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頭打ちの施策を見直しませんか? 潜在顧客の獲得を伸ばす『ライトコンバージョン』施策のススメ

今、多くの企業様が事業戦略にWeb広告を取り入れています。ただ、「思ったようにコンバージョン数が伸びない……」というお声が多いのも事実。

効率よくコンバージョンを獲得するための秘策を、数々の企業のWebマーケティングに取り組んできた平手マネージャーに聞きました。

話し手(画像左):平手 和徳 西日本事業部 アドソリューションG マネージャー / 聞き手(画像右):岩野 聖一郎 事業本部 東日本事業部 第1プロフェッショナルサービスG

ライトコンバージョンが注目されている理由

岩野 Web広告はうまく使うと非常に効果的です。でも、とりあえず広告を打つだけでものが売れるほど、単純でもないですよね。コンバージョン数が伸びない理由って、一体なんなんでしょう?

平手 考えられる主な理由は次の2つですね。

【理由1】母数の少ない顕在層ばかり狙っている

商品やブランドに興味があり、購入してくれそうな人を、顕在層と呼んでいます。たとえば

  • 商品名を直接検索してくれる人
  • サイトに来訪してくれる人

という方々ですね。この層には検索型広告や、リターゲティング広告が有効で、獲得の効率で見ると非常に良いターゲットです。顕在層を狙うことは重要ですが、元から商品やブランドに興味があるようなターゲットの母数は限られています。とにかくコンバージョン数がたくさん欲しいという場合は、この層だけを狙っていてもいずれ頭打ちになるでしょう。

【理由2】Web広告の入札競争が激化している

顕在層だけでは数が足りないと感じる企業様が次に狙うのが、顕在層の一歩手前の準顕在層と呼ばれるターゲット層です。

  • 商品名を知らないが、商品に紐付く悩みを持っている
  • 悩みを解決できる商品やサービスがあれば購入する

といった方々のことですね。この層を取り込もうとすると、検索数の多い関連キーワードへの入札が考えられます。しかし、近年ではWeb広告を使う競合も多くなり、広告のクリック単価(CPC)も高騰しています。当然、獲得率も顕在層と比べて低くなってしまいます考えなしにWeb広告を打つと投資額に見合った効果が得られません。

岩野 顕在層は数が少ない。Web広告だけでは純顕在層を取り込みづらい……。理由はわかりましたが、ではどうすればいいのでしょう?

平手 顕在層は比較的獲得しやすいので、鍵となるのは「準顕在層、そして潜在層をいかにして取り込むか」です。このターゲット層に対して、効率よくコンバージョンを獲得するためのシナリオを考える必要がありますね。

岩野 準顕在層に加えて、潜在層ですか。潜在層とはどんな人たちなんでしょう?

平手 準顕在層のさらに一歩手前、まだニーズが顕在化していない方々のことです。

  • 悩みや願望はあるものの、解決策がわかっていない
  • 今のところ商品やサービスを買う気がない

というターゲット層を、潜在層と呼んでいます。

岩野 どちらの層も、商品やサービスを理解していないという共通点がありますね。確かに、準顕在層に加えて、潜在層までターゲット層を拡大できれば、コンバージョン数の増加も期待できると思います。でも、この2つの層を引き上げる方法なんてあるのでしょうか?

平手 リアルの営業に置き換えて考えてみるとわかりやすいと思います。Web広告から直接コンバージョンを狙うという手法は、道行く人に声をかけて、いきなり商品を売ろうとしているようなものだと考えることもできますよね?

岩野 ちょうど欲しかった少額な商品ならいざ知らず、高価な商品ならまず買わないですね。

平手 僕もそう思います。ちゃんとした営業なら、まず買ってくれそうな人のリストを作り、根気よく魅力を伝えていくはずです。

岩野 つまり、いきなり商品を売らず、買ってくれそうな人のリストを作るのが先決……。Web上でもそれは同じ、ということでしょうか?

