通販サイトで有効なマーケティング戦略とは?成功のポイントやCRMを活用した事例も解説
通販サイトにおけるマーケティング戦略の実施時は、以下のプロセスごとで最適な施策を設計する意識が重要です。
- プロセス1:通販サイトへの新規集客
- プロセス2:集客したユーザーへの購入促進
- プロセス3:顧客のファン化
各プロセスの顧客に合わせたマーケティング戦略を実施することで、より効果的にターゲットへアプローチでき、最終的に自社通販サイトのファンになってもらえます。
プロセスごとで最適なマーケティング戦略を設計するには、CRMシステムの活用も検討しましょう。CRMシステムを活用することで、通販サイト内の顧客データを分析し、適切な施策を考える判断材料にできます。
本記事では、通販サイトにおける具体的なマーケティング戦略や成功させるポイント、CRMシステムを活用すべき理由などを解説します。
<目次>
通販マーケティングとは?
通販マーケティングとは、通販サイトの売上アップを目的として実施する戦略のことです。一言で「通販」といっても、以下のようにさまざまなチャネルが存在します。
- ECサイト
- テレビショッピング
- カタログ
- チラシ
- ラジオ
- DM
- 新聞広告
- 雑誌広告
店舗および対面販売以外における商品販売手法が「通販」という枠組みで呼ばれることが多いです。ちなみに通販の種類は、大きく以下の2つに分けられます。
- 総合通販:百貨店のようにさまざまな種類の商品を取り扱うタイプの通販サイト
- 単品通販:「家電」「地方名産品」「美容用品」など特定の商品を取り扱うタイプの通販サイト
通販手法の中でも、近年は「ECサイト」の市場規模が成長し続けています。経済産業省が2022年8月に発表したデータによると、日本国内のBtoC-EC市場は年々右肩上がりで成長しているとわかります。
年々規模が大きくなる市場において適切なマーケティング戦略を実施し、顧客の状態に合わせたアプローチを行いECサイトの売上を伸ばせれば、自社に大きな利益をもたらしてくれるでしょう。
通販のマーケティング戦略は3つのプロセスに分類できる
通販のマーケティング戦略は、大きく以下3つのプロセスに分類できます。
- プロセス1:通販サイトへの新規集客
- プロセス2:集客したユーザーへの購入促進
- プロセス3:顧客のファン化
それぞれのプロセスの内容を理解し、顧客の状態に合わせたマーケティング戦略を実施することが重要です。
プロセス1:通販サイトへの新規集客
通販サイトに限らず、ビジネスにおいて新規集客は必須です。
通販サイト内でどれだけよい商品を販売しても、そもそも集客できなければ売上は発生しません。新規集客を行うには、Web広告やコンテンツマーケティング、インフルエンサーマーケティング、SNS運用などを活用して認知を拡大し、実際に訪問してもらう仕組みの構築が重要です。
プロセス2:集客したユーザーへの購入促進
新規集客を行ったら、通販サイトの訪問ユーザーが商品を購入したくなるような施策を行います。
どれだけ通販サイトへの訪問者数が多くても、商品購入につながらなければ売上は発生しません。自社の認知拡大には役立っていますが、実際の利益を生み出せなければ通販サイトの意味は半減します。ランディングページの最適化(LPO)や問い合わせフォームの最適化(EFO)、サイト全体のUI/UX改善などを実施し、商品を購入したくなるようなマーケティング戦略の設計が大切です。
プロセス3:顧客のファン化
一度購入してくれた顧客にファン化してもらうことも重要です。
「新規顧客獲得には既存顧客フォローと比較して5倍のコストが必要」という1:5の法則からもわかるように、通販サイトに限らずビジネスでは新規顧客獲得に大きなコストがかかります。既存顧客であれば商品のよさをすでに知っているため、適切なフォローを提供しファンになってもらうことで、自社のコストを削減しつつ利益を生み出せます。
顧客がファン化するには、通販サイトの顧客情報をもとにメールマーケティングやリターゲティング広告配信などを実施し、ニーズに合わせた適切なフォローを実施することが重要です。
各ステップで有効なマーケティング戦略
通販サイトにおける適切なマーケティング戦略は、上記3つのプロセスごとで異なります。
通販サイトへの新規集客 |
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集客したユーザーへの購入促進 |
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顧客のファン化 |
