CRM分析とは?重要性や具体的な手法、実施のポイント、分析の成功事例を詳しく解説
CRM分析とは、自社の顧客情報を幅広い角度から分析することです。「基本の属性情報(住所や性別など)」「サイト上の行動履歴」「実店舗への来店回数」といったデータを分析し、具体的なニーズや悩みなどを把握することで、より顧客に響くマーケティング施策やアプローチを設計できます。
CRM分析の手法には、自社の売上を幅広い観点で分析する「売上分析」や、顧客が生涯でもたらす利益総額を算出する「LTV分析」など、さまざまなものがあります。手法ごとで「どの観点で分析するのか?」「何を求められるのか?」という点が異なるため、自社の目的を踏まえ、最適な分析方法を活用しましょう。
本記事では、CRM分析の概要や重要性、具体的な手法、実施のポイント、分析の成功事例を詳しく解説します。
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<目次>
CRM分析とは?
そもそも「CRM」とは、顧客に最適なアプローチを行い信頼関係を築くことで長期的な満足度を高めるという考え方のことです。サービスやアフターフォローへの満足度を高め、次第にファン化してもらうことで、最終的な自社の売上アップにつながります。
こうした顧客との信頼関係を生み出すために活用するものが「CRM分析」です。CRM分析では、自社の顧客情報を幅広い角度から分析することで、ニーズや購買行動などを把握します。顧客が求める内容を正確に把握することで、よりターゲットに響くマーケティング施策やアプローチ方法を設計可能です。
例えば、CRM分析で「メインターゲット層からの売上が好調な時期」を明確化すれば、タイミングを絞った効果的なプロモーションを実現できるでしょう。
その他にも、例えば「休眠顧客を掘り起こす戦略」「新規ターゲットを取り込むためのプロモーション施策」なども立案・実行できるようになります。具体的な分析手法は「最初に押さえるべき!CRM分析の代表的な手法を3つ紹介」「上記以外に押さえておくべきCRM分析の手法を7つ紹介」の章で詳しく解説しています。
CRM分析は「顧客満足度を高めてLTVを改善」するために重要!
CRM分析では、(後述する)顧客分析や売上分析、RFM分析などの手法を活用し、さまざまな角度から顧客情報を分析します。
分析できる情報には幅広い種類があり、一部の例として以下があげられます。
- 基本の属性情報(住所や性別など)
- サイト上の行動履歴
- 実店舗への来店回数
- 累計の購入金額
- 頻繁に購入する商品
- 来客数が増える時期
幅広い角度から情報を分析し、ターゲットのニーズや悩み、価値観などを把握できれば、顧客の状態に合わせて最適なマーケティング施策やアプローチを設計できます。
例えば、自社サイトへの訪問回数を分析した結果、「短期間に高頻度で訪問している」とわかれば、興味度合いが高いと判断できるため、ポップアップを表示すればクリックされるかもしれません。また、直近の来店回数を分析して「3か月間で明らかに訪問回数が減っている」とわかれば、顧客へ近況のお伺いLINEを配信するとよいでしょう。
顧客にマッチしたマーケティング施策やアプローチを実行できれば、顧客から「この企業は自分に目を向けている」という印象を抱いてもらえます。
とくに競合が多い業界の場合、顧客も「結局どの商品が一番よいのか?」と判断することは難しいでしょう。そうした中で「顧客個人にしっかり目を向けている」というメッセージが伝われば、競合との大きな差別化要素になります。
こうしたニーズにマッチしたアプローチを行い好印象を与えられれば、顧客満足度が高まり自社商品やサービスをリピートしてもらいやすくなります。いずれファン化して長期的に利用し続けてもらえれば、最終的な企業のLTVは向上するでしょう。
最初に押さえるべき!CRM分析の代表的な手法を3つ紹介
CRM分析にはさまざまな手法があります。そこでまずは「手元にデータはあるが何も手をつけていない」という人にオススメの分析手法を3つ、紹介します。
- 顧客分析
- 売上分析
- RFM分析
上記の3つはCRM分析における基本です。この3つの手法を試した後に、後述するデシル分析やセグメンテーション分析などを活用するとよいでしょう。