平手 その通りです。まずはコンバージョンのハードルを下げ、会員登録から始めればいいんです。まず会員登録してもらってコミュニケーションを取り、購入までのシナリオを辿らせる。これが、今日話したい“ライトコンバージョン”の考え方です。

ライトコンバージョンとは?

岩野 軽いコンバージョンだから、ライトコンバージョンか。最近よく聞く言葉でしたが、そういう意味だったんですね。いきなり「結婚してくれ!」と言うのではなく、「まずは友達からお願いします!」のほうが近づきやすい、みたいなことですよね。

平手 ……わかりやすければ、そういう風に覚えてもらっていいですよ。このライトコンバージョンは、高額商材や、説明が必要な商材に向いています。ぱっと見ただけでは良さが伝えきれないような商品のことです。

岩野 確かに、ガムとか洗剤とかの最寄り品は、ライトコンバージョンを設けるまでもないですもんね。

これまでの話でライトコンバージョンという概念についてはわかったのですが、一番ベーシックな例というか、わかりやすい流れを教えてもらいたいです。

平手 ライトコンバージョンを用いた施策の王道の流れといえば、

  1.  ホワイトペーパーなどの魅力的なプレゼントをフックに、会員登録させる
  2.  集まった会員リストに、ステップメール等でリードナーチャリングをしていく

という流れですね。たとえるなら、“魚群の中から目的の魚を集めて、釣り上げ、育てる”という行為と似ています。

岩野 なるほど。実際に運用するにあたっては、何を蒔くか(プレゼント)が重要になりそうですね。どのようなものが適しているのでしょうか?

平手 たとえば化粧品を売りたいのであれば、無料サンプルとかが一般的ですね。ナーチャリングの話題にしやすいプレゼントのほうが、その後のコンバージョンまでのストーリーが作りやすいと思います。

岩野 あ~!サンプルでもらったシャンプーがなくなる頃に、ちょうどよくメーカーからメールが届いた経験が僕にもあります。ナーチャリングのシナリオをうまいこと考えてるなぁと感心してました(笑)。

 平手 ほかに目的の魚を集める方法としては、広告媒体選びも重要です。最近のオススメは、Facebookのリード獲得広告かな。Facebookって、ユーザーがすでにメールアドレスを登録していますよね。リード獲得広告をクリックすると、フォームが立ち上がったときに、登録済みのメールアドレスが入力された状態にできるんです。これによって、ユーザーとしてはメールアドレス入力とクリックの手間が省けるわけです。Web上ではちょっとした手間でもストレスを感じるものなので、離脱率を下げるという意味では非常に有効な広告手法ですね。

岩野 ライトコンバージョンを挟むと、Web広告からの獲得効率を上げられる。Web広告を選ぶなら、Facebookのリード獲得広告がオススメ。ということですね。

ライトコンバージョンを使った事例

岩野 ライトコンバージョンを使った施策って、実際にどの程度効果があったんですか?

平手 いろいろありますが、わかりやすい2つの事例をご紹介しましょう。

【事例1】 株式会社NTTスマイルエナジー様

平手 NTTスマイルエナジー様は、太陽光の監視システムを販売されていますが、商品特性上、顕在的なニーズを持つユーザーが少なく、「いかに潜在的なユーザーに商品の必要性を理解してもらうか」が課題でした。そこで行った施策が、見込み顧客情報の取得を目的とした発電量公開キャンペーンを実施するというもの。

  1.  地域の発電量情報をフックに、 
    Yahoo!・Googleの検索広告とYahoo!のディスプレイ広告でキャンペーン告知
  2.  キャンペーン登録ユーザーに商品を訴求するステップメールを配信

というシナリオで組み立てました。

岩野 ライトコンバージョンとしては、王道といえるやり方ですね。結果はどうでしたか?