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各プロセスの具体的なマーケティング戦略を確認し、自社通販サイトの状態に合わせた施策を実行しましょう。
新規集客に向けたマーケティング戦略
新規集客に向けた主なマーケティング戦略は以下の通りです。
- Web広告
- マス広告
- コンテンツマーケティング
- インフルエンサーマーケティング
- SNS運用
Web広告
Web広告とは、検索結果ページやSNSのタイムライン、サイトの記事内などインターネット上に出稿する広告のことです。Web広告には多くの種類があり、媒体によって閲覧する顧客層やターゲティング設定の精度、必要な費用などが異なるため、自社の通販サイトにマッチしたWeb広告への出稿が大切です。Web広告自体は比較的スピーディーに掲載できるため、自社ターゲットに合わせた媒体で効果的に出稿できれば、短期的な新規集客にもつなげられます。
Web広告の種類としては、主に以下があげられます。
リスティング広告 | GoogleやYahoo!などの検索結果画面に表示される広告。自社のターゲットが検索するであろうキーワードに狙って出稿できる。 |
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ディスプレイ広告 | Webサイトやアプリ上の定められた枠に出稿する広告。テキストだけでなく画像や動画と組み合わせて掲載できる。 |
SNS広告 | FacebookやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNS上に表示される広告。SNSごとでユーザー層が異なるため、自社通販サイトに合わせ適切な媒体を選ぶことで、効果的にターゲットにアプローチできる。 |
アフィリエイト広告 | アフィリエイターが持っているサイトやSNSなどに表示される広告。指定の成果が発生した場合に成果報酬として料金を支払うことが多い。 |
ネイティブ広告 | Webサイト内の他の記事と同じような形で表示される広告。他のコンテンツとの違和感がないため、ストレスを与えずクリックしてもらいやすい。 |
動画広告 | YouTubeなどの動画媒体において配信される広告。テキストだけでなく映像で自社サービスを紹介できるため、印象に残りやすい。 |
マス広告
マス広告とは、大規模な媒体を活用して大々的に出稿する広告のことです。代表的なものとして以下があげられます。
- テレビCM
- 新聞
- ラジオ
- 雑誌
不特定多数の新規顧客へ一気にアプローチできるため、幅広い世代に通販サイトを認知してもらい集客につなげるキッカケとなります。ただし、Web広告のような細かいターゲティングはできません。また、使う媒体が大きいため広告費用も膨らみます。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーへ有益情報を発信して価値を感じてもらい、自社の最終目標達成(今回であれば「通販サイトへの訪問」)に向けた導線を敷くマーケティング戦略です。コンテンツマーケティングの手法は、以下のように多岐にわたります。
オウンドメディア | 自社が所有するメディア内で、ターゲット層の悩みや不安、疑問を解消できる記事コンテンツを制作し発信する手法。SEOを意識して検索上位獲得を狙うことが多い。 |
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ホワイトペーパー | 商品の紹介や独自調査のレポート、導入事例、自社のノウハウなどをまとめた資料のこと。商品の理解を深めてもらったりユーザーに有益な情報を提供したりすることで、信頼を獲得して新規集客につなげられる。 |
プレスリリース | キャンペーン開催や新商品発売など、自社のタイミングに応じメディア関係者へ向けて情報を発信する手法。幅広いメディアやSNSで拡散してもらいやすい。 |
動画チャンネル | YouTubeやInstagramのリールなど、各SNSの動画を通じて有益情報を発信する手法。視覚と聴覚から訴求できるため、ユーザーの印象に残りやすい。 |
ウェビナー | オンライン上で実施するセミナーのこと。場所を問わず実施可能であり、自社が保有する有益情報を幅広い相手に発信できる。 |
コンテンツマーケティングでは、「ユーザーが求める情報は何か?」を考え長期的に高品質なコンテンツを積み重ねる必要があります。成果が出るまでに時間がかかるため、即座に新規集客へつながるものではありません。
