Salesforceで、リードと取引先責任者の名寄せ(重複のマージ)を楽にするアプリをつくりました
はじめまして & こんにちは、SFBD室の秋月です。
サイトリニューアル、気持ちいいですねー。みなさん、どうお感じになられたでしょうか?私はかなり気に入っています。ではブログ一発目いってみましょう。
質にもよりますが、一般的にリード(見込み顧客)が増えるということは売上貢献につながり大変良いことです。ところがその一方で、リードが増えるとどんどん重複するデータも増えていくため名寄せ(マージ)作業量も増えてしまいます。
そこで以前「Salesforceで、リードの名寄せ(重複のマージ)を楽にするアプリをつくりました。」というタイトルのブログにてアプリをご紹介しました。このアプリで「かなり名寄せが楽になった」というお話をちらほら聞き、作ってよかったなーと思います。
ただ、まだまだ名寄せにお困りのことがあるのではないでしょうか?
例えば…
営業部門が既に商談に入っているのにマーケ部門がそれをリードとして追いかけてしまっていた
とか
ホットなリードのリストを抽出し営業に渡すと、「これもうセールス入ってるよ!」
とかとか…
データによる、マーケとセールスの分断が存在します。効率的にマーケティングするにはマーケ部門はリードが取引先責任者にないかを確認する作業が必要になります。この作業、Salesforceの標準機能だけではどのデータが重複しているのかわかりにくく名寄せが大変です。
そこで、じゃじゃーん!
「Salesforceで、リードと取引先責任者の名寄せ(重複のマージ)を楽にするアプリをつくりました。」
前回アプリのプログラムを改造どころか、一から作り直しました!!!前回同様、このアプリも無料です。また非管理パッケージであるため自由に改変できます。煮るなり焼くなりどうぞお好きにご利用ください。ただし、アプリケーションのご利用は各自の責任でお願いします(当社は一切の責任を負いかねます)。ご利用後、感想など頂けるとうれしいです。どんどんバージョンアップするかもしれません!
では、機能概要をご説明します。
<目次>
機能概要
- リード同士でメールアドレスが重複するデータが存在する場合にフラグをON
- リードのメールアドレスと重複する取引先責任者が存在する場合もフラグをON
リード、取引先責任者、それぞれどちらと重複しているかはフラグ名で判断できるようになっています。項目名の説明については後述します。 - 取引先責任者同士でメールアドレスが重複するデータが存在する場合もフラグをON
- スケジュール設定による自動実行
Salesforceの標準機能「Apexスケジュール」で本バッチアプリを設定できます。本バッチアプリを定期的に自動で実行することができます。
※データ更新があまり発生しない時間帯(例えば深夜)に設定するとエラーが起こりにくくなります。特別なカスタマイズにより(例えば深夜時間帯に)データを大量更新するプログラムを実装している組織については実行時間帯をずらして設定した方がよいと思います。Sandbox上でのテストの実施も含め、システム管理者の方とご相談の上ご利用ください。 - 重複チェック対象外設定
リードや取引先責任者のカスタム項目「重複チェック不要フラグ」のフラグをONとすることでバッチ処理の対象外とすることができます。 例えば、共通のメールアドレスをご利用の会社さまがおられる場合、「abc@example.comというメールアドレスが登録された場合「重複チェック不要フラグ」をONにする」といった設定を行えば過剰な重複検知を避けることができます。もし「このワークフローの設定方法を教えて欲しい」といったご要望が多い場合はまた当ブログにてご紹介いたします。 - 処理キャンセル
処理を途中でキャンセルすることができます。
さて、このアプリケーションの利用イメージは以下の通りです。
利用イメージ
- Salesforceの標準機能「Apexスケジュール」で本バッチアプリの実行スケジュールを登録設定する。
→設定した時刻にバッチ処理が開始し各重複フラグがONされる。バッチ処理完了後、あらかじめ登録したメールアドレスに完了メールが送信される。 - バッチ処理完了通知メールが届いたら、重複フラグがONになっているレコードを名寄せする。
- 重複フラグがONになっているレコードのフラグをOFFにする。
※まれに本アプリのバッチ処理でエラーが発生します。その場合は下記の操作方法で説明にある、カスタムボタンクリックでバッチ処理を再起動してください。
以下、事前確認、インストール方法、セットアップ方法、各項目説明、操作方法、マージ方法、アンインストール方法、補足事項を説明します。
事前確認
本アプリのバッチ処理を実行するユーザーのプロファイルには、リードおよび取引先責任者の「すべて表示」、「すべて変更」の権限が必要です。
※詳しくはシステム管理者の方にご相談ください。
インストール方法
- 旧アプリ「重複リードチェック」をインストールされている場合は一旦旧アプリをアンインストールします。(非管理パッケージであるため、バージョンアップができません)
旧アプリのアンインストール方法はこちら - 以下のURLにアクセスします。 非管理パッケージインストールURLです。パッケージ名は「重複リードチェックバッチ」です。 https://login.salesforce.com/packaging/installPackage.apexp?p0=04t100000007XEj
