「校正」と「校閲」の違いって?~『校正基本講座』に行ってみた
1. 「校正・校閲」の基本3つのポイント
ITが発達した現代、マーケティング担当者やディレクターなどの文章のプロではない人でも、Webサイトやメール、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークを使って、不特定多数に向け日本語で文章を書き、公開する機会が増えています。
かくいう私もそのひとりで、弊社に入社してから4年ほど営業として働き、現在の部門に移動。最近はもっぱら書くことをメインに仕事をしていますが、やはり文章のプロではない人としてまだまだわからないことばかり。日々情報収集しながら勉強中です。
特に、「校正・校閲」。これが厄介でした。ライティングや編集に関しては、講座や書籍、Webサイトなど情報はあちこちにあるのに、それと比べて、校正や校閲についてはとても情報が少ない。そんなこんなで、正しいのか?私がやってた校正作業って……と自問自答していた時、偶然見つけたツイートからこの講座の情報にたどりつきました。
今回私が参加したのは、株式会社鴎来堂という校正・校閲専門の会社が行う『校正基本講座』です。今回は、その講座に参加して得た「校正・校閲」の基本3つのポイントについて、ご紹介します。
ポイントは、まずは、以下のそれぞれの違いを理解することです。
- 「書くこと」と「読むこと」の違い
- 「執筆」と「編集」と「校正・校閲」の違い
- 「校正」と「校閲」の違い
もし、現段階でそれぞれの違いをきちんと説明できないなら、これを理解するだけで大幅に業務の精度と効率が上がるはずです。
2. 「書くこと」と「読むこと」の違い
書くと読む。全く異なるこの2つが、業務レベルではよく「ライティング(書く)」と「校正・校閲(読む)」として一緒にされがちです。実際、私もよく『自分で書いて校正・校閲』をしています。
校正・校閲とは、『徹底的に客観的に文章を読み、間違いを見つけること』です。どう考えても「執筆者本人がその文章に対して徹底的に客観的になり間違いを探す」のは、明らかに限界があります。校正とは、執筆者が行う『推敲(すいこう)・リライト』とは異なる作業なのです。
やっぱり、できる限り自分以外の人に校正・校閲をしてもらう方がいいですね。でも、全部自分でやらなきゃダメな時ももちろんあります。その場合は、残りの2つのポイントを試してみてください。
3. 「執筆」と「編集」と「校正・校閲」の違い
弊社のような中小企業の現場感覚で振り返ると、この3つも漠然と混同されていることがとても多いです。しかし、この3つもそれぞれ立場や業務内容は大きく異なります。
「執筆」するのは、作家です。ゼロから自由に文章を作り上げます。
「編集」するのは、編集者です。企画や編集方針にそって作品を判断する監督です。
「校正・校閲」は、読者です。客観的な読者の視点から文章を読み、間違いや疑問を提示します。
業務上、どうしても「自分で書いて校正して校閲」をせざるを得ない時、この3つの役割分担を思い起こしながら業務を行うと、かなり頭の整理ができ、やりやすくなると思います。
4. 「校正」と「校閲」の違い
シンプルにいうと、
校正 = 制作上のミスを拾う
校閲 = 意味と文字を読む
です。先ほど、「校正・校閲とは徹底的に客観的に文章を読み、誤りを見つけることである」と書きましたが、この『読み、誤りを見つける』という点で、それぞれの立場・業務内容に大きな違いがあります。
「校正」は、文字や文章を比べあわせて、誤りを正すことです。作業は、1つ前の工程と現段階の2つを比較する形で行います。「校閲」は、原稿に書かれている文章の意味や内容を読み、誤りを正すことです。作業は、原稿のみが対象になります。
(1)校正とは、読むというより、比べること!
