EC売上アップに役立つ!CRMの基本【コミュニケーション編】
※本記事は講師として登壇したセミナーの内容をブログ用に再構成したものです
前編にあたる「EC売上アップに役立つ!CRMの基本【データ活用編】」では
- 「CRM」とは「顧客との中長期的な関係性を築き、ロイヤルティーの向上や売上/利益の拡大を目指す思想や戦略」を意味していること
- 多くのEC事業社様では新規集客のための広告施策への投資を行っているにもかかわらず、「CRM≒中長期的な目線」が漏れているがゆえに定着化が進まず、売上や利益の成長が遅れてしまっていること
- データ活用を元にした現状把握がCRMを推進していくための土台となること
についてお話ししました。前編の内容はCRMを考えるうえでの土台です。しかし実際に施策としてアクションを起こさない限り、状況は何も変化していきません。そこで後編では、CRM施策の中心となる「コミュニケーション」について考えていきます。
「コミュニケーション」とは
本記事の「コミュニケーション」とは「企業から顧客にメッセージを届けること」全般を指す言葉として用いています。企業からの情報発信を「プロモーション」ではなく「コミュニケーション」と表している理由を先にご説明しておきます。プロモーションとコミュニケーションの一番の違いは、コミュニケーションという言葉には双方向性が存在していることです。
※Wikipediaによるとコミュニケーションとは「社会生活を営む人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達のこと(Wikipediaから引用)」、プロモーションは「提供する商品やサービスを、その特長も含めて一般大衆に知ってもらおうとする活動(Wikipediaから引用)」のことを指します。
米国の調査会社IDCによると、国際的なデータ量は2000年から2020年までに約6,667倍になるとされています(下図「世界のデジタルデータ量の増加予測」参照)。
大量の情報が世に流通するなかで、企業からの情報もただ伝えたい情報を発信(プロモーション)しているだけでは埋もれてしまい、顧客に届けていくことができません。今、企業には単なる情報発信ではなく「顧客が必要としていることが何かを理解したうえで、その情報を伝えること」が求められています。だからこそ企業からの情報発信も「コミュニケーション」と捉え、取り組むことが必要だと考えています。
出典:総務省「ICTコトづくり検討会議」報告書をもとにシナジーマーケティングが作成
「コミュニケーション」にむけた4つのポイント
「コミュニケーション」には顧客との双方向性が存在していることを前章で説明しました。
そうしたコミュニケーションを実施する際に基本となるポイントは4つです。
- Who(誰に伝えるのか)
- When(どのタイミングで伝えるのか)
- What(何を伝えるのか)
- How(どのように伝えるのか)
例えば「ポイントを持っていてお得に買えるのにもうすぐ失効しそうな人(Who)に、ポイントが失効してしまう前(When)にお伝えして使い忘れを防ぐ(What)ようにする」、「会員登録してくださった人(Who)は正しい使い方がわからず不安かもしれない(What)から、まず登録直後(When)にECの使い方(What)をご案内しよう」、「秋(When)は乾燥の季節で悩んでいる人(Who)も多いはずだから、肌ケアで気をつけるべきこと(What)を紹介しよう」など、まずはWho、When、Whatの3つのポイントを押さえることが重要です。
そしてその後、How(どのように伝えるか)を考えていくと、顧客との双方向性のあるコミュニケーションメッセージが生まれていきます。
こうした4つは改めてあげてみると当たり前なことなのですが、実はうまく回っていないケースをよく目にします。企業内での4つのポイントでの共通認識がないため目線がバラバラになっており、結果、伝わらない「一方通行のプロモーション」になってしまっているのです。そうした事態を防ぐため、弊社がコミュニケーションについて考えるときにはペルソナやカスタマージャーニーマップなどを用意して、顧客が期待していること/望んでいること/悩んでいることを考え、どういうメッセージングを好むのか、整理して考えることが多いです。
また気候や季節性のイベントなどから「いつ=When」と「なに=What」を捉えて年間を通じたコミュニケーションを設計していきます。
【コミュニケーション設計シートイメージ(化粧品ECのケース)】
マルチチャネルのコミュニケーション設計で情報を届ける
そして、4つのポイントに加え、最近ますます重要になってきているのが、
- Where(どのチャネルでメッセージングするのか)
です。人の価値観や生活は多様化し、人々は多くの選択肢を持っています。企業からのメッセージを受け取ってくれるチャネルというのも、人によって異なってきています。
ECにおいて、「コミュニケーション」を行うチャネルの筆頭がEメールです。この大きな理由としては
- ECでは顧客の場合、メールアドレスを100%(に近い形で)保有していること
- 今もなおメールの効果は高い=メッセージが届く可能性が高いこと
があげられます。1については言うまでもないと思いますが、2については疑問を持たれる方もいるのではないでしょうか。本当にメールの効果が高いのかという疑問については、下記の事例をみていただけるとご理解いただけると思います。
▼若者向けのレディースシューズを提供しているECの事例
- メールの開封率は平均20~30%程度
- EC売上全体の20%近くがメール経由
この事例のようにメールは今も効果が高いチャネルであり、他の多くの企業様においてもメールの活用は進んでいます。
ですが、この章の冒頭でお伝えした通り、ユーザーが企業からのメッセージを受け取るチャネルはひとつではありません。メールのコミュニケーションだけで事足りるかというと、それだけでは不十分になってきました。なぜなら、メール受信を許可していない人もいれば、許可していても読んでいない人もいるからです。
例えば
という状況で、総会員数が10万人だった場合
100,000人中の94,000人、90%以上の顧客には情報を届けることができていないということになります。
現在、例えば上記のようにSNS、LINE、アプリといったチャネルではメールと同様、既存顧客とのコミュニケーションの仕組みを作ることができるようになっています。どれかひとつ、ではなく掛け合わせて活用していくことで、コミュニケーションとしての価値最大化をはかることができるのです。
※メールとアプリを掛け合わせた事例:福岡ソフトバンクホークス
※メールとSNSを掛け合わせた事例 :株式会社ダブルエー
まとめ
- 「顧客が必要としていることを理解して情報を届けるという顧客とのコミュニケーション」はCRM施策の中心である
- 「顧客とのコミュニケーション」を実施するときには以下の4つの軸で考える必要がある
- Who(誰に伝えるのか)
- When(どのタイミングで伝えるのか)
- What(何を伝えるのか)
- How(どのように伝えるのか)
- 上記に加え、Where(どこで伝えるのか:メールという代表的なチャネルだけではなく、LINEやアプリなどマルチチャネルで検討していくこと)が今後重要になる
シナジーマーケティングではこうしたマルチチャネルで「顧客とのコミュニケーション」を実現するプラットフォーム、Synergy!を提供しております。「どのように取り組んでいけばいいのかわからない」、「今のツールだと役不足だと感じている」といった場合、ぜひご相談いただければと思います。また、CRM導入についてもっと詳しく知りたい方は「CRM導入のメリットとは?デメリットや選び方も併せて解説」の記事もぜひ参考にしてみてください。
EC売上アップに役立つ!CRMの基本
- EC売上アップに役立つ!CRMの基本【データ活用編】
- EC売上アップに役立つ!CRMの基本【コミュニケーション編】(本記事です)
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。