しかし、時間をかけて高品質なコンテンツを積み重ねれば安定して集客できるようになり、継続的に新規顧客を呼び込める「資産」となります。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングとは、X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeなど各種SNSにおけるフォロワー数が多い「インフルエンサー」と協力して実施するマーケティング戦略のことです。インフルエンサーのSNSアカウント上でサイトを紹介してもらったり、コラボキャンペーンを行ったりして新規顧客へアプローチします。
インフルエンサーには多数の固定ファンが付いており、日頃の発信内容に共感しているフォロワーも多いです。そのため、固定ファンが付いているインフルエンサーに紹介してもらうことで、「この人がオススメしているなら使ってみたい!」というように、自社の通販サイトへ興味を持ってもらうキッカケを作れます。
SNS運用
SNS運用とは、X(旧Twitter)やInstagram、YouTubeなどのSNSアカウントを運用してフォロワーを獲得し、自社サイトの認知拡大や新規集客につなげるマーケティング戦略のことです。SNSであればプロフィールページ等に通販サイトのリンクを貼れるため、容易にサイトへ誘導できます。
フォロワーが増えるまでは一定の時間がかかるため、短期的な集客は難しいです。しかし、日々の発信をブラッシュアップして自社に興味を持つフォロワーが増えれば、ほぼコストをかけずに通販サイトへの新規集客につなげられます。また、フォロワーが通販サイトで購入した商品に満足し最終的にファン化すれば、自発的に自社の情報を発信してくれるようになるため、コストをかけずさらなる新規集客につなげられるでしょう。
購入促進に向けたマーケティング戦略
購入促進に向けた主なマーケティング戦略は以下の通りです。
- ツーステップマーケティング
- ランディングページ最適化(LPO)
- エントリーフォーム最適化(EFO)
- UI/UXの改善
ツーステップマーケティング
ツーステップマーケティングとは、初めて通販サイトを使う顧客に「初回割引」「試供品の提供」などを実施しサイトの使い勝手や商品のよさなどを実感してもらうことで、本格的な利用につなげるマーケティング戦略のことです。「トライアルキット」などと呼ばれることもあります。
顧客は気軽に通販サイトを体験してから本格利用するか検討できるため、「サイトの初回利用」までのハードルを下げられます。もし通販サイトのサービスや商品に満足してもらえれば、継続的な利用が期待できるでしょう。
ランディングページ最適化(LPO)
そもそも「ランディングページ(LP)」とは、通販サイトへの登録や商品購入など、自社が定めるゴール達成に向けて制作する縦長1ページのサイトのことです。キャッチコピーやデザイン、画像などを駆使してサイトや商品の魅力をアピールし、その1ページ内で自社が定めるゴールを達成できるような導線を敷きます。
LPはサイトを訪問した際に最初に表示されるページです。そのため、「商品やサイトの魅力が伝わらない」「自分の悩みを解消してくれるコンテンツだとわからない」などのLPでは、せっかくの訪問顧客が離脱してしまいます。
「ランディングページ最適化(LPO)」とは、このLPのデザインや文言、画像、全体の流れなどを見直して、自社が定めるゴールの達成確率を高める施策のことです。
エントリーフォーム最適化(EFO)
エントリーフォーム最適化(EFO)とは、登録フォームを改善して、購買意欲の高い顧客を逃さないようにする施策のことです。
顧客が通販サイトに辿り着いて目当ての商品を見つけたとしても、購入段階で以下のような不満を持ってしまうと、せっかくの新規顧客を逃してしまいます。
- 初回の会員登録が煩雑すぎて面倒に感じる
- どこから商品購入(または会員登録)をすればよいのかわからない
- 商品購入に必要な入力項目が多すぎる
- どこで入力ミスをしたのかわからない
せっかく顧客の気持ちが購入直前まで辿り着いても、フォームの段階で離脱されては意味がありません。こうしたビジネス上の機会損失を防ぐために、購買直前で離脱されないようなフォームを作成しましょう。
UI/UXの改善
「UI/UX」とは、それぞれ以下を指す言葉です。
- UI(ユーザーインターフェース):通販サイト内のデザインやテキスト、画像などユーザーの目に触れるすべての情報のこと
- UX(ユーザーエクスペリエンス):通販サイトの利用を通じてユーザーが得られる体験のこと
顧客が通販サイトまで辿り着いても、例えば「商品を検索しにくい」「どこにどの情報があるのかわからない」「デザインが見にくい」などで使い勝手が悪い(=UI/UXが悪い)場合、商品購入前に離脱する恐れがあります。快適にサイトを利用してもらいスムーズな購入を促すためにも、UI/UXの改善に取り組みましょう。
