【BtoBマーケター向け】有償セミナー運営:7つのポイント
BtoB企業では、新規顧客の獲得、既存顧客へのアップセル・クロスセルを目的にセミナーを開催することがよくあります。集客・販促目的だと無償セミナーが多いですが、「製品・サービスの導入に”真剣な”見込顧客を獲得する」「社内で蓄積したナレッジをもとに新たな収益源をつくる」ことを目的に有償で開催することもあります。有償セミナーを企画・実行するにあたって、どのようなことに注意すべきなのか──。弊社事例をもとに有償セミナー開催のポイントを7点まとめました。
<目次>
1. Webページと申し込みフォームの作成
告知ページには、開催概要、プログラム(タイムスケジュール)、講師プロフィールはもちろん、「参加者は何を得られるのか」 「ほかのセミナーと何が違うのか」を簡潔明瞭に記載します。参加者の方が会社に経費・外出申請を出すとき、「その有償セミナーに行ってどうなるの?」という上長からの質問になるべく明快に答えられるようにするためです。また、告知ページには下記のような注意事項を忘れず記載しましょう。
<有償・無償セミナー共通記載事項>
- 先着順なのか、抽選なのか
- 同業他社からの申し込みは受け付けているのか、いないのか
<有償セミナーならではの記載事項>
- 参加費を支払うタイミング(事前入金制なのか、当日支払なのか)
- フォームからの申し込みの扱い
例)フォームでの登録は「仮申し込み」扱いであり、入金確認後に「本申し込み」になるなど - 入金期日
- 請求書や領収書の発行ルール
- 入金された参加費の返金ルールなど
告知ページサンプル
2. 入金名義
申し込みフォームに「入金名義」と「領収書の宛名」の項目を設定することをおすすめします。まず「入金名義」についてです。申し込み者がフォームで入力・送信した会社名・氏名と、振り込みのときに使用した名義が異なることがまれにあります。その場合、同一人物なのか判断がむずかしく、仮申し込みデータと入金データを突合しづらくなります。入金名義項目を設定し、入力された内容をサンキューメールで案内し、その名義で入金いただく流れにすれば入金確認がスムーズになります。
次に「領収書の宛名」項目について、会社名や入金名義とは異なる名称で領収書を発行してほしいという依頼がくることがあります。セミナー当日現場で対応するよりも、事前に確認し領収書を作成しておくほうが参加者側も開催者側も段取りよく進められるため、フォームに載せておくといいでしょう。
サンキューメール(仮申し込み完了メール)のサンプルをダウンロードする
3. 入金ルールの設定・運用
有償セミナーの場合、申し込み時点で受付完了とはならず、入金が確認できてはじめて受付完了となります。そのため、下記を決めておく必要があります。
- 入金期日:いつまでに入金していただくのか
- 入金リマインドの基準とリマインド方法:入金期日から何日経過したらリマインド(督促)をおこなうか
また、リマインドはどんな手段でおこなうか - 最終入金期日と未入金者への対応:リマインド後いつまで入金を待つのか
また、入金がない場合はどんな措置を取るのか(架電もしくは即申し込み取り消しなど)
ちなみに、弊社では下記のように設定・運用しました。
- 入金期日:申し込みから3営業日以内
- 入金リマインドの基準:申し込みから5営業日を過ぎても入金がない場合
※ここで「3営業日」としなかったのは、入金と連絡が入れ違いになるのを防ぐためです - リマインド方法:メール
- 最終入金期日:入金リマインドメール送信から3営業日後
- 入金がない場合の措置:申し込みを取り消す
4. 申し込み者(入金確認者)へのリマインドメールの送信
開催日が迫ってきたら、申し込み者に対してリマインドメールを送信します。一般的には7日~2日ほど前に送付する場合が多いですね。なお弊社では、セミナー当日の受付・出欠管理を効率化するため、受講票の代わりになるQRコードが付いたリマインドメールを送信し、当日お越しいただいたときに受付用iPadにかざしていただくというオペレーションにしています。※Salesforceと連携するセミナー管理アプリでして、自社開発しました。