3つの分析について、サンプルデータをもとに「考えられる施策の一例」をまとめています。ただし、上記はあくまでも一例です。後述の「【上記以外の「分析結果をもとに導き出した観点」の一例】」で記載しているように、目的や自社のターゲットによって、分析結果や行うべき施策は大きく変わります。
CRM分析で一番大切なことは、「顧客情報を多角的な軸で抽出し数字を比較したうえで現状や問題点を正確に把握する」という点です。特定の見方に固執することなく、年代・性別・時期・購入履歴・地域・購入回数など、さまざまな角度からあらゆる可能性を探りましょう。
顧客分析
顧客分析とは、自社サービスや商品の顧客層を把握するために行う手法です。
顧客情報には、以下のように幅広い項目のデータがあります。
- 基本情報(性別・年齢層・居住地など)
- 累計購入金額
- 来店頻度
- 購入頻度
- 購入日
- 購入回数
- 購入履歴
こうした顧客情報を分析し、「メインターゲット層の特徴」「潜在ニーズ」などを把握することで、最適なアプローチ方法やフォロー施策の設計に役立てられます。
顧客分析の実施イメージ
それでは弊社が作成したサンプルデータをもとに、顧客分析の実施イメージを紹介します。
まずは以下の画像をご覧ください。
【画像「商品購入したことのある会員の年代、性別」から読み取れること】
- ①からわかるように、40〜60代を中心に商品が購入されている
- ②からわかるように、40~60代では女性より男性の購入者数が多い
- 全体に対して②の比率が一番低いことから、「60代女性の購入者数が最も少ない」とわかる
【画像の読み取り結果から考えられる内容の一例】
40〜60代までの男性購入者数は、他の年代と比べ大きな差がありません。
一方で、女性は60代の購入者数が少ないため、「60代女性に向けたプロモーション」を行うことで、購入者数を大きく伸ばせる可能性があります。
50代と60代では、基本的に結婚や出産といったライフスタイルの急激な変化は起こりにくいはずです。そのため、50代女性の消費行動を分析しながら、60代女性に響くアプローチを探すとよいでしょう。
【上記以外の「分析結果をもとに導き出した観点」の一例】
「60代女性の購入者数が最も少ない」ため、そもそも商品自体が60代向けではないかもしれません。その場合は、無理にターゲット外である60代女性へアプローチせず、別の年齢層の購入を促進することも効果的です。
次に以下の画像をご覧ください。
【画像「顧客分析 商品を購入したことのある会員の居住地(購入者の都道府県)」から読み取れること】
- 会員割合と人口統計比率の差を見てわかるように、①の東京と福岡の購入者数が多い
- ②の北海道と愛知は、人口統計比率との差が大きく認知度が低いことがわかる
- ③の大阪や兵庫などの近畿エリアでも、北海道や愛知ほどではないが人口統計比率差が大きい
【画像の読み取り結果から考えられる内容の一例】
大阪や兵庫などの近畿エリアは、人口統計比率との差が大きいため「近畿エリアの認知度を上げることで購入者の増加が狙える」という仮説を立てられます。そのため、近畿エリアに向けたアプローチ施策の検討が必要です。
北海道や愛知も人口統制比率との差は大きいですが、まずは現状の会員割合が多い近畿エリアから施策に取り組むべきでしょう。
【上記以外の「分析結果をもとに導き出した観点」の一例】
会員割合は、確かに近畿エリアが多いです。しかし、全体に対して「購入回数が多いアクティブな会員数」が少ない場合、アプローチしても思うような効果は得られないかもしれません。その場合は、会員割合が少なくても「アクティブな会員数が多い地域」に絞ってアプローチしましょう。
顧客分析については、以下の記事でも詳しく解説しています。
売上分析
売上分析とは、自社の売上を幅広い観点で分析し、課題や傾向を把握する手法です。
売上分析で用いる指標には、例えば以下があげられます。
- 毎月の売上
- 購入者数
- 会員 or 非会員による違い
- 商品カテゴリ別
- 営業担当者別
- 販売チャネル別
- 店舗別
- 地域別
上記を基準に分析することで、以下のような課題の解決策やアプローチ方法などの検討時に役立てられます。
- どこを改善すれば効率的に売上をアップできるか?
