BtoB企業がマーケティングオートメーション(MA)を導入前に押さえるべきポイント
※この記事は、2016年8月10日に「BtoBマーケティングの変化とマーケティングオートメーション(MA)」というタイトルで投稿されたものです。
「営業は足で稼げ!」
と、上司に言われたことがある法人営業マンは少なくないと思います。
BtoB企業ではECサイトのように買い手の購買活動がネット上で簡単に完結することがほぼないため、Webを活用した販売活動ではなくお客様との対面での営業活動に重きを置いてきました。
しかし、テクノロジーの発展は法人の購買行動にも大きな変革をもたらしてきています。
<目次>
1. 法人の購買行動(プロセス)の劇的な変化
以前は、購買に必要な情報を入手するには営業担当者と会話するしかありませんでしたが、今はいつどこからでも、インターネットというチャネルを通じて誰もが詳細な情報にアクセスできるようになりました。このことにより、購買担当者は自ら学び調査をするようになっています。
ある調査では、法人の購買プロセスのうち57%までが、営業担当者に会うまでに終わっているといわれています。購買担当者がインターネットを使って知識武装をしている状態で、営業担当者は初回の訪問を行うというわけです。
画像引用:「The Digital evolution in B2B Marketing」
このように、まずは自社サービスを認知してもらえなければ購買候補にすらあがらなくなっており、BtoB企業でもWebマーケティングが非常に重視されるようになってきています。
2. 理想とされるBtoBマーケティングの流れ
それでは営業は必要なくなるのか、というとそうではありません。やはり最終的には営業が直接会っての商談となります。ただその対象は、購買見込みの高い候補との接触に制限するように変わってきています。
買い手の購買行動がWeb起点へと変わってきたため、ひたすら飛び込み訪問やアウトバウンドコールを行う、ということではなく、売り手の販売活動もそれに合わせてWebからのアプローチ、Webコンテンツを活用して見込み客を「問い合わせをする」という行動に引き上げる施策の必要性が出てきています。
その必要性に気づき、マーケティング部隊を新設するBtoB企業も多くなりました。BtoBのマーケティング担当者にはどのような業務が求められるのでしょうか。
下記が一般的なBtoBマーケティングの流れとされています。個別のキャンペーンまたは商材に応じて、コミュニケーションフローと業務フローを組み立てていきます。
マーケティング担当者の具体的なミッションは下記3つです。
- 見込創出(リードジェネレーション)
見込み客(=自社サービスに興味があり、導入を検討している人)を獲得するマーケティング活動。Web広告やイベント/展示会など、効果的なチャネルを検討・活用し、見込み客の母数を増やす。 - 見込育成(リードナーチャリング)
獲得した見込み客の興味関心や検討度合を引き上げるためのマーケティング活動。セミナーやメルマガでの啓蒙施策が例に挙げられる。 - 選別・送客(リードクオリフィケーション)
購買検討度合が高い見込み客を選別する。商談の発生可能性が高ければ営業へパスし、直接フォローへ切り替える。問い合わせ内容からの判別や自社サイト・メルマガの閲覧数などから見込み度合を推測する。
上記のようなマーケティングの取り組みが機能しはじめると、営業担当者は以前のような勘や根性に頼ってただ訪問回数だけを増やす必要がなくなります。見込み客の一部をWebから獲得でき、対面での商談は見込み度合の高い相手に絞ることで、営業活動の効率化も図れます。
買い手側の購買プロセスの変化に伴い、売り手側の組織や業務も考え直す必要があります。
3. マーケティングオートメーションの立ち位置
また、買い手の購買プロセスに合わせたマーケティング施策を行う手段として、「マーケティングオートメーション(以下、MA)」というツールが流行っています。MAの定義は各社によってさまざまですが、弊社では下記のように定義しています。
買い手にとって心地よいコミュニケーションを、
顧客へのメッセージングのパーソナライズ化ができる
なるべく人手と費用をかけずにおこなうための、
マーケティング業務のオートメ―ション化を実現する
BtoB企業のマーケターが使用する、
SFAやBtoC企業向けのクロスチャネルキャンペーンマネジメント(CCCM)ではない
統合型・クラウド型・GUIベースのソフトウェア
多機能・低コスト単能機・ノンコーディングで利用可能なツール
4. マーケティングオートメーションで何ができるのか
MAでは、BtoBマーケターが担う「見込創出~育成~選別・送客」という一連の業務をサポートする機能を備えています。例えば、見込み獲得のためのLPを管理画面上で簡単に作成することができたり、個々人のステータスに合わせたシナリオメールを送信して見込み度合を引き上げたり、といった部分です。
上記の機能がすべて「統合されている」ツールがMAです。
MAでは、上記のとおりBtoBマーケターの業務を効率化する多くの機能を備えています。素晴らしいツールであることは間違いありませんが、多機能すぎるゆえに、「誰が」「何のために」「何を」行うのか、組織が整い目標が定まっていないと運用がまわりません。
自社の現状を見つめてみると、実は本当に必要なのはMAのような複雑なツールではなく、すぐに運用開始できるメール配信ツールかもしれない、というケースもあるのです。
5. マーケティングオートメーションの導入前後に必要なこと
それでは、どのような点をクリアしていればスムーズにMAの運用に至れるのでしょうか。MA導入時に、弊社でご案内しているポイントを紹介します。
ツールを検討する前に
BtoB企業でのマーケティング活動を成功に導くには、まずは前述したようなBtoBマーケティングの流れを整備しておく必要があります。下記のような点について、現状の組織と業務フローを見直してから貴社にフィットしたマーケティングツールを検討しましょう。
【組織と業務を整備する】
- マーケティングの体制と予算の準備ができているか
- 誰が(どのチームが)何を行うのか、各組織のKPI/KGIと責任範疇が定まっているか
- 社内で使う用語の定義は決まっているか
- 見込み客情報の一元管理ができており、フォロー漏れがない状態が作れているか
導入へと進める際に
当たり前ですが、MAを導入すると現状の業務フロー・業務内容を変更する必要があります。
MAを運用していくと、一部の業務は自動化される一方で、コンテンツ作成やシナリオ設計など新たな業務も生まれていきます。導入時は下記の点に注意して運用へ進んでいきましょう。
【現在のプロセス(As-Is)とMA導入後のプロセス(Can-Be)をつくる】
- 仕事の仕方を変えることを受け入れる
- 作業手順ではなく、大まかな業務フローを書く
- BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)ではないので、要件定義にあまり時間をかけない
- 業務が肥大化しないように、MA導入を機に「やめる仕事リスト」をつくる
6. まとめ
買い手の購買プロセスの変化に合わせて、売り手の販売プロセスも変えていかなければなりません。
下記ポイントを押さえ、自社には何が足りていないのか、理想と現実のフィット&ギャップを把握し改善へと進めていきましょう。
【BtoBマーケティングのポイント】
- 営業担当者からの接触を増やすだけでなく、Webからのアプローチも重要になってきている
- 「見込創出~育成~選別・送客~営業活動」という流れの中で、誰が何をするのか組織を整備し、目標と業務内容を明確にする
- マーケティング施策を遂行するツールとしてMAが流行ってきているが、導入する前に利用者側の体制を整える必要がある
弊社では、BtoB企業のマーケティングチームが貴社の課題整理のお手伝いをしています。お困りごとがありましたらお気軽にご相談ください!
BtoBマーケティングに課題をお持ちのあなたに
BtoB Service Overview
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。