MAを活用したリードナーチャリングの実施手順は?成功のポイントと合わせて解説
MAを活用したリードナーチャリングの実施手順は以下の通りです。
Step.1 課題とゴール(ナーチャリングによって引き出したい顧客のアクション)を定める
Step.2 アプローチすべきペルソナを決める
Step.3 ペルソナを踏まえてマーケティングファネルを設計する
Step.4 必要な顧客情報をMA上に集約させる
Step.5 スコアリング基準を設定する
Step.6 各フェーズの顧客にマッチした施策を設計・実行する
Step.7 PDCAサイクルを回してナーチャリング施策を改善する
上記の流れに沿ってMAの情報を活用しながら、効果的に信頼関係を構築できる「メール配信」や見込み顧客に有益情報を提供する「コンテンツマーケティング」などを実施することで、着実にホットリードへと育成できるでしょう。成約確率が高い状態で見込み顧客を営業担当者へ引き渡すことができれば、優先度の高い相手にのみ注力できるため、業務効率化も可能です。
本記事では、MAを活用したリードナーチャリングの実施手順や成功のポイントなどを解説します。
<目次>
【前提条件】リードナーチャリング前後の全体像を把握しよう!
まずは、リードナーチャリングにおける前提条件を把握しておきましょう。
リードナーチャリングとは、「潜在顧客からの認知〜最終的なリピーター化」のプロセスを達成するためのひとつの過程です。以下でイメージを図示しました。
各プロセスの概要は以下の通りです。
- リードジェネレーション:イベントや広告などを経由して「潜在顧客」を獲得する
- リードナーチャリング:取得した情報を活かして潜在顧客を「見込み顧客」へと引き上げる
- リードクオリフィケーション:「ホットリード」に対して積極的に営業活動を実施する
そのため、リードナーチャリングの概念を独立させるのではなく、「◯◯を経由して獲得した情報をリードナーチャリングで活用しよう」「商談の成約確率が高い状態までナーチャリングしてから営業へ引き渡そう」というように流れで考えることが大切です。
上記の流れも含め、リードナーチャリングについて改めておさらいしたい場合は、以下の記事をご確認ください。
MAを活用したリードナーチャリング実施手順、7つのステップ
先述した通り、MAを活用したリードナーチャリングの実施手順は以下の通りです。
Step.1 課題とゴール(ナーチャリングによって引き出したい顧客のアクション)を定める
Step.2 アプローチすべきペルソナを決める
Step.3 ペルソナを踏まえてマーケティングファネルを設計する
Step.4 必要な顧客情報をMA上に集約させる
Step.5 スコアリング基準を設定する
Step.6 各フェーズの顧客にマッチした施策を設計・実行する
Step.7 PDCAサイクルを回してナーチャリング施策を改善する
Step.1 課題とゴール(ナーチャリングによって引き出したい顧客のアクション)を定める
まずはリードナーチャリングで解決したい課題を決めましょう。
「リードナーチャリングを実施したい」と考える企業の多くは、以下のような課題を抱えているはずです。
- 展示会やセミナー経由で名刺を獲得しているが商談までつながらない
- 見込み顧客にメルマガを配信しているがクリック率が上がらない
- 「購入意欲が高い」と考えていた見込み顧客に商談を提案しても反応が悪い
上記のような課題に応じて、リードナーチャリングで行うべき施策や設計すべきシナリオは異なります。そのため、必ず最初にリードナーチャリングで解決したい課題を決めましょう。
そして、上記で定めた課題に対し「顧客がどのようなアクションを起こしたらゴール達成といえるか?」という点も定めてください。具体的なアクションによって、自社で行うべき施策が大きく変わります。例えば、「確度が高い新規アポを獲得する」というゴールと、「営業がアプローチできる状態に持ってくる」というゴールでは、前者のほうが入念に顧客の購買意欲を引き出す必要があるでしょう。
Step.2 アプローチすべきペルソナを決める
次に、自社がナーチャリングすべきペルソナを決めましょう。上記で定めた課題と照らし合わせ、「どのようなペルソナなら自社のゴールにつなげられるか?」を想定して決めてください。
ペルソナとは、自社商品やサービスを利用するであろう顧客のイメージのことです。「デモグラフィック属性(年齢・性別・居住地域・職業所得など)」「サイコグラフィック属性(趣味嗜好や行動傾向など)」をもとに詳細なターゲット像を設定することで、より自社の顧客をイメージしやすくなります。
具体的な設定条件は、BtoCとBtoBで異なります。以下は一例です。
BtoC | ・年齢 ・性別 ・職業 ・年収 ・趣味嗜好 ・家庭環境 ・性格 ・抱える悩み ・購買行動の傾向 ・週末の過ごし方 ・通勤時の過ごし方 |