- どの時期にどんな商品が売れやすいのか?
- 目標達成までに何をどれくらい改善すればよいのか?
売上分析の実施イメージ
それでは弊社が作成したサンプルデータをもとに、売上分析の実施イメージを紹介します。
まずは以下の画像をご覧ください。
【画像「購買人数の会員非会員比率と月ごとの購入金額」から読み取れること】
- ①からは「毎年梅雨から夏にかけて」、次いで②からは「3月前後」の売上が高いとわかる
- 2017年は③のように、他の年度に比べて1月の売上が大きく伸びている
- 全体の傾向として、年々会員の購入者数が減り非会員の購入者が増えている
【画像の読み取り結果から考えられる内容の一例】
年々会員の購入者数が減っているため、会員に対し「次の購買行動を促すキャンペーンやプロモーション施策」を行うべきでしょう。また、非会員の会員化を促すために「会員登録方法」「会員特典」などをアピールすることも必要です。
また、売上は「梅雨から夏」「3月」の年2回、伸びる傾向にあります。そのため、ピーク時の売上をさらに伸ばすための戦略も設計しましょう。例えば、梅雨から夏であれば「祭り・海・プールなどのイベントと組み合わせる」、3月であれば「新生活キャンペーンとして打ち出す」といったプロモーションが有効です。
【上記以外の「分析結果をもとに導き出した観点」の一例】
上記のデータでは、2017年の1月だけ売上が伸びています。もちろん、単なる偶然によって売上が伸びた可能性もあります。しかし、売上がアップしたことは事実です。そのため、もう少し売上アップの要因を調査し再現性のある傾向が見つかれば、「梅雨から夏」「3月」に加え新たな売上の山を作れるかもしれません。
また、売上ピークである「梅雨から夏」「3月」自体が、すでに施策を出し尽くしており、今以上の売上を望めないケースもあります。そうした観点でも、新たな売上の山を作れるよう模索することは重要です。
RFM分析
RFM分析とは、以下3つの指標で顧客をランク分けする手法です。
- Recency:最後に注文をした日からの経過日数
- Frequency:累計購入回数
- Monetary:累計購入金額
RFM分析を行い、顧客を「優良顧客・休眠顧客・離反顧客」などでセグメント分けすることで、各層の購買傾向に合わせた最適なプロモーション戦略を設計できます。
例えば、「購入頻度と購入金額は高いが半年以上購入していない顧客」がいると仮定しましょう。この顧客は、「購買力はあるが意図的に自社商品を選択していない」と考えられます。こうした背景から「競合商品に流れている可能性もあるため競合分析が必要だ」と判断できるでしょう。
RFM分析の実施イメージ
それでは弊社が作成したサンプルデータをもとに、RFM分析の実施イメージを紹介します。
まずは以下の画像をご覧ください。
【画像「会員のR(直近購入)×F(購入回数)の数分布」から読み取れること】
・①からわかるように、休眠顧客の割合が69.1%と大きい
・②からわかるように、購入回数が1~2回目の顧客は、1回あたりの平均購入金額が高い傾向にある
【画像の読み取り結果から考えられる内容】
休眠顧客の割合が高いため、継続購入を促す施策の実施が必要です。例えば、「購入商品の活用法をメルマガで配信する」「期間限定キャンペーンを行う」などの施策があげられます。
また、購入回数が増えるごとに、1回の購入単価は減少傾向にあります。そのため「この商品もオススメ!」といった形でクロスセルを狙い、購入単価を上げていきましょう。ニーズにマッチする商品を提案し顧客満足度を高められれば、結果的に休眠顧客の減少にもつながります。
【上記以外の「分析結果をもとに導き出した観点」の一例】
休眠顧客になってしまうのは、単純に「商品が期待していたほど良質ではなかった」という可能性もあります。商品に魅力がなければ、メルマガやキャンペーンでアプローチしても、なかなか掘り起こしにつながりません。そのため、アンケートを行って顧客の声を取り入れ、商品改善を優先して進めることも検討しましょう。
RFM分析については、以下の記事でも詳しく解説しています。
上記以外に押さえておくべきCRM分析の手法を7つ紹介
上記以外に、以下の分析手法も押さえておきましょう。
- LTV分析
- CTB分析
- デシル分析
- CPM分析
- セグメンテーション分析
- クラスター分析
- 行動トレンド分析
LTV分析
まずLTVとは、日本語で「顧客生涯価値」を意味する言葉です。ひとり(1社)の顧客と取り引きをはじめてから、生涯でどれくらいの利益(価値)をもたらすか予測します。
