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【宿泊予約:昨対200%】志賀高原の会員組織「CLUB SHIGA KOGEN」の観光CRMが生み出した2年目の成果とは(事例インタビュー)

【宿泊予約:昨対200%】志賀高原の会員組織「CLUB SHIGA KOGEN」の観光CRMが生み出した2年目の成果とは(事例インタビュー)

左:志賀高原観光協会 大島氏 右:シナジーマーケティング 篠原(取材は2024/2/22に実施)

日本有数の観光地として知られる志賀高原(長野県)。集客を旅行代理店やオンラインの旅行予約サイト(OTA)に依存しないことで、客単価や収益率を改善することを目的とし、2022年に志賀高原観光協会が中心となり「志賀高原観光DX推進コンソーシアム」を組成。現在進行形で、志賀高原公式サイトを中心としたDX化による実証事業に取り組んでいます。
前回のインタビューでは、脱OTAを目的とした自社宿泊予約システムやWeb広告の改善を実施、デジタルでの観光CRMにも着手した1年目(2022年度)の様子をレポート。そして第2回の今回は、前回に立ち上げた会員組織のその後(2023年度)や実施した観光CRM施策を深掘り、また3年目(2024年度)の展望についても伺いました。

【1】「CLUB SHIGA KOGEN」は、昨対200%の要因のひとつになっている

前回のインタビュー

篠原 前回のインタビューは、まだ志賀高原公式サイトや宿泊予約システム(直販ページ)がリニューアルしたばかり、「CLUB SHIGA KOGEN」も立ち上げたばかりの頃でしたね。ちょうど去年の今頃(2月)でした。

大島氏 そうですね。あれからもう1年経ったのか……。

篠原 前回でもすでに、立ち上げたばかりにも関わらず、メールで開封率が70%以上出たり、アンケートでもNPSスコア31超えたり……、と驚異的な結果を出しておられましたよね。2023年度はまだ終わっていませんが、あれから1年振り返ってみてどうでしたか?

大島氏 2023年度は、志賀高原公式サイトや宿泊予約システム(直販ページ)からの予約実績が非常に良かったです。特にトップシーズンの2月は昨対で200%増という結果でした。サイトや予約システムのリニューアルの影響もあるとは思いますが、シナジーさんと一緒にやっている「CLUB SHIGA KOGEN」の制度ができたことが利用率向上の大きな要因になっています。特に、会員限定のバッジ。つい先日なんて、電話で宿に空きを確認してからわざわざ「宿泊バッジがほしいので直販ページの在庫を開放してほしい」というお問い合わせがあったんですよ。

篠原 「CLUB SHIGA KOGEN」では、宿泊予約システム(直販ページ)から予約をした人だけに付与される宿泊バッジがありますが、それを目当てに……ということですか?

大島氏 そうです。前回にもお話ししましたが、本当にありがたいことに志賀高原を愛してくださるお客様の熱量はすごいんです。

篠原 いつも想像を超える反応があるので、毎回我々も驚いています。ちなみに今年はバッジ以外に、クーポンや、グリーンシーズンのご案内をメールで送ったりもしましたね。

大島氏 志賀高原は、冬はスキー・スノーボード、春・夏・秋はレジャーや避暑地として、また紅葉も楽しめる国立公園です。だから、ウインターシーズンに会員登録してくださったお客様へグリーンシーズンの魅力をお伝えすることは、リピートを促す意味でも、志賀高原の魅力をもっと知ってもらうためにもとても大切なこと。なので、会員様向けのメールは来年も続ける予定です。

篠原 お年玉クーポンも反応が良かったですね。

大島氏 そうそう。あと、やっぱり1番大きかったのは「CLUB SHIGA KOGEN」を一般向けにも開放したことかな。

【2】成果①:会員数がウインターシーズンの5か月で4000人増!

志賀高原観光協会 大島氏

篠原 2022年度は【宿泊予約システム(直販ページ)から予約をした人のみ】がCLUB SHIGA KOGENに入会できる形で運用をしていましたが、2023年度はそれを11月から【誰でも登録できる】ように進化させましたよね。我々は前者を「宿泊会員」、後者を「一般会員」と呼んでいますが。

大島氏 そうですね。一般会員さんの募集開始は、ウインターシーズン(11~3月)に合わせて2023年の11月から開始しました。その時点では1000名前後だった会員数が、今日(2024/2/22)時点で4419名を超えています。正直、3000人くらいいけばいいかな?と思っていたので、驚きでした。(4月初旬には5000名超に)

篠原 本当にうれしいかぎりです。宿泊会員と一般会員の比率は?

