ARRとは
ARRは「Annual Recurring Revenue(アニュアル・リカーリング・レベニュー)」の略で、「年次経常収益」を意味するビジネス用語である。毎年、決まって得ることのできる収益のことを指し、「年間定期収益」とも呼ばれる。
収益見込みや成長率の予測値を出す際や、投資家の企業価値判断の指標として使われることが多い。
ARRの重要性
年間の収益を予測する指標であるため、SaaSビジネスの中でも年間契約型のサービスを提供している場合に、特にARRが重要視される。
SaaSビジネスにおいてARRが重要視される理由は以下2つである。
- 【1】ビジネスの成長率・将来性を確認できる
- 【2】投資家の企業価値判断の指標になる
【1】ビジネスの成長率・将来性を確認できる
ARRの推移分析でビジネスの成長率を把握することができる。例えば、ARRが増加している場合は、新規顧客獲得や既存顧客の契約金額のアップセルに成功していることがわかる。ARRが減少している場合は、顧客の離反が増えている可能性がある。ARRの推移は、ビジネスの成長戦略を立てる上での重要な情報となる。
KPIとしてARRを設定している企業も数多い。
【2】投資家の企業価値判断の指標になる
事業の成長性や将来性を示す重要な指標の1つであるARRは資金調達をする際に算定されるバリュエーション(企業価値評価)に用いられることが多い。
株式市場では、高いARRを持つ企業は、安定的な収益性を持ち、市場での競争力が高いと評価される傾向がある。
資金調達が必要なSaaSビジネスでは、投資家からの判断基準となることからARRが重要視されている。
ARRを増加させる方法
ARRを増加させるためには、大きくは3つの観点がある。
- 新規顧客の獲得
- 既存顧客のアップセル
- ダウングレードや解約の防止
新規顧客の獲得も、ただサービスの利用を始めてもらうだけではなく継続してくれるユーザーを増やすこと、継続してもらうだけでは一定の収益は見込めるが増益へ繋がらないためアップセルしてくれるユーザーを増やすこと、これがARR増加のために考えるべき観点である。
ARR向上を目的とした「アップセル」や「解約防止」には、CRM
顧客の課題やニーズを把握しないまま、やみくもに解約阻止やアップセル提案をしても成果には繋がりにくい。既存顧客のデータ分析を行い、「誰がどのようなニーズを持っているか」「課題は何か」を明確にすることが重要。
そのための第1歩が、CRMシステムの導入である。CRMシステムとは、顧客情報や行動履歴を一元管理できるシステムのこと。このシステム内にある情報を活用・分析することで、顧客に適切なアプローチを行い長期的な関係性の構築・アップセルに役立てられる。
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ARRとMRRの違い
ARRと同様にSaaSビジネスで重要視される指標として、MRRがある。MRRは「Monthly Recurring Revenue(マンスリー・リカーリング・レベニュー)」の略で、「月間経常収益」を意味するビジネス用語である。
つまり、ARRとMRRの違いは、対象期間である。ARRが「毎年」継続して発生する経常収益であるのに対し、MRRは「毎月」発生する経常収益を指している。
ARRの計算方法
ARRが「毎年」継続して発生する経常収益を指しているため、以下の計算式で算出できる。
MRRの計算方法
ARRを計算するために必要な、「MRR」の計算方法、3種について解説する。
- MRRの計算方法【1】基本
- MRRの計算方法【2】契約期間が複数ある場合(年契約・月契約の2種類の場合)
- MRRの計算方法【3】新規獲得や既存顧客の契約のアップグレード・ダウングレード・解約などの要素を含めた場合
MRRの計算方法【1】基本
MRRの計算方法【2】契約期間が複数ある場合(年契約・月契約の2種類の場合)
MRRの計算方法【3】新規獲得や既存顧客の契約のアップグレード・ダウングレード・解約などの要素を含めた場合
まず、MRRには以下4つの種類がある
- New MRR:新規ユーザーから得られる月間収益
- Expansion MRR:既存ユーザーのグレードアップによる月間収益
- Downgrade MRR:既存ユーザーのダウングレードにより、失われた月次経常収益
- Churn MRR:既存顧客がサービスを解約したことにより、失われた月次経常収益
この4つの種類のMRRをもとに、以下の計算式で当月のMRRを算出する
前月のMRRに、今月新しく追加となったMRRを加算し、減少分のMRRを減算する。ここで注意が必要なのは、初期費用や一時的な収益は加味しないということである。継続して影響する要素だけを抽出して計算することで、将来的な見込みがより正値に近いものになる。
ARRは社会的な状況や競合他社の進出、自社の評価などさまざまな要因により変動するため、定期的な見直しをすることが重要である。
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