知ればすぐ文章が変わる!メール・Webライティングに必須の日本語表記5つの常識(Part1)
ビジネスメールでよく利用される「貴社」と「御社」という言葉。実はこのふたつ、同じ意味ではありません。「下さい/ください」も「頂く/いただく」も同様に、同じ意味ではありません。厳密にいうと、「メールをご確認頂く」「メールをご覧下さい」などの表現は誤りです。しかし、これらの誤用は、ビジネスシーンで非常によく見られます。
また、ITが発達した現代、企業ではマーケティング・販促活動の一環として手軽にメッセージを発信できるWebサイトやブログ、SNSやメールなどを活用することが増えました。それに伴い、マーケティング担当者やディレクターなどの「文章のプロではない人」でも、不特定多数に向けて日本語で文章を書き、公開する機会も増えています。
私たちは、周りの人と会話や、実際に目にした言葉の使い方など、生活のなかにある「言葉」の積み重ねから、ただ漠然と日本語を習得しています。漠然と習得しているからこそ、国語の勉強はしたものの、いざ文法や敬語について考えるシーンに出くわすと、ふと何が正しいのかわからなくなることが多いのではないでしょうか。
読みやすい文章なんて人それぞれだ、という意見もありますが、伝わりやすい文章を書くにはいろんなコツがあります。なかでも、日本語による表記・文章作成に関する常識を知ることは、伝わりやすい文章を書くためにもっとも大切な基礎の基礎です。この5つの常識を、2回にわけてご紹介していきます。
この記事は、
- 敬語や日本語で何が正しいのかはっきりとわからない
- どうすれば文章が伝わりやすくなるのかわからない
- 仕事で文章を書くことが多いため、効率的に文章のレベルを上げたい
- 日本語の表記方法をどのように勉強すればよいかわからない
などの課題を抱えておられるマーケティング・制作担当者、ビジネスマンパーソンにオススメです。
知ってるだけで伝わる文章に変わる「日本語に関する5つの常識」
「パソコンがサクサク動く」と読んで、どういう状況かイメージできますか?
この「サクサク動く」という表現、実は6割以上の人が「聞いたことがない」と回答しています(文化庁の調査より)。
仕事のやりとりでメールを書いたりしていても、普段からなんとなく使っている日本語について、あらためて深く調べる機会は多くありません。一般常識でもビジネス上の専門用語でも、先輩や周りの人の用法をうのみにしたまま、言葉を使っていることも多いと思います。
しかし、不特定多数に対して文章を書いて公開する場合は、そのままでは伝わらない文章になる可能性があります。
伝わりやすい文章とは、必ず正しい日本語(言葉や文法など)を使っています。とはいえ、意外と「正しい日本語とはなにか」を私たちは明確に把握していません。そこで、まずは正しい日本語表記とは何かを知り、実際に腕を磨いていくために必要な基本の常識を、5つピックアップしました。
常識1 日本語表記の基本ルールを知る
常識2 言葉に関する調査を参考にする
常識3 間違いやすい日本語をおさえる
常識4 定番ツールを導入する(※詳細は次回掲載)
常識5 検定でさらに腕を磨く(※詳細は次回掲載)
常識1 まずは、日本語表記の基本ルールを知る ~誰が決めている?~
①文化庁が定める日本語表記のルール
日本語の表記に関するルールは、文部科学省の外局のひとつである文化庁が定めています。国語の教科書も、日本語検定も、各種メディアや企業のオフィシャルなメッセージで利用される日本語も、「私たちの身の回りにあるすべての日本語の基本」になっているのが、この文化庁の日本語に関する表記ルールです。
つまり、私たちが身の回りの「会話・言葉」の積み重ねから日本語を学んでいるということは、このルールに基づいた日本語に慣れ親しんでいるということ。それは、裏を返せば「これを基本にして文章を書けばおのずと伝わりやすく正しい文章にできる」ということです。日本語でわからないこと・不安なことがあれば、まずは文化庁のページで確認するとよいでしょう。
■文化庁のホームページ内にある日本語表記関連の主なページ
文化庁HOME > 政策について > 国語施策・日本語教育 > 文化審議会国語分科会 > 報告・答申等
文化庁HOME > 政策について > 国語施策・日本語教育 > 国語施策 > 内閣告示・内閣訓令
文化庁HOME > 政策について > 国語施策・日本語教育 > 国語施策
具体的に調べたいことがある場合は、『文化庁 敬語』など、「文化庁」というワードをふくめて検索をするほうが早いと思います。ちなみに、『文化庁 敬語』で検索するとこんなのが見つかりました。→「敬語の指針」(平成19年2月2日)
