リードナーチャリングとは?重要な理由やCRMとの関係性、具体的な施策、成功事例などを解説
リードナーチャリングとは、「見込み顧客=リード」「育成=ナーチャリング」を組み合わせた言葉です。展示会や名刺交換などを通じて獲得した情報をもとにアプローチを行うことで、「積極的に営業してOK」という状態まで顧客を育成します。購買プロセスが長期化している現代においては、リードナーチャリングによってじっくり適切なフォローを提供しながら成約に結びつけることが欠かせません。
このリードナーチャリングを実施するには、顧客情報を一括管理できるCRMシステムの導入が有効です。リードナーチャリング施策の実行に必要な機能が搭載されているため、効率よくアクションを起こせます。
本記事では、リードナーチャリングの概要や重要性、CRMシステムとの関係性、具体的な施策の例などについて解説します。
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<目次>
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、「見込み顧客=リード」「育成=ナーチャリング」を組み合わせた言葉です。名刺交換や展示会、資料請求、お問い合わせ経由などで取得した情報をもとに、メールマーケティングやステップLINEといった施策を行い「積極的に営業できる状態(ホットリード)まで育成すること」を目的にしています。取得する情報としては、氏名や企業名、メールアドレス、電話番号などがあげられます。
リードナーチャリングを含めて、顧客を育成する主なプロセスは以下の通りです。
- リードジェネレーション:イベントや広告などを経由して「潜在顧客」を獲得する
- リードナーチャリング:取得した情報を活かして潜在顧客を「見込み顧客」へと引き上げる
- リードクオリフィケーション:「ホットリード」に対して積極的に営業活動を実施する
リードナーチャリングが重要な理由
リードナーチャリングによる見込み顧客の育成が重要な理由は、主に以下の4つです。
- 購買プロセスの変化により検討期間が長期化している
- 本格的な営業活動を開始した際に成約の可能性を高められる
- 新規顧客獲得に投下するコストを削減できる
- 休眠顧客情報を有効活用できる
購買プロセスの変化により検討期間が長期化している
顧客の購買プロセスの変化によって、購入までの検討期間が長期化している傾向にあります。それに伴い、リードナーチャリングを行うことで、長期的にじっくり育成する重要性も高まっています。
それでは具体的に、顧客の購買行動はどのように変化しているのでしょうか?現在、顧客の購買行動は以下の「AISCEAS」がメインになっています。
- Attention:注意
- Interest:興味・関心
- Search:検索
- Comparison:比較
- Examination:検討
- Action:行動
- Share:共有
インターネットやSNSの普及によって、顧客は商品購入前に競合比較や口コミチェックなどを手軽に実施できるようになりました。比較・検討を終えた顧客はすでに「購買プロセスの57%を完了している」ともいわれており、この期間中に適切なアプローチを実施できればければ、せっかくの顧客を逃すことになります。
最終的な購買までつなげるためにも、リードナーチャリングによって比較・検討の段階から自社の魅力を知ってもらい、顧客を育成することが重要となるのです。
本格的な営業活動を開始した際に成約の可能性を高められる
リードナーチャリングでは以下のような施策を通じて、検討・比較している顧客に長期的なフォローを提供します。
- メールマーケティングによって顧客のニーズに合わせた有益情報を配信し自社に興味を持ってもらう
- 自社サイトの訪問顧客にリターゲティング広告を配信して再度サービスを思い出すキッカケを作る
上記のように顧客のフェーズに合わせて適切なフォローを行い、満足度や購買意欲を上げておくことで、本格的な営業活動を開始してから成約の可能性を高められます。営業担当者も購買意欲の高い顧客に絞ってリソースを投下できるため、業務効率化につながるでしょう。
新規顧客獲得に投下するコストを削減できる
ビジネスには「新規顧客の獲得コストは既存顧客維持コストの5倍である」という1:5の法則が存在します。既存顧客はすでに自社製品の魅力を知っているため、自発的にリピーターとなる可能性があります。一方で新規顧客に対しては、0から自社を認知してもらうために多額のコストを投下しなければなりません。
リードナーチャリングでは、メールマーケティングやリターゲティング広告などを通じて、検討段階から顧客の購買意欲を高めていきます。購買意欲を高めてアプローチすべき顧客も把握できれば、実施する施策を絞ったり適切な人員を投下したりしやすくなるため、成約までの費用的・時間的コストを削減できるでしょう。
休眠顧客情報を有効活用できる
自社が保有する顧客情報の中には、「一度の名刺交換だけで終わっている」「資料請求だけで終わっている」など休眠状態にあるものも多いです。せっかく顧客情報を獲得しても、アプローチをしなければ接点がなくなり購買につなげるチャンスを失います。
リードナーチャリングでは、こうした休眠顧客に対して適切なアプローチを実施することで再度自社への興味を醸造できるため、保管している情報を有効活用できるでしょう。
CRMとリードナーチャリングの関係性は?