「校正」は、文字や文章を比べあわせて、誤りを正すことです。作業は、1つ前の工程と現段階の2つを比較する形で行います。講座では、この業務がさらに「突き合わせ」と「赤字照合」という作業に分解されていました。
「突き合わせ」とは、原稿と製作物の文字に違いがないかを、1字ずつ確認する作業です。この講座の講師でもあり鴎来堂の代表でもある柳下さんが、『某出版社では、この作業を読む時とは逆方向に文章の最後の文字から1字ずつチェックしていく』とお話されていたのがとても印象的でした。それって、文章を全く読まず徹底的に文字を見ているということですよね。さすがプロ、ほんとすごい。
「赤字照合」とは、原稿校正段階の修正点と初校、初校の修正点と再校、再校の…と、全ての校正の段階において修正内容がきちんと反映されているかを、1つ前の工程と比べて漏れなく確認していく作業です。
「突き合わせ」は文字単位、「赤字照合」は修正点単位で、前回分と徹底的に比べて誤りがあれば正すという作業ということですね。これ、説明を聞いただけだと機械的な作業のように感じたのですが、講座で実際やってみると思っていた以上に目と頭を使いました。職人技ですね。
(2)校閲とは、徹底的に読み、事実確認まですること!
「校閲」は、原稿に書かれている文章の意味や内容を読み、誤りを正すことです。作業は、原稿のみが対象になります。講座では、この業務がさらに「素読み」と「事実確認」という作業に分解されており、とてもわかりやすかったです。
「素読み」とは、執筆された原稿を読み、誤字や内容の矛盾など、さまざまな間違いを見つける作業です。
「事実確認」とは、素読みをさらに掘り下げ、実際に原稿に書かれていること(地名や固有名詞、データ類など)が正しいのかを調べて確認する作業です。
このようにして、内容を徹底的に客観的に読み込み事実確認を行った結果を、編集者や執筆者にフィードバックします。自分で作業をする場合は、ひと通り「素読み」をしてから個々の「事実確認」をしていく、というように、それぞれの作業を個別に行うと精度が上がります。
5. 『校正基本講座』のおすすめポイント
おすすめポイントは、「業務の明確化と精度向上ができる」「実践的なノウハウが得られる」「価格」の3つです。
今回この講座に参加して、自分が漠然と行っていた業務の内容や特性、やり方や優先度について、客観的に細かく整理ができました。そのことで、「自分で書いて校正して校閲する」業務の時でも、作業工程ごとに立場や視点、頭と心の切り替えが非常にやりやすくなり、精度が上がったと実感しています。さらに、どんな作業があって、どんな役割がどこまで何をやるのかが明確になるので、それをもとに業務改善についても考えやすくなりました。理想はライティングと校正業務はそれぞれ別の担当者で行うことですが、ここが整理されると、その理想型に近づける工夫もできるようになりました。
また、実際の講座ではそれぞれの具体的な実践ノウハウが得られます。例えば、校正業務で「さまざまな間違い」を見つけるノウハウや、その間違いの分類・見落としやすいポイントなど具体的な内容が紹介され、実践する機会もあったのでとても覚えやすかったです。
さらには、受講料が安い! 8,500円。「10,000円以内」というのが、最も上司に申請しやすかったポイントです(笑)。そして、漠然と校正業務を行っていた私からすると、間違いなくこの価格以上のものを得られました。
ちなみに、この鴎来堂『校正基本講座』。東京・大阪・博多で開催されたようですが、次回、年内では11月29日(土)に東京で開催されるようです。個人的には、校正基本講座受けた後の人の実践コースとかあるとうれしいなあ。Twitterやブログもあるので、要チェックですね。この会社のサイト内にある「校正ツール」も結構便利です。ついこの間、歴史上のある事件に関する年表や人物についてまとめて書き、校正・校閲をする機会があったのですが、その時にこのサイトの「経過日数計算ツール」にかなり助けられました(ありがとうございます)。
さらに、新規事業として「かもめブックス」という本屋を開業されたみたいです。講座を受けている時にも、社員の方とお話した時も、「本当に本が好きな人たちなのだなあ」と感じたので、なんだかとても納得です(Twitterもあります)。
サイトの「ご挨拶」のページにある『情報を、リアルタイムに受け取り処理していくのではなく、教養として血肉にしていく読書という習慣を、もう一度本屋という形で考えていこうと思います。』という言葉が、とても印象的……。
しかも、コーヒー豆が京都のWEEKENDERS COFFEEではないですか!東京行ったらぜひ立ち寄って、本と美味しいコーヒーに埋もれたいと思います。
次回は、以前導入した「文章校正支援ツール Just Right!5 Pro」を使ってみた感想をご報告する予定です。
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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。