LTVは、以下の計算式で算出できます。
LTV = 平均購入単価 × 粗利率 × 1年間の購入回数 × 継続年数
上記のLTVを求める手法が、LTV分析です。「LTVの数値が高い=自社にとっての優良顧客」といえます。
優良顧客層を把握しておくことで、「累計購入額が一定以上の顧客に特別割引を実施」「購入回数が多い顧客に先行販売を実施」といった特別感を持たせたアプローチが可能です。
また、優良顧客の特徴を掴んでおけば、「優良顧客に成長しそうな新規顧客」「優良顧客の特徴に該当する見込み顧客」などに絞った効果的なアプローチも設計できるでしょう。
LTVを向上させる施策については、以下の記事で詳しく解説しています。
CTB分析
CTB分析とは、以下3つの軸で顧客をセグメント分けして分析する手法です。
- Category:カテゴリ
例)レディースやメンズ、生活、食品、ファッション、インテリアなど - Taste:テイスト
例)色や模様、形、風合い、サイズなど - Brand:ブランド
例)企業ブランドや商品ブランドイメージ、採用キャラクターなど
上記の軸を分析し顧客が好む商品やサービスの傾向を把握することで、「このカテゴリの商品が人気なのでプッシュしよう」「他の商品を◯◯のテイストになるよう改善しよう」など、最適なアプローチ方法を設計できます。
デシル分析
デシル分析とは、「購入金額が高い順に並べる→10等分でグループ化する」という流れで、顧客を10段階にランク分けする手法です。
ランク分けを行い、グループごとの購入比率や購入金額、売上構成比を把握することで、売上に貢献している顧客層を見つけられます。
売上貢献度が高いグループの特徴がわかれば、「売上トップグループの顧客層に特別割引クーポンを配信する」など、顧客の貢献度に合わせた最適なアプローチやマーケティング施策を設計できます。
もし、グループごとで売上に極端な差があれば、「グループAの売上が極端に低い原因を見つけて解決しよう」というように判断することも可能です。
CPM分析
CPM分析とは、以下3つの軸で顧客を分析する手法です。
- 購入回数
- 購入金額
- 最終購入日からの経過日数
上記の軸をもとに、顧客の育成段階を把握することで、各フェーズに合わせた最適なアプローチやマーケティング施策を設計できます。
例えば「一定以上の購入回数に達している顧客」に対しては、特別クーポンの配布や新商品の紹介を優先的にすることで顧客体験を高め、さらなる優良顧客へ育成することが有効です。
CPM分析はRFM分析と似ていますが、大きく以下の違いがあります。
- CPM分析:「離脱しかけている顧客」など長期フォローが必要な顧客を分析できる
- RFM分析:「次回にすぐ購入する可能性が高い顧客」など短期フォローが必要な顧客を分析できる
分析できる顧客の種類が異なるため、RFM分析で短期的な売上につながる施策を行いつつ、CPM分析による長期的な顧客育成に取り組むことが大切です。
CPM分析については、以下の記事で詳しく解説しています。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、さまざまな属性ごとで顧客を分類(セグメンテーション)したうえで、分析する手法です。分類基準としては、例えば以下があげられます。
- デモグラフィック(年齢や性別、家族構成など)
- ジオグラフィック(人口密度や気候、生活習慣など)
- サイコグラフィック(パーソナリティーやライフスタイルなど)
- ビヘイビアル(購買チャネルや購入日時、購入商品など)
セグメンテーション分析を行い、自社商品を好む顧客属性やリピーターになりやすい層の特徴を把握することで、以下のように精度の高いアプローチ施策を実行できます。
- リピーターは10代がメインであるため若者向けのSNSに広告を出稿しよう
- 特定地域に購入者が多いのでスポットを絞ってポスティング施策を実行しよう
- 子持ち世帯の利用率が高いので、複数人数世帯向けの特別クーポンを配布しよう
セグメンテーションの手法については、以下の記事で詳しく解説しています。
クラスター分析
クラスター分析とは、さまざまな属性の要素が含まれた集団の中から、類似した要素を抽出してグルーピングする手法です。
他の分析手法では、「顧客の特徴」といった明確な基準を持って分類していました。一方のクラスター分析では、客観的な「類似性」を基準としています。
そのため、大量の情報を分析し、以下のようなパターンや傾向を洗い出す際に役立ちます。
- 世間ではどんなキーワードで自社がイメージされているのか?