大島氏 ざっと見た感じ、宿泊会員と一般会員の比率は半々くらいです。4419名のうち、1番多いのが宿泊会員(2123/4419:全体の約48%)。次が、公式サイト経由の一般会員(1614/4419:全体の約37%)、その次にポスター・チラシ経由の一般会員(682/4419:全体の約15%)。

篠原 CRMでは、その対象になる母数が増えれば増えるほど反応も大きくなるので、これは2024年度のグリーンシーズンやウインターシーズンへの布石にもなりますね。2022年度は宿泊会員にしかなれなかったわけなので、一般会員は実質この3か月の募集だけにもかかわらず、今日時点で全体の半数もいるというのもすごい。ここにも引き上げの可能性がありますし。観光協会の会員でもある宿泊事業者様からの反応はいかがでしたか?

志賀高原公式サイトのトップページや、施設内の目立つところにポスターを掲載し、会員登録を促した

大島氏 一般会員を募集し始めてから、関連施設の目に付きやすいところに「CLUB SHIGA KOGEN」の会員募集ポスターを掲載しました。同じように宿泊事業者様にも施設内で告知していただいているので、宿泊されたお客様がその場でご登録いただくことも多いようです。なので、ポスター・チラシ経由の一般会員も全体の一定数はいる。その際、現地で解決できないお困りごとの解決方法について宿泊事業者からいくつか観光協会まで問い合わせがありましたが、事業者さんのご協力のおかげで大きなトラブルもなく対応いただけました。本当にありがたいです。

【3】成果②:現地でしか利用できない期間限定クーポンでも1か月で着券数100件以上

CLUB SHIGA KOGENの会員限定マイページで、クーポンやバッジを掲載

大島氏 事業者さんのご協力もあり、ずっとやりたかった会員向けクーポンも実施できました。お年玉クーポンです。1月5日から始めたこの期間限定のクーポンにも、開始1か月ほどですでに着券数が100件以上もあり、想像を上回る反応でした。

篠原 事業者さんからはどんな反応がありましたか?

大島氏 概ね好評でした。参加いただけなかった事業者さんからも「次はうちも参加したい」という声もいただけた。ただし、告知タイミングの改善は必要かな。今回のお年玉クーポンでは、多くの会員様にご活用いただけるよう早め(利用開始期間前)に告知をしたのですが、そのことで告知当日からクーポンが利用可能だと勘違いされるお客様が数名出てしまった。

篠原 クーポンの内容やその伝え方にもさらに工夫が必要ということですね。

大島氏 早めに告知をしても、いつから使えるかをもっと強めに表現できていれば誤解は避けられたかもしれませんし、今回のことを教訓に工夫していきたい。定例会で今後もいろいろご意見ください。

【4】成果③:たった3か月で一般会員から宿泊会員への引き上げ数が207名も

シナジーマーケティング株式会社 篠原

篠原 2023年11月に「CLUB SHIGA KOGEN」の一般会員を募集開始し会員数が急増しましたが、今日までの約3か月の間に一般会員から宿泊会員になられた方はどれくらいいらっしゃいましたか?

大島氏 引き上げるために意識的に何かをしているつもりはなかったんですが、この冬だけで200名以上もありました。

篠原 え、11月から2月の3か月だけでそんなに?!

大島氏 はい。この一般会員が宿泊会員になった流れってすごく理想ですよね。我々が2022年度からやってきた観光DXの目標「脱OTA(オンラインの旅行予約サイト)」が、「CLUB SHIGA KOGEN」を運営することで自然と実現できているので驚いています。

篠原 3か月の数字としては本当に驚きです。我々からも一般会員から宿泊会員への引き上げメール企画をご提案はしていたものの、まだ2023年度はできていない状態だった(2024年度に実施予定)ので、やれていたのは会員組織運営のキホンのキだけですよね。

大島氏 一般会員・宿泊会員という呼び方もお客様側に公開しているものでもないですし、現状、シナジーさんが提供してくださっている観光CRMの機能を使って、デジタル会員証や宿泊者向けバッジ、クーポンなどを用意して、たまにメールを送るくらいです。それでリピートと利益増につながっている。何名の会員さんが宿泊会員化したのかも数字で見えるので、より実感がわきます。

篠原 2024年度からさらに積極的に引き上げ施策に取り組めば、もっと反応あるのではと期待してしまいますね。

【5】志賀高原が2024年度に挑むさらなる観光DX・観光CRMとは

取材時の2024年3月に公開された「SHIGAKOGEN NAVIGATOR」の告知画面

篠原 これから2024年度に実施したいことは?