※Salesforceにログインしていない場合はログインを促されます。インストール対象のSalesforce.com組織のユーザ名とパスワードを入力し、ログインします。 - 基本的に、デフォルトのまま「次へ」をクリックしていき、アプリケーションをインストールします。 「セキュリティレベルの選択」では適切なプロファイルに設定します。ここでは、画面の文言通り「セキュリティ設定の選択」で任意のプロファイルに設定されることをお薦めします。
※ アプリケーションのインストールに関する詳細は、Salesforceのヘルプ「パッケージのインストール」をご参考ください。
セットアップ方法
- アプリケーションで利用するカスタム設定項目を設定します。
- リードリストビューにカスタムボタン「重複リードチェックバッチ起動」を追加します。
- リード同士で重複するデータを表示するビューを作成します。
- リードにおいて、取引先責任者と重複するデータを表示するビューを作成します。 上記3.と同じ操作です。
- [リード]タブの「新規ビューの作成」をクリックします。
- 以下の値を設定し、「保存」をクリックします。
「ビュー名」:重複取引先責任者
項目:取引先責任者内重複ありフラグ
演算子:「次の文字列と一致する」
値:True
その他の項目は任意の値を設定します。
- 取引先責任者同士で重複するデータを表示するビューを作成します。 上記3.と同じ操作です。
- [取引先責任者]タブの「新規ビューの作成」をクリックします。
- 以下の値を設定し、「保存」をクリックします。
「ビュー名」:重複取引先責任者
項目:取引先責任者内重複ありフラグ
演算子:「次の文字列と一致する」
値:True
その他の項目は任意の値を設定します。
各項目説明
リード
- リード内重複ありフラグ 他リードとメールアドレスが重複している場合にONします。 ただし、チェック対象となったデータのみがONし、全ての重複するリードデータをONするわけではありません。
→例えば、リード1,リード2,リード3が重複する場合において、プログラムがリード1チェック時、他に重複するデータを検索し、リード2とリード3がヒットするのでリード1をONする、という仕組みです。 - 取引先責任者内重複ありフラグ 取引先責任者とメールアドレスが重複している場合にONします。
- 重複チェック済みフラグ 重複チェックが完了するとONします。
- 重複チェック不要フラグ 重複チェックが不要な場合、このフラグをONすることでチェック対象外とすることができます。
取引先責任者
- 取引先責任者内重複ありフラグ 他取引先責任者とメールアドレスが重複している場合にONします。 ただし、チェック対象となったデータのみがONし、全ての重複する取引先責任者データをONするわけではありません。
→上記「リード内重複ありフラグ」と同じ仕組みです。 - 重複チェック済みフラグ 重複チェックが完了するとONします。
- 重複チェック不要フラグ 重複チェックが不要な場合、このフラグをONすることでチェック対象外とすることができます。
カスタム設定
- 重複リードチェックバッチテスト 内部的にプログラムのテストで利用する設定です。ご利用に際して設定する必要はありません。
- 重複リードチェックバッチ設定 本アプリの各種設定です。デフォルトの設定で恐らくほぼ問題ないと思いますが、確認しておいた方がよい設定をご紹介します。なお、「デフォルトの組織レベルの値」のみ利用します。(他プロファイルやユーザで設定しても反映されません。)
- メール差出人名 処理開始、終了、エラー発生時のメール差出人名です。デフォルトはカスタム設定データ作成時のユーザー名となっています。
- メール送信先 処理開始、終了、エラー発生時のメール送信先です。デフォルトはカスタム設定データ作成時のユーザーのメールアドレスとなっています。
- メール送信不要フラグ – 処理開始 バッチ処理開始時にメール送信します。
- メール送信不要フラグ – 処理終了 バッチ処理終了時にメール送信します。
- メール送信不要フラグ – 例外エラー バッチ処理中にエラーが発生した場合、そのエラー内容をメール送信します。エラーが発生しても基本的にはバッチ処理は続行されますので、特に意識する必要はないかと思います。重複チェックがあまりされず「変だな」と思った時にOFFすることでエラーが発生していないか調査することができます。
- 処理キャンセル要求フラグ バッチ処理中にこのフラグをONするとバッチ処理を途中でキャンセルする事ができます。
※ただちに強制的に停止するのではなくバッチ処理の切れ目でキャンセルを行いますので、キャンセルが完了するのに時間が多少かかります。キャンセル完了時にメールが送信されます。
操作方法
バッチ起動方法 – Apexスケジュールで自動起動設定する場合
- [設定] – [Apex クラス]で「Apex をスケジュール」をクリックします。
- 以下の値を設定し、「保存」をクリックします。
ジョブ名:重複リードチェックバッチ
Apex クラス:DuplicateCheckSchedule ※虫眼鏡のアイコンから検索できます。
開始:[当日]
終了:[選択できる最も未来の年月日]
その他の項目は任意の値を設定します。
設定した時間になると自動で処理が開始します。処理完了後、上記の「メール送信先」で設定したメールアドレス宛に処理完了のメールが送信されます。
