メルマガのクリック率の平均と改善施策を紹介~CRMシステムベンダーが実数値を集計~
メール配信施策に取り組むうえで、開封率・CTR(クリック率)は重要な指標です。普段メール配信をするなかで「他の企業のメール開封率やクリック率はどのくらいなのか?」と気になったことはありませんか? この記事ではそんな疑問にお答えするため、弊社のCRMシステム「Synergy!」から実際に配信されたメールの配信実績を用いて調査した、業界別の開封率・クリック率について詳しくご紹介します。
開封率とクリック率を上げるポイントについても解説していますので、あわせてご覧ください。
クリック率とは?
はじめに、メールのクリック率についてです。クリック率は、配信されたメールの数のうち、本文の中にあるリンクがクリックされた数の割合です。計算式は下記の通りです。
<メールクリック率の計算式>
(クリック数÷有効配信数)×100(%)=クリック率
上記の計算式の中にある「開封数」「クリック数」「有効配信数」を算出するためにはメール配信システムを利用してメールを配信することが必要です。メール配信ツールを利用することで、出すことができます。
開封率とは?
次に、レポートで取り扱う「開封率」について説明します。
メールの開封率とは、メルマガなどの配信したメールが送付先で開封された割合を表すデータです。メールの内容がどのくらいの人に読まれているかを判断する指標として活用されています。
開封率の算出方法
開封率の算出方法は、
<メール開封率の計算式>
(開封数÷有効配信数)×100(%)=開封率
で算出することができます。
例えば、
- メールが開封された数:3,500通
- 配信に成功したメールの数:15,000通
この場合のメール開封率は、先ほどの計算式に当てはめると以下の通りです。
3,500通(開封数)÷15,000通(有効配信数)×100%=23.3%
よって、開封率23.3%となります。
メールの効果測定をする際に、まずはこの開封率が重要となるため、上記の算出方法を覚えておきましょう。
開封率の計測方法
開封率の計測方法は、主に以下の2つがあります。
- Google Analyticsの活用
- メール配信システムの活用
Google Analyticsで計測する一般的な方法は、配信するHTMLメール内に測定用のパラメータが埋め込まれた画像を設置することです。メール内のその画像が読み込まれた数で開封数が計測可能になります。
一方、メール配信システムによる計測方法は、Google Analyticsのような特別な設定をしなくても、配信時に開封通知機能を有効にするだけで自動的に計測されるため、専門知識がなくても簡単に開封率を計測することができます。
ただし、どちらも画像がユーザーに読み込まれたかどうかで判断する点は同じなため、テキストメールではなく、HTMLメールでないと開封率が計測できないという点は注意しましょう。
開封率の計測方法について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
業界別メール平均開封率/クリック率レポート
以下、弊社のCRMシステム「Synergy!」のメール配信実績に基づいて、メール開封率/クリック率の業界別平均値を算出しました。それでは詳しく見ていきましょう。
調査対象データについて
レポートでは以下の情報を対象に調査・集計をしています。
時期 | 2023年1月1日~2023年3月31日 |
---|---|
対象 | 上記期間にメール配信機能(ベーシックメール機能)を使って配信されたメールの開封とクリック |
実績業界 | 全14種 |
配信総数 | 740,417,557通 |
計算方法 | 上述の通り |
業界別で見る!メール平均開封率
調査対象データ全体のメール平均開封率:42.12%
業界別のメール平均開封率は以下の通りです。
業界別 | 平均開封率 |
---|---|
NPO/非営利組織 | 40.02% |
コンサルタント/HR/人材 | 41.07% |
テクノロジー/通信 | 45.21% |
ファイナンス | 43.04% |
医療 | 45.70% |
観光/エンターテイメント/ホスピタリティ | 45.21% |
教育 | 43.26% |
建築・建設 | 43.25% |
広告/マーケティング/PR/メディア/デザイン | 41.89% |