具体的なUI/UXの改善施策としては、例えば以下があげられます。
検索機能の充実 | 検索窓への入力に加えて、サイズ・価格帯・色・種類・利用シーンなど、顧客の細かいニーズに合わせて検索軸を絞り込めるようにする。 |
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レコメンド機能の導入 | 通販サイト内の購買履歴をもとに、「色違いの商品」「併用しやすい商品」などをオススメする機能を導入する。商品の利便性を高める提案をすることで顧客の満足度も高まり、単価向上も期待できる。 |
チャットボットの導入 | チャットボットを活用して、よくある質問に対しては瞬時に対応できるようにする。チャットボットのデータをもとに、通販サイトを改善することもできる。 |
カゴ落ち対策 | 「カゴ落ち」とは、カートに商品を入れたが購入前に離脱してしまうこと。離脱の原因を探り、購入までつなげられるよう改善する。 |
商品カテゴリーの整理 | サイト内の商品カテゴリーがわかりにくいと、どこにどの商品があるかを直感的に把握できず、使い勝手が悪くなる。 |
ソーシャルログインおよび決済機能の充実 | 「通販サイトに登録しなくてもソーシャルログインができる」「クレカ払いやLINE Payなど幅広い決済方法に対応する」などの決済機能が充実すれば、カゴ落ちを防ぐ有効的な手段になる。 |
ファン化に向けたマーケティング戦略
ファン化に向けた主なマーケティング戦略は以下の通りです。
- メールマーケティング
- リターゲティング広告
- クロスセル・アップセルの提案
- ポイント制度やクーポンの導入
- イベントやキャンペーンの実施
メールマーケティング
メールマーケティングとは、メールを活用して実施するマーケティング活動全般のことです。具体的には以下が該当します。
メルマガ | 基本的に全顧客に同じ情報のメールを配信すること。人気商品の紹介やキャンペーン、ユーザーの興味に合わせたコラムなどを配信する。 |
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ターゲティングメール | メルマガの登録者など、特定の属性を持つ顧客に限定して配信するメールのこと。年齢や性別、居住地、興味などの属性に応じて、それぞれにマッチした情報を配信する。 |
ステップメール | 「商品の初回購入」「資料請求」などのユーザー行動を起点とし、事前に設定したスケジュールに沿って、内容や情報を変えながら配信するメールのこと。適切なシナリオを設計して配信することで、ユーザーに自動でアプローチしつつ育成効果も期待できる。 |
シナリオメール | ステップメールと同様に、ユーザー行動を起点として事前に設定したメールを配信すること。シナリオメールでは、日付に加えてメールに対する反応(開封やクリック)やフォーム登録など、幅広いユーザー行動に合わせてメールを配信できる。 |
リターゲティングメール | ユーザーの特定の行動をトリガーとして配信するメールのこと。「解約手続きページを閲覧したユーザーに対し解約防止のために接触する」というように、解約を検討しているユーザーを思いとどまらせる効果も期待できる。 |
上記のように顧客の状態に合わせたメールを送信することで、適切な情報提供やフォローを実施でき、顧客の満足度を高めて継続的な利用を促せます。
メールマーケティングについては、合わせて以下の記事をご確認ください。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、一度通販サイトを訪問したユーザーに対し、別のサイト上で自社広告を表示するマーケティング戦略です。最初に解説したWeb広告の一種でもあります。リターゲティング広告を通じて再度接触することで、もう一度通販サイトへ訪問してもらえる可能性が高まるでしょう。また、リターゲティング広告を活用することで、例えば「購入商品を使い切りそうなタイミングで広告を配信する」というアプローチも実現できます。
クロスセル・アップセルの提案
通販サイト上にある購買履歴などを確認し、クロスセルで「併用すると便利な商品」をオススメしたり、アップセルによって「より高価で高機能な商品」を提案したりすることも有効です。上記で解説した「レコメンド機能の導入」と組み合わせても活用できます。
顧客の購買履歴に合わせて関連性が高い商品をオススメし、「具体的な併用方法」「より便利に使うコツ」なども提案できれば、満足度を高めて継続利用を促せます。
ポイント制度やクーポンの導入
通販サイトで使えるポイント制度やクーポンを導入することで、「リピートしたほうがお得」という意識を顧客に持ってもらえるため、継続利用につなげやすいです。具体的には以下のような制度が考えられます。