※あくまで「希望開始時刻」ですので、状況によっては開始が遅れることもあります。
バッチ起動方法 – カスタムボタンクリックで起動する場合
- 「リード」タブから任意のビューを開き、「重複リードチェックバッチ起動」をクリックします。
- 下記の様なダイアログが表示され、処理が開始します。
処理完了後、上記の「メール送信先」で設定したメールアドレス宛に処理完了のメールが送信されます。
マージ方法
リード同士のマージ、取引先責任者同士のマージ、リードと取引先責任者とのマージを行います。
リード同士のマージ
- [リード]タブで、上記で作成したビュー「重複リード」を選択します。メールアドレスが重複しているリードが一覧表示されます。
※チェック時に、その他に同一のメールアドレスが存在する場合に当該データをONする仕組みとなっていますので、このビューで全ての重複するデータが表示されるわけではありません。また、データの編集、削除などにより、既に重複していない可能性もあります。 - 名寄せを行いたいリードをクリックして詳細画面を表示します。
- Salesforce標準機能の「重複の検索」をクリックし「リードのマージ」を行います。
※Salesforce標準機能「重複の検索」と「リードのマージ」については、Salesforceのヘルプ「重複するリードのマージ」をご参照ください。 - マージ時、当該リードのカスタム項目「リード内重複ありフラグ」をOFFに更新します。
取引先責任者同士のマージ
- [取引先責任者]タブで、上記で作成したビュー「重複取引先責任者」を選択します。メールアドレスが重複している取引先責任者が一覧表示されます。
※チェック時に、その他に同一のメールアドレスが存在する場合に当該データをONする仕組みとなっていますので、このビューで全ての重複するデータが表示されるわけではありません。また、データの編集、削除などにより、既に重複していない可能性もあります。 - 要、不要を判断し手動にて削除、またはマージします。
- マージ時、当該取引先責任者のカスタム項目「取引先責任者内重複ありフラグ」をOFFに更新します。
リードと取引先責任者のマージ
- [リード]タブで、上記で作成したビュー「重複取引先責任者」を選択します。取引先責任者とメールアドレスが重複しているリードが一覧表示されます。
※チェック時に、その他に同一のメールアドレスが存在する場合に当該データをONする仕組みとなっていますので、このビューで全ての重複するデータが表示されるわけではありません。また、データの編集、削除などにより、既に重複していない可能性もあります。 - 要、不要を判断し手動にて削除、またはマージします。
- マージ時、当該リードのカスタム項目「取引先責任者内重複ありフラグ」をOFFに更新します。
アンインストール方法
- 一旦故意にアンインストール設定を行い、エラーを発生させます。 これによりリードリストビューで利用されているカスタムボタン「重複リードチェックバッチ起動」を表示させることができ、そこから設定解除を行います。[設定] – [インストール済みパッケージ]から「重複リードチェックバッチ」の「アンインストール」をクリックします。
- 以下の項目をチェックし、「アンインストール」をクリックします。 「このパッケージのデータのコピーを、アンインストールしてから48時間保存します」 「はい。このパッケージをアンインストールして、すべての関連コンポーネントを永久に削除します」
- リードリストビューでカスタムボタン「重複リードチェックバッチ起動」が利用されているためにエラーが発生します。「DuplicateCheckBatchLink」をクリックします。
※ここでエラーが発生せず正常にアンインストールが設定できれば、以降の作業は不要です。
- 「使用場所」をクリックします。
- 使用されている場所が一覧表示されます。「リストビュー」をクリックします。
- 「選択したボタン」欄の「重複リードチェックバッチ起動」を選択し、「削除」をクリックすることで、「利用可能なボタン」欄へ移動させます。その後、「保存」をクリックします。
- 再度、上記「1-1. [設定] – [インストール済みパッケージ]から「重複リードチェック」のアンインストールをクリックします」を行い、アンインストール作業を行います。これで正常にアンインストールが完了します。
補足事項
- 当アプリケーションは非管理パッケージとなりますので、自由にプログラムを改変できます。注意事項としては、Sandboxから本番組織への移行には非管理パッケージを使用せず、変更セットをご利用ください。詳しくは以下のSalesforceのヘルプをご参考ください。 パッケージの概要について 変更セットについて
- Salesforce標準機能のマージ後、「重複フラグ」を一括でOFFするには、別のアプリケーション「Mass Edit + Mass Update + Mass Delete」を利用すると作業を効率化できます。
- 英語版のみとなりますが、無償の重複除外アプリケーションとして「DupeCatcher」があります。当ブログで、この「DupeCatcher」についてご紹介している記事「【Salesforce】重複データを効率よくマージしたい」があります。
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。