知らないでは済まされない!
販促・マーケティング・制作に関する法律4つのポイント
こんにちは、松澤です。今回は、『販促・マーケティング活動に関連する法律や権利の問題』がテーマです。
今回の記事は
- 販促・マーケティング担当者である
- コピーライティングや販促物を制作する業務に就いている
- 会社で法律関連の研修や資料の共有をうけていない(またはその存在を知らない)
- 社外向けの文章を書いたり、制作物を公開する機会が多い
という方にオススメです。
知らないでは済まされない「法律」と「権利」
最近、全国の有名ホテルや百貨店で、食材の虚偽表示が相次いで発覚している事件。業界は違ったとしても、<社外に向けての情報発信に関わるすべての人>にとって、今回の一連の不祥事は他人ごとではありません。この問題に関する法律として必ず取り上げられる『不当景品類及び不当表示防止法(以下、景表法)』は、食品の表記にだけに限らず<すべての商品・サービスの品質、内容、価格などに関する表記>が、その適用対象になるからです。
なお、情報発信に関わる法律はこの『景表法』以外にもあります。チラシやカタログ、Webサイトやメール、SNSなど数々の販促ツールを使って、販促・マーケティング活動をおこなうためには、「情報発信」は必須の行為です。
しかし、実際にそのような業務を担う部門や現場の担当者は、どれくらいその知識を持っているでしょうか。現実的に考えると、現場の担当者が「すべての法律」を理解し対処することは難しいでしょう。しかし、現場の担当者に最低限の知識がなければ、たとえなにか法に反する問題が起きていても、その問題を認識することすらできません。今回のニュースでも、「故意」によるものか「過失」によるものかが、大きなポイントになっていました。「過失」により起きる違法行為は、何が違法行為なのかを知り、気付くことでしか防止できません。
そこで、販促・マーケティング担当者が現場で「これはまずいかも…?」と気付き、上長や適切な部門に指示を仰げるようになるために必要な最低限の4つのポイントをご紹介します。
ポイント1 倫理の問題
社会人として基本的な内容ですが、まずは情報提供の際、その企画内容や記載そのものに
- 受け手が不快になるような内容、表現が含まれていないか
- 個人情報に配慮しているか
- 誹謗中傷になっていないか
など、倫理面で適切な内容であるかを意識するようにしましょう。
倫理に反する言動は何らかの「権利」を侵害する可能性が高く、多くの法律で禁止されている大きなポイントです(※詳細はポイント3「権利の侵害」を参照)。また、その業界内での常識や慣例、ルールから逸脱していないかなども考慮するべきでしょう。
ポイント2 犯罪の幇助(ほうじょ)
幇助とは、刑法において、実行行為以外の行為で正犯の実行行為を容易にする行為一般を指します。要するに、「法律に違反すること」だけが問題なのではなく、<誰かが違法行為を行いやすくする・助長するような行動も罰せられる>ということそのものを、知っておくことが重要です。
たとえば、ブログやSNSに視聴者から投稿された法律違反につながる可能性があるコメントを放置している場合、この「犯罪の幇助」にあたる可能性があります。(2ちゃんねるの創設者 西村博之氏が書類送検されたのも記憶に新しいですね)
ポイント3 権利の侵害
さまざまな権利を侵害することは、多くの法律違反につながります。特に、販促・マーケティング活動を行うにあたって最低限知っておくべきなのは、以下の3つの権利です。
1.著作権
著作権とは、音楽、写真、絵画、小説、映画、建築、図形、コンピュータープログラムなどの著作物を創作したことにより、その著作者に発生する権利です。また、著作権は商標権や意匠権のように国に申請するなどの手続きをとる必要がなく、創作すると同時に発生します。
版権フリー、ロイヤリティーフリー、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの素材など、それぞれ使用可能な方法や範囲が異なるので、販促物の制作や情報発信の際には、誤った素材の使い方をしていないか再確認するよう心がけましょう。
2.商標権
商標は、事業者が自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)などを指します。具体的には商品・サービスのネーミングや、ロゴマークなどがこれにあたります。
商標にあたる情報を利用する場合には、かならずこの権利を保持する事業者への詳細確認が必要です。
3.意匠権(いしょうけん)
意匠権とは、新規性と創作性があり、視覚を通じて美感を起こさせる外観を有する物品の形状・模様・色彩のデザインの創作についての権利のことです。
商標権と同様、意匠権を持つ情報を利用する場合には、かならずこの権利を保持する事業者への詳細確認が必要です。
その他
上の1~3で上げたのは、「知的財産権」の一部です。知的財産権や商業的財産権にどのような種類があるか目を通しておくだけでも、「何らかの権利を侵害している可能性」を認識しリスク回避するための第一歩になります。
また、倫理的な問題とつながりがちな、プライバシー権や肖像権などの、個人なら誰にでも認められている権利も意識して、配慮に努めましょう。
ポイント4 法律の違反
販促物やマーケティング施策そのものが法律違反にならないためにも、最低限以下の法律の概要だけでも把握しておきましょう。
1.不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
略して『景表法』とも呼ばれます。消費者の商品選択の判断を狂わせるような行き過ぎた景品の提供や、誇大な、また虚偽の表示宣伝を禁止する法律です。
販促キャンペーンやイベントで景品・ノベルティを扱うとき、媒体にかぎらず、お客様に向けて何かを表記する際には、誇大や虚偽がないか常に気をつけましょう。
(参考)消費者庁 事例でわかる景品表示法(平成28年7月改訂)(PDF形式:17.2MB)
2.不正競争防止法
事業者間において正当な営業活動を遵守させることにより、適正な競争を確保するための法律です。
商品の原産地、品質、製造方法などについて誤認させるような表示や、競争関係者の信用を害する虚偽の事実を告知、または流布する行為など、さまざまな不正行為が禁止されています。
(参考)経済産業省 不正競争防止法の概要(PDF形式:6,445KB)
3.個人情報保護法
販促キャンペーンやイベントなどでお客様から個人情報(住所、名前、電話番号、メールアドレスなど)をいただく際は、必ず考慮すべき法律です。
個人情報を取得する場合には、プライバシーポリシーを設定し個人情報の利用目的を明確にしたり、それに同意をいただく上で情報を取得するなどの必要があります。
(参考)消費者庁 個人情報保護法に関するよくある疑問と回答
4. 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律
略して『特定電子メール法』などとも呼ばれます。
広告、宣伝または勧誘などを目的とした電子メールを送信する際の規定を定めた法律ですので、インターネットやメールを使う販促キャンペーンやマーケティング施策に大きく関わります。
(参考)総務省 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント(PDF形式:2.18MB)
その他
ご紹介した以外にも、業種・業界・商品の種類などに特化した法律も数多く存在します。
たとえば、食品に関する表示だけでも「JAS法」「食品衛生法」「健康増進法」「米トレーサビリティ法」など多岐にわたります。扱う食品が健康食品であれば、「薬事法」も考慮する必要があると思われます。
このように、法律はその種類が非常に多く、かつ専門性の高い領域となります。また、本コラムもあくまで「販促・マーケティング活動において最低限知っておくべきポイント」を整理したものでしかありません。そういう意味でも、御社の販促・マーケティング活動において、御社がどのような法律を考慮するべきかについては、御社の法務部などとも情報共有されることをおすすめします。
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