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脱メルマガ!メールマーケティングのススメ
~メールはもう使い古されたツールなのか?~

こんにちは。シナジーマーケティングの櫻田です。

今年も記録的な猛暑日が続くなか、ミクシィの大復活劇にLINEの5億ユーザー突破など、世間ではSNSやメッセージングサービスに注目が集まる一方で、Webマーケティングの業界ではマーケティングオートメーション(以下MA)と呼ばれる製品がHotな事をご存知でしょうか。

この要因について、国内市場への相次ぐ海外サービスベンダーの参入をあげる方が多いのですが、個人的には黒船来襲がトリガーなのではなく、過去もそうだったように、海外でのトレンドから遅れること数年で、いま国内市場が「必要としている」のだと考えています。

MAの話になるとだいたい海外サービスの紹介に終始しますが、弊社を含めた国内のベンダー各社も、以前から行動履歴に応じたアプローチやプロセスの自動化は提唱していました。
もちろん海外には、より優れたサービスがあったと認知していますが、どちらかというと日本のマーケティング市場を「sofisticateされていない」として後回しにして欧州や英語圏を優先していた北米系企業が、近年のsalesforceの国内での成功などを見て、ようやく投資に見合う土壌が揃いつつある・・という判断での参入ではないでしょうか。
各社、日本独特の商習慣とローカライズの壁について、よくご存知ですよね。
そう思うと、創業すぐに国内市場に投資してきたsalesforceの本気度は突出してる気がします。

Is Email dead ?

余談が長くなりましたが、海外では数年前からMAやインバウンドマーケティングといった、顧客を主役に据えたマーケティングツールの興隆が話題でした。各社多彩な機能で得意領域が分かれているものの、共通して搭載されている機能の一つが、「メールマーケティング」です。エンタープライズ向けだろうが、SNSと連係していようが、ダッシュボードがリッチだろうが、メール送信機能は外せない重要なツールなのです。

一方で、幾度となく海外ブログの見出しを飾ったのが、Email is dead.やEmail is not dead.といったタイトルです。確かに、チャットサービスの爆発的な普及を見て、今後のメッセージングはよりインスタントな方向に向かい、レガシーなメールに未来はないと考える人も多いかと思います。
ただ、未来の話ではなく、現在の話でいえばまだまだメールはスタンダード中のスタンダードです。

では、実際メールはどの程度効果的なのか?
残念ながら国内にはそういう統計がまとまっている資料がほぼありませんので、海外の統計ですが、
メールの利用実態をまとめているブログをご紹介します。

15 Statistics that Prove Email Marketing is (Still) Not Dead in 2014

ご覧いただければわかると思いますが、だいたい2013年の統計や引用ですよね。
MAやコンテンツマーケティングが既に普通の事になっていても、まだこういった統計でメールが再評価され続けています。

上記はサービス紹介・比較サイトのブログなので少なからずフィルターはかかっているでしょうが、MAのサービスが浸透し、コンテンツマーケティングが台頭してもメールは企業のマーケティング活動に必要不可欠なツールなのです。

国内にも広がりつつあるパラダイムシフト

今後のメールの生死は別として、現時点でメールマーケティングが重要なコミュニケーションツールである事は疑いの無いところだと思いますが、もう一点、重要な要因があります。

それは、前述の顧客を主役とする流れです。インバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングの絡みでもよく語られる事ですが、アドテクの進化も含めて企業のターゲットに対するアプローチは大きなパラダイムシフトを迎えています。
米国ではプログラマチック・バイイングが注目を浴びていますが、インハウスで運用を検討している企業が増加傾向だそうです。背景には、効率的な広告投資や不適切な出稿を防ぐという目的もあるようですが、「消費者によりよい体験を提供するため」という今までの広告運用ではあまり聞いた事のないような目的があがっています。

広告業界では「枠から人へ」という表現を見かけますが、ディスプレイ広告などのペイドメディアだけでなく、自社の製品サイトやユーザーコミュニティー、業界のポータルサイト、メールマガジンをオウンドメディアとして「枠」として活用するアプローチも通用しなくなりつつあります。

ところで、コントロールド・サーキュレーションという言葉をご存知でしょうか?
Wikipediaの説明をそのまま引用させていただくと、

「特定のターゲットに絞って無料で雑誌の配布を行うことにより、効率よく広告収入を得ようとする、印刷メディアのビジネスモデルのこと」

街中で配布されてる結婚情報やアルバイト等のフリーペーパーとは違って、読者の属性や個人情報を取得して、無料で郵送される出版物です。その特性からほとんど一般の方の目に触れないのでご存じない方も多いと思いますが、BtoB業界では、製造業や輸出が活況だったバブル期に日経などの業界誌への純広と合わせてよく利用されたメディアです。

展示会などで集めた名刺からリスト化されるのが常でしたが、パーミッションを取得していたのか?すら怪しい反面、自ら購読を申し込む人もいましたし、読者からダイレクトに反応が返ってくるので、出稿する側からすれば費用対効果の高いメディアとして評価されていました。

一見理想的なこのメディアが大きく市場を広げることなく今に至るのは、2つの重大な欠点があったからです。
1つは、ほとんど広告で占められた誌面が、読者の興味を長期間、高いレベルでキープできない事です。郵送されてもすぐにゴミ箱行きとなっている可能性は否定できません。
もう1つは、リスト(読者)の入れ替わりが緩やかなので、同じ広告で長期の引き合いを獲得しづらいという事です。同じ人に同じ広告を見せても、初回以降は右肩下がりになります。いわゆる焼き畑的な手法に陥りがちです。つまるところ、個人情報の対価として誌面の情報に高い付加価値が求められ、メディアとして継続的な成長が困難だったのです。
これ、オウンドメディアの運営と似ていると思いませんか?

