対してだけでなく、社員に対しても有効的である。ブランドアイデンティティを明確にすることで、社員は自分が入社した企業の魅力や価値を再認識できる。また、企業理念への理解や共感を持ちやすくなり、従業員満足度の向上へもつながるとされている。
ブランドアイデンティティの4つの構成要素
ブランドアイデンティティは主に4つの要素から構成される。
- フィロソフィー(ブランド哲学)
- ベネフィット
- 属性(商品の属性と特性)
- パーソナリティ(個性)
フィロソフィー(ブランド哲学)
ブランドアイデンティティの基盤となる「ブランド哲学」のことを指す。企業の「ミッション」「ビジョン」「バリュー」(MVV)などに分けて目指すべき方向性や社会の中で担う使命、大切にする価値観を世の中に対して示す、行動指標となるものである。
ベネフィット
ベネフィットは、「顧客が商品から得られる恩恵(プラスの効果)」のことであり、商品やサービスそのものではなく、これらが与えるポジティブな影響のことを指す。具体的には、商品やサービスを購入した後にある「満足感」「充実感」「快適感」がベネフィットである。ベネフィットは、「機能的ベネフィット」「情緒的ベネフィット」「自己表現ベネフィット」「社会的ベネフィット」に分類される。これらを使いわけることで、顧客に商品やサービスの魅力を最大限に伝えられる。
属性(商品の属性と特性)
その商品が持つ特性の中で、客観的・定量的に表現することのできる事実を指す。ブランドアイデンティティで打ちたてたことへの根拠・証拠を提示することで、顧客からの信頼性が高まり、安心感を持ってもらうことができる。
パーソナリティ(個性)
ブランドアイデンティティにおけるパーソナリティとは、ブランドに人間的な特徴を持たせることでよりイメージを伝わりやすくすることである。感情移入をしやすくなったり、愛着を持ちやすくなる効果があり、ブランドに対するイメージの定着に役立つ。
ブランドアイデンティティの構築方法
ブランドアイデンティティを構築するためには、自社理解を進め、目的とターゲットを明確にする必要がある。目的とターゲットが明確になった後は、「ブランドアイデンティティプリズム」というフレームワークにそって整理・体系化することができる。
「ブランドアイデンティティプリズム」の6つの側面
- Physique:ブランドの物理的特長
- Personality:ブランド・パーソナリティ
- Relationship:顧客とブランドの関係性
- Culture:文化
- Reflection:ブランドのターゲット
- Self-Image:セルフ・イメージ
ブランドアイデンティティが構築できた後に大切なのは、それを表現するためのロゴやキャッチコピー・サイトデザイン・カラーといったクリエイティブに一貫性を持たせることである。独自性のあるブランドアイデンティティの表現を続けることでイメージが浸透し、競合他社との差別化にもつながっていくだろう。
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