---|---|
BtoB | ・企業規模 ・所属部署 ・部署の人数 ・現在の課題 ・役職 ・決裁権の有無 ・企業方針 ・情報収集で使ってるデバイス |
具体的なイメージが湧くレベルまでペルソナを設定することで、よりターゲット属性やニーズに合わせたナーチャリング施策を設計できます。
詳細なペルソナの設計方法については、以下の記事で解説しています。
Step.3 ペルソナを踏まえてマーケティングファネルを設計する
解決したい課題やペルソナを踏まえて「マーケティングファネル」を設計しましょう。
マーケティングファネルとは、顧客が自社サービスを認知してから購入するまでのプロセスを図式化したものです。プロセスが「認知→興味関心→比較検討→購入」と進むほど対象人数も減るため、以下のような漏斗型で図式化することが一般的です。
自社の顧客に共通する購買パターンを把握し、マーケティングファネルのプロセスに落とし込むことで、以下のように「顧客は各フェーズでどんなアクションを起こすのか?」を見極められます。
- 自社オウンドメディアをきっかけにして認知する顧客が多い
- 比較検討前にウェビナーへ参加する顧客が多い
- ほとんどの購入者がメルマガに登録している
こうしたプロセスごとのアクションを考えることで、ナーチャリング施策を考える際に、「どのタイミングで・どんなアプローチを行うべきか?」を設計しやすくなります。
マーケティングファネルの活用法や運用時のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
Step.4 必要な顧客情報をMA上に集約させる
ペルソナやマーケティングファネルを決めたら、以下のようにアプローチに役立ちそうな顧客情報をMA上に集約させましょう。
- 展示会で交換した名刺
- 過去のセミナー参加者リスト
- 自社サイトにおけるユーザーの行動履歴(滞在時間や流入元など)
- 公式LINEやメルマガの登録者
- 資料ダウンロード時の登録情報
MAに搭載されている「リード管理機能」を活用すれば、自社で必要な項目にカスタマイズしながらデータを保管できます。
顧客情報を集約する際は、以下のようなデータクレンジングを行い、抜け漏れや重複が発生しないよう注意しましょう。
- 全角と半角の使い分けルールの設定
- 「株式会社 or (株)」の使い分け
- 法人名の正式名称への統一
- 全社における保管データ項目の統一
保管ルールが統一されていなければ、「略称と正式名称が混在しており同じ顧客情報として集約されない」「支社ごとで保管データが異なる(支店Aでは役職必須だが支店Bには項目がないetc.)ため抜け漏れが発生する」といった事態が起きかねません。
Step.5 スコアリング基準を設定する
次に顧客のスコアリング基準を決めましょう。
スコアリングとは、以下のような項目を基準として「見込み顧客の購買意欲の高さ」を点数化したものです。
- 優良顧客の特徴に該当しているか?
- 自社サイトへの訪問頻度は?
- メルマガのクリック率は?
- 特定ページ(料金表や機能詳細など)にアクセスしているか?
購買意欲を点数化することで、自社がアプローチすべき顧客の優先度を正確に判断できます。
一定の点数を超えた顧客を「ホットリード」として営業担当者に引き渡せれば、成約確率が高いターゲットにのみアプローチできるため、業務効率化にもつながるでしょう。
Step.6 各フェーズの顧客にマッチした施策を設計・実行する
ここまでで設計した情報をもとに、具体的な施策を設計・実行しましょう。具体的なナーチャリング施策の例としては、以下があげられます。
- メールやLINEによるメッセージ配信
- コンテンツマーケティング
- Web広告運用
- ウェビナーやセミナー
各施策の詳細については「具体的なリードナーチャリングの施策例」の章で解説しています。
Step.7 PDCAサイクルを回してナーチャリング施策を改善する
リードナーチャリングに限らず、マーケティング施策は一度目で成功するとは限りません。そのため、リードナーチャリング施策を実施したら、必ずPDCAサイクルを回しましょう。
施策の結果を踏まえ失敗原因を探って分析し、以下のように改善し続ける意識が大切です。
- 解決したい課題を踏まえてペルソナ像を見直す
- 顧客情報を洗い出してニーズを見直す
- 顧客へのアプローチタイミングを見直す
- もう少し時間をかけて興味を醸造できる施策に切り替える
具体的なリードナーチャリングの施策例
リードナーチャリングで活用できる施策の例としては、以下があげられます。
- メールやLINEによるメッセージ配信
- コンテンツマーケティング
- Web広告運用
- ウェビナーやセミナー
メールやLINEによるメッセージ配信
メールやLINEによるメッセージのセグメント配信は、手軽に実施できるナーチャリング施策として有効です。