- 誕生日月限定クーポンを配信する
- 一定の購入金額ごとにポイントを付与する
- 「購入回数◯◯以上のお客様限定クーポン」を配信する
- 規定回数以上の顧客を「VIP会員」としてポイント還元率を高める
利用期限を設けると、よりポイントの消費を促して継続的な購入につなげられます。また、クーポン配信にあたっては、メールマーケティングと組み合わせて指定の顧客に配信することも可能です。
イベントやキャンペーンの実施
通販サイトの顧客情報を分析して、イベントやキャンペーンの実施に活かすことも可能です。例えば「◯回以上購入者限定の割引キャンペーン」などを定期的に開催できれば、継続利用の動機付けになります。さらに状況に合わせて、離脱客へ「再購入者向け割引キャンペーン」などを開催することで、休眠顧客の復活も狙えるでしょう。
通販サイトでマーケティング戦略を実施する際のポイント
通販サイトでマーケティング戦略を実施する際は、以下のポイントを押さえましょう。
- 成果が出るまで長期的な視点を持つ
- PDCAサイクルを回す
- マーケティング戦略は組み合わせて活用する
- 競合サイトとの差別化を意識する
- 顧客とのタッチポイントを増やして流入経路を複数用意する
成果が出るまで長期的な視点を持つ
マーケティング戦略は成果が出るまでに時間がかかることが多いです。確かにWeb広告出稿のように、比較的短期間で成果を出せる施策もあります。しかし基本的には、コンテンツマーケティングやSNS運用、UI/UXの改善など、長期的に運用しないと成果が出ているか判断できない施策がメインです。長期的な視点が必要な施策が多いため、焦らず地道に戦略の効果をチェックしていきましょう。
PDCAサイクルを回す
マーケティング戦略を実施したら、必ずPDCAサイクルを回しましょう。
上記で解説したように、マーケティング戦略を実施する際は長期的な視点が必要になる上、1回で成功することはほぼありません。当初の仮説と違う結果になることも多いでしょう。マーケティング戦略で想定した成果を出せなかった場合は、PDCAサイクルを回して改善箇所を把握し、次の施策に活かすことが大切です。
マーケティング戦略は組み合わせて活用する
マーケティング戦略は、単体ではなく組み合わせて活用することで最大限の効果を発揮します。
通販サイトでは、以下のプロセスに応じて適切なマーケティン戦略の実施が必要です。
- プロセス1:通販サイトへの新規集客
- プロセス2:集客したユーザーへの購入促進
- プロセス3:顧客のファン化
どのプロセスが抜けても、通販サイトで利益を生み出すことはできません。そのため、マーケティング戦略を単体で考えるのではなく、各プロセスを横断し組み合わせて活用することが大切です。
例えば、「長期的な集客の仕組みはコンテンツマーケティングで整備する。一方で、Web広告によって短期的な集客も行いツーステップマーケティングに必要な無料トライアルへつなぐ」などが考えられます。
このように、自社や顧客の状況に合わせてマーケティング戦略を組み合わせ、最も効果が期待できる施策を見つけましょう。
競合サイトとの差別化を意識する
通販サイトでは競合サイトとの差別化を意識することも大切です。
現在では楽天やAmazonなどの大手をはじめとして、さまざまな規模の通販サイトが存在します。専用プラットフォームを活用して、個人で立ち上げる方もいるでしょう。そうしたさまざまな通販サイトがある中で自社を選んでもらうには、競合より優れた差別化ポイントが必要です。
通販サイトにおける差別化の検討ポイントとして、例えば以下があげられます。
- 取り扱う商品の種類
- 価格
- サイト全体のデザイン
- サイトの使い勝手
- 購入時のラッピング
- 購入後のフォロー
- ポイント制度
上記のようなポイントを意識して、競合通販サイトにはない差別化を生み出しましょう。
顧客とのタッチポイントを増やして流入経路を複数用意する
通販サイトへの流入を増やすには、顧客とのタッチポイントを複数用意することが大切です。
タッチポイントとは、企業と顧客の間にある接点のことです。以下のように、オンライン・オフラインを問わずさまざまなタッチポイントが存在します。
- 企業のSNSアカウントをフォローして通販サイトの情報を受け取る
- 顧客がWeb広告をクリックして自社サイトを認知する
- 通販サイトに関するチラシを受け取る
- 商品についての疑問点を問い合わせフォームから質問する
サイトへの新規集客を増やすには、上記のタッチポイントを増やして認知される門戸を広げることが大切です。
マーケティング戦略を実施するには「顧客データの分析や活用」が最重要!
