そのリプレイス、本当に必要ですか?
メール配信システムを乗り換える前に確認したいこと
企業と顧客とのコミュニケーションにおいて、メールは有効なプッシュ型チャネルとしてますます重要性を増しています。そのこともあってか「メール配信システムの乗り換えをしたい」というご相談をよくいただきます。しかし、その理由をよくよく聞いてみると、「現状の課題解決に必ずしも乗り換えは必要ないのでは?」「乗り換えてもその課題は解決できないのでは?」と思うことがしばしばあります。
では、どんな時にシステムを乗り換えるべきで、乗り換える前に他に取り組むべきことがあるのはどんな時なのか。相談いただいたお客様のケースをもとに、メール配信業務における課題を紹介していきます。メール配信システムの乗り換えを考えていらっしゃる方。今のシステムに不満があるという方。ぜひ貴社の現状にあてはめながらご一読ください。
<目次>
乗り換えるべき場合
1. システムに使いづらさを感じている
『現在のシステムの管理画面がわかりづらい』
『自社システムの機能を使ってメール配信をしており、要望に合わせて改修するのが面倒』
こういった場合は、メール配信作業の工数を大幅に削減できる可能性があります。急いで乗り換えの検討をおすすめします。
2. 機能が不足している
『リストの数が配信上限数を上回っており、複数回に分けて配信しなければならない』
配信リストが増えてくると出てきやすい課題です。配信回数が増えると業務が煩雑になり、配信ミスも起こりやすくなり危険です。
たとえば弊社のお客様でも、配信システムの乗り換えとオペレーションを見直したことで、4時間かけて47回おこなっていた配信作業を、なんと1回10分にしてしまったケースがあります。
『送り分けができない』
ECシステムの付属機能や無料ツールを使って配信している場合によく聞くお悩みです。顧客数の規模が小さい、またはメルマガ開始初期の段階では一斉配信で十分だったが、顧客数の増加やメルマガ運用が軌道に乗ってくるにしたがって「地域別、男女別、購買金額別などで送り分けしたい」「One to Oneのメールマーケティングをしたい」といった要望が出てくることがよくあります。
『テキストメールしか送れない』
特にECなどをされている企業では、HTMLメールで写真やイラストを使ったビジュアル訴求をした方が、視覚的にお客様に訴えることができるので効果的と言われています。また、HTMLメールの形式で配信すれば、開封率が取得できる点もメリットです。
ただ、HTMLメールはテキストメールに比べて、専門知識が必要になることが多く作成に時間がかかります。社内で制作できない場合は外部の企業に依頼するのもひとつの解決策です。
※BtoB企業の場合は、テキストメールの方が適している場合があります。弊社発行のメルマガは、HTML形式とテキスト形式どちらも配信する場合がありますが、テキストメールのクリック率が高いこともあります。
参考事例:「クリック率が4倍に!見込み顧客に読まれるメルマガになる4つのポイント【検証内容と実績値を公開】」
むやみにHTML化するのではなく、目的に合わせて使い分けることをおすすめします。
『効果測定ができない』
こちらもよくあるお悩みです。開封率やクリック率が測定できず、メールを送りっぱなしになっていては意味がありません。少なくとも、開封率・クリック率・エラー率を測定できるシステムを利用することが望ましいです。
また、BtoB企業の場合、メール受信者のアクションによってアプローチする(例:メールクリックした人に架電するなど)ケースがあります。こうした個別のアプローチを検討する場合、「誰が開封・クリック、またはエラーになっているのか」まで把握できるシステムや、「開封した人のみにメール配信する」ことが簡単にできるシステムであるか、といった点まで考慮してシステム選定をすることが理想です。
3. 配信性能・セキュリティ
『配信性能が悪い』
「配信スピードが遅く、大量配信の際に時間がかかって困る」といったお悩みはよく耳にします。13時にスタートするECのタイムセールの案内メールを、10時に配信したのにもかかわらず17時に届いてしまっては大変です。特に数万人以上の規模のお客様にメール配信する企業は、重視したいポイントのひとつです。
『セキュリティ面が不安』
お客様の個人情報を格納してメール配信するシステムなのですから、セキュリティをないがしろにはできません。外部・内部の情報漏えい対策がしっかり施されているか、企業として信頼できるか(HPでしっかり情報が開示されているか、倒産の心配はないかなど)は考慮に入れましょう。また、システム選定の際にセキュリティ面を重視される企業は、プライバシーマークを取得しているかということで外部機関からの信用を得ているかを判断できます。
そのほか、金融機関などセキュリティに厳しい企業への導入実績があるのか、セキュリティ面に特化した機能 (例:メール配信に上長確認が必要な承認配信機能など) があるのかも確認しましょう。
『外部ツールや他機能と連携をしたい』
- 顧客リストをExcelで管理していて、配信の度にファイルを配信ツールに取り込んで配信している