平手 ライトコンバージョンのない広告施策と比較して、2倍以上の引き合いを獲得しました。もちろん広告費は同じです。

【事例2】 京都芸術大学様

平手 京都芸術大学様からは、「資料請求者をもっと増やしたい」というご相談でした。当初の施策ではWeb広告から直接資料請求を促す訴求をしていました。広告をクリックして資料請求フォームまで来ているのにそこからの離脱者が多く、もったいないと感じておられたそうです。そこで弊社は、離脱者へのライトコンバージョンとして、まず会員登録を促す施策をご提案したんです。

告知媒体としては、さきほどご案内したFacebookのリード獲得広告をご提案。フォームの入力を簡易化することで、見込み顧客の獲得効率を上げようという寸法です。

  1. 会員登録者だけが見られる動画をフックに、Facebookのリード獲得広告で告知
  2. 会員登録者に、資料請求を促すステップメールを配信

というシナリオで組み立てました。

岩野 結果はどうだったんですか?

平手 当初の施策(広告からダイレクトに資料請求を狙った施策)に比べて、ライトコンバージョン施策では1/5のコストで見込み客を獲得できました。今後も続けていけば資料請求者もぐっと増えると期待が高まっています。

岩野 どちらの結果も獲得効率が上がってますね。それだけでなく、さらに見込み顧客も獲得できているというのがいいと思います。今後の営業活動にも役立ちますから。

平手 上でご紹介したのは一部で、もっと幅広い業種・業態でもライトコンバージョン施策を実践していただいていますよ。ブライダル業界であったり、人材派遣サービス業界であったり、B2B企業であったり……。

岩野 たくさんあるんですね!でもこれ以上は読者が疲れちゃいますので、また今度の機会に聞かせてください(笑)。

ライトコンバージョンの真髄はナーチャリングにあり!

平手 これまでライトコンバージョンについてお話しさせていただきましたが、成果を計りたい場合は、

  • 「数」…どれくらいリストの数を集められたか
  • 「質」…そこからどれくらいコンバージョンに引き上げられたか

を指標として見ていただければ良いかと思います。とくに施策の肝となる「質」を高めるためには、ナーチャリング部分を大事にしていただきたいです。ナーチャリングがうまく機能するか否かで、コンバージョンの伸びが大きく変わってきますので。

岩野 プレゼント内容や媒体選びって、あくまでも会員を獲得するまでの話ですもんね。実際にコンバージョンに結びつける上で、ナーチャリングが大事というのは頷けます。

平手 どんなタイミングで、どんな情報を届けるか。そこは、プランナーの腕の見せ所です。

岩野:広告だけではなかなか動かない準顕在層や潜在層が、自分の考えたシナリオで商品を買ってくれたときの喜びはとても大きいと思います。楽しみながらいろいろ試してほしいですよね。

平手 本当にそう思います。ただ、もし自社でやっても効果が見えない、そもそもリソースが確保できないということであれば、我々もお手伝いできます。シナジーマーケティングは広告代理店と共同で取り組んでいます。企画制作から媒体の確保、その後のナーチャリングまで一気通貫で任せてもらえますので、楽だと思いますよ。プライバシーマークを取得していますので、個人情報の取り扱いもできますし。

岩野 もちろん成果の部分もご期待ください!と言っていいんでしょうか?

 平手 はい、がんばります(笑)。ただ、どうやって会員数の獲得を増やすか、どうやってナーチャリングの質を高めるかというところは、ずっと効果検証すべきところだと思うんです。僕自身、お客様と一緒に、もっといい方法はないかと常に考えています。企業様とも知恵を出し合いながらやっていけるのが、ベストな関係かなと思います。

岩野 これを読んでいるみなさんも、もっといい方法はないかと考えながら取り組んでもらえたら、いい結果がついてきそうですね。

まとめ

ライトコンバージョンを使った施策は、ナーチャリングというお客様の育成期間があるので、すぐに効果が出るものではありません。ただ、非常に効果的な手法であることは、結果が証明してくれています。
準顕在層・潜在層を刺激するシナリオを組み立て、頭打ちの施策を見直しましょう。

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