データ活用とは?データ活用に取り組むメリットや手順を解説
「データ活用」は、企業が保有する情報を活用し、業務改善やイノベーションなどを目指す取り組みです。データ活用を実践することで、ビジネス環境や顧客ニーズの変化に素早く対応できる体制が整いますが、効果を得るためには適切な方法で実施する必要があります。本記事では、データ活用に取り組むメリットや手順について、詳しく解説します。
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CRMベストプラクティス賞を受賞した企業様の事例を交えながら、顧客理解とコミュニケーションデザインのためのデータ活用方法を解説します。
データ活用とは
「データ活用」とは、企業が蓄積しているさまざまなデータを分析し、企業目的を達成するために活用する取り組みです。近年では、「データドリブン(Data Driven)」という概念が浸透しつつあります。
データドリブンとは、経験や勘に頼るのではなく、データに基づいて合理的な意思決定・課題解決を目指すことです。データ活用はデータドリブンの実現に欠かせず、データを活用した経営をデータドリブン経営と呼びます。
データドリブンが重要視される背景として、顧客のニーズ・価値観・行動が多様化したことが挙げられます。従来のアナログ的な手法では、流動する市場の環境やニーズを満たせなくなりました。デジタル技術の発展で、膨大なデータを収集・分析できるようになったことから、マーケティングや経営などの分野でデータ活用が注目されています。
データ活用に取り組むメリット
企業がデータ活用に取り組むことで、以下の6つのメリットが得られます。
- 売上を向上できる
- イノベーションを創出できる
- 業務効率と生産性を向上できる
- 業務の属人化を防ぎやすくなる
- 戦略の策定と検証にいかせる
- DXを推進しやすくなる
売上を向上できる
データ活用は企業の売上向上に役立ちます。顧客情報を分析することで、それぞれのニーズや傾向を把握できます。分析結果をもとにマーケティング戦略を策定したり、既存顧客のニーズを想定してレコメンドしたりすると、新規顧客の獲得・アップセル・クロスセルなどに役立ちます。
イノベーションを創出できる
データ活用に取り組むことで、イノベーションを創出しやすくなります。詳細なデータ分析を行うことで、これまでは見えていなかった新たな傾向や法則が明らかになるからです。得られた知見をいかすことで、新たなビジネスモデルの創出につながります。
業務効率と生産性を向上できる
データ活用のための環境整備は、働き方改革の推進にもつながります。例えば、これまでアナログ的な手法に頼っていた業務をデータ活用で自動化・削減すれば、従業員の負担を軽減できます。業務効率の向上は生産性の改善につながるだけではなく、離職率を低下させることも可能です。
業務の属人化を防ぎやすくなる
データ活用は業務の「属人化」の防止にも役立ちます。データ分析を行うことで、業務の非効率な点やボトルネックを発見できます。得られた情報を活用すれば、これまで担当者の経験や勘に頼っていた分野を、データに基づいて標準化することが可能です。業務の属人化を軽減できれば、深刻化する人材不足にも対応しやすくなるでしょう。
戦略の策定と検証にいかせる
データ活用は、戦略策定と検証にも役立ちます。これまでに社内で蓄積した情報を分析すれば、業務フローやプロセスのどこに課題があるか、データに基づいた現状把握が可能です。判明した課題点を参考にすれば、ビジネスの改善に効果的な戦略を策定できるでしょう。
DXを推進しやすくなる
データ活用の実現には、ITシステムやツールの導入が必須です。そのためには、組織改革や人材獲得などが欠かせません。これは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進に必要なことでもあります。データ活用と合わせてDXも推進することで、これまでに紹介したメリットを最大化できます。
企業活動にいかせるデータの種類
企業活動にいかせるデータの種類には、以下の5つが挙げられます。
- 顧客データ
- 購買データ
- IoTデータ
- SNSデータ
- 各種ログデータ
顧客データ
「顧客データ」は、氏名・住所・年齢・性別などの個人情報に加えて、問い合わせやアンケートなど企業の調査で得られたデータなどです。顧客データはあらゆる業界で保有しており、顧客ニーズの把握や適切なアプローチ戦略などで活用されています。
