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マーケターの危機? ITP 時代にアドレサブル広告を活用すべき理由

こんにちは、中山です。普段は弊社の技術ブログに執筆しています。

今回は今秋登場の iOS11 に搭載される Safari ITP(Intelligent Tracking Prevention)機能概要とデジタルマーケティングへの影響に加え、アドレサブル広告を活用した対策についてマーケターの皆様にご紹介させていただきます。

ユーザー目線でのトラッキング防止?

以前、弊社技術ブログにて 3rd-party Cookie に関する記事を執筆した際

今回の結論 = ユーザー目線に立った 3rd party Cookie(トラッキング)ブロック、の実装を求む!

と結んだところ、この記事がきっかけとなり Apple が WWDC 2017 で ITP を発表するに至りました。

…… というのは私の妄想ですが、ITP は、まさにこの結論(= ユーザー目線でのトラッキング防止)を体現した機能です。そして ITP はエンドユーザーに優しく、マーケターに厳しい機能です。

仕様はこちらの記事(Apple 社 Webkit)に記載されていますが、大雑把にまとめると

  1. Cookie がトラッキング用途で使われているかどうかを経験則的に判定
  2. トラッキング用途とみなした場合には一定期間を経て利用制限、さらに一定期間を経て Cookie そのものを削除

となります。

トラッキングの目的の一つは Web や Mail でのコミュニケーションを最適化することですが、必ずしもエンドユーザー目線ではなく、事業者目線での最適化となっている場合があります。結果として、多くのエンドユーザーはトラッキングに嫌悪感を抱くようになり、ITP はその課題解決のために登場しました。

デジタルマーケティングへの影響は?

さて、この ITP はデジタルマーケティングにどのような影響を与えるのでしょうか?

Safari は iPhone 標準ブラウザであることから、モバイルユーザー向けのマーケティングへの影響が頭に浮かびます。

とはいえ、以前から Safari は 3rd-party Cookie を受け入れない仕様でした。そのため一般的な DMP/DSP/SSP や 3rd-party Cookie に依存したアクセス解析ツールでは

  • 広告配信におけるターゲティングやフリクエンシー制御
  • Cookie ベース(= ユニークブラウザ単位)でのデータの集計
  • リターゲティングの実行 = タグを実行して Set-Cookie で識別子(リターゲティングマーク)を付与
  • 識別子の交換

などのトラッキング関連機能について Safari をサポート対象外としていました。一方で、次の技術を用いるケースでは、Safari の仕様でもトラッキング関連機能を実現することができました。ITP が登場するまでは ……

リダイレクタで Set-Cookie

この方法を用いるデジタルマーケティングツールには Criteo などのリターゲティング広告、アフィリエイトシステム、広告効果測定ツールがあります。

例えば Criteo の場合 Safari の「3rd-party Cookie を受け入れない仕様」を回避するため、

のように EC モールや広告主の Web サイトにおいて、ページ遷移の際に Criteo のリダイレクタを経由させていました。その結果 Safari は Criteo ドメインの Cookie を 1st-party Cookie として受け入れ、リターゲティング広告を表示することが可能になりました。

また、アフィリエイトシステムでは

のような処理により成果の計測と報酬の支払いを実現していました。

そして、広告効果測定ツールではリダイレクタを活用することで、クリック計測やコンバージョン計測を実現していました。

しかし、今後 Safari に対しては、これらの機能が実現できなくなる可能性があります。Criteo やその他ベンダーもなにがしかの ITP 対策を行う可能性がありますが、アドブロックをめぐるいたちごっこのような戦いに陥る懸念もあります。いずれにせよ、UX という大義(= エンドユーザーの支持)とブラウザ仕様を握る Apple との戦いは、デジタルマーケティングツールのベンダーにとって楽なものではないでしょう。

JavaScript で Parasite Cookie

Parasite Cookie とは私の造語で、1st-party の Cookie 保存領域に寄生するかのような動作からそのように呼んでいます。
※詳細はこちらの記事(TECHSCOREBLOG)の「Parasite Cookie という抜け道」をご覧ください。

一部のベンダーが提供するアクセス解析ツールがこの方法を用いています。有名なツールでは Google Analytics があります。現状の ITP の実装を見た限りではリダイレクタの技法よりは影響は大きくはなさそうですが、先々影響が生じる可能性は想定すべきです。何故なら Parasite Cookie はトラッキング目的で使われているからです。

ITP 時代にアドレサブル広告を活用すべき理由

既に述べた通りですが、ITP はトラッキング防止という目的であることから、トラッキングを前提とした Safari(特に iPhone)向けのデジタルマーケティングへの影響は想定すべきです。ここで質問ですが、もしリターゲティング広告に影響が生じた場合、代わりになるアイデアはお持ちでしょうか?

マーケターの皆様には「検索連動型広告」「リターゲティング広告」に続く第三の矢として、自社で保有するお客様のデータを活用する「アドレサブル広告」の活用ノウハウを今のうちに蓄積されることをお勧めします。アドレサブル広告を構成する技術要素の中で Cookie は必須要素ではないため、ITP の影響は限定的です。加えて、パフォーマンス面ではリターゲティング広告よりも CPA を低くおさえた運用実績も出ています。

興味をお持ちの方は、お気軽にシナジーマーケティングまでお問い合わせください!

※「Synergy!広告連携オプション」「AD2」は2023年8月31日にサービス提供を終了いたしました。

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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