「ユーザ/ユーザー」「ブラウザ/ブラウザー」など、カタカナ語の表記を迷ったことはありませんか?このような『外来語の表記』についても、文化庁でルールが設定されています。
②文化庁が指定していない言葉の表記について
文化庁の表記ルールを基本としながらも、それだけではカバーしきれない領域をふくめた言葉の扱いについて独自の表記ルールを設定している団体や企業もあります。次回ご紹介する「用字用語辞典」は、この文化庁の表記ルールをベースに新聞社や出版社が「(メディアとして)伝える」ことを目的にしてまとめた日本語表記に関する辞典です(一般の書店で購入もできます)。また、特定の業界や団体・企業でも、同じように文化庁のものをベースとし、それだけでは補えない部分もふくめて表記ルールを作成し、公開していることもあります。
しかし、まだまだ、文化庁でも表記に関する指定のない外来語(例:ロイヤリティー/ロイヤルティー)や、誤った意味のほうが多数派になってしまっている日本語(例:◯→データ連係 ✕→データ連携)もあります。特に、企業活動で利用するケースが多い単語は、SEOにも影響を及ぼすので、使用する場合は熟慮する必要があります。
常識2 言葉に関する調査を参考にする ~「サクサク動く」は半数以上に通じない~
文化庁の「国語に関する世論調査」
文化庁が定期的に実施している「国語に関する世論調査」は、不特定多数に向けた文章を書く機会が多い人にとっては、非常に参考になります。特に、「同訓の漢字の使い方」や「言葉の意味」「慣用句の言い方」などの項目を見ていると、いかにどんな言葉が伝わるか、いかに誤用が多いか、が見えて非常に参考になります。調査結果が年代別にグラフ化されているので、ターゲット別に書き分ける場合にも、参考にできますね。このシリーズをおさえるだけでずいぶん勉強になります。
※「サクサク動く」については、平成24年度版に掲載されています。
常識3 間違いやすい日本語をおさえる ~「貴社/御社」「ください/下さい」「いただく/頂く」など~
①まずは「国語に関する世論調査」に目を通そう
2.でご紹介した文化庁の「国語に関する世論調査」にも、間違いやすい日本語が掲載されています。平成24年度版でいうと、「言葉の意味どちらの意味だと思うか」の項に記載されている内容は、間違いやすい日本語そのものですね。特に、「役不足」「流れに棹さす」「潮時」「噴飯」は、約半数以上の人が間違った意味で使っているという集計結果になっています。
また、この調査で明らかになった間違いやすい日本語について、以下にもまとめられています。
文化庁HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策 > ことば食堂へようこそ!
間違いやすい敬語については、以下にまとめられています。
「敬語おもしろ相談室」(文化庁)
②その他ビジネスシーンでの誤用が多い言葉
・相手の会社の呼び方「貴社」と「御社」
基本的には、「貴社」は文語、「御社」は口語とされています。
・自分の会社の呼び方「弊社/当社」
「弊社」は、自分の会社の謙譲語。「小社」も同じ意味になります。「当社」よりも「弊社」という表現のほうがよりへりくだった言葉になるので、シーンによって使い分けましょう。
・「下さい/ください」
「下さい」と漢字を使う場合は、実質動詞(「くれ」の尊敬・丁寧表現)の場合のみです。
→(例)そのコピー用紙を下さい。
「ください」とひらがなで記載する場合、補助動詞(お願いや敬意を表す尊敬・丁寧表現)になります
→(例)そのコピー用紙を取ってください。
・「頂く/いただく」
上の「下さい/ください」と非常に似ています。
「頂く」と漢字を使う場合は、「食べる・飲む」の謙譲語として使う場合のみです。
「~してもらう」の尊敬語として使う場合は、「ください」とひらがなで記載します。
ビジネスシーンでは、おそらく後者で利用することの方が多いので、基本的にはひらがなで記載しておくとよいでしょう。
・「小生/小職」
「小生(しょうせい)」は、一人称の人代名詞で、男性が自分をへりくだる場合に使います。
「小職(しょうしょく)」は、官職についている人が自分をへりくだる場合に使う言葉なので、民間企業に務める人や学生が使う一人称ではありません。
次回は、伝わりやすい文章と正しい日本語のための5つの常識のうち、のこりの2つについて詳細をご紹介します。
常識1 日本語表記の基本ルールを知る
常識2 言葉に関する調査を参考にする
常識3 間違いやすい日本語をおさえる
常識4 定番ツールを導入する(※詳細は次回掲載)
常識5 検定でさらに腕を磨く(※詳細は次回掲載)
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