セグメント配信とは、以下のような項目で顧客を絞り込み、特定のターゲットへメッセージや情報を届ける手法のことです。
- 基本情報(氏名・居住地域・性別・年代など)
- オンラインとオフラインの行動履歴(ECサイトの閲覧履歴など)
- ウェビナーへの参加履歴
- 問い合わせ履歴
- 資料のダウンロード履歴
セグメント分けすることで、例えばウェビナー参加者へステップメールを送信し「参加のお礼→複数回にわたるお得な情報の提供→商談の依頼」という流れでメッセージを送れます。いきなり商談を依頼するのではなく、顧客に有益情報を提供し、少しずつ信頼性を構築することが大切です。
こうした顧客ニーズやフェーズに合わせたメッセージを配信し、満足度を高めることで、自社への信頼性が向上し最終的な購買につなげられます。
セグメント配信で活用できる「メールマーケティング」「LINEマーケティング」については、それぞれ以下の記事で詳しく解説しています。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、顧客にとっての有益情報を提供して信頼関係を構築し、少しずつ自社サービスへの興味関心を醸造する手法のことです。
具体的な手法としては、例えば以下があげられます。
オウンドメディア | 自社メディアを運用してターゲットの悩みや不安、疑問を解消するコンテンツを発信する手法。SEOを強化し検索エンジンでの上位表示を達成できれば、コストをあまりかけず検索経由のユーザーを自社へ誘導できる。 |
---|---|
ホワイトペーパー | 自社商品や有益なノウハウ、独自調査レポート、導入事例などを資料にまとめて発信する手法。「商品の理解を深めてもらう」「ユーザーに有益情報を届けて満足してもらう」といったアクションを行うことで信頼を獲得し、新規顧客獲得につなげられる。 |
プレスリリース | キャンペーン開催や新商品発売など、自社に注目が集まりやすい情報をメディア関係者へ発信する手法。幅広いメディアやSNSで拡散してもらいやすい。 |
動画チャンネル | YouTubeやショート動画、Instagramのリールなど、各SNSの動画で有益情報を発信する手法。視覚と聴覚でユーザーにアプローチできるため、視聴者に自社コンテンツの印象が残りやすくなり効率的なナーチャリングが期待できる。 |
コンテンツマーケティングを設計する際は、自社ターゲットを明確化し、ニーズや悩みにマッチしたコンテンツを作ることが必須です。
こうしたコンテンツを作成する際に、MAに登録した以下のような顧客情報を活用できます。
- 名刺データ
- Web広告上の接点
- 企業規模
- 担当者の役職
- 興味を持っている商品
- 関心を持っている話題
基本的にコンテンツマーケティングは、長期間にわたり良質なコンテンツを積み上げて顧客の信頼を獲得し、ナーチャリングする手法です。そのため、Web広告などの「短期的に成果を出せる施策」を同時並行で進めるとよいでしょう。
コンテンツマーケティングを実施する際のポイントなどは、以下の記事で詳しく解説しています。
Web広告運用
MA上には、見込み顧客の属性情報やサイト上の行動履歴などが保管されています。そうした情報を幅広い観点で分析し、適切なターゲットを洗い出すことで、配信先を絞った効率的な広告運用を実現できます。
例えば「将来的な優良顧客の特徴に該当する見込み顧客」が何度か自社サイトを訪問している場合、リターゲティング広告を出稿して定期的に自社サイトをアピールするとよいでしょう。少なからず自社に興味を持っているため、定期的に広告を目にしてもらえれば、必要になったタイミングで思い起こしてもらえる可能性を高められます。
ウェビナーやセミナー
ナーチャリングでは、ウェビナーやセミナーの実施も有効です。見込み顧客と直接コミュニケーションがとれるため、ニーズや悩みをヒアリングして丁寧に回答すれば、効率的に信頼関係を構築できます。
以下のような内容で開催すると、顧客の悩みやニーズにマッチする有益な情報を届けられるでしょう。
- 自社商品を活用した成功・失敗事例
- 自社サービスの有効活用方法
- 自社独自のノウハウの提供
ウェビナーやセミナー参加者のデータをMAに保管しておけば、今後のアプローチを仕掛ける際の参考になります。
ウェビナーを成功させるポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
MAによるリードナーチャリングを成功させるポイント
MAを活用したリードナーチャリングを成功させるには、以下のポイントを押さえましょう。
- 施策ごとに中間目標を設定する
- リードナーチャリングの専任担当者を設ける
- 部門間で適切に連携する
- 長期的なスパンでリードナーチャリングの施策を実行する
施策ごとに中間目標を設定する
