【具体例あり】CRM分析とは?重要性から手法まで徹底解説
CRMとは「カスタマー・リレーションシップ・マネジメント」の略です。1990年代にアメリカで誕生したマーケティングの概念で、日本語で「顧客管理システム」や「顧客関係管理」と呼ばれています。
CRMは顧客の満足度を高めLTVの最大化を成果として行いますが、そのCRM活動を行うには、まず戦略の立案が必要です。
戦略の立案に向けて仮説を立てるために、自社の現状を把握し、どうCRM活動を行うのか考えなくてはいけません。
今回はCRM分析とはそもそも何か、また必要な理由や具体的な手法について解説します。
CRM分析とは?
CRM分析は3C分析のような一般的なマーケティングの顧客分析とは違い、LTVの最大化を目指すために、自社顧客を対象に行います。
例えば、自社のメインターゲットの性別と年代や、よく売れている時期が明確になることで、ターゲットと季節感をかけ合わせたプロモーションを打つなどのアプローチが可能になります。
このように、自社顧客の購買行動を基に分析を行うことで、休眠顧客を掘り起こすための戦略の策定や、新たに取り込みたいターゲットに対して、プロモーション・マーケティングの立案ができるようになり、成果を出すための成功パターンや課題を発掘することができるのです。
CRM分析が重要な理由
前述の通り、CRM分析はLTVの最大化を目指すための戦略の立案や施策の策定のためにとても重要です。
自社顧客の購買行動を基に分析を行い、課題と目的が明確になったうえで戦略を立て施策を実行することにより、なんとなく進めてしまう施策より成果が上がりやすくなります。また、CRM分析が必要なのは初回だけではありません。繰り返し行うことで次の課題を発見し、その課題を解決するために施策を行うというPDCAサイクルを回しやすくなります。季節や流行、時間とともに変化する顧客に対して効果的なアプローチを行い続けるためにも欠かせないものです。
CRM導入のメリット・デメリットについては以下の記事もご確認ください。
ここから始めるCRM分析
CRM分析においてはさまざまな手法がありますが、ここでは「手元にデータはあるが、まだ何の分析もしていない」という、これからCRM分析を始める方におすすめの3つの手法を具体例を用いながら解説します。
① 顧客分析
② 売上分析
③ RFM分析
CRM分析をしなくても、自社の現状はこうだろう、とある程度予測できるかもしれません。
しかし戦略を立てる前に、しっかりとデータを分析し事実確認を行わなければ、せっかくプロモーションを行っても、成果が出ない、さらになぜ成果が出ないのかすらわからない、ということに陥る可能性があります。
この3つの手法はCRM分析の基本中の基本です。弊社へお問い合わせいただく方の中には、CRM分析をまだ行ったことがないお客様も多く、実際これらの基本分析を進めることで新たな課題を発見・施策へ活かし成果を出されています。すでに基本的なところは分析している場合や、この3つの手法を試したあとはさらなる発展としてデシル分析、セグメンテーション分析などを行ってみるのもよいでしょう。
顧客層を知るー顧客分析
顧客分析は、顧客層を知るために行う分析の手法です。
顧客の年代・性別・居住地など自社が何を知りたいのかを分析前に考えておき、知りたい内容を分析しやすいようにデータをまとめましょう。
顧客分析ではこれまでの購買履歴などから、商品を購入したことがある会員のデータを整理することが多いです。
では、図【1】を見てみましょう。
▼図【1】から読み取れること
年代ごとに比較してみると①の通り40代から60代を中心に商品を購入されています。さらに②からは40~60代では女性より男性の購入者数が多いことがわかります。②の比率をみると全体に占める比率が一番低いことから60代女性の購入者数が最も少ないことがわかります。
▼ここから見える課題や有効策案
40代から60代までの男性購入者数は他の年代との差に比べ大きな差がありません。一方女性は60代の購入者数が少なく、60代女性に向けたプロモーションを行うことで購入者数を伸ばすことができる可能性があります。50代と60代では結婚出産など大きなライフスタイルの変化もないので、参考に50代女性の購入者の消費行動を分析し、60代女性に響きそうなアプローチを探してみるのもよいでしょう。
次に図【2】を見てみましょう。
▼図【2】から読み取れること
会員割合と人口統計比率との差をみると、①の東京・福岡の購入者数が多いことがわかります。そして②の北海道と愛知は人口統計比率との差が大きく、認知度が低いことが読み取れます。③の大阪・兵庫など近畿エリアについても北海道・愛知程でありませんが、人口統計比率差が大きいことがわかります。
▼ここから見える課題や有効策案
大阪・兵庫などの近畿エリアは人口統計比率との差が大きいことから、近畿エリアでの認知度を上げることで購入者の増加を狙える、という仮説を立てることができます。よって、近畿エリアへの訴求を高めるための施策の検討が必要です。北海道や愛知についても人口統制比率との差も大きいですが、まずは現状会員割合が多い近畿エリアから始めるほうがよいでしょう。
