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【必見!メール配信担当者向け】Hotmail宛にメールが届かない?Outlookの大量送信者向けの新しい要件と対策方法を詳しく解説

【必見!メール配信担当者向け】Hotmail宛にメールが届かない?Outlookの大量送信者向けの新しい要件と対策方法を詳しく解説

Microsoftの「Outlookの大量送信者向けの新しい要件」が、2025年4月に発表されました。Outlookのメールアドレス宛に1日あたり5,000件を超えるメールを送信する送信者は、送信ドメインにSPFレコード・DKIM署名・DMARCメール認証の設定が必須となり、その設定を行わない場合は、迷惑メールとして判断され、最終的には送信先に届かない可能性が生じる、という内容です。

  • 具体的にどのような対策をしなければならないのか
  • 対応しない場合にどのような影響があるのか
  • Gmailのガイドライン対策はしたが、Outlookではどんな対策が必要なのか

このあたり、気になっているメールマーケティングのご担当者様も多いのではないでしょうか?
この記事では、技術に詳しくない方にもわかりやすく解説します。

※各社の「メール送信者に関するガイドライン」は継続的に更新されています。こちらのブログの内容から変更される可能性もありますので、その点は何卒ご了承ください。

1.今度はOutlookでメールが届かない?

1.今度はOutlookでメールが届かない?

Gmailの「メール送信者のガイドライン」更新が記憶に新しいですが、Microsoftが提供するメールサービスOutlook.comなどでも同様に、メール大量送信に関しての対策強化が始まります。

Microsoftの「Office 365 向け Microsoft Defender ブログ」より(公開日:2025年4月3日)

For domains sending over 5,000 emails per day, Outlook will soon require compliance with SPF, DKIM, DMARC. Non‐compliant messages will first be routed to Junk. If issues remain unresolved, they may eventually be rejected. Senders will soon start requiring compliance with the following requirements:

(翻訳)
1日あたり5,000通を超えるメールを送信するドメインの場合、OutlookではまもなくSPF、DKIM、DMARCへの準拠が必須となります。準拠していないメッセージは、まず迷惑メールフォルダに振り分けられます。問題が解決されない場合、最終的には拒否される可能性があります。送信者はまもなく以下の要件への準拠を必須とします。

引用:Strengthening Email Ecosystem: Outlook’s New Requirements for High‐Volume Senders(メールエコシステムの強化:大量送信者向けの Outlook の新しい要件)

上記では「1日に5,000 通を超えるメール」と記載されていますが、1日5,000件未満のメールを送信する場合でも、新しいメール認証要件への対応が推奨されています。

メール認証要件への対応をしない場合の影響

メール認証要件に対応しない場合、以下の影響が考えられます。

  • 迷惑メールフォルダに振り分けられる
  • メールの配信が拒否される可能性が高まる
  • メールが届かなくなる

メール認証要件に対応しないと、メール配信の到達率が下がります。これは、メールマーケティングを実施している企業にとって大きな影響となります。このような状況にならないために、対策が必要です。次に、Outlookの大量送信者向けの新しいメール認証要件について、解説していきます。

2.Outlookへの大量送信者向けの新しいメール認証要件とは?

2.Outlookへの大量送信者向けの新しいメール認証要件とは?

対象のOutlookのメールアドレス

まず、対象の範囲について説明します。

今回の新しいメール認証要件の対象となるOutlookのメールアドレスは

  • 末尾が @hotmail.com または @live.com および @outlook.com の個人アカウントが対象となります。
    ※明記されていませんが Outlook.com を構成する @outlook.jp でも同様と考えられます。

以下は今回の要件の対象外です。

  • 職場または学校で導入している Outlook.com のアカウント(末尾が@outlook.comではない)

必要な対応(必須)

新しいメール認証要件では、「Sender ID/SPF」「DKIM」「DMARC」設定が必須になりました。それぞれを説明します。

「Sender ID/SPF」
Sender ID/SPF(Sender Policy Frameworkの略)とは、メールの送信元IPアドレスを元に、送信者情報のドメインが正規のものであるか検証できるようにする方式の「送信ドメイン認証技術」です。【メールの送信元IPアドレス】と、差出人アドレスのドメイン(@マーク以降の部分)の【DNS(Domain Name Systemの略)サーバに設定されているIPアドレス情報】を照合し、メールが正当なメールサーバから送信されたものかを判断します。

