Oracle OpenWorld 2014に参加してきました。(後編:Eloqua)
前編ではBlueKaiがテーマでしたが、後編は「Eloquaを活用したリードナーチャリング事例」について書きます。
今年のOpenWorldでは、Oracle Marketing Cloudを構成する各プロダクトについて50本ほどのセッションがありました。そのうち、Marquee Session(目玉講演)として「The Digital Ecosystem: Driving Experience Through Contact Engagement」というセッションがありました。米国Dell Inc.の「1:1 Marketing Programs, Nurture & Retention」の統括責任者であるHayden Mugford氏による、Eloquaを活用したリードナーチャリングに関する講演です。この講演内容を、3つのキーワードをもとに紹介したいと思います。
なお、この講演の説明文は以下のとおりです。
With 93 percent of B2B customers conducting their research online and using content to learn about potential solutions, the buying journey is now self-paced and driven by behavior. The Dell 1:1 Global Marketing team supports this new journey, having developed an always-on nurturing program where contact engagement drives experience. Dell worked with multiple partners to innovate integrations with Oracle Eloqua, Oracle Real-Time Decisions for real-time decision logic, and a CMS that enables 100 percent customized e-mails. The program doubled average order values for nurtured contacts versus nonnurtured and tripled open and click-through rates versus push e-mail. In this session, learn how Dell built a digital ecosystem that supports a behaviorally driven, multivehicle nurturing campaign.
ちなみに、冒頭の「93 percent of B2B customers…」のくだりは、Content Marketing InstituteとMarketingProfsの共同調査からの引用のようです。
キーワード(1):Global Nurture Program FY2015
「2015年度、どのようなナーチャリング施策を実施しているのか」が今回の講演のメインでした。2014年版のベースとなる考え方を踏襲しながら、Webサイト・LP・メール・ホワイトペーパーなど各種コンテンツのデザイン(テンプレート)、構成、内容を改良している、というストーリーでした。※2015年版の資料は本日時点でまだ公開されていないようです。
ベースとなる考え方は、2014年版のP.3~P.9のNurturingとProgram Structureの節に記載されています。概要としては、カスタマージャーニー(営業工程ではなくマーケティング工程)を以下4つのステージに分け、求められている(Relevant)コンテンツを提供することで相手の課題領域を特定しつつ、相手の「self-paced journey」を手助けするというものです。
- Identify:Unknown solution –> Broad solution identified
- Discover:Known area of interest, but not solution –> Pain point identified
- Educate:Known pain point, low level of engagement –> Dell solution identified
- Compare:Known pain point, high level of engagement –> Sales readiness
このIdentify、Discover、Educate、Compareの各ステージにいる相手にEloquaからメールを配信する際、それぞれの課題領域に応じた”モジュール型”のコンテンツを提供しているとのことでした。
キーワード(2):モジュール型コンテンツ
講演では「Modular Content」と表現されていました。2014年版の資料のP.9にあるように、ステージ(Engagement Scored)と課題領域(Pain Point)に対応するコンテンツを、あらかじめ決めておいた形式(サイズや文字数など)で用意しておき、相手のステージと課題領域に応じてメールを出し分けるというものです。原文そのままですが、以下のようにも表現されていました。
For nurture, all of our content is modular in nature. We do not generate an email per experience, but instead leverage wireframes that populate content based on rules/logic of demonstrated behavior.
モジュール型コンテンツがテンプレートに当てはめられたメールを配信するわけですが、具体的な処理の流れは以下5ステップです。
- Go-to-market activity is sent to Eloqua. ※ターゲット・タイミング・コンテンツ等が定義された特定のマーケティングキャンペーンの情報をEloquaに登録
- Eloqua contact card is updated. ※Eloquaの顧客情報を更新
- Shutterfly Cloud Connector reads data. ※コンテンツ素材を管理する「Shutterfly」が「Cloud Connector」を通じてEloquaからデータを取得(Variable Data Processingのようなイメージですね)
- Data references source code to message ID. ※メッセージID(メール配信設定ID)に対応するソースコードを参照
- Message ID pulls content for wireframe. ※メッセージIDに対応するコンテンツ素材をShutterflyから取得
以下、モジュール型コンテンツとテンプレートを組み合わせたもののイメージです(不鮮明な写真で…。)
何が書かれているのか、少し補足します。左の図解では、「Headline Short — Mac CC(最大文字数):62」、「Body Copy/Long — CC:300~500」、「Image/Icon — 100 x 100」というように、それぞれのコンテンツモジュールの最大文字数やサイズが決められています。一方、右の方の箇条書きには以下の内容が書かれています。
All content is modular, referencing previous behavior to determine what is being merchandised next.
Content is loaded into one tool, where the rules and logic dictate what content is produced within email.
Ability to adjust content quickly.
Optimized for mobile, where 62% of all emails views take place.
メールマーケティングの一連のプロセスの自動化と高度化という点でたいへん参考になりますね。優良事例として表彰も受けています。
キーワード(3):クリエイティブ改善
モジュール型コンテンツの取り組みは2014年に引き続いて実施している一方で、2015年の取り組みとして、メールのクリエイティブ改善にも取り組んでいるとのことでした。以下、メールの「Creative refresh」についてのスライドです。
視覚的な刺激と影響力を高めるため、また、Thought Leadershipのあるコンテンツのショーケースとなるよう、メールのレイアウトの変更(簡素化)、文字量の削減、モバイル最適化を実施しているそうです。※写真が不鮮明のため、以下、書き起こしておきます。
We’re focused on providing visual cues and interest to improve click through. As we continue to transform our content from factors. we want the emails to be a showcase for that improved thought leadership content.
- Reduce text by 90%.
- Remove decorative photos.
- Clear the clutter ※ゴチャゴチャをスッキリ。
- Show the assets.
- Functional mobile Layout.
また、今回のセッションとは関係ないですが、米国Dell Inc.での他のメールクリエイティブ事例(GIFアニメーションを利用)がMarketingSherpaに載っていました。
以上、Global Nurture Program FY2015、モジュール型コンテンツ、クリエイティブ改善という3つのキーワードで、米国Dell Inc.におけるEloquaを活用したリードナーチャリング事例を見てきました。セッションではLPやホワイトペーパーの改善についても紹介されていましたが、かなり高度なデジタルマーケティングを実践されているという印象を持ちました。なお、同社におけるマーケティング事例をより深く知る上で、今回のセッションとは直接関係しませんが、以下のような資料も参考になると思います。
Oracle OpenWorld 2014の参加レポート、これにて終了となります。Dreamforce ’12、Inbound ’13、Connections ’13に続いてのOpenWorld ’14参加でしたが、海外でのイベントに参加する機会があれば、またブログに書こうと思います。
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。