このリードナーチャリングを考える上では「CRM」という概念が重要になります。
CRMとは、Customer Relationship Managementの略語です。「顧客関係管理」や「顧客関係性マネジメント」と訳されます。顧客と信頼関係を築いて「新規購入からリピーターに」「リピーターからファンに」と育成する活動を実施し、両者の利益を向上する経営手法です。
このCRMを実施する手段として「CRMシステム」があります。CRMシステムは、リードナーチャリングの実現に必要なものです。
リードナーチャリングでは、メールマーケティングやステップLINEなどを活用して顧客との関係性を深めていきます。こうした施策を実行するには、自社の顧客情報を管理・分析した上で、適切なアプローチ方法の設計が必要です。
CRMシステムであれば、一元管理している顧客情報をもとに「セグメントに応じたLINE配信機能」「ユーザーの行動履歴に合わせたメール配信機能」などを活用できるため、特別な知見を持たない企業でも適切な施策を実施できます。
CRMシステムについては、合わせて以下の記事もご確認ください。
CRMシステムを活用したリードナーチャリング施策の例
CRMシステムを活用したリードナーチャリングの施策としては以下があげられます。
- メールマーケティング
- ステップLINE
- コンテンツマーケティング
- リターゲティング広告
- SNS運用
メールマーケティング
メールマーケティングとは、メール配信によって顧客との信頼関係を築いてリードナーチャリングを実施する方法です。メールマーケティングの主な方法としては以下があげられます。
ターゲティングメール | 特定の属性(年齢・住所・購入回数など)を持つ顧客に対し、その属性にマッチした内容のメールを送信する。 |
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ステップメール | 顧客の特定の行動(資料請求日や初回購入日など)を起点とし、設定したスケジュールに沿って内容を変え段階的なメールを送信する。 |
シナリオメール | ステップメールと同じく顧客の特定の行動を起点として、段階的にメールを送信する。日付だけでなく、開封やクリックといったメールに対する反応などに合わせて送信できる。 |
従来までは、大勢の顧客に同じ内容を送信するメルマガが主流でした。しかし、顧客のニーズや価値観が多様化する中で、従来の画一的なアプローチを行っても大きな効果は期待できません。
上記のようなメールマーケティングによって、顧客の状態やニーズに合わせたアプローチを行い信頼関係を築くことで、効果的なリードナーチャリングを実現できます。
メールマーケティングについては、合わせて以下の記事をご確認ください。
ステップLINE
ステップLINEとは、ステップメールと同じように顧客のタイミングに合わせて内容を変えたLINEを段階的に送信する方法です。ステップLINEでは、「初回の商品購入」「公式LINEの友達追加」などを起点として顧客にメッセージを送信できます。
令和5年に総務省が発表したデータ(p.11参照)によると、令和4年度時点におけるLINE利用率はほとんどの世代で90%を超えています。世代を問わず日常的な利用率が高く、LINE自体にプッシュ通知もあるため、閲覧してもらえる可能性はメールより高いです。反応率が高ければメッセージごとに内容の良し悪しを比較しやすいため、効果的なリードナーチャリングを実施できるよう送信タイミングや本文をブラッシュアップしやすいでしょう。
ステップLINEについては、合わせて以下の記事をご確認ください。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、有益情報を発信して自社サービスや商品に興味を持ってもらい、見込み顧客へと引き上げる方法です。コンテンツマーケティングの方法としては、例えば以下があげられます。
オウンドメディア | 自社メディアで、ターゲット層の悩みや不安、疑問を解消できる記事コンテンツを制作し発信する。SEOを意識して検索上位獲得を狙うことが多い。 |
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ホワイトペーパー | 商品の紹介や独自調査のレポート、導入事例、自社のノウハウなどをまとめた資料のこと。商品の理解を深めてもらったりユーザーに有益な情報を提供したりすることで、信頼を獲得して新規リード獲得につなげられる。 |
プレスリリース | キャンペーン開催や新商品発売など、自社のタイミングに合わせてメディア関係者へ向けて情報を発信する。幅広いメディアやSNSで拡散してもらいやすい。 |
動画チャンネル | YouTubeやInstagramのリールなど、各SNSの動画を通じて有益情報を発信する。視覚と聴覚から訴求できるため、ユーザーの印象に残りやすい。 |
ウェビナー | オンライン上で実施するセミナーのこと。場所を問わず実施可能であり、自社が保有する有益情報を幅広い相手に発信できる。 |
コンテンツマーケティングでは、顧客にとっての有益情報を考えて長期的に発信していきます。顧客に響く有益情報を発信するには、CRMシステム内のデータ分析を通じて「どんな悩みを抱える傾向にあるのか?」「何を求めているのか?」などを把握することが必要です。
