メルマガ実例を添削して解説!セールではないときのメールには何が必要?
~ディスカウント通販の場合~
この記事では、いくつかの企業の方に提供いただいた題材で公開添削を実施しています。前回は、高級串揚げを取り扱うオンラインショップのメールマガジンを添削し、解説しました。
今回は、靴を中心としたディスカウント通販のメールマガジンです。リアルな企業の原稿を、どのように添削するのか?ぜひ記事上でご体感ください。
<目次>
実例:靴を中心としたディスカウント通販の場合
<企業概要>
- 会社名:A社(仮名)
- 業種・業態:通信販売・アパレル(靴を中心としたディスカウント通販を展開)
<メール概要>
「春のスニーカーをお勧めするメール(春スニーカー)」
- 目的:お客様にお得・旬な情報をお届けすること
- 対象者:オンラインショップでの購入者、メールマガジン登録者
- ターゲット:30~40代の主婦
- 配信タイミング:2月28日
「セール情報に比べて、通常の商品お勧めメールの反応が良くないことが悩みです」というA社様。冬のセール情報メールに比べてクリック率約40%減。受注率は約60%減とのことです。
<春スニーカー原稿>
※参考:冬のセール情報メール(冬セール)
【添削ポイント1】ターゲットと目的の設定が最重要!
A社さんも、まずは「ターゲット」と「目的」について見てみましょう。
ターゲット:「30~40代の主婦」
「30~40代の主婦」について、さらに具体的にイメージできる詳細な設定を決められると、ターゲットが求めていることが明確になり、どんな情報を届けるべきかの判断ができます。「30~40代の主婦」といっても、家族構成/世帯年収/住んでいる地域/ライフスタイルによって価値観はさまざまです。
A社様の商品が「30~40代の主婦」の中でどのようなお客様に支持されているのかを、個々が頭の中でイメージするだけでなく、関係者全員で「見える化」してみることをおすすめしています。(前編の神戸ファインフーズ様のようなペルソナづくりがおすすめです)
目的:「お客様にお得・旬な情報をお届けする」
目的と目標にズレがあるように見受けられました。
「お客様にお得・旬な情報をお届けする」という目的に対し、お悩みは「セール情報に比べて通常の商品お勧めメールの反応が良くない」とのことで、目標を「購買率」もしくは「クリック率」にされているのではないかと見受けられます。目的を深掘りして、明確にされたほうが良さそうですね。
- 「お届けする」のが目的なら
→ 主な目標は「到達率」 - 「読んでいただく」が目的なら
→ 主な目標は「開封率」(ただし、テキストメールの場合計測ができませんので、クリック率を指標にします) - 「サイトに誘導する」が目的なら
→ 主な目標は「クリック率」 - 「購入いただく」が目的なら
→ 主な目標は「購買率」
※こちらの記事も参考になります
メルマガ担当者は知っておきたい目的と目標の違い
「セール情報メール(冬セール)」と「通常の商品お勧めメール(春スニーカー)」では目的が異なりませんか?
冬セールは「すぐに購入いただく」が目的になるかと思いますが、春スニーカーは「興味喚起/購買意欲の喚起」を目的にしてはいかがでしょうか。そうなると、目標は「開封率」が最適ですね(※テキストメールの場合は「クリック率」に)。
「あ!新しい靴ほしいな!」「そういえば、今の靴古くなってきたな…」という気持ちを喚起することに重点を置くのです。多くの人は、ずっと靴のことを考えているわけではありませんので、購入の前に「興味喚起/購買意欲の喚起」が必要です。
「興味喚起/購買意欲の喚起」のフックの一つは「安さ(商品のスペック)」ですが、セールでないと誰も興味が沸かないのか/欲しくならないのかといえば、そうではありません。安さ以外にも靴に興味を持つ/欲しくなることはあります。
- 新しい季節になった
- 今の靴が古くなった
- 新しい機能の靴が必要になった
- 新しいトレンドが気になる
- 新しい服に合わせて靴も新調したい など
上記のような「安さ(商品のスペック)」以外のフックを、通常のメールのテーマにしてみると良さそうです。
例:春の新生活に用意したい靴とは?新しい環境でこんなときに必要な靴はコレ!
例:靴の買い替えサインを教えます!見た目/流行/サイズ/靴底etc
例:今トレンドのファッション、靴下と靴の合わせ方
例:いち早く知りたい!春のファッショントレンドにぴったりな靴
新しい情報・発見のある情報を提供できれば、おのずと「興味喚起/購買意欲の喚起」につなげることができます。文章の上手下手や、センスのある表現、見映えのする装飾だけで変化を与えようとするのではなく、目的を見直すことで、取るべきコミュニケーションが見えてきますね。
【添削ポイント2】原稿を細かく見ていきましょう
1)タイミングに合うテーマを考える
配信日は2月28日。まだまだ世間が冬のため「春の靴の売れ筋ランキング」というところに少し違和感がありました。
2月の配信では「春の靴のランキング」ではなく「トレンドがまとめてわかる!春の靴をいち早くチェック!」のように、先取り感のあるテーマが適しているのではないでしょうか?