- 自社ブランドのポジションは?
- 競合と比較した際の自社の強みは?
クラスター分析では、以下の2種類を活用することが一般的です。
- 階層的クラスター分析:類似性が高いデータ同士をまとめていき少しずつクラスターの数を絞る方法
- 非階層的クラスター分析:事前にクラスター数を決めてから「類似した要素を集め・違う要素は離す」という行動を繰り返して絞り込む方法
どちらも有用ですが、階層的クラスター分析は計算量が膨大になりやすいため、非階層的クラスター分析を活用することが多いです。
行動トレンド分析
行動トレンド分析とは、季節や時間帯、曜日、月などの「特定のシーズン(期間)」における顧客の購買行動を分析する手法です。シーズンごとの購買行動を把握することで、以下のように顧客のアクションに合わせた最適なアプローチを実施できます。
- 給料日前後になると家族連れの来店が増えるため期日を合わせてタイムセールを実施する
- サービス購入者数が増える8月までに広告を出稿して露出を増やす
- ターゲットがSNSを眺めるであろう20時頃にお得なセール情報を呟く
顧客ニーズが高まる季節や時間帯などに合わせたアプローチを行うことで、施策の費用対効果をさらに高められます。
CRM分析を効果的に行うポイント
上記のように、CRM分析には多くの手法があります。自社にマッチする手法を選んで適切な分析を行うためにも、以下のポイントを意識しましょう。
- 分析目的を明確化しておく
- 部門ごとの情報を整理しておく
- いくつかの手法を組み合わせて分析する
- PDCAサイクルを回して分析方法を改善する
- CRMシステムを活用して分析を実行する
分析目的を明確化しておく
CRM分析は、手法ごとで以下のように「どんなデータを使って・何を求められるか?」という点が異なります。
- RFM分析:「最終注文日からの経過日数・累計購入回数・累計購入金額」をもとに優良顧客の特徴を把握する
- LTV分析:「将来的に自社にもたらすであろう利益」をもとに顧客アプローチの優先度を設計する
- CTB分析:「カテゴリ・テイスト・ブランド」をもとに顧客の好みや傾向を把握する
こうした中から自社にとって最適な分析手法を選ぶには、以下のように自社の分析目的を定めることが必須です。
- 自社が優先的に行うべきマーケティング施策を判断したい
- メインの顧客層を把握して売上へのインパクトが大きいアプローチを行いたい
- 離脱しそうな顧客を把握して適切なフォロー施策を実行したい
自社の目的にマッチしない分析手法を選んでしまうと、手間とコストだけがかかり費用対効果が低下するため、要注意です。
部門ごとの情報を整理しておく
CRM分析では、以下のように幅広い観点の顧客情報を活用してターゲットを分析します。
- 基本情報(氏名や住所、性別、年代など)
- 購入履歴
- 累計購入金額
- クーポンの利用回数
- 来店回数
- サイト上の行動履歴
- 問い合わせ記録
こうした情報は「問い合わせ履歴→カスタマーセンター」「サイト上の行動履歴→ECサイトの管理部門」というように、さまざまな場所に保管されています。そのため、部門を跨いで必要な顧客情報を事前に集めておきましょう。
情報を集める際は、格納ルールも決めてください。情報の格納ルールを決めないと、「支店ごとで管理情報が違うため必要なデータが揃わない」「全角と半角が統一されておらずデータ抽出時に抜け漏れが発生する」といった事態が起こりかねません。
情報に抜け漏れがあるまま分析を実施しても正確な結果を出しにくくなるため、必ず格納ルールも定めましょう。
いくつかの手法を組み合わせて分析する
CRM分析では幅広い角度から顧客情報を扱って分析します。そのため、違う視点で情報を集めた手法同士を組み合わせることで、より効果的な分析が可能です。
例えば、CPM分析で「離脱しそうな顧客」への長期フォロー施策を設計しつつ、RFM分析で「次回すぐ購入する可能性が高い顧客」への短期フォロー施策を実行するといったイメージです。
手法を組み合わせる場合も、最初に設定した自社の分析目的を踏まえ「どんな情報を使って・何を求めるのか?」という点を意識しましょう。
PDCAサイクルを回して分析方法を改善する
CRM分析を行って施策を考え実行しても、一度目で改善施策が成功するとは限りません。そのため、施策を実行するたびに以下のような点を振り返り、改善し続ける意識が必須です。
- どのような部分が仮説と違ったのか?