▼Sender ID/SPFの仕組み

Sender ID/SPFの仕組みの図

(補足)
評価対象のDNSの違いによって呼称があり、エンベロープFrom(Envelope-From:配信エラー発生時の通知先)ドメインで評価する仕組みをSPF、ヘッダーFrom(Header-From:メールアプリで差出人として表示)ドメインで評価する仕組みをSender IDと呼びます。いずれもDNS上にSPFとして登録された内容で評価するため、Sender ID/SPFと繋げて記載することや、まとめてSPFと呼ばれる場合もあります。
※Sender IDではSPF2.0に対応しているといった相違点もありますが、ここでは省略します。

「DKIM」
DKIM(DomainKeys Identified Mail/ディーキムの略)とは、受信したメールが「正当な送信者から送信された改ざんされていないメール」かどうかを確認することができる「電子署名方式の送信ドメイン認証技術」です。
DKIMは、【送信者側がメール送信時にDKIM署名を行い】、【受信者側がそのDKIM署名内容を検証する(公開鍵で照合を行う)】ことで、メールの送信者(ドメイン)とメール本文の正当性(途中経路で改ざんされていないこと)を確認することができます。

▼DKIMの仕組み

DKIMの仕組みの図

(補足)
エンベロープFrom(Envelope-From:配信エラー発生時の通知先)ドメインとしてDKIM署名を付与することを「第三者署名」と呼びます。ヘッダーFrom(Header-From:メールアプリで差出人として表示)ドメインでDKIM署名を付与することを「作成者署名」と呼び、「作成者署名」の方が信頼度が高くなります。

「DMARC」
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance/ディーマークの略)とは、SPFとDKIMの両方を利用した「送信ドメイン認証技術」です。
DMARCは、SPFとDKIMの認証結果を基に、認証NG時の処理をどのようにするか「DMARCポリシー」として「何もしない/隔離する/拒否する」のいずれかを定義しておくことができ、「DMARCポリシー」を参照して受信メールを扱うことにより、なりすましメールを排除することができます。

▼DMARCの仕組み

DMARCの仕組みの図

(補足)
DMARCでは、SPFとDKIM双方の認証結果を評価し、第三者によるなりすましの検出を行うことで、メールの安全性を高めます。送信先のメールサーバによってDMARCがNG判定の場合や、大量配信なのにDMARC設定がない場合は、迷惑メールとして扱われる可能性が高くなるため、メール配信機能を持つサービスを利用する場合は、「DKIM作成者署名」と「DMARC」の対応を推奨します。

DMARCでの作成者署名の要否については、エンベロープFromとヘッダーFromのドメインが一致しているかどうかで異なります。メール配信機能を持つサービスを利用して配信する場合は、SPFを設定したうえでDKIM作成者署名が必要なケースが多くなります。
Gmailの要件と同じく、DMARC単体では、「DKIMなし」かつ「SPFあり(エンベロープ From 一致)」の場合はチェックOKなのですが、DKIMおよびDMARCが必須となっていることから、以下の『OK』となるメール認証の構成が必要となります。

▼「送信メールを認証すること」の定義

「送信メールを認証すること」の定義の図

設定方法については、Gmailのガイドライン対策で紹介していますので、こちらをご参考ください。

必要な対応(推奨)

新しい要件では、必須の対応の他にも、推奨されている対応があります。事前にチェックしておくことをおすすめします。

準拠した P2 (プライマリ) 送信者アドレス
「差出人メールアドレス(From)」または「返信先メールアドレス(Reply-To)」は、実際に受信が可能なメールアドレスであること。