上記のように、通販サイトでは「新規集客・購入・ファン化」という顧客のフェーズに合わせたマーケティング戦略が必要です。マーケティング戦略にはさまざまな施策があるため、通販サイトとの相性やターゲット層、売上に与えるインパクトの大きさなどを考慮し、最適なものを選びましょう。
実際に各フェーズに合わせた戦略を実施するには、通販サイトに蓄積した顧客情報の活用が必要です。データをチェックし顧客の状態を正しく把握することで、それぞれに合わせた適切な施策や提案につなげられます。
自社だけで顧客データを分析して戦略立案までつなげるハードルは高い
通販サイトでマーケティング戦略を実施するには、データを分析して顧客の状態を把握し、適切にアプローチできる施策の立案が必要です。とはいえ、自社の顧客データを活かしてマーケティング戦略の立案につなげるのは、簡単なことではありません。
まず、通販サイトの規模が大きくなり管理する情報量も増えれば、各顧客の現状把握はより難しくなります。とくに通販サイトでは、蓄積データの軸が「販売履歴」に寄りがちなため、顧客視点での情報分析は難しいケースが多いです。もちろん、販売履歴もマーケティング戦略の立案に必要な要素です。しかし「顧客の状態に合わせた施策を策定する」という前提に立つと、やはり「顧客」を軸にしたデータ管理が重要になります。こうした「データの量が膨大+蓄積データの軸が販売履歴」という状態では、適切なマーケティング戦略の立案はより難しくなるでしょう。
さらに、自社にマーケティングの知見が少ない状態で、効果的な施策を考えるハードルも高いです。専門知識がない状態で、具体的に「どんな情報を・どのように分析して・どうやって施策に落とし込むのか?」という部分まで踏み込んで考えるのは難しいでしょう。仮に自社で定めた戦略があったとしても「実装するための技術やリソースがない」というケースもあります。
このように、自社が持つ現状の環境だけで、マーケティング戦略の立案までつなげるのは難しいことが多いです。蓄積データの軸が「販売履歴」に寄っていることも、戦略立案のハードルを上げる要因となっています。施策の立案までつなげるのであれば、「顧客」を軸にデータを蓄積した上で、踏み込んだマーケティング戦略を実現できる機能を組み込んだシステムの導入が必要です。
顧客データをマーケティング戦略に活かすには「CRMシステム」が有効!
通販サイトの顧客データをマーケティング戦略に活かすのであれば、CRMシステムの導入も検討しましょう。CRMシステムとは、自社通販サイトなどに蓄積されている顧客データを管理・分析し、状態に合わせた最適なアプローチを行うことで、顧客との関係性を強化するシステムのことです。
CRMシステムを活用することで、通販サイトの購入履歴や顧客を軸とした情報(属性データ・問い合わせ内容・リピート回数・クーポンの利用回数など)を継続的に蓄積できるため、分析しやすい環境を整え、顧客に合わせた最適なマーケティング戦略を立案できます。
さらに、自社で考えた施策を実行するための機能も搭載されていることが多いです。例えば「通販サイトに初回登録した日を起点にしてステップメールを配信したい」という希望があれば、CRMシステム内のメール配信機能で実現できます。
弊社が提供している「Synergy!」でも、顧客情報を収集してマーケティング戦略立案に活かすための機能が備わっています。上記のステップメール配信はもちろん、顧客軸となるようデータベースの管理項目をカスタマイズしたり、通販サイトからの問い合わせを管理したりすることなども可能です。
具体的な導入のメリットや成功させるポイントなどについては、合わせて以下の記事をご確認ください。
さらに弊社では、通販特化型のメールマーケティング支援「Synergy! +1 Method」も提供しています。こちらは、メールマーケティングに課題を感じる通販サイト運営者に特化した3か月のコンサルティングプランです。メールマーケティングの基礎から運用設計まで行い、最終的に内製化できるように手厚くサポートしていきます。
詳しいプラン内容については、以下の記事をご確認ください。
Synergy!を活用したEC/通販特化型メールマーケティング支援プラン「Synergy! +1 Method」の提供開始
「Synergy!」を通販サイトのマーケティング戦略に活用した事例
