マーケティングオートメーションとは?
~従来のマーケティング手法(CRMやメールマーケティング)との違い~
最近、「マーケティングオートメーション」というキーワードを目にする方も多いのではないでしょうか。3月に米国のマーケティングオートメーション大手Marketoが日本法人を設立したことに加え、IBMとSilverpop、OracleとResponsys、AdobeとNeolaneといったような大手ベンダーによるマーケティングオートメーションの企業の買収が相次ぎ、いま非常にホットなキーワードになっています。
今回は、「マーケティングオートメーション」とはいったいどのようなものか、また従来のマーケティングとはどう違うのかをご紹介したいと思います。
<目次>
マーケティングオートメーションとは何か?
さまざまなベンダーからマーケティングオートメーションツールが発表されていますが、一言でいえば、「マーケティングを自動化することで作業を効率化し、より早く利益をあげるための手法・考え方」です。言い替えると、マーケティングオートメーションとは「マーケティングを行うためのさまざまな手法やテクニックを自動化し、より効率よくマーケティングを行う」というものです。
マーケティングオートメーションが得意とするのは、個々の顧客と個別のコミュニケーションを取る事でいかにその顧客から利益を生むかという点です。そのため、マーケティングオートメーションが自動化できるマーケティング手法は、大きく分けると以下の5つになります。
1.メールマーケティング
2.CRM
3.インバウンドマーケティング
4.イベントマーケティング
5.ROI分析
これらの手法が統合され、自動化されたものがマーケティングオートメーションと呼ばれています。
マーケティングオートメーションが誕生した3つの背景
ここで、マーケティングオートメーションが誕生した背景を考えてみたいと思います。
①システムの要因
ブラウザを通じて、どこでもソフトウェアにアクセスできるSaaSの考え方が台頭してきたことです。これにより、マーケターが場所に縛られず必要なツールを使えるようになりました。
②顧客側の要因
インターネットやソーシャル全盛期の現代の顧客が、大量の情報を自力で入手できるようになったことです。その結果、顧客は企業側から情報を与えられるだけの存在ではなくなりました。さまざまな情報を自分で入手し判断する力を得たことで、企業の言いなりではなく個人が物申す存在となりました。
③企業の要因
2008年のリーマンショック以降、企業がより効率よく高い利益を求めるようになったことです。特に、マーケティング活動と営業活動において、作業を効率化することでコストを下げ、さらに売り上げの上がる方法を求めるようになりました。
マーケティングオートメーション誕生の背景がわかったところで、1つの疑問が浮かびます。
これまで存在していたマーケティング手法をただ統合しただけなら、何も変わらないのではないか?という疑問です。
それでは、マーケティングオートメーションが従来のマーケティング手法と何が違うのか、という本題に入りたいと思います。
これまでのマーケティングとの比較
5つのマーケティング手法を統合して自動化するものがマーケティングオートメーションであると述べましたが、その中でも特に、弊社の得意とする領域である「CRM」と「メールマーケティング」との比較をお話ししたいと思います。
CRMとの比較
顧客との個別のコミュニケーションを得意とするマーケティングオートメーションは、一見するとCRMと同じように見えるかもしれません。しかし、CRMとはそもそものマーケティングの目的が異なります。
CRMは、顧客との接点を得るというよりは、接点のある顧客に対しそれ以降のつながりや関係性をマネジメントするものです。それに対し、マーケティングオートメーションは、「そもそもの顧客との関係性を生み出すこと」、そして関係性をマネジメントするというよりは、「その顧客が生み出す利益」という部分に重きを置いています。
メールマーケティングとの比較
マーケティングオートメーションの場合も、当然、顧客との個別のコミュニケーションにはメールを用いています。しかし、従来のメールマーケティングとは「多様なマーケティング手法が統合された中にメールが存在する」という点で大きく異なります。
統合することで複数のマーケティング活動から得られる顧客データが一点に集まり、従来のような大きなグループ分けによる大量配信ではなく、より個別に近いコミュニケーションを取れるという特徴があるといわれています。
以上のように、マーケティングオートメーションは従来のマーケティング手法を引き継ぎながらも大きな違いを打ち出しています。
しかし、これら従来のマーケティング手法が、単体で行われること自体が見直されてきていることも事実です。弊社でも、CRM(顧客管理)やメールマーケティングを運用する際、CRMの考え方・ソシエタスによる深い顧客理解など、さまざまな手法を組み合わせ、よりシナジー効果が得られる形でお客様にご提供しています。
マーケティングオートメーションは、すべての企業にとって必要なのか
ここまでの内容で、マーケティングオートメーションは、自動的に顧客を生み出してくれる魔法のようなツールに思えてきた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、マーケティングオートメーションが自動化するのは、これまでマーケターが行ってきたアクション(メール送信・分析・コンテンツの出しわけ等)の部分のみです。
どのような顧客に対し、どのようなアクションをするかというストーリー(戦略)は自分たちで考える必要がありますし、大量の顧客情報を保有していて、ある程度ストーリーのパターンが想定できるような企業と、ストーリーのパターンがなかなか想定し辛い企業では、すべてを自動化した時に得られる効果が全く逆のものになってしまう場合も考えられます。
マーケティングオートメーションの考え方は、今後マーケティングをより発展させると思われます。
一方で、日本国内ではまだまだ話題先行で、実践的な事例やノウハウが少ない状況です。
導入する際はすべてを自動化するのではなく、まずは部分最適からはじめてみるのも良いかもしれません。
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。