コンテンツマーケティングではコンテンツの積み上げが必要なため、リードナーチャリングの成果が出るまでに一定の時間がかかります。しかし、一度作成した高品質なコンテンツは、長期的に顧客を育成できる資産となるでしょう。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度自社サイトを訪問したユーザーに対し、別の機会に再度広告を表示する方法です。少なからず自社に興味を持っているユーザーに再アプローチし、商品やサービスを認知してもらうことで、購買意欲を高め見込み顧客まで育成できる可能性があります。
ただし、あまりに広告の表示回数が多いと逆効果になる可能性があるため、表示に回数制限を付けるなどの対策が必要です。
SNS運用
SNS運用とは、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなどの各種SNSを動かして、リードナーチャリングを実施する方法です。CRMシステム内の情報をもとにターゲット層に響くコンテンツを考えSNSに投稿することで、フォロワーが増えて自社製品やサービスを認知してもらい、購入まで結びつけられる可能性が高まります。ユーザーとも直接やり取りできるため、親しみを感じてもらったり直接要望をヒアリングできたりするでしょう。
また、別途で新規集客につなげられる点も魅力です。リードナーチャリングを経てユーザーが実際に購入し商品の質やサポートに満足すれば、自発的にSNSで拡散してもらえることもあります。その拡散を見て、別の新規顧客が自社商品やサービスを購入することもあるでしょう。このように、コストをかけず新規集客までつなげられるのはSNS運用ならではの魅力です。
CRMシステムでリードナーチャリングを実施する際のポイント
CRMシステムを活用してリードナーチャリングを実施する際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 「見込み顧客」「ホットリード」の定義を明確に定める
- 見込み顧客をスコアリングしてアプローチの優先順位を付ける
- 長期的な視点でリードナーチャリングの計画を作成する
- 既存顧客対応とは別でリードナーチャリングの専任運用者を決める
「見込み顧客」「ホットリード」の定義を明確に定める
まずは、見込み顧客とホットリードの定義を明確化しておきましょう。
リードナーチャリングの目的は、「見込み顧客を育成してホットリードまで押し上げること」です。自社にとっての見込み顧客とホットリードの定義を定めることで、「どの状態になったら施策を実行すべきか?」を適切に判断し、必要なタイミングでフォローを提供できます。
見込み顧客やホットリードの定義から外れている方に対してアプローチをすると、しつこく思われたり押し売りに感じられたりしてマイナスな印象を与えるため要注意です。
見込み顧客をスコアリングしてアプローチの優先順位を付ける
スコアリングとは、以下のような幅広い観点をもとに、見込み顧客の自社への興味度合いを点数化することです。
- ターゲット要件(企業規模や業種など)を満たしているか?
- 営業要件(導入時期や具体的なニーズなど)を満たしているか?
- メルマガやLINEの開封率は?
- 自社サイトにどれくらいの頻度で訪問しているか?
スコアリングの点数が高ければ「自社への興味度合いが大きい」と判断できるため、アプローチの優先順位も上がります。自社への興味度合いが高い見込み顧客からアプローチできれば成約率も上がるため、必要な部分に絞って効率よくリソースを配分できるでしょう。
長期的な視点でリードナーチャリングの計画を作成する
基本的にリードナーチャリングの成果は、短期的に発生するものではありません。
リードナーチャリングでは、購買意欲が低い顧客に対し「オウンドメディアで有益情報を提供する」「ステップメールで段階的に興味を持ってもらう」などの方法でアプローチすることが基本です。徐々に顧客の興味関心を積み上げ購入の選択肢に入れてもらう必要があるため、売上につながるまでは一定の時間がかかります。
「短期的な成果を出すのは難しい」ということを前提として、長期的な計画を策定し何度もPDCAサイクルを回し改善することが大切です。
既存顧客対応とは別でリードナーチャリングの専任運用者を決める
リードナーチャリングの施策は、メールマーケティングやコンテンツマーケティングなど多岐にわたります。それぞれの施策で分析すべき情報やCRMシステム上で扱う機能などは異なるため、業務を遂行する担当者の負荷は大きくなるでしょう。
また、単純に業務量が多くなるだけでなく、既存顧客とは異なる対応が求められるため、頭の使い所も違います。例えば「既存顧客フォローのためにステップLINEを設定する」のと「リードナーチャリングのためにオウンドメディアを運用する」では、必要な業務や考えるべき点が異なりす。
こうした業務を誰か一人に任せてしまうと労力が増えるため、リードナーチャリングと既存顧客対応の担当者は別で定めましょう。
「Synergy!」なら効果的なリードナーチャリングを実現できる!