自然産業 | 56.26% |
小売 | 42.22% |
消費サービス | 40.39% |
政府機関 | 57.67% |
製造/物流/エンジニアリング | 38.38% |
開封率は、「政府機関」や「自然産業」の業界が比較的高い割合を示しています。
この2つの業界に属するSynergy!ユーザー様は、防災情報やガスの利用などに関するメールを配信されていました。おそらく、生活に直結する内容であることが多いため、他の業界に比べ開封数も高くなったと考えられます。
一方、「製造/物流/エンジニアリング」業界のメール開封率は比較的低いですが、既存顧客へのキャンペーンや、アップセルを狙うマーケティング用途のメール配信が多い状況でした。潜在層に向けたメッセージングも多くなる傾向にあることが、要因の一つとしてあげられます。
業界別で見る!メール平均クリック率
調査対象データ全体のメール平均クリック率:6.64%
業界別のメール平均クリック率は以下のとおりです。
業界別 | 平均クリック率 |
---|---|
NPO/非営利組織 | 5.04% |
コンサルタント/HR/人材 | 12.69% |
テクノロジー/通信 | 11.18% |
ファイナンス | 9.98% |
医療 | 12.25% |
観光/エンターテイメント/ホスピタリティ | 6.01% |
教育 | 6.13% |
建築・建設 | 4.84% |
広告/マーケティング/PR/メディア/デザイン | 5.67% |
自然産業 | 10.20% |
小売 | 6.35% |
消費サービス | 4.21% |
政府機関 | 6.87% |
製造/物流/エンジニアリング | 6.13% |
クリック率は、「コンサルタント/HR/人材」「医療」の業界が比較的高く見られます。
「コンサルタント/HR/人材」業界については、「人材」業界の転職サービスの情報発信やアンケートのご案内にメールが活用されており、その用途で特に高い数値が見られました。「医療」業界では、サービス問い合わせ顧客へのリマインドや、後の追客に利用しており、顕在層へのアプローチのため高い数値になっています。
一方で、「消費サービス」「建築・建設」の業界のクリック率は比較的低めでした。どちらの業界も、メルマガ配信やイベントの告知メール、提供サービス・商材の情報など潜在層に向けた情報発信が多いことで、クリック率が他業界に比べ低くなっていると考えられるでしょう。
以上がSynergy!のご利用者様のデータから算出した、業界ごとのメール開封率とクリック率となります。自社の取り組みを振り返る際の参考になれば幸いです。ただし、メールの開封率・クリック率は各施策の目的やターゲットなど状況に応じて大きく変動します。あらゆる条件で配信されたデータを業界別に出した平均値ですので、あくまで参考値として捉えることをおすすめします。
正しく効果計測を行う上で意識すべき3つのポイント
正しく効果測定を行うにあたり、意識すべきポイントは以下の3つです。
- メール配信の目的を明確にする
- 率にこだわりすぎず絶対数も重視する
- 長期スパンで効果測定をする
まず、ポイントの1つ目は「メール配信の目的を明確にする」ことです。
開封率やクリック率は重要な指標であることに間違いはありませんが、どのような目的でメール配信を行っているかによって、重要視すべき指標が変わるためです。自社でのメール配信の目的を明確にし、何が最重要な指標かをあらかじめ把握しておきましょう。
続いて、ポイントの2つ目は「率にこだわりすぎず絶対数も重視する」ことです。
効果測定と聞くと、1通のメールの開封率やクリック率がどれくらいか?という“率”の観点だけで考えてしまいがちですが、配信対象や回数を増やしてメールを送信することで、メール1通単位でのクリック率・開封率が下がっても、1か月合算でのクリック数・開封数という絶対数の観点では数値が上がっている場合もあります。メール施策の成果を正確に判断するためにも、“率”だけではなく“絶対数”での効果測定も意識するようにしましょう。
ポイントの3つ目は「長期スパンで効果測定する」ことです。
先述の通り、メールは1回送って終わりではなく、継続してPDCAを回しながら実施することで成果を積み増しできるストック性のある施策です。
