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古くて新しい「インバウンド・マーケティング」 vol.4(最終回)

こんにちは。シナジーマーケティングの櫻田です。
前回に続いて、弊社が「インバウンド・マーケティング」の実践に向けて取り組んでいるカイゼンについてご紹介させていただきます。

前回は、弊社で直近の課題としてカイゼンに取り組んでいるのは次の3点であることをお伝えし、まず1)について説明しました。

  1. Get Foundしてもらう、オープンなコンテンツの創出
  2. コンテンツを消費した方へのオファー(Call To Action:以下、CTA)や導線の整備
  3. 累積するリードとの継続的なリレーション構築

今回は、2)コンテンツを消費した方へのオファー(CTA)や導線の整備と、3)累積するリードとの継続的なリレーション構築について説明します。

コンテンツを消費した方へのオファー(CTA)や導線の整備

弊社もそうですが、高額商材やBtoBのマーケティングでは、企業名、担当者名、連絡先といった顧客情報と引き換えにコンテンツを提供されていると思います。

コンテンツの提供側としては、メールや電話でアプローチ出来る顧客情報(リード)の獲得が目的になっているので、当然ですよね。良質なリードを数多く獲得したいので、必然的に入力フォームの離脱率や営業アプローチ時のリードの確度など、量と質のバランスにフォーカスしがちですが、本来であれば、まず提供したコンテンツに対する満足度が重要なはずです。

その上で、次にどういう情報が必要なのか、何を提案できるのか?どのコンタクトポイントで伝えるのか?と円滑に関係構築していくことが理想的です。

弊社も量と質を追うあまり、CVRや案件化率といったKPIばかり見ていましたが、多様な検索ワードで出稿(集客)しながらも、提供しているコンテンツは画一的なサービスカタログのみ。あとは営業訪問前の事前想定や訪問後のヒアリングから事例や資料をお渡しする。という、極めて自社都合のコミュニケーションに陥っていました。

確かに人を介したコミュニケーションはとても重要ですが、「検討段階なので営業電話はご遠慮ください」と、あらかじめお断りをいただくお客様も少なくありません。

そこで、ブログの投稿内容やリスティングの検索ワードに応じた(準じた、という方が正しいかもしれません)コンテンツの開発と、そのコンテンツを消費された方(コンバージョンされた方)への次なるオファーの整備を始めました。

コンテンツ開発はまだ一部の資料にとどまっていますが、お客様は必ずしもサービスカタログが欲しい訳ではないんですよね。また、オファーをする際に、初回のコンテンツに対する満足度と、次にどういう情報が欲しいのかというヒアリングをとても重視しています。ヒアリングはフォームの項目でもいいですし、私信メールや、場合によっては電話でも良いと思います。

大切なのは、コンタクトポイントの選択権は、あくまでお客様にある、という点です。chatから質問される方もいれば、再びWebサイトや紙のカタログを確認されたうえでお電話をいただく方もいらっしゃいます。

いずれにせよ、今までの検索>コンバージョン>営業、という簡略化されたスキームに比べれば、いかにも回りくどく、機会損失が発生しているように感じるかもしれませんが、弊社で見る限り単純比較はできないものの、着実に成果があがっています。

Web経由のリードへの追加コンテンツの提供など、コンタクト回数を増やした結果、案件化数はコンテンツ提供をしなかった場合の3.6倍、成約数でも1.7倍と大幅に成果につながっています。

まだまだコンテンツのバリエーションが少なく、オートメーション化するには至っていませんが、ブログや動画/資料共有サイトといったアーンドメディアの活用を広げる中で、ファネル上層の認知や情報収集段階の方へのオファーをある程度自動化する予定です。

リードナーチャリングと「インバウンド・マーケティング」のオファーの違い

ところで、このオファー部分が「リードナーチャリング」とどう違うのか?諸説あるかと思いますが、個人的な見解で言わせてもらえれば、ひとつの活動に対する見方の違いかなと思います。

