小売り業界でCRMシステムが重要な理由は?導入メリットや必要な機能、成功事例について解説
ニーズが多様化している現代では、顧客情報を管理・分析して適切な施策につなげることが重要です。とくに小売り業界は「実店舗とECサイト」というように、オンラインとオフラインで分かれていることも多いため、管理すべき情報も増えるでしょう。
こうした多くの情報を適切に管理し分析する状態を整えるために有効なものが、CRMシステムです。CRMシステムの導入によって、「来店者のニーズを掴むための効果的なアンケート作成」「メール・LINEでのフォロー」など、幅広い施策を実施しやすくなります。
本記事では、小売り業界でCRMシステムが重要な理由や導入メリット、必要な機能、成功事例について解説します。
<目次>
小売り業界でCRMシステムが重要な理由
CRMとは、企業の顧客情報を基に満足度を高める施策を行い、将来的に企業・顧客双方で良好な関係を構築するための経営手法です。満足度を高めて「顧客からリピーターに」「リピーターからファンに」なってもらうことで、企業のLTV向上につながります。
このCRM実現に必要なものが「CRMシステム」です。小売り業界においては、以下2つの理由からこのCRMシステムの導入が重要になっています。
- 幅広い顧客ニーズに対応する必要性が増している
- 購買行動において「オンライン・オフライン」の両方を連動させる機会が増えている
幅広い顧客ニーズに対応する必要性が増している
小売り業界に限らず、顧客が商品やサービスに求めるニーズは多様化している傾向にあります。そのため、従来のような大勢の顧客向けに統一化されたマーケティング手法を実施したり商品を販売したりしても、効果が弱まりつつあります。
こうした状況下で自社を選んでもらうには、One to Oneマーケティングを実施して細かいニーズを把握することが大切です。One to Oneマーケティングを実施することで、顧客のフェーズに合わせた施策の実施や本当に求めている商品の提供を実現できるようになり、「このお店は自分のことをしっかり見てくれている」とよい印象を与えられます。
さらに、現在はインターネットの普及により、顧客自身が商品情報を収集し比較・検討することが一般的になりました。この比較・検討段階で、顧客の購買行動の57%は完了しているといわれています。そのため自社商品が選ばれるには、比較・検討段階で「この商品は自分のために作られたものだ」と実感してもらうことが欠かせません。
こうした細やかな顧客ニーズへ対応するために必要なツールが、CRMシステムです。CRMシステムによって顧客情報を管理・分析することで、相手のニーズを正しく読み取り適切な施策の実施や販売方法の検討に活かせます。
購買行動において「オンライン・オフライン」の両方を連動させる機会が増えている
現代の顧客の購買行動では、「オンライン・オフライン」の両方が自然に溶け込んでいることが一般的です。例えばアパレルブランドの場合、「実店舗で洋服を試着してキャッシュレスで支払い、商品は後日郵送してもらう」というように、オンラインとオフラインを連動させた購買が行われています。こうしたオンラインとオフラインを連動させた購買行動に関する概念を「OMO」と呼びます。
OMOを意識することで上記のような施策を実行できるようになり、より手軽に顧客へ購買を促せるようになるでしょう。上記を含めた適切なOMO施策を決定するには、CRMシステム上で実店舗およびECサイト上の購買履歴や商品データ、各店舗の売上データなどを管理し、適切に分析することが大切です。
このオンラインとオフラインの考え方をまとめた「OMO」については、以下の記事もご確認ください。
小売り業界でCRMシステムを導入するメリット
小売り業界でCRMシステムを導入するメリットは以下の4つです。
- 現場の販売員が顧客に合わせた対応を実施しやすくなる
- 実店舗での接客やサービスの質を改善する際に顧客の意見を反映しやすくなる
- 幅広いチャネル経由の情報を効果的に管理できる
- 実店舗の業務効率化につなげられる
現場の販売員が顧客に合わせた対応を実施しやすくなる
CRMシステムでは、以下のように幅広い顧客情報を一元管理します。
- 氏名や住所、連絡先、年代、性別などの基本情報
- 店舗およびECサイトでの購買履歴
- 店舗への来店回数
- 累計の購入代金
- 店舗での顧客とのやり取り
- ECサイトへの問い合わせ履歴
- 顧客のポイント情報
上記の細かい情報を店舗の従業員間で共有することで、来店時に適切な対応を実施できます。例えば、店舗のやり取りやECサイトへの問い合わせ履歴を基に「来店時に顧客ニーズに合わせた商品を直接提案する」などが可能です。
先ほども解説したように、現代は顧客ニーズが多様化しています。そのため、オンラインとオフラインを問わず顧客情報を参考にしてニーズに沿った提案を行い、満足度を高めることが重要です。
実店舗での接客やサービスの質を改善する際に顧客の意見を反映しやすくなる