- 仮説と違った原因は何か?
- なぜ想定以上の成果が得られたのか?
- 次回以降は具体的に何を改善して試すのか?
こうしたPDCAサイクルを繰り返すことで、徐々に分析の進め方や施策の質がブラッシュアップされていき、自社の目的にマッチした成果を残せるようになります。
CRMシステムを活用して分析を実行する
CRM分析自体は、「既存のECシステムの管理データを集計する」「アンケートツールで顧客の声を集計して分析する」といった方法でも可能です。しかし、ツールの役割が「顧客情報の管理メイン」という場合、分析作業およびアプローチ設計は自社のノウハウを活かして実行するしかありません。
とはいえ、「顧客情報は保管しているが分析はやったことがない」という場合、専門的な知見がないため適切な施策の設計まで行うのは難しいでしょう。
CRMシステムであれば、ツールによっては「クロス集計で複数項目を組み合わせて顧客情報を分析する」「分析結果をレポートで出力する」などの機能が充実しているため、スムーズに分析を進められます。
さらに、具体的なマーケティング施策やアプローチ設計まで落とし込めるような機能も搭載されています。例えば、ターゲットに合わせたメールマーケティングを実施できる「メール配信機能」や、問い合わせ内容の詳細を共有できる「問い合わせ管理機能」などです。
こうした「情報の管理〜分析〜施策の設計」までをワンストップで実行できるツールであれば、これから本格的にCRM分析を行う企業でも十分に活用できます。
「Synergy!」なら柔軟なカスタマイズ性や多彩な機能で高度な分析が可能!具体的な導入事例と合わせて紹介
上記のような手法を柔軟に取り入れて、効果的なCRM分析を行うのであれば、弊社が提供するツール「Synergy!」の活用をご検討ください。
「Synergy!」は、自社の目的や業種に合わせて柔軟に管理項目をカスタマイズできるCRMシステムです。管理した顧客情報は、「クロス集計で複数の視点から分析する」「登録フォームごとで顧客数の推移を解析する」などが可能です。
さらに、メールマーケティングの実行に必要な「メール配信機能」や、サイト上の行動履歴に応じてコンテンツを出し分ける「Webパーツ機能」など、実際の施策へ落とし込む機能も充実しているため、顧客満足度向上に向けたアクションにワンストップで取り組めます。
実際に「Synergy!」で分析を行い成果を出した事例として、アルペンローゼ株式会社様の事例を紹介しましょう。
同社は、ナチュラル化粧品の製造・販売を行う企業です。同社は従来まで、看板ブランドのヘアケアブランド「ラ・カスタ」を、百貨店やバラエティショップのみで販売していました。しかし、顧客個人の状況に合わせて最適な提案を行うため、2008年に直営店をオープンします。そこから直営店が増える中で、「ECサイトでもカウンセリングに近い接客を実現したい」と考え、CRMシステムを導入しました。
導入後はまず、同社が持つ「5年分の購買データの分析」から取り組みます。約1か月ほどかけて分析した結果、大きく以下の2点が浮かび上がりました。
(1)初回購入者を2回目購入に引き上げる必要性
ラ・カスタのリピート率は約40%(ECサイトのF2転換率の平均は20~30%程度)でした。とくに2回目から3回目の購入率は80%を超えていることから、「一度リピートされればその後は自然と使い続けてもらえる」ということが判明します。そのため「2回目購入へ引き上げる重要性が高い」という結論に至りました。
(2)ECサイト上でリフィル(詰め替え用商品)を訴求する必要性
「ECサイトで初めて購入する商品はリフィルである」という顧客が多いことも判明しました。実際にリフィル購入者のリピート率も高いことから、今まで以上に「ECサイト上でリフィルの魅力を訴求する重要性が高い」という結論に至ります。