そのため、メール施策の効果測定をする際は、1度の配信結果だけを成果として見るのではなく長期スパンでPDCA回した結果も見るようにしましょう。
メールマーケティングでの正しい効果測定のポイントについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
開封率を上げる6つのポイント
数値を踏まえ、より各指標を改善していく必要性がある場合、何から始めるとよいでしょうか。できることはたくさんあります。ここではメールの開封率を上げるポイントを6つご紹介します。
- 件名の工夫
- プレヘッダーの設定
- 差出人名・差出人アドレスの設定
- 配信する日時に配慮する
- データ容量を考慮する
- 到達率を上げるためのデータクレンジング
難しいことではなく、明日からすぐできることも盛り込んでいますので、できそうなことから取り入れてみてください。
1.件名の工夫
受信者がメールを開封するかどうかを判断する際、一番はじめの関門は「件名」です。いくらメールの内容を工夫したり、価値のある情報を用意したとしても、件名を見て読みたい気持ちにならないと開封されることはありません。
受信者は、毎日たくさんのメールを受け取っています。読んでもらうためには、数あるメールの中から、目に留めてもらい、チェックする価値がありそうと思ってもらうことが必要です。
そのために、いくつかできることがあります。例えば、件名に絵文字を入れて件名をとにかく目立たせることがあげられます。「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、実案件の検証にて開封率が2pt~3pt改善された例があります。
また、ターゲット層は各社のマーケティング方針やメール配信の目的によって異なるため、自社の読者にとって続きを読みたくなる件名は何か?自社独自の勝ちパターンは何か?などを検証するために、ABテストを実施する方法もおすすめです。
2.プレヘッダーの設定
件名以外に工夫できる点に、GmailやiPhoneの標準メールアプリで件名の下にテキストが表示される「プレヘッダー設定」があります。このプレヘッダーを意識して文章を作成することで、件名だけでは伝えきれない情報を開封前に伝えることができます。
プレヘッダーは、メール本文のHTMLソースの「<body>部分」に設定することで、その内容が表示されます。メール配信ツールを使うと、HTMLの設定は不要なので、HTMLソースを触ったことがない方でも簡単に記入・編集できるためおすすめです。
プレヘッダーについてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
3.差出人名・差出人アドレスの設定
メールを送った際に表示される、差出人名・差出人アドレスの設定もポイントです。どのような相手から来たメールなのか明示されていないと、不信感や警戒心を生むことにつながるため、開封率に影響する可能性があります。誤字脱字のチェックはもちろん、正式名称を記載するなど受信者に安心感を与え、ひと目でどのような相手から来たメールかをわかるようにしておくことで、開封率の改善につながるでしょう。
4.配信する日時に配慮する
開封されやすい曜日や時間帯を狙うといった工夫も、開封率の改善を見込むことができます。毎週同じ曜日・時間帯に配信すると決めることで、受信者に配信日時を覚えてもらうことも効果的です。
いつ開封されやすいかを知るためには、レポート機能やABテストでより開封されやすい時間帯を探ることで、より効果の高いメール配信を期待できるでしょう。
一方、配信する日時への配慮として、深夜帯に配信されてしまうことは最も避けなければなりません。クレームやブランドの価値、信頼感の下落につながることがあるため注意しましょう。
5.データ容量を考慮する
データ容量は可能な限り軽くしておくのが鉄則です。
特にスマートフォンではなく、フィーチャーフォンでの受信があった場合は、容量が大きいとデータの読み込みに時間がかかったり、コンテンツが表示されないことがあります。開封されたとしても、最後まで読まれなくなる確率が上がってしまうので気をつけましょう。
6.到達率を上げるためのデータクレンジング
そもそもの到達率を担保するために、配信を妨げる要因を取り除く工夫も効果的です。
その1つが、メール配信リストを精査することです。