CRMシステムには、顧客の要望や不満点を保管できます。とくに小売り業界の場合は、実店舗で直接顧客と接する機会も多いため、顧客の要望や不満をダイレクトにヒアリングし具体的な内容にまで踏み込み質問しやすいです。例えば、しばらく来店していなかった顧客と直接対話し「実店舗からの離脱原因」を探れば、問題点を突き止めて今後同じことが起きないよう適切な対応を実施できます。
こうした踏み込んだ内容をCRMシステムで管理することで、接客やサービスの質の改善に役立てられます。具体的な顧客の意見を参考にできれば、実店舗へ訪れた顧客の満足度をより高めてリピート率の向上も期待できるでしょう。
幅広いチャネル経由の情報を効果的に管理できる
顧客とコミュニケーションを取る手段は、問い合わせフォームやメール、電話、SNSなど多岐にわたります。とくに小売り業界では、実店舗で直接顧客とコミュニケーションを取る機会も多いため、管理すべき情報の幅が広いです。中には、特定の従業員が馴染みの顧客といつもやり取りしており、「該当従業員の退職に伴いその顧客との詳細な接客履歴が分からなくなった」ということもあるでしょう。
CRMシステムの場合は、問い合わせ管理機能で顧客からのメールを管理したり、データベース機能などで電話やSNS、実店舗でのやり取りを一括でまとめたりできます。複数店舗を展開しているケースでも、ひとつのシステム上から同じ情報をリアルタイムで共有し運営に活かせる点が魅力です。
実店舗の業務効率化につなげられる
上記までで解説したように、CRMシステムの導入によって、顧客への提案をスムーズに行ったり店舗間でリアルタイムに情報を共有できたりします。施策を考える時間や情報共有の手間を削減することで、業務効率化につなげられるでしょう。
とくに実店舗では、毎日接客や品出し、発注、在庫管理などやるべき業務が無数にあります。こうした日々の業務をスムーズに進めるためにも、CRMシステムを活用して可能な限り効率化を図ることが重要です。
【関連記事】CRMシステムがアパレル業界の顧客管理で重要な理由は?導入メリット や選び方、成功事例について解説
【関連記事】CRM導入のメリットとは?デメリットや選び方も併せて解説
小売り業界で活用できるCRMシステムの機能
小売り業界で活用できるCRMシステムの機能としては、主に以下があげられます。
- 顧客情報管理機能
- 問い合わせ管理機能
- アンケート機能
- 顧客データ抽出機能
- メールマーケティングやLINE配信機能
その他、具体的な施策内容は以下でご確認ください。
【関連記事】CRM施策はどう進める?おすすめの方法や成功におけるポイントを事例付きで解説!
顧客情報管理機能
顧客情報管理機能は、小売り業界に限らず適切なマーケティング施策や商品開発などを実施する際に必須です。小売り業界においては以下のような情報を管理します。
- 氏名や住所、連絡先、年代、性別などの基本情報
- 店舗およびECサイトでの購買履歴
- 店舗への来店回数
- 累計の購入代金
- 店舗での顧客とのやり取り
- ECサイトへの問い合わせ履歴
- 顧客のポイント情報
上記の情報を基に、店舗での提案やECサイト上でのマーケティング施策を検討していきます。
問い合わせ管理機能
フォームやメール経由で店舗に問い合わせが来ることがあります。もし店舗への問い合わせを取りこぼし対応を忘れてしまうと、顧客満足度の低下につながります。そのため、CRMシステム上で問い合わせ内容を一括管理できることが理想です。問い合わせ内容をシステム上で一括管理できれば、二重対応も防げます。
さらに問い合わせ管理機能があることで、顧客対応の抜け漏れを防ぐだけでなく、「サイトの使い勝手の改善」「店舗従業員の業務効率化」にもつなげられます。例えば、頻繁に寄せられる問い合わせ内容はECサイト上にFAQを設置することで、顧客も問い合わせる手間が減り使い勝手が向上するでしょう。また、「よくある質問事項と回答」を店舗の接客マニュアル内に記載することで、従業員がスムーズに対応できるようになります。
アンケート機能
顧客の要望に添ったサービスを提供したり施策を実施したりするには、アンケートで顧客の意見を直接聞くことも重要です。アンケート機能を備えたCRMシステムであれば、自社の希望に添ったアンケートを手軽に作成できます。製品によっては、シンプルな単一選択型から複雑な条件分岐型まで幅広いアンケート設計に対応しています。
もちろん中には、すでに独自のWebアンケートや店舗で紙アンケートを実施しているケースもあるでしょう。しかし、CRMシステム内のアンケート機能を活用することで、回答を顧客データと紐づけて管理し「特定の回答をした顧客にLINEを送信する」といった施策につなげられるため便利です。
顧客データ抽出機能
CRMシステムでは、購買履歴や購入金額、来店回数、ポイントの利用履歴などの幅広い条件を基準にして顧客データを抽出し、以下のような内容を分析できます。
- どのような嗜好や好みを持つ顧客が来店しやすいのか?