ナーチャリング施策では、最終的に達成したいゴール(数値目標や解決したい課題など)までの間に、段階的な中間目標を設定することが大切です。
中間目標を掲げておくことで、最終的なゴールに向けて「何が・どれくらい不足しているか?」を把握できるため、方向性を調節しながら最適なアプローチを実行できます。
中間目標の例としては、以下があげられます。
- メールの開封率
- セミナーへの参加率
- LINE内に差し込んだリンクのクリック率
中間目標では、数値化できる指標を立てることが大切です。定量的に設定すれば、より具体的にゴールまでのギャップや不足分を把握できます。
リードナーチャリングの専任担当者を設ける
リードナーチャリングでは、「ペルソナを設定する」「マーケティングファネルを考える」といった細かい設計が必須です。さらに、実施する施策に応じて、活用できるMAの機能も異なります。
とくに「MAを活用して見込み顧客を育成する」と「既存顧客をフォローする」というケースでは、行う業務や求められるスキルも異なります。
違う考え方が必要な業務を特定の従業員に片手間で任せてしまうと、担当者の労力は大きくなるでしょう。負担が増えれば、どうしてもMAにリソースを投下できない場面が出てきてしまい、効率的な運用が難しくなるかもしれません。
そのため、リードナーチャリング運用の専任担当者や部署を設置しましょう。社内に担当者や部署が設置されていれば、MAの運用ノウハウも蓄積されるため、長期的な企業の資産となります。
もちろん、あくまでも「メインで進める担当者」であるため、すべての業務を丸投げすることは避けましょう。専任担当を決めつつ、適宜「複数人でMAの情報を分析する」「施策にフィードバックする」などを行うことで、さまざまな角度から意見を取り入れられます。
部門間で適切に連携する
リードナーチャリングは、先述したように見込み顧客を育成し意欲を高めた状態で営業担当者に引き渡すために行う施策です。
上記を達成するには、マーケティング部門だけでなく、以下のようにさまざまな部署の要望や情報を共有していくことが必須です。
- 営業部門と「商談成約の可能性が高い顧客の特徴」をすり合わせる
- ECサイトの運営部門からサイト上の行動履歴を共有してもらう
- カスタマーサポートから過去の問い合わせ履歴の傾向を共有してもらう
- 今後の施策を修正するため、営業部門から「ナーチャリング後につないだ商談」に関する結果やフィードバックを共有してもらう
こうした情報を部門間で連携し適切に共有することで、顧客の状態を見極めて適切な育成計画を実行できます。
長期的なスパンでリードナーチャリングの施策を実行する
リードナーチャリングの施策は、「長期的な視点で顧客にアプローチし少しずつ育成する」という考え方が基本です。
そのため、短期的な成果を求めてしまい「信頼関係が構築できていない顧客へ急に商談を持ちかける」といったアクションは避けましょう。顧客の状態にマッチしない施策を実行すると、成果につながらないだけでなく自社への不信感を生むリスクもあります。
MAを含め自社の施策の方向性にマッチした最適なツールを導入して高い効果を得よう!
最後に改めて、MAを活用したリードナーチャリングの手順をおさらいしましょう。
Step.1 課題とゴール(ナーチャリングによって引き出したい顧客のアクション)を定める
Step.2 アプローチすべきペルソナを決める
Step.3 ペルソナを踏まえてマーケティングファネルを設計する
Step.4 必要な顧客情報をMA上に集約させる
Step.5 スコアリング基準を設定する
Step.6 各フェーズの顧客にマッチした施策を設計・実行する
Step.7 PDCAサイクルを回してナーチャリング施策を改善する
上記の手順を参照し、MAの情報を活かしたメール配信やコンテンツマーケティングなどの施策を行うことで、効率的に顧客を育成できます。
「施策ごとに中間目標を設定する」「リードナーチャリングの専任担当者を設ける」といったポイントも押さえて、MAを活用したリードナーチャリング施策を成功させてください。
なお、今回はMAを活用したリードナーチャリング施策について取り上げましたが、「どんなツールを使って・どんな施策を提供すべきなのか?」という点は、具体的な顧客フェーズに応じて異なります。
例えば「既存顧客との関係性を強化したい」という目的であれば、初回購入以降の接点も詳細に管理できるCRMシステムとMAを連携して活用することもオススメです。
このように、最適なマーケティング施策やアプローチを設計するには、「自社の目的に合わせたツール選び」が重要になります。「MA以外に目的達成にふさわしいツールがあるのでは?」と思ったら、ぜひ以下の資料を参考にツールをチェックしてみてください。

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