顧客データの管理方法の1つとしてCRMシステム(顧客管理システム)があります。CRMシステムを用いることで、顧客データの蓄積や分析が可能になり、適切なアプローチ戦略を策定できます。
購買データ
「購買データ」は、顧客のあらゆる購買履歴が分かるデータです。例えば、ECサイトの売上データや実店舗のPOSデータなどが、購買データに該当します。購買データをデータ活用にいかせば、顧客関係における適切なアプローチに役立ちます。製造業や流通業をはじめとして、幅広い業界で利用されています。
IoTデータ
「IoTデータ」は、GPSから取得した位置情報や、温度センサー・速度センサーなどから取得したデータです。さまざまデータを蓄積することで、ビッグデータとして活用しやすくなります。IoTデータの活用で、新たな製品開発やビジネスモデル創出に役立つでしょう。
SNSデータ
「SNSデータ」は、SNSに投稿されているコンテンツから得られる情報です。例えば、ECサイトで販売する商品を選ぶときに、SNSの投稿を調べればトレンドが分かり、売上向上が見込めます。また、SNSだけではなくブログやメディアの記事からもデータが得られるため、活用範囲が広いです。
各種ログデータ
「各種ログデータ」は、自社のWebサイトやECサイトのアクセスデータのことです。例えば、ユーザーのアクセス日時やIPアドレス、Web上での行動履歴などです。これらのデータを活用すれば、WebサイトやECサイトを改善し、売上の向上が見込めるでしょう。
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データ活用の具体的な手順・ステップ
データ活用を行う際は、以下の6つのステップで進めるようにしましょう。
- データを収集する
- データを可視化する
- データの分析と検証を行う
- データをビジネスに活用する
- 実行後の効果検証を行う
- PDCAサイクルを回す
データを収集する
データ活用を行うためには、必要なデータを収集することが必要です。データ収集の目的によって、必要なデータの種類が変わります。単にデータをかき集めるだけでは、正確な分析結果が得づらくなります。そのため、あらかじめ結果の仮説を立てておき、「どんなデータが必要か」を見極めておきましょう。
データを可視化する
必要なデータを集めることができたら、分かりやすい形式で「可視化」しましょう。例えば、グラフ形式にすると現状が明らかになるため、課題点を把握しやすくなります。
データの分析と検証を行う
データを可視化したあとは、実際にデータ分析を行います。どのデータがビジネスにいかせるか、可視化したデータを見ながら検討していきましょう。正確なデータ分析を行うためには、データ同士に規則性や因果関係があるかを調べたり、明らかな異常値がないかを見極めることが重要です。
データをビジネスに活用する
データの分析が完了したあとは、実際にビジネスに活用するための戦略策定を行います。例えば、Webサイトのアクセス履歴から「読まれやすいページ」の傾向が明らかになったら、どのように改善すべきかを検討するなどです。どれだけ優れたデータが得られても、活用のための戦略が正しくなければ意味がないため、複数のパターンから最適解を探りましょう。
実行後の効果検証を行う
分析したデータをビジネスに活用したあとは、改善効果が得られるかを検証しましょう。効果測定の指標を定めて、実行前・実行後の変化をデータを基に比較することが重要です。想定どおりの結果になっているか調べ、想定外の結果が出たり効果が得られなかったりした場合は、改めてデータの分析や戦略策定を行う必要があります。
PDCAサイクルを回す
データ収集や活用のプロセスは、1回実行しただけで効果が得られるわけではありません。PDCAサイクルを回しながら、改善を続けていくことで、ビジネス環境や顧客ニーズに合わせた戦略設計が行いやすくなります。そのため、一連のサイクルは継続して行うことが大切です。
データ活用を実施する際のポイント
データ活用を実施する際は、以下の3つのポイントを意識するようにしましょう。
- 活用できるデータの種類を理解する
- 分野によって向き不向きがある
- データ分析のリソース確保が必須
活用できるデータの種類を理解する
データ活用を実施する際は、自社の業界でどのようなデータが利用可能か、適切に把握することが重要です。例えば「顧客データ」からは、自社の主要顧客層を分析する「セグメント分析」が行えます。顧客データに加えて購買データもある場合は、購入額や頻度が高い顧客を把握できる「RFM分析」も可能です。総務省の発表によると、顧客データはさまざまな業界で活用されており、アクセスログなども活用範囲が広いことが分かります。