5. 当日のオペレーション
開催日になってバタバタ・モタモタしないよう、当日のオペレーションにどのくらいのスタッフが必要になるか想定し、誘導・受付・司会など役割分担を事前確認しておきましょう。下記の「Web担当者Forum」の記事に、セミナー開催において気を付けるべきことがかなり細かくまとめられています。ご参考にどうぞ。
▼失敗しないセミナー当日運営(持ち物リスト&司会台本サンプル付き)/セミナー開催マニュアル3
オペレーションを遅滞なく進めることはもちろん、運営スタッフの姿勢(気配り・こころづかい)が大切です。たとえば、「受付スタッフが事前に参加者の会社名を覚えておき、受付の際にお顔と会社名を紐づけて覚えるよう努める」などです。こうしておくことで、たとえば領収書をお渡しする際、全体に呼びかけるのではなく、参加者一人ひとりにお伺いして手渡しできるようになります。また、休憩時間中に個別に質問をいただいた際、しかるべき人にサッと取り次げるようになるなど、きめ細かいお客様対応が可能になります。
セミナーの内容だけでなく、会場の雰囲気や運営スタッフの姿勢もセミナーの満足度を大きく左右するものですよね。来ていただいたお客様がストレスなくセミナーに集中できる環境づくりを心がけましょう。
6. 領収書の用意
宛名を記載した領収書ファイルを事前に作成しておきます。
Excelで領収書を作成する場合の(細かい)注意点
- 長い社名だと印刷範囲から見切れてしまうことがあるため、フォントサイズや印刷範囲を調節する
- ペーパーカッターなどで切り分け、当日すぐにお渡しできるようにしておく
- 印刷後、会社印を押印する
- 当日になって「違う会社名の表記が必要」という要望があった場合に対応できるよう、宛名が空欄の領収書も複数枚用意しておく
領収書ファイルは経理部門に作成してもらう場合が多いと思いますが、会計上、発行した領収書を管理しておく必要があるため、用意していた宛名から変更を加えて発行した領収書があれば、セミナー後に経理部門に共有しましょう。
以下、領収書のサンプルです(Excelファイル)。
領収書サンプル
※お使いのExcelの設定によっては、印刷の際に2ページに渡ってしまう場合がございます。印刷範囲を調整してお使いください。
7. 他部署との連携
有償セミナーでは入金データの確認と共有という業務が発生するため、経理部門との連携が必須です。入金確認や領収書の用意を依頼する上では、確認のルール(毎週〇曜日に確認して、入金状況を○×シートに反映した上でメールで一報ください、など)を事前に決めて対応しましょう。
弊社では、毎週月曜日に経理担当が入金状況を確認し、入金があればSalesforceのキャンペーンメンバー(申し込み者が紐づいている)の「状況」項目を「入金済」に変更するというオペレーションをとっていました。
※補足
有償セミナーを手軽に管理できる「Peatix」や「EventRegist」などもあり、状況によってはこうしたWebサービスを利用するのもいいと思います。
無償セミナーだと、参加者にとってのハードルが低く集客しやすい、他部署との連携を気にせず運営ができる、などのメリットがあります。しかし、会社が蓄積してきた価値あるナレッジを売上に変えられる、あるいはお金を払ってでもノウハウを学びたいという意欲を持つお客様との接点を設けられるなど、有償セミナーは有効な施策になります。また、お金をもらうことの責任感が生まれるため、スピーカーもいつもに増して本気になるものです。よその会社にはない貴重なナレッジが貴社にもきっと多くあります。新たなチャレンジ、ぜひトライいただければと思います!
成果につながる展示会の鍵は、“展示会後のマーケティング”にある!
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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。