こんにちは、このBLOGを含めた弊社サイトの制作を担当しているWebデザイナーの増見です。いわゆるインハウスWebデザイナーという肩書きになります。
この度、弊社コーポレートサイト をリニューアルしました(詳しくはこちらの記事を参照 )。実は2012年4月にもリニューアルしているのですが、その当時と比べて刷新したことが多く、Webを取り巻くトレンドや技術の移り変わりの速さをとても感じました。
というわけで、今回はサイトリニューアルで押さえておきたい10のWebトレンドを弊社事例をもとにご紹介したいと思います。「自社のサイトをリニューアルしたいけど、最近のWebトレンドって何だろう?」とお悩みの方の参考になれば幸いです。
① フラットデザイン
トレンドとしてもうすっかり浸透したと言えるフラットデザイン。弊社も装飾を極力削ぎ落とし、シンプルでミニマルなデザインを追求しました。もともと表現したかった「上品さ」「洗練された雰囲気」というイメージにフラットデザインはマッチしており、フラットデザインを取り入れたのは自然な流れでした。
試しに2011年当時のサイトとリニューアルしたサイトを比べてみました。当時はドロップシャドウ、グラデーションを多用していたのがわかります。
② レスポンシブWeb
2年前のリニューアル時には、マルチデバイス対応はほとんど議題にも上がりませんでしたが、今回は「レスポンシブ当たり前」という空気になっていました。弊社はBtoB企業なので、BtoC企業ほどの緊急度はないかもしれませんが、それでも増え続けるスマートフォンからのアクセスを無視するわけにはいきません。
ちなみにGoogleアナリティクスで弊社サイトの過去5年間のデバイス別のアクセス比率を調べてみましたが、確実にモバイルユーザーが増えているのがわかります。
マルチデバイスに対応するにはいくつかの方法がありますが、2012年6月13日にGoogleが「レスポンシブWebを推奨する 」と発表したことで、レスポンシブWebに人気が集まりました。
とはいえ、レスポンシブWebにこだわらずサイトの構造や目的を考えた上で、最適な手法を選択するのがベストだと思います。
③ アイコンフォントの活用
以前は緻密に作りこんだアイコン画像を多用していましたが、今回はアイコンフォントを導入しました(一部のページでは旧サイトの画像をそのまま使っていますが……)。
①のフラットデザイン、②のレスポンシブWebを考えると、シンプルでモバイルでも表示が美しいアイコンフォントが使われるようになるのは自然な流れですね。
Font Awesome ならCDN(Contents Delivery Network)を利用してすぐに使えるので、アイコンフォントの使い勝手を試したい、という人にもお勧めです。
④ CSSフレームワークの活用
CSSフレームワークはここ2年ほどで急速に広まりました。今回のリニューアルでは、中でも最も有名な「Bootstrap 」にお世話になりました。グリッドシステムはそのまま使い、ボタンやテーブルなどのスタイルはBootstrapの設計を参考にオリジナルで作成しました。
ちなみに従来のWeb制作はPhotoshopなどでデザインカンプを作成してからコーディングするのが一般的でしたが、近年はデザインカンプを作成せず、コーディングしながらブラウザー上で直接デザインする「インブラウザデザイン」という手法が広まりつつあります。
コンポーネントがすでに用意されたフレームワークを利用すると、このインブラウザデザインを行いやすいので工数削減が期待できます。とはいえ、フレームワークに頼りすぎるとオリジナリティのないデザインになってしまう可能性もあるので、使いどころを考えるのが大切かなと思います。
⑤ HTML5
2014年10月28日にHTML5が勧告 されましたが、弊社のサイトもXHTML 1.0からHTML5に移行しました。
、
などの新要素が使えるようになったことで、よりセマンティックなマークアップが可能となりました。個人的には
だらけだったソースコードが意味づけされたタグで置き換わるのは爽快でした。
とはいえ、
と
の使い分けや、どのタグにすべきか?など、タグの使い分けが難しいところもあり、今まで以上に文書構造を考えたマークアップが必要になってくると思います。
⑥ ターゲットブラウザの変化
今回のリニューアルからIE7はターゲットブラウザから外すことになりました。これによりレスポンシブWebに必須ともいえるbox-sizingなどのCSSが使えるようになったので非常に助かりました。