このようにCRMシステムを活用することで、効率的なリードナーチャリングを実行できます。自社独自で顧客情報を管理し、具体的な施策まで考え実現するのはハードルが高いため、自社にマッチした機能を搭載したCRMシステムを選び効果的に施策を実行しましょう。
リードナーチャリング実施に向けてCRMシステムの導入を考えているなら、ぜひ「Synergy!」の活用もご検討ください。「Synergy!」は、業種業態や用途に合わせて管理項目や機能、設定を自由にカスタマイズできるCRMシステムです。リードナーチャリングで活用する機会が多いメールやLINE配信機能、サイト上におけるユーザー行動分析機能なども搭載しているため、効率的に見込み顧客の育成につなげられます。
「Synergy!」を活用したリードナーチャリングの成功事例
具体的に「Synergy!」を利用しリードナーチャリングを実現した事例として、今回はインフォコム株式会社様を紹介します。同社はERPパッケージ「GRANDIT」を販売している企業です。
同社はもともと代理店販売をメインとしていましたが、2016年頃から「直販側の売上も作りたい」と考えるようになります。しかし当時の営業部は人数が4人しかいなかったため、手当たり次第にリストへ営業を行うにはリソースが不足していました。そのため、「営業の手間を割かずに顧客育成やホットリード選別ができる仕組みを作りたい」という話になります。
最初はテレアポなどをすべてアウトソーシングしていました。しかしERPは専門性が高い商材であるため、業界未経験の方が販売してもサービスの魅力や必要性を伝えられず、思うような成果は得られませんでした。
そこで「Synergy!」のメール送信やWebトラッキングなどの機能を活用し、営業へホットリードを送客する仕組みを一緒に構築していくことになります。具体的には以下の施策を実施しました。
- 見込み顧客の引き上げ:メールでのコミュニケーション
- ホットリードの選別:Webサイト上の行動履歴分析
「Synergy!」では、メールのクリックおよび開封率や自社ページの閲覧者情報を収集できるため、Webの行動履歴から数値として見込み顧客の興味度合いを判別可能です。
具体的には以下の手順で判別します。
- Webフォーム登録、Synergy!メールへの反応を起点としてCookieを紐付ける
- Cookieを紐付けたユーザーがトラッキングタグを設置したインフォコムサイトに訪問した場合に「Synergy!」がアクセスを検知する
- アクセス検知情報を営業担当者へメールで通知する
- ユーザーのWeb行動情報を「Synergy!」に蓄積して特定条件でユーザーを抽出する
上記の施策をメインに進めつつ、長期的に同社が「Synergy!」を自力で活用できるような手厚いサポート(スケジュールの作成や具体的な顧客フォローの洗い出しなど)を行った結果、以下のような成果を達成しました。
- 保有リストと展示会後に集まったリードに配信したメールの「開封率19%・クリック率4%」
- 展示会来場者の中でメールに反応があった顧客に絞ってテレアポを行った結果、アポ率50%
インフォコム株式会社様の事例詳細については以下の記事をご確認ください。
CRMシステムを活用して効果的なリードナーチャリングを実現しよう
購買までの検討期間が長くなっている現在は、見込み顧客を長期的に育成する「リードナーチャリング」の考え方が重要になっています。自社リストに対し、メールマーケティングやリターゲティング広告などの施策を実行することで顧客満足度や購買意欲を高め、本格的な営業活動を開始した際に成約率を上げられるでしょう。
このリードナーチャリングを実現するには、自社の顧客情報を管理・分析できるCRMシステムの導入が効果的です。CRMシステムにはメール配信機能やサイト上における行動分析機能などが搭載されているため、特別な知見がない企業でも効果的にリードナーチャリングを実現できます。
導入するCRMシステムとしては、「Synergy!」のように企業の方針や用途などに合わせて自由にカスタマイズできる柔軟さを持つ製品がオススメです。「Synergy!」には、リードナーチャリングで必要なメールマーケティング機能や行動履歴の分析機能なども搭載されています。さらに、導入企業内でCRMシステムの知見を蓄積できるよう、伴走サポートという形でもご支援可能です。
「Synergy!」の具体的な製品機能については、ぜひ以下のフォームから資料をダウンロードしてご確認ください。
伝えたいマーケティングメッセージを、お客様にきちんと届けるために。
統合顧客管理(CRM)システム「Synergy!」
関連情報
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。