以前から、企業はターゲットのパーミッションを得て、そこに自社の情報を送り続けることのみに腐心してきました。シェアを争うかのように、会員数の増加とリーチする先の確保に努めてきました。
過去形で書いていますが、実はほとんどの企業で現在進行形です。
送られる「情報の価値」に対する評価は、長らく置き去りにされてきました。いまや「情報の価値」を決めるのは、受け取る側の消費者やBtoBでいえば担当者です。加えて、ニーズはますます多様化し、情報の賞味期限は短くなっています。
他社の真似をしても必ずしも成功しない、とても難しい局面を迎えているのです。マーケティングがパラダイムシフトする中で、この課題について自社の解をつくり出す事が必要になってきています。

国内企業がメールマーケティングに注力できないワケ

では何故、国内ではいまだに前時代的な課題がくすぶっているのでしょうか。
「日本のマーケティングは海外より遅れているから」「CMOが居ないから」「マーケティング部門に人も権限もないから」・・確かにそうです。

国内企業ならではの組織的、構造的な課題は存在します。
一方で、メールマーケティングで成果をあげている企業も存在します。二元論では語れませんが、私は両者の違いが目標設定にあると考えています。実際、弊社のお客様でも「メールマーケティングに取り組まなければいけない」という課題意識をお持ちの方は、たくさんいらっしゃいます。そういう担当者の方は、逆を言えば、現状メールを使った「マーケティングが出来ていない」と考えている、という事になります。

もちろん日々メールでキャンペーンや最新情報の「メルマガ」を送られているので、厳密には「マーケティングを行っていない」わけではありません。目覚ましい成果や、独創的な取り組みが行われていない、という認識です。そうでなくてもクロスチャネル、クロスメディアと取扱メディアが増加の一途を辿るなか、今まで目立った成果の無い「メルマガ」に特別なインパクトを期待していないのかもしれません。

多くの場合、この旧態依然とした「メルマガ」の運用に原因があります。
上司、先輩といった前任者から受け継がれてきた業務は、その目的が既に現代のマーケティングにフィットしていない場合がほとんどです。続々とリリースされる新商品や季節のキャンペーン、セミナー情報などを漏れなく届け、少しでも開封、クリックを稼ぎ、離脱を防ぐコピーとデザインでくるんでお届けする。もちろんミスは許されません。

自身で企画〜制作〜校正〜配信〜レポートの工程に携った事のある方ならおわかりかと思いますが、これはとても大変なミッションです。各プロセスごとにPDCAを回して効率化しないと、配信対象となる情報は増える一方なのに対し、クリックレートや開封率が低下してしまいます。

このようにメール配信という業務だけを切り出してKPIを見ていると、部分最適に終始してしまい、現在の顧客ニーズにあわせた「成果を生み出すメールマーケティング」に着手できない現状を生み出してしまうのです。

成果を生み出している事例では、「急に担当する事になった」「ようやく取り組めるようになった」という転機を利用して、企業からの情報発信に対して抜本的な見直しをされています。
抜本的といっても、さすがに何の見込みもなく業務改善はできませんので、購買履歴と紐付けたり、CTAの履歴を計測した上で、抽出サンプルを対象にA/Bテストや、セグメント別のテストマーケティングを実施されます。
この時点で、「メルマガ」とはKPIが異なってきます。実質的な来店やレベニューに影響を与える「メールマーケティング」の始まりです。

ここで共通している取り組みは、簡単に言えば「顧客を知ること」です。経験豊富なマーケターの方なら、テストマーケティングの結果に対して自身の経験値や勘から「やっぱり」と思う事もあるでしょう。
そこを実証し、形式値として自社のマーケティングに組み込んでいく事がとても大切です。
というのも、膨大なマーケティングデータを活用し、多くの顧客一人一人と向き合うにはチームで対応する事が不可欠です。個別業務の専門性も高まる中で、共通認識を持つことは大前提になるからです。

PDCAに捕われ過ぎない

もうひとつ、よくある課題が「PDCAを回せていない」です。
確かに「これからは○○○マーケティングだ」といくら言っても、現状でPDCAが回っていないのでは、それも一過性の流行で終わってしまいます。

ところで、PDCAって国内のコラムやビジネス書ではよく見かけますが、海外のマーケティング系ブログなんかではあまり見かけませんよね?私も詳しくはないのですが、もともとPDCAは生産管理や品質管理のフレームワークですので、定型のプロセスの効率化には最適な反面、不定形のミッションを具現化するには、あまり適していないのかなと思います。

前項でまずは「顧客を知ること」が大切だと書きましたが、ここを曖昧にしてPDCAを回してしまうと、業務効率化はできるかもしれませんが、顧客とのコミュニケーションを最大化する事は難しいのです。

「メールマーケティング」を進めるうえで、「顧客を知り」「顧客を主役とする」ことの大切さは説明しましたが、実際にMAのサービスを導入したり、専任の部隊を立ち上げたりする時には、企業として顧客とどういう関係を構築したいのか?を具体的に定義しておく必要があります。
購買促進や来店頻度向上など、最終的なKGIは「メルマガ」を送っている現状と同じかもしれませんが、目指すべき関係性によってアプローチとプロセスは異なってくるからです。

アプローチの手法やタイミングはPDCAで効率化していけますが、この「目指している関係性」だけはコロコロ変えるわけにはいきません。現状の課題解決から「メールマーケティング」に取り組むのではなく、顧客とのコミュニケーション設計を見直すところから始めましょう。

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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