2)テーマと紹介したい商品のつながりを考える(テーマの統一感)
原稿内には「レディース」「キッズ」と商品の紹介がありますが、テーマに「親子で」というニュアンスを足すと、原稿にテーマの統一感が出ます。
テーマ
「親子で靴に春を取り入れよう♪トレンドがまとめてわかる!春の靴をいち早くチェック!」
本文の流れ
- まだ寒いけど、春は一気にやってくる!足元から春を取り入れましょう
- ママの靴:春のトレンドを一覧でチェックできます。スニーカーブームはまだまだ続く!
- 子どもの靴:サイズアウトしていませんか?汚れていませんか?進級や進学は、足元から新しく!
個々の靴を売るより「春に足元を新しくすること」にまず興味を持っていただくため、トレンドや衣替えについて、本文内でしっかり語ります。興味を持っていただき、春のスニーカー一覧ページへ遷移していただくことを狙いましょう。個々の商品の紹介やURLは控えます。
3)見映えのブラッシュアップ
ポイントはスマートフォンへの最適化です。A社様の原稿はスマートフォンでご覧になる方が多いのではないでしょうか。今の原稿もスマートフォンを意識されていると見受けられますが、大切なことが見落とされているかもしれません。
それは「スマートフォンは端末や設定によって一行の文字数が異なる」ということです。センター揃えを意識していても、そう見えない端末もあります。そのため「タイトルも全て左揃えにする」「囲う装飾は控える」ということが大切です。
文頭は左揃えに
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以下のような囲う装飾は控える
┏……………CHECK!……………┓
┗……………CHECK!……………┛
4)ターゲットが好みそうなワードを散りばめて書いてみる
下記のように、目を引くワードを考えられるだけ挙げていきます。ざっと文章を書いた後に、これらのワードと見比べて、一つ一つ、言葉を吟味し、修正していきます。
ベースになるワード:
日常/プチプラ/すぐ/気軽に/トレンド/リーズナブル/激安/ディスカウント/サイズアウト
春ならではのワード:
新しく/爽やか/軽やか/春
5)件名を見直す
「春」「親子」を意識した、より具体的なものにします。
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6)プリヘッダーは、件名より少し具体的に
件名より少し具体的に、どのような商品があるのかをわかるようにする、というのは元の案と同じです。セールとは異なり、安さメインの件名にしていないため、価格の訴求を弱め、春らしさを感じるものにしました。
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私が考える改善案を書いてみました
<改善案のポイント>
1)編集方針
まだまだ世間が冬のため先取り感のあるテーマに。また「レディース」「キッズ」の商品紹介なので、「親子で」というニュアンスを足して、原稿にテーマの統一感を出しました。
「親子で靴に春を取り入れよう♪トレンドがまとめてわかる!春の靴をいち早くチェック!」
2)流れ
トレンドや衣替えについて、本文内でしっかり語ります。
まだ寒いけど、春は一気にやってくる!足元から春を取り入れましょう
↓
ママの靴のトレンド
↓
子どもの靴をチェック
3)装飾
スマートフォンで見やすいよう、左揃えの装飾にしています。今回はラインで区切っただけなのですが、「左揃え」をルールに他の装飾もお試しいただくと良いと思います。
4)トーン
楽しく、明るいトーンは変更していません。商品紹介がくどくならないように、という点は意識しました。
5)情報のボリューム
興味喚起を目的に、以下のような「へえ~そうなんだ」「ほしいな!」「いいね!」と言っていただける情報を提供するとで、徐々にメールを楽しみにしてくださる方が増えると期待できます。
- 春に新しい靴を取り入れようというメッセージ
- 春のトレンドについて
- 子どもの靴のチェックポイント
お客様像を明確にし、その方に喜んでいただけるノウハウや情報を積極的に提供していってくださいね!
☆担当者さまから添削の感想をいただきました
アドバイスをいただきありがとうございます。
仰る通り、弊社のメルマガでは「目的」の設定が曖昧でした。これまで「すぐ購入」「興味喚起」かを考えていましたが、「クリック率」と「購買率」どちらを上げるのかという点は、あまり深堀りできていませんでした。今後はKPIを再確認し、検討していきます。
また、「安さ」以外のフック訴求にも力を入れていくことで、お客様により適切な情報をお届けしていきたいと思います。
メールはGive and Takeです。読み手に気づきを与える情報をGiveできていますか?
さて、添削ビフォー・アフターはいかがでしたでしょうか。もっともっとお伝えしたいポイントがたくさんあるのですが、添削というのはキリがないもので今回の記事ではここまでにしたいと思います。
「買って欲しい」「読んで欲しい」という思いが強すぎると、相手に行動を求めるだけのTakeオンリーな原稿になってしまいがちです。コミュニケーションはGive and Take。相手が求める情報や、相手にとって発見になる情報を提供する(Give)ことを大切にしましょう。
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