出典:総務省 デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書
分野によって向き不向きがある
データ活用は、分野によって向き不向きが分かれることがあります。例えば、どの業界であっても「経営企画・組織改革」「製品・サービスの企画や開発」「マーケティング」の分野で、データ活用を導入している割合が高いです。一方、「保守・メンテナンス・サポート」や「基礎研究・リスク管理」などの分野では、データ活用はあまり活用されていません。このように、データ活用に向いている分野を把握することで、適切な戦略を立てやすくなります。
出典:総務省 デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書
なお、データを活用したマーケティング手法である「データマーケティング」については、以下の記事にて解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
データ分析のリソース確保が必須
データ分析には高度な知識が必要なので、専任の担当者を確保する必要があります。しかし、現在ではデータ分析のスキルがあるIT人材が不足しています。総務省の発表によると、データ分析は「専門の担当者」と「専門ではない担当者」が担当している割合はほぼ同じです。しかし、人材獲得に余裕がない中小企業では、専門ではない担当者の割合が50.6%となっています。
出典:総務省 デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書
現状のデータ活用が抱える課題
現状のデータ活用が抱える課題として、以下の3つが挙げられます。
- データ分析の手法が効率的ではない
- 機密情報が漏洩するリスクがある
- データ活用のスキルがある人材の不足
データ分析の手法が効率的ではない
データ分析の大きな課題が、非効率的な手法で行われているケースが多いことです。データ活用には、「AIシステム」や「BIツール」などを活用するのが便利ですが、現状ではExcelなどの表計算ソフトで行われていることが一般的です。ITシステムを活用するほうが、効率的に正確なデータ分析を行えます。
機密情報が漏洩するリスクがある
データ分析において取り扱うデータの種類によっては、企業が蓄積している顧客情報や機密情報が、漏洩する恐れがあります。情報漏洩が起きると、顧客が不利益を被るだけではなく、企業イメージが損なわれる原因になります。そのため、データ分析を行うにあたり、名前や電話番号を非公開にしたり、万全なセキュリティ対策を行うなどの対策をとりましょう。
データ活用のスキルがある人材の不足
データ活用の効果を高めるためには、収集・可視化したデータから現状の課題を把握して、改善策を導き出す能力がある人材が欠かせません。しかし、前述したようにデータ活用をはじめとするIT人材の不足が深刻化しており、中小企業では人材獲得がなおさら困難です。そのため、既存社員を育成して社内でデータ活用人材を獲得するなどの対策が必要になるでしょう。
データ活用で新たなビジネスモデルを創出できる
データ活用により、業務効率や生産性の改善はもちろん、新たなビジネスモデルの創出も見込めます。まずは、どの企業にもある「顧客データ」の活用から始めて、売上向上のための施策を検討してみましょう。データ活用の事例については、ぜひ以下の資料を参考にしてみてください。
顧客データ活用のノウハウを事例で学ぶ「手元に置いておきたい!顧客データ活用の事例集2点セット」
顧客データを始めとするデータ活用に興味がある方、実施を検討したい方はぜひダウンロードください。
しかし、データ活用には専門的なスキルが求められる場面があるため、社内リソースで実現しづらいこともあるでしょう。顧客データについては、顧客関係の管理に特化した「CRMシステム」の活用がおすすめです。クラウドベースの国産CRMシステム「Synergy!」には、企業のさまざまな顧客データを管理・活用するための機能が搭載されています。「Synergy!」について詳しく知りたい方は、下記よりお気軽にお問い合わせください。
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