⇒今後はセキュリティ面の強化を前提にExcelリストのデータベース化を検討しているので、データベースと連動した配信システムを導入したい
- 今までは一斉配信だけだったが、アンケートの結果やセミナー来場回数に応じたメールの送り分けを検討している
⇒メール配信機能に加えて、アンケートフォーム作成機能やフォームから取得したデータを格納できる機能が統合されたシステムを導入したい
このように、メール配信機能と他の機能を連動して使いたいなどの要望が出てきた場合に現在のシステムが見直されるケースも多々あります。
4. 価格
配信システム見直しの際に重視されるポイントのひとつは、やはり価格です。特に月額費用の課金体系は、算定基準となる数値が「配信通数」または「ユニークアドレス数」など複数あります。配信対象数や配信頻度などを考慮して、お得なシステムを選定するようにしましょう。
なお、メール配信システムに限らずですが、乗り換えを検討する場合は、必ず下記をしっかりおこないましょう。
- デモを閲覧する/トライアル環境を利用するなどして使い勝手を確かめる
- 現在のシステムを継続利用する場合と新システムを利用する場合、それぞれのメリット/デメリットを洗い出す
乗り換える際には、「新たな要望が叶えられるか」という点で選定しがちですが、その結果今までできていたことができなくなって不便を感じては本末転倒です - 社内の運用体制やリテラシーに合ったシステムを選定する
「外資系企業が提供している最先端のマーケティングオートメーションを導入したものの、多機能すぎる/日本語でのサポートがないため使いこなせなかった」といった話も耳にします
必ずしも乗り換えが課題解決にならない場合
1. メールの到達率が悪い(届かない)
無料のメール配信システムなどを利用している場合は、同じ配信システムを使って迷惑メールとみなされるメールを配信している企業がいるために、配信サーバー自体がブラックリストに入ってしまい、自分たちのメールの到達率まで悪くなっている、といったケースも起こり得ます。
ただ、もうひとつの可能性として、配信リストそのものに改善点があることも考えられます。たとえば、アドレス中の書式不正(@が2個ついている、一文字抜けているなど)や、存在しないアドレス(アドレス変更や担当者が退職し無効となったアドレス)が含まれている、などです。
メールの到達率が悪い場合、まずはお手元のリストの見直しから始めてみてはどうでしょうか。もちろん、エラー率やエラー種別を自動判別できるシステムや、無効なアドレスには複数回配信しないよう制御できるシステムに頼った方が早かったりするので、それを踏まえた乗り換えをお考えであれば良いと思います。
2. 開封・クリック率が悪い
開封率やクリック率が正確に取得できないシステムという場合を除き、これは基本的にシステムを変えることで解決する問題ではありません。
大切なのは、まずリストの見直しです。何年も更新されていないリストやエラーとなっているアドレスが多く含まれているリストに対して配信している場合は、必然的に開封・クリック率は下がります。定期的にリストをメンテナンスしてアクティブな状態にしておく(直近の接点がある人や能動的にメルマガを購読している方に送る)ことが理想です。
また、下記のような理由が考えられます。
- <開封率が低い場合>
- 件名が受信者にとって魅力的でない
- メールを開封した際に必要だと感じてもらえず、その後は自動的にアーカイブされている
- 迷惑メールフォルダに分類されていて、そもそも受信者が気づいていない
改善策
- 読みたくなるような件名に工夫して開封してもらう
- 差出人名や差出人アドレスを変更して迷惑メールフォルダ行きを避ける
「info@~」といったアドレスは迷惑メールフォルダに分類されやすい傾向があるようなので、変更するのもひとつの手段です
- <クリック率が低い場合>
- メールの内容の魅力が伝わっていない
せっかく内容が良くても、文章での訴求が弱かったり、見せ方が効果的でないと受信者は読んでくれません。 - 興味を引く内容でない
売り込み色が強かったり、いつも同じ内容・文言ばかりのメールとなると、受信者にうんざりされてしまいます
改善策
- URLをクリックすることで、どんなメリットがあるのかを訴求する文言にする
- 送り分けなどして、受信者の興味に訴える内容を届ける
参考事例:「この想い、どう伝える?メルマガの伝わり方は表現次第」
ただ、自分たちが配信しているメールを客観的に評価することは簡単ではありません。弊社では、メールのコンサルティングやHTMLメールのデザイン制作、またメールのライティングまでを支援しています。まずは今のメールをもとに、ターゲットに効果的に訴求するためには、どんなデザイン、見せ方、文面のメールにすればいいのかご相談に応じます。お気軽にお問い合わせください。
システムの乗り換えは、費用も時間も労力もかかる作業です。最後に現場のみなさまが、「乗り換えてよかった」と言える様なプロジェクトにしたいですね。
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。