通販サイトのマーケティング戦略に「Synergy!」を活用した事例として、今回は株式会社ダブルエー様を紹介します。同社は「ORiental TRaffic」をはじめとするレディースシューズの製造および販売を行う企業です。
同社はこれまでも、ECサイトのユーザビリティを高めるために多くの施策に取り組んでいました。
- 2014年:相互送客の取り組みをスタートさせることで、店舗とECで分かれていたコミュニケーション施策を絡めて活用する(店舗の顧客にECサイトの福袋情報を送信するなど)
- 2015年:EC基盤を変更する
- 2016年:Web接客ツールを導入する
しかし「顧客へのコミュニケーションチャネルがメール1本」という点に、危機感を抱くようになります。同社のメルマガ開封率は平均30%を超えており、確かに売上への貢献度は高いです。しかし売上をさらに伸ばすために、次の打ち手として「メールを読む文化がない顧客層に向けてチャネルを変えてアプローチする」という施策に取り組みます。
この施策で実施したマーケティング戦略が「Facebookコレクション広告の運用」です。「Synergy!」に蓄積していた顧客データを以下のようにセグメント分けし、それぞれ異なる目的を設定して広告運用を開始します。
今回の広告配信対象は既存顧客であるため、認知ではなく購買促進が目的です。そこで、Facebook上でカタログのように商品を閲覧可能であり「商品を見つけて購入に至る割合がバナーよりも高い」と予想できるコレクション広告が選ばれました。
結果、1か月の出稿期間で「合計購入数246件(EC会員213件・店舗会員33件)」という成果を残します。ROASは750%を超えており、費用対効果も高いです。
さらに、配信リストをCRMデータに基づいてセグメンテーションしたことで、他にも多くの仮説を立てることに成功します。
▼事実と仮説
最終購入からの期間が短いほど低い単価でEC会員を獲得できている | クーポンの出し分けなどセグメントごとに訴求方法を変えることで、直近で購買した顧客に対して再購入を誘引できるのではないか? |
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EC会員の中でも、セグメントによってCPAが高騰するタイミングが異なる | 休眠化を防ぐタイミングも各顧客で異なる。そのため「半年以上経過している顧客に絞った休眠の掘り起こし施策の実施」などが有効ではないか? |
店舗会員への配信結果は、全体的にEC会員よりCPAが高いが許容CPA内。CVも33件出ている | 店舗からECサイトへの送客施策として活用できるのではないか?とくに店舗会員数が最も多炒め、店舗からECサイトへの送客施策に取り組むことでECサイトの売上アップに貢献できるのではないか? |
このように同社は、「Synergy!」に蓄積した顧客データを活用することで、Facebook広告運用や休眠顧客の再購入誘引など、幅広い施策に落とし込むことに成功しました。
株式会社ダブルエー様の事例詳細については以下の記事をご確認ください。
通販サイトのマーケティング戦略を実行するためにCRMシステムを活用しよう
通販サイトでは「新規集客→購入→ファン化」というプロセスに合わせて、マーケティング戦略を実行することが大切です。各プロセスの顧客状態に合わせた戦略を実施することで、効果的にアプローチを行い自社通販サイトの利益へつなげられます。効果的にマーケティング戦略を実行するには、通販サイトに蓄積した顧客情報を分析して、その結果を施策に反映させることが大切です。
顧客情報を分析してマーケティング戦略に活かすには、CRMシステムの導入も検討しましょう。CRMシステムを導入し「顧客」を軸とした情報を分析することで、よりターゲットの状態に合わせたマーケティング戦略の立案につなげられます。
弊社では、顧客を軸として情報管理ができるだけでなく、具体的なマーケティング戦略の実施に必要な機能を備えたCRMシステム「Synergy!」を提供しています。ぜひ以下のフォームから資料をダウンロードして、具体的な製品機能をご確認ください。
伝えたいマーケティングメッセージを、お客様にきちんと届けるために。
統合顧客管理(CRM)システム「Synergy!」
関連情報
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。