というのも、エラーが何度も出てしまうと、インターネットサービスプロバイダなどの受信サーバ側から、悪質な送信元としてメールの受信制限の対象(迷惑メール)となるケースがあります。そういった状況を防ぐために、一定数のエラー回数を超えた対象は定期的に配信対象から削除する、というメンテナンスが必要です。自動的に一定数のエラー回数に達したメールアドレスを配信リストから除外する機能を持ったメール配信システムを使うことも、到達率を維持に役立つためおすすめです。
クリック率を上げる3つのポイント
開封率について6つ紹介しましたが、開封率だけではなく、クリック率も着目して日々改善をしていきましょう。
2021年、個人情報保護の観点からiOSデバイスにはメールプライバシー保護機能が追加され、iPadやMac、Apple Watchなどで受け取るメールの開封率が正確に測定できなくなりました。
また、受信者は、昨今毎日のように多くのメールを受信するため、メールの機能に備わっている一括既読機能で開封作業のみを行う人もいます。そのため、「開封した=内容を読んだ」と決めつけるのは早計です。
開封率にこだわりすぎることなく、クリック率も観測し、改善策を検討していくことをおすすめします。メールのクリック率を上げるポイントは以下の3つです。
- HTMLメールを活用する
- CTAの置き方を工夫する
- 件名/プレヘッダーも大事
詳しく見ていきましょう。
1.HTMLメールを活用する
テキストメールよりも、HTMLメールのほうがより視覚的にCTAへ誘導できます。例えばCTAをバナーやボタンで表現することで、読み手は直感的にクリックできる箇所として認識します。「資料を読んでみる」などのように、自然と誘導できるテキスト文でのボタン設置もおすすめです。HTMLメールの作成の際には、通常、コーディング作業というHTMLの知識が必要となりますが、エディタ機能が搭載されたメールツールを使用することで、専門知識がなくても直感的にHTMLメールを作成することができます。ぜひ利用してみましょう。
2.CTAの置き方を工夫する
お客様への行動を促す目的で使うCTAは、メールの中でも特に重要なポイントです。
顧客獲得の機会を逃さないように、例えば以下のような点に注意しましょう。
- メールを開いて5秒以内にCTAがわかるように目立たせるなど、視覚的な訴求をする
- CTAは多くても2~3つにし、いくつも設置しすぎない
- 目的達成につながらないリンクを減らす
- 誘導の文言を「こちら」「ここ」などではなく「資料を読む」「ダウンロードする」「視聴する」など動詞にする
3.件名/プレヘッダーも大事
「開封率」のパートで紹介した内容の再掲になりますが、開封前にどれだけ興味を引きつけられるか、が後のクリック率にも影響します。
まずはメールが開かれないと、クリックする段階へも進めないからです。
いかにその気になってもらうか、ファーストコンタクトを工夫することは大切です。
ここまで、メールの開封率とクリック数を上げる9つのポイントをご紹介しました。が、一番大切なのは「誰に」「何を」届けるかの企画設計です。メールの改善は長期的に向き合う必要があるものですが、目的とターゲットをあらかじめ決めたうえで上記のポイントを抑えていくと、PDCAも回しやすくなるでしょう。
メール開封率・クリック率を把握し、次の配信で改善策を実践
いかがでしたでしょうか。紹介した内容と、自社がすでに取り組んでいる施策と照らし合わせてできそうなことはありましたか?
メール配信は日々の積み重ねでもありますので、まずはメール開封率、クリック率を把握し、その上で、改善を繰り返しましょう。そのためにも再現性のある改善策を取り入れることが重要です。
上記で紹介した改善ポイントをはじめとするメールマーケティングのカイゼンガイドをご用意しました。ぜひお手元に置いていただきたい資料ですのでご確認ください。
また、実際にメール配信を行いながら成果を定点観測していくときには、CRMシステムがあると便利です。国産CRMシステム「Synergy!」には、メール配信に役立つ機能が盛りだくさんです。簡単にメール配信ができ、開封/クリックの確認がレポート画面からできます。「Synergy!」の詳細は以下をご覧ください。
Synergy! – CRM・顧客管理システム
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