売上の現状・傾向を知るー売上分析
売上分析は、売上の傾向を把握する手法です。
月ごとの売上金額や購入者数を用いて分析することで、商品が売れやすい時期や売れにくい時期などを把握することができます。
会員組織がある場合は会員と非会員のデータも分析し、比較してみましょう。複数商品のカテゴリがある場合は、カテゴリごとにデータを分析して比率を見比べるのもおすすめです。季節ごと、新生活が始まる時期などの時期ごとに売上のデータを分析して、課題や対策を見つけます。
では、図【3】を見てみましょう。
▼図【3】から読み取れること
毎年、①の通り梅雨から夏にかけて、次いで②の通り3月前後の売上が高いことがわかります。一方、2017年に関しては③のように他の年度に比べて1月の売上が大きく伸びています。そのほか、全体的に年々会員の購入者数が減り非会員の購入者が増えていることがわかります。
▼ここから見える課題や有効策案
課題としては年々会員の購入者数が減っているため、会員に次の購買行動を起こさせるためのキャンペーンやプロモーションを行うべきでしょう。また、非会員を会員化するよう促すために、会員登録の方法や、会員ならではの特典をアピールし、会員になりたいと思わせるのも戦略の1つです。
梅雨から夏にかけてと3月の年に2回売上が高い傾向がありますので、まずは売上のピークをさらに高めるための戦略を練るとよいでしょう。梅雨から夏に向けては祭りや海、プールなどのイベントに、3月は新生活に向けてなどと売上を促進できるようなプロモーションをすると有効かもしれません。
2017年の1月だけなぜ売上が伸びているのか理由は不明ですが、1月の売上向上のためのプロモーションを行い、成果が出たら翌年も1月の売上を安定的に獲得するために、同様の策を継続することで、梅雨から夏、3月に加え新たな売上の山を作ることができるかもしれません。
顧客の購買行動を知るーRFM分析
RFM分析は、3つの指標で顧客をランク分けする分析方法です。
指標は
・Recency:最後に注文をした日からの経過日数
・Frequency:その商品の累計購入回数
・Monetary:その商品の累計利用金額
の3つです。
RFM分析を行い、優良顧客、休眠顧客、離反顧客などにランクを分け、ランクごとの購買傾向を知ることで、それぞれに最適なプロモーション戦略を練ることができます。これからLTV向上のための施策を考えるうえでは欠かせない分析の1つです。
では、図【4】を見てみましょう。
▼図【4】から読み取れること
①の休眠顧客の割合が69.1%と大きいことがわかります。
そのほか、購入回数が1~2回目は、②の通り1回あたりの平均購入金額が高い傾向があります。
▼ここから見える課題や有効策案
休眠顧客の割合が高いことから、休眠顧客とならないよう、今後も続けて購入してもらうための施策を実施し購入へ誘導することが必要です。例えば、購入した製品の意外な活用法や、期間限定のキャンペーンの発信、休眠顧客となった理由が複数あれば、その理由ごとにプロモーションを打つのも効果的です。
また、購入回数が増えるごとに1回の購入単価が減少傾向にあるため、いつも購入する商品だけでなくあわせて使うとよい商品など、そのほかの商品の一緒に訴求することで購入単価をあげ優良顧客化を狙うこともできます。結果、休眠顧客の減少にもつながるでしょう。
CRM分析にツールは必要か?
CRM分析を行うために、まずはツールを用いて簡単に分析したいと考える方は多いでしょう。
ですが、始めからツールの導入を考えるのではなく、まずは何を知るべきか、どんな分析を行う必要があるのかを明確にし、自社にあるデータを確認します。無理にツールを導入しようと時間やコストをかけるよりも、まず手元にあるデータを活用し、自社にとって必要な分析のパターンを見つけましょう。そのうえで、CRM分析を行うためにはどのようなツールを使用することでより効率的に成果を上げていけるのかを考えると、必要なツールが見えやすくなってきます。
CRM分析の重要性と手法はわかったが実際に分析を行う知識のある方が社内にいないという場合は、プロに相談してみることも検討しましょう。
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まとめ
CRM分析の重要性や手法について紹介してきました。
まずは貴社の現状把握のために、3つの基本的な分析から始めましょう。
これまでは根拠がなかった仮説も、実際に分析・検証することで事実を知ることができます。結果課題が明確になり、より成果の上がりやすい施策を行うことが可能になります。そして、分析を続けることでPDCAサイクルも回しやすくなります。
最後に成功事例を1つ紹介します。実際に会員情報と購買履歴を分析し、施策を行った結果、ECサイトでのリピート購買率が20%アップという成果が出た事例です。ぜひ合わせてご覧ください。
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。