MicrosoftがIE8のサポートを2016年1月12日に終了すると発表しましたが、次のリニューアルではIE8も対象から外れる可能性は高いですね。
言うまでもないですが、ターゲットブラウザを考える場合は、世間一般的なシェアではなく、自社のサイトのアクセス比率から考えるとよいですね。
⑦ Movable TypeからWordPressへ
一世を風靡したMovable TypeからWordPressへ移行しました。移行した理由はいくつかありますが、単純に「世の中の流れ」というのが大きいかもしれません。
他のCMSも検討しましたが、やはり学習コストを考えるとWordPressに軍配が上がります。
ただ、WordPressの限界も少し感じたりして、今後さらにサイトが大きく複雑になれば、より大規模サイトに適したCMSを検討する必要もあるかなと感じました。
参考までにGoogleトレンドでMovable TypeとWordPressを比較 してみましたが、これを見るとWordPressも検索ボリュームが少しずつ下がり始めていました。本当にトレンドは移ろいやすいですね。
※国を日本に限定しています。
⑧ SSL化
サイトリニューアルが本格的に動き出そうとしていた2014年8月7日、折しもGoogleが「HTTPSをランキングシグナルに使用 」することを発表しました。簡単に言えばHTTPSサイトの検索順位を優遇します、ということですね。
Webでセキュリティが重要視される流れを鑑みて、弊社のサイトもSSL化しました(Googleの発表がなければ、SSL化することはなかったと思うのでとてもタイムリーでした)。
SSLを導入するには
サーバー証明書の取得、インストールなど
リダイレクトや正規化処理
Webページの修正(セキュリティ警告が出ないようにJavaScriptや画像などのコンテンツもSSL経由で参照するようにする)
などの対応が必要となり、それなりの作業ボリュームが発生します。またサーバー周りで予期せぬトラブルが発生することもあり、弊社も対応に追われました。
ランキングシグナルに使用されるとはいえ、検索結果には非常に軽微な影響しか与えないので、導入は計画的に進めるのがよさそうです。
⑨ ユニバーサルアナリティクスへの移行
2014年4月3日に正式リリース されたユニバーサルアナリティクス。数年前からベータ版で提供はされていましたが、リマーケティングやウェブテストなどの機能が未対応だったため、移行を先送りしていた方も多いのではないでしょうか?
ユニバーサルアナリティクスで注目されているのが、User-ID機能 によるデバイスを跨いでのーザー行動を追えるクロスデバイスレポートです。これを使えば、例えばPCでコンバージョンしたユーザーの最初のアクセスはスマホだった、といったことがわかり、これまで以上にユーザーの行動を一貫して見ることができます。
とはいえこの機能、どのプロパティでも利用できるわけではなく、ユーザーごとにユニークなIDによってログインする機能がサイトに必須です。弊社の場合は現時点で使いどころがなく、ユニバーサルアナリティクスに移行したと言っても、あまり大きな変化を感じなかったというのが印象です。
⑩ タグマネジメントシステムの導入
2012年10月にGoogleタグマネージャー 、その1年後の2013年10月にYahoo!タグマネージャー が公開され、ますますその可能性が広がるタグマネジメントシステム。公開された直後は情報も少なく、まだまだ実用には難しい印象がありましたが、今回のリニューアルでコーポレートサイトにタグマネジメントを導入しました。
これで都度Webページにタグを追加したり削除したり、という面倒な更新作業がなくなり効率が上がる!……はずだったのですが、いざ導入してみると聞きなれない「コンテナ」「ルール」「マクロ」などの用語が出てきて、設定に四苦八苦。数字がとれなかったり、エラーが出たりと大変でした。
とはいえ、今後ますます便利な機能が増えて使いやすくなっていくと思うので、早く使いこなせるようにしたいものです。
まとめ
こうやって振り返ってみると、改めてWebのトレンドの移り変りの速さを実感します。さて、次のリニューアルではどんなトレンドや技術が反映されるのか?リニューアルしたばかりで次を考えるのも気が早い話ですが、未来のサイトに思いを馳せるのも楽しいものですね。
※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。