機能的な登録解除リンク
メールの受信者が、メールの解除を簡単かつわかりやすくできる方法を提供すること。

配信リストとバウンス管理
無効なアドレスを定期的に削除し、エラーメールなど不要なメールを削減すること。

透明なメール送信方法
誤解を招くような内容を避け、正確な件名を使用すること。また、未承諾のメールまたは迷惑メールを送信しないようにすること。

これらの対応を行わないと、迷惑メールフォルダに振り分けられたり、メールの配信が拒否されたりする可能性が高まります。

3.Outlookだけじゃない!iCloudメールやドコモメールでも対応が必要

Gmailのガイドラインとの違い

既に、Gmailのガイドライン対応を行っている企業は多いと思います。GmailとOutlookの新しい要件への対応の違いは何でしょうか。結論としては、対応はほぼ同じと考えてよいと思います。
細かな違いとしては、対応推奨にあげた「準拠した P2 (プライマリ) 送信者アドレス」があります。改めて「差出人メールアドレス」または「返信先メールアドレス」が、配信エラーを返さずサーバに受け渡しが可能なメールアドレスであることを確認しましょう。

AppleのiCloudメールやNTTドコモのドコモメールでも対応が必要

OutlookやGmailだけではなく、AppleのiCloudメール(mac.com、me.com、 icloud.com)宛でも、一括メールを送信する場合に満たさなければいけない要件があります。詳細は割愛しますが、OutlookやGmailと同様の対応が求められます。
これまで推奨とされていた「Sender ID/SPF」「DKIM」「DMARC」設定は、2025年2月には必須に変更されました。
参照:iCloudメールのポストマスター情報

他にも、NTTドコモのドコモメールでは、2024年10月以降にフィッシング詐欺対策を目的として、「なりすましメールの警告表示機能」の導入が発表されました。この機能の導入に伴い、「Sender ID/SPF」「DKIM」「DMARC」の設定が必要になりました。
参照:ドコモメールにフィッシング詐欺対策を目的とした「なりすましメールの警告表示機能」を導入(PDF)

各社共通して、メールの安全性や信頼性を維持するために、大量送信者向けの要件を提示しています。メールマーケティングを行う企業は外せない要件ですので、対応を進めましょう。

4.いつまでに対応が必要か

4.いつまでに対応が必要か

新しい要件の施行開始は、2025年5月5日以降とされています。また、時期は公開されていませんが、将来的に新しい要件を遵守していない場合は、迷惑メールへの振り分けではなく受信拒否に対応が変わる可能性も発表されています。できるだけ早く対応を進めるようにしましょう。

5.メール配信機能を持つサービスを利用する場合の注意点

5.メール配信機能を持つサービスを利用する場合の注意点

今回の新しいメール認証要件への対応では、「DKIM作成者署名」や、適切なエラーメールの受信環境といった送信元(メール配信サーバ)側で対応が必要な内容が含まれます。既にメール配信サービスなどを導入されている場合は、対応状況を確認してください。確認する内容は以下の3点です。

  • 「DKIM作成者署名」に対応しているか
  • 一斉配信において「返信先メールアドレス(Reply-To)」が適切に処理されるか
  • 受信者がメールの配信登録を容易に解除できるか

対応していない場合は、対応可否を確認してください。もし、対応できない場合は、メール配信サービスのリプレイスも検討する必要があります。

また、これからシステム導入を検討する場合は、上記に対応しているものを選びましょう。対応しているかだけではなく、対応時の価格やどこまでベンダーに任せられるかのサポート体制も、導入を円滑に進めるうえでの重要ポイントです。

現在メール配信システムの導入やリプレイスを検討中の方は以下の資料もあわせてご欄ください。メール配信システム4社の機能比較表が無料でダウンロードできます。

これから導入を検討、またはリプレイスをご検討の方へ

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6.対応まとめ

6.対応まとめ

新しい要件に準拠していない場合、メールがブロックされたり、迷惑メールに振り分けられたりする可能性が高まり、Outlookへのメール到達率が下がってしまいます。必要な対応に関するチェックリストを以下に記載しますので、ぜひ参考にしてください。

対応チェックリスト

  • SPFの設定
  • DKIM(作成者署名)の認証設定
  • DMARCの認証設定
  • 配信リストの整備
  • メールへの解除リンク設置

この記事が、メールマーケティングをしている企業のご担当者様のお役に立てれば幸いです。

なお、弊社が提供する統合顧客管理(CRM)システム「Synergy!」が持つメール配信機能は、DKIM作成者署名にオプション対応しており、安心してご利用いただけます。また、送信元(メール配信サーバ)側で対応が必要な内容にも適用しています。要件に対応していないメール配信サービスをご利用の方、これからメール配信サービスを検討する方でお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。