大島氏 志賀高原の回遊促進サービスである「SHIGAKOGEN NAVIGATOR」を中心とした、さらなるサービス向上です。今日(2024/02/22)時点でほぼ完成しているので、3月には公開できそうです。地図情報をベースに、目的地へのルート検索や、スキー場・リフト・コースの状況(積雪量、気温、コンディションなど)が確認でき、宿泊施設やレストラン、温泉、ショップやビュースポットなどの情報も多数掲載しています。英語にも対応していますよ。

篠原 日本最大級と言われるだけあってエリアもスキー場も多種多様だからこそ、こういうツールは求められていると思います。初心者はどこへ行けばいいかすぐわかるし、同じエリアに固定化したリピーターも別のエリアの新しい魅力が知れる。

大島氏 私たちも、いろんなエリアを楽しんでいただきたい。なんならウインターシーズンだけでなくグリーンシーズンも楽しんでいただきたい。そこにはやはり地図が必須なので、それぞれの魅力をチラシや公式サイトのコンテンツだけでなくデジタルの地図をベースに見せられることはとても重要なんです。

篠原 「SHIGAKOGEN NAVIGATOR」であればその地図がデジタル化されているのでスマホでも直感的に触れますし、こちらとしてもデータがとりやすいから宿泊やアクティビティの予約や観光CRMにもつなげやすくなる。まさに観光DX(デジタルトランスフォーメーション)ですね。

大島氏 ほんとだ、観光DX(笑)。それで言うと、以前、志賀高原の全リフトをコンプリートするスタンプラリーを実施したんです。アナログで、それこそ紙のシートにスタンプを集めてもらうような。参加条件は、志賀高原で宿泊されたお客様限定にしたんですが、非常に反応が良かった。これを「SHIGAKOGEN NAVIGATOR」でやれるようにしたい、というのも2024年度の目標です。

篠原 全達成って可能なんですか……?志賀高原ってたしかエリアだけでも5つもあるし……。

「SHIGAKOGEN NAVIGATOR」に直観的なUI(ユーザーインターフェース)

大島氏 はい。5つのエリアに18のスキー場があり、リフトは48基あります。そのスタンプラリーの時は全リフト全達成の方だけに記念品のTシャツとピンバッジを差し上げたんですが、ひと冬で3000名いらっしゃったんですよ。

篠原 3000名も……!やはり昔から志賀高原のコアなファンの方はエンゲージメントがめちゃくちゃ高いんですね。もう2年ほどCLUB SHIGA KOGEN会員様の反応やデータを大島さんから伺っているので、私も少し想像が付くようになってきました(笑)

大島氏 「SHIGAKOGEN NAVIGATOR」では、このスタンプラリーをデジタルでやりたい。CLUB SHIGA KOGEN会員向けに宿泊者限定イベントを展開することで、一般会員が宿泊会員になっていただくランクアップも期待できるし、宿泊にも結び付くしっていうことを想定しています。

篠原 さらに引き上げの動機付けになりそうですね!スタンプラリーを達成した人には、マイページで達成バッジもプレゼントするような仕組みも実現できそうです。先ほど別のところでお話ししたように、自動的に一般会員から宿泊会員へ引き上げるようなメールを送るとか、他にも意識的に引き上げを目的とした施策でまだまだできることはありますね。

大島氏 人手不足の問題もあるので、1度設定すれば自動でメールをお送りできるような仕組みは2024年度にぜひ始めたいです。我々の作業効率化のためにそういうシステム的な改善は他にもいろいろ取り組む予定です。そんなに人手をかけずにやれることがあるなら、どんどんやりたい。観光CRMの部分ではいつもシナジーさんからいろいろ提案してくださり助かっています。

篠原 こちらこそありがとうございます。システム面以外で、デジタル・リアル関係なく他に考えていることは?

大島氏 いよいよCLUB SHIGA KOGENの会員限定リアルイベントを行う予定です。本当は3月にやろうと思っていたんですが、「どうせだったらグリーンシーズンに思い切って冬のお客様を呼んで、志賀高原のグリーンシーズンもいいよってPRしよう」という話になりました。前回にもお話ししたんですが、「CLUB SHIGA KOGEN」は現代版の伝道師が活躍できる会員組織にしたいので、そういう意味ではリアルな会員様同士の交流の場もどんどんつくっていきたい。これもずっとやりたかったことのひとつです。

篠原 会員限定イベントとても楽しみですね。コアなファンの方に実際にお会いできる機会なんてなかなかないですし。

大島氏 はい。会員限定イベント以外にも、会員様が増えてきた分さらに何ができるかを考えていきたいですね。

篠原 会員が増えたことでの苦労はありますか?

大島氏 今のところは特にありません。たまにお問い合わせがあるくらいかな。会員管理については、シルバー・ゴールド・プラチナ……みたいなよくある複雑なランク設定や特別なインセンティブがなくても、現状すでに一般会員様は増え、そこから宿泊会員様へと引き上がってもいるので、2024年度は何かを大きく変えるより今のものをよりよくすることに注力したいです。システムを使った業務改善やサービス提供の効率化など、人手不足はなかなか解消しきれないので、優先度を考えながら。

篠原 そうですね。理想と現実のどちらも見失うことなく、引き続き我々も観光CRMの伴走支援をさせていただきます。今日はありがとうございました!(第3回へ続く)

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