- 来店回数や購入金額が多い顧客の傾向は?
- 実店舗への来店からECサイトでの購入に切り替えるタイミングはどこか?
- ECサイト上で最も売れている商品はどのような顧客に購入されている?
従業員が実店舗で接客していれば「この商品は大体こういった顧客に好まれる」といった大枠の傾向は把握できるでしょう。しかし、より詳細で根拠に基づいた顧客属性や傾向を洗い出すには、CRMシステムの抽出機能が必要です。
また、抽出した情報はキャンペーン展開にも応用できます。例えば、指定商品の購入や指定金額以上の購入者を対象にした「マストバイキャンペーン」などが該当します。
メールマーケティングやLINE配信機能
上記で管理・抽出した顧客情報やアンケート結果などを、具体的な販促につなげる機能として「メールマーケティング機能」「LINE配信機能」があげられます。
メールマーケティング機能とは、メール配信を通じて顧客とコミュニケーションを図り、自社の目的を達成する手法のことです。従来は顧客へ一斉に配信するメルマガが主流でした。しかし現在では「特定の属性を持つ顧客にのみ配信するターゲティングメール」「顧客の特定行動を起点として段階的に配信するステップメール」などが実施されています。また、LINE配信でも「ターゲティングメールと同じようなLINEセグメント配信」「ステップメールと同じようなステップLINE」などを実施できます。
こうした販促機能を活用することで、具体的に以下のような施策を実現可能です。
- 規定回数以上来店した顧客に特別クーポンを配信する
- 商品購入日を起点として「使い方のワンポイントアドバイス」など有益情報をステップメールで配信する
- 誕生日月に特別割引クーポンを配信する
上記のように顧客のニーズや属性に合わせた施策を行うことで満足度が高まり、来店回数やオンラインの購入回数も増加するでしょう。
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CRMシステムの具体的な選び方のポイント
小売り業界でCRMシステムを導入する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 自社および運営店舗の導入目的に沿った機能を搭載しているか?
- 操作性はよいか?
- サポート体制は充実しているか?
- 店舗の実態に合わせてカスタマイズしやすいか?
自社および運営店舗の導入目的に沿った機能を搭載しているか?
CRMシステムを導入する際は、必ず目的に沿った機能を搭載しているか確認しましょう。
CRMシステムの詳細な機能や力を入れている部分は製品ごとで異なります。そうした違いがある中で「自社にマッチした製品か?」を判断するには、CRMシステムの導入目的と照らし合わせることが必要です。
例えば導入目的が「実店舗での接客の質を改善するためアンケート分析に力を入れたい」という場合、幅広いアンケート作成やデータ集計が可能なCRMシステムを選ぶべきでしょう。あるいは「メールを活用して購入者のアフターフォローに注力し実店舗への来店回数を増やしたい」という場合は、メールマーケティング機能に優れた製品がオススメです。
導入の目的を定めなければ、自社に必要な機能が充実していない製品を選ぶ可能性もあるため注意しましょう。
操作性はよいか?
できる限り誰もが直感的に操作できるCRMシステムを利用しましょう。
CRMシステムは、店舗従業員も日々の業務で利用します。実店舗では接客や品出し、受発注などさまざまな仕事を日々行っているため、多忙な中でもサクサク使えることが理想です。導入前に無料トライアルを実施している製品もあるため、実際の使い勝手を確かめてから検討しましょう。
トライアルの際は、実際にシステムを使うことになる現場の従業員が試しに操作することが理想です。
サポート体制は充実しているか?