上記の分析結果を参考に、同社は「Synergy!」を活用して、主に以下2つの施策を実行します。
(1)「初回購入者を2回目購入に引き上げる」ための施策
ステップメールを活用し、メールでブランドの魅力を届ける
(2)「ECサイト上でリフィルを訴求する」ための施策
リフィルと専用ボトルのセット販売企画を行い、ECサイトの訪問者へ全面的にアプローチする
まずは(1)について。同社は「1〜2本目→ブランド訴求とお役立ち情報の提供・3本目以降→お得なリフィルセットの訴求」という流れでステップメールを配信します。具体的には、1本目で「日本のブランドである旨」「香りや泡など性能面の魅力」など、ラ・カスタブランドの特徴を説明しました。2本目では「シャンプーの正しい洗い方はできていますか?」という件名で、予洗いの大切さなどについて情報提供します。
その結果、メールのクリック率は「1本目が40%台・2本目が50%台」となりました。いきなりセールスを仕掛けるのではなく、まずは自社ブランドの情報を伝え信頼関係を構築することで、最終的なコンバージョンまでつなげられたといえるでしょう。
そして(2)について。「売り切れるまでに1年ほどかかる」というほどの量のリフィルと専用ボトルセットを準備していましたが、結果としてわずか2か月での完売に成功。「リフィルと専用ボトルセットの購入者は他の商品購入者よりリピート率が10%高い」という結果をもとに、ECサイトのトップページでリフィルを訴求したことで、リピート率が高い新規顧客を獲得することに成功しました。
このように顧客情報を分析して、CRMシステムの機能を活用し施策を実行したことで、数値として見ても高い成果を残しました。CRMシステムの顧客情報を幅広い観点で分析し、最終的な売上につなげた好例といえるでしょう。
アルペンローゼ株式会社様の事例詳細については、以下の記事をご確認ください。
システムを活用してCRM分析を行い効果的な施策を設計しよう!
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より顧客ニーズにマッチしたマーケティング施策やアプローチを実行し、顧客から「この企業は自分に目を向けている」という印象を感じてもらえれば、満足度が高まり最終的な企業のLTV向上を実現できるでしょう。
CRM分析を行う際は、「分析目的を明確化する」「部門ごとの情報を整理する」といったポイントを意識することがオススメです。
より効果的なCRM分析を実施するのであれば、「CRMシステム」の活用も検討しましょう。CRMシステムなら、ひとつのツール上で「顧客情報の管理〜分析〜施策の設計」までを実行できるため、分析に関する知見がない企業でも、顧客ニーズにマッチしたアプローチを検討可能です。
弊社が提供するCRMシステム「Synergy!」なら、「必要な管理項目に合わせられるカスタマイズ性」「メールマーケティング施策を実行できるメール配信機能」「複数の観点でデータを分析するクロス集計機能」などを搭載しているため、企業の幅広いニーズに合わせて柔軟に利用できます。事例の部分で解説したように、実際にCRM分析を行い成果を残した実績も豊富です。
ツールの詳細や具体的な機能などが気になった人は、まず以下のリンクより資料だけでもご覧ください。

伝えたいマーケティングメッセージを、お客様にきちんと届けるために。
統合顧客管理(CRM)システム「Synergy!(シナジー)」
関連情報
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。