リードナーチャリングは第一義的に、営業効率化に主眼を置いています。スコアリングやキャンペーン、トリガーなど、営業活動に関係深い指針はあれど、リードの満足度やエンゲージメントに関する指針で語られることはほとんどありません。

もちろん、弊社もSFAナーチャリングツールをバリバリ活用している企業なので、否定している訳ではないですよ!(汗)マーケティング部門と営業部門が同じ情報、同じ指標をもとに連携する事で、最終的な顧客利益に結びつけるもの、ということです。

他方、インバウンド・マーケティングにおけるオファーでは、リードのエンゲージメントを高めることが非常に重要になると考えています。

態度変容のタイミングを注視するべきなのも、アプローチタイミングを図るというより、コンテンツを評価する事に価値があります。ただ、やはり後者の方が数値化と統計化が難しい・・ですよね。(ビュースルーの計測と評価については現在模索中ですので、成果がまとまれば別稿にて改めてご紹介させていただきます)

累積するリードとの継続的なリレーション構築

上記のような、ある程度確度の高い、コミュニケーションが取れるリードについては、弊社の実情をご紹介するまでもなく各社様で工夫されていらっしゃるかと思いますが、コンバージョン後、アポイントが取れなかったり、そもそもコンタクトできなかったリードはどう管理されていますか?

メールマガジンを送る、セミナーを案内する、それらでコンバージョンしたら改めて営業・・・というのが一般的かと思います。

必然的に、リード数、開封率やクリック率、CVRを中心にカイゼンを図るところですが、これについても大きく方針を変更しました。コンテンツをフックに行動を喚起する(ホットリスト化)という方針から、純粋なコンテンツ提供(興味喚起)に切り替えたのです。

既に顧客情報があるリストなので、面倒なフォームや「詳細/続きはお問い合わせください」といった出し惜しみをせず、メールからシームレスにダウンロードや閲覧ができるメディアにすることで、少しでもストレスなく弊社からの情報に触れていただく(リレーションを継続してもらう)事を最優先としました。

コンテンツも、導入実績やパブリシティと同一だったものを、最新の事例をメールマガジン用に毎回書き下ろしで提供。また、内容も成功事例のノウハウに絞ってライティングし、サービス訴求やPRの要素を極力排しました。

しかもクリックや開封で追客しない方針なので「それじゃあ送りっぱなしじゃないか」という議論もあったのですが、蓋をあければ初回から3件の問い合わせ、うち2件の案件化、最終的に1件成約(!)と破格の成果でした。初回だけに外部要因による偶然?と思いましたが、その後もコンスタントに成果が出続けている状況です。

以上、まだまだコンテンツ不足で稚拙な段階ではありますが、弊社での取組み状況をご紹介させていただきました。

コンテンツマーケティング同様、一見SEO的に見えるインバウンド・マーケティングの考え方は、やはり広範囲なマーケティング活動の方針転換を必要とします。とはいえ、一番わかりやすい部分もやはりSEO的な部分なので、ミクロな手法に捕らわれず、ターゲットとどのようなコンタクトポイントを構築するべきなのか、常に俯瞰して評価し続けることになると思います。

やれば成果が出る、というほど単純なものでもありませんし、これだけメディアの変化が激しい時代ですから、Get Foundされるための試行錯誤は当分続くのではないでしょうか。

最後に、一人の担当者として。マーケティングや販促の担当者には、思いっきり負荷がかかりますが、やりがいはあると思います。課題を抱えている人に向けて一生懸命考えて作ったコンテンツやクリエイティブで、お客様や営業がハッピーになるのですから。

あと、国内ではまだまだ新しいマーケティング手法ですので、HubSpot社の国内パートナー企業やカンファレンスなどに積極的に参加すると、いろいろな気付きがあるかも?しれません。

今後もTipsや失敗談がまとまれば適時ポストしていこうと思います。最後までお付き合いいただきましてありがとうございました!

古くて新しい「インバウンド・マーケティング」シリーズ

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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