導入後のサポートの手厚さも大切な判断基準です。
使い勝手がよく店舗にマッチした機能を備えたCRMシステムだとしても、新しい製品を導入する以上は、浸透までにある程度の時間がかかります。とくに、今まで紙で顧客情報やアンケートを管理していた店舗の場合、新しいシステムに慣れるまで時間が必要でしょう。
導入後のサポートが充実しているCRMシステムであれば、社内で運用が定着するまでアドバイスをもらえます。例えば「定期的に操作セミナーを開催している」「マンツーマンで専属トレーナーがサポートしてくれる」といった製品であれば安心です。
店舗の実態に合わせてカスタマイズしやすいか?
製品のカスタマイズ性についても確認しておきましょう。
CRMシステムで管理したい項目は、小売りの店舗ごとで異なるはずです。例えば「ポイントの有効期限を管理したい」「実店舗でのキャンペーン結果を細かく管理したい」などが考えられるでしょう。こうした店舗の希望に合わせて管理項目を自由にカスタマイズできるCRMシステムであれば、実際の業務でも柔軟に活用できます。
小売り業界でCRMシステムを導入するなら「Synergy!」!具体的な成功事例を紹介
このように小売り業界でCRMシステムを導入することで、オンライン・オフライン問わず顧客情報を一元管理し、さまざまな施策に活用できます。自社の目的を考慮し、必要な機能を備えた製品を選ぶことが大切です。
実際にCRMシステムを導入する際は、弊社が提供する「Synergy!」の活用もぜひご検討ください。弊社の「Synergy!」では上記で紹介した小売り業界で必要な機能を備えているため、スムーズな店舗運営やECサイトでの施策実行などにお役立ていただけます。
「Synergy!」の具体的な小売り業界での導入事例として、シャディ株式会社様の事例を紹介します。同社は「感謝の気持ちを届けるサービス業」を理念に掲げており、実店舗のギフトショップであるサラダ館やECサイトのシャディギフトモールなどを展開しています。
同社は、シャディ本部とチェーン店の関係を一層強化するために、2004年という早い段階からCRMシステムの導入に踏み切っていました。冠婚葬祭や誕生日、入学、卒業、結婚記念日など、さまざまな記念日にシャディを利用してもらうよう顧客との関係性を構築していただけでなく、チェーン店と二人三脚で消費者にアプローチするために、本部からの販売促進情報の共有などで積極的にCRMシステムを利用していたのです。
具体的には「一斉にメールやFAXを配信して情報を共有した後、スーパーバイザーが店舗を訪問し販売促進を支援する」といった、インターネット(オンライン)によるネットワークの構築とリアルでの地道なフォローアップ体制(オフライン)の組み合わせによって、高い成果を残しています。
このCRM活動の一助となったものが、弊社の「Synergy!」です。「Synergy!」は大手企業様への導入実績も豊富にあり、「必要経費の削減につながる」「セキュリティが強固である」といった点から導入していただきました。「Synergy!」ではメール配信機能が充実しており、チェーン店との情報共有だけでなく顧客へのフォローアップも手厚く実施できる点を評価いただいた形です。
同社は「Synergy!」を活用しながら、現在も引き続き「地域の店舗の現状把握」「成功店舗事例の共有」など、顧客との関係構築はもちろん加盟店運営にも役立つ情報提供に力を入れています。
シャディ株式会社様の事例詳細については以下の記事をご確認ください。
CRMシステムを導入して実店舗やECサイトで最大の成果を出そう
顧客ニーズが多様化している小売り業界においては、CRMシステムを活用してニーズを正しく把握し、適切な接客やサービスの質の改善、施策の実施などにつなげることが重要です。CRMシステムであれば、オンラインやオフラインを問わず幅広い情報を効率よく管理できるため、実店舗とECサイトが分かれているような小売り業界でも有効活用できます。
実際にCRMシステムを導入する際は、「Synergy!」の利用もご検討ください。「Synergy!」には、小売り業界に必要なアンケート機能やメールマーケティング機能などを搭載しているため、実店舗やECサイトに保管されている情報を基に最適な施策を導き出せます。機能だけでなく、希望の企業様にはマンツーマンのサポートも実施しているため「導入して終わり」という状況になりません。機能を最大限活用して成果が出るまでじっくり使いこなしたい企業様は、ぜひ「Synergy!」の導入をご検討ください。
「Synergy!」の具体的な製品機能については、ぜひ以下のフォームから資料をダウンロードしてご確認ください。
伝えたいマーケティングメッセージを、お客様にきちんと届けるために。
統合顧客管理(CRM)システム「Synergy!」
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