カスタマーサクセスに必要なウェルカムメールとは?企画から配信まで各ステップについてご紹介
こんにちは。カスタマーサクセスグループの金佐です。
弊社のカスタマーサクセスグループでは、既存ユーザー様がより快適にSynergy!をご利用いただけるように、操作セミナーを実施したり、メールで新機能のご紹介をしたりしています。
カスタマーサクセスの活動をしていくなかで、新規ユーザー様とのコミュニケーションに課題を感じることはありませんか?その課題を解決する手法の1つに「ウェルカムメール」というものがあります。
この記事では、昨年私が取り組んだ「ウェルカムメール」について、実体験を通じて企画から配信までのステップで、特に企画初心者の方が見落としそうなポイントなどを伝えたいと思います。
そもそもウェルカムメールとは?
ウェルカムメールとは、一般的には企業やサービスとお客様をつなぐ最初のメールのことを指します。例えば、メルマガを購読いただいた際やECサイトに登録いただいた際、ご購入やご契約直後に送られるメールなどをイメージしてください。弊社では、新規でユーザー登録されたタイミングで、Synergy!へのログイン方法や操作に困った際の弊社のサポート体制についてのご案内をお送りしています。
登録されたタイミングでお送りすることにより、新規ユーザー様がつまずくことなく快適にSynergy!の操作を開始できるようサポートしています。
また、操作面のサポートだけでなく、歓迎の気持ちを伝えることで操作開始にあたってポジティブな気持ちになっていただけるよう働きかける役割も担っています。
企画から配信までの手順
実際にウェルカムメールを送ろうとなったとき、どのように企画を進めたらよいのでしょうか。弊社では、以下のような順番でプロジェクトを進めました。
- 目的の整理
- ペルソナの作成
- ワイヤーフレームの作成
- 件名の検討
- 原稿作成
- デザイン制作
- 配信スケジュールの検討・配信設定
上記1~7の各工程の概要について説明していきます。
1.目的の整理
まず、このメールでユーザー様が抱えるどんな問題を解決したいのか、このメールを読んでもらうことでどんな状態になってもらいたいのかなど目的を整理します。
弊社の場合、初めてSynergy!にログインする際に手順について手間どってしまったり、そもそもサポート体制が把握されていなかったりという問題を解決するという目的を設定しました。
2.ペルソナの作成
自社のプロダクトをご利用いただいているユーザー様のタイプはさまざまです。その中でもこのメールでご支援したい層はどこなのか焦点を絞り、その対象者はどんな人なのか具体的な特徴を書き出していきます。
【ペルソナの特徴例】
年齢 | 30~40代 |
---|---|
社内でのポジション | 主にルーティン業務を担当している |
性格・スタンス | ばりばり仕事はしているが、プライベートとのバランスも大事にしたい |
ITリテラシー | 中級者 説明があれば理解できるレベル |
3.ワイヤーフレームの作成
ワイヤーフレームとは、ワイヤーは「線」、フレームは「枠」という意味で、簡単な線と枠で表現する「全体設計図」です。
1で設定した目的を達成するには、メールはどんな構成でどんな内容がよいのか、骨組みを考えます。この段階では細かい文章までは考えず、ヘッダーからフッターの間にどんな順番でどんな内容を並べるかを検討します。
ウェルカムメールで作成したワイヤーフレーム
また、このタイミングで、検討している内容を伝えるには「テキストメール」と「HTMLメール」のどちらが最適かも合わせて検討しました。今回は細かい操作手順などのご案内が含まれるため、文字だけでは伝わりづらいと判断し、視覚的にすぐに理解できるHTMLメールを採用することにしました。ただし、HTMLメールが受信できないユーザー様もいらっしゃる可能性があるため、テキスト原稿も合わせて作成し、両原稿を配信することにしました。
HTMLメールを配信される際は、上記の理由でテキスト原稿もご用意されることをおすすめします。
4.件名の検討
ワイヤーフレームが完成すると、このメールをひと通り読むとどういうことが理解できるのかを想像することができます。そこから、どんな件名であれば、開封する前と後でギャップが生まれないかを想像し、具体的な件名を検討していきます。具体的な考え方については、下記にて解説しています。
5.原稿作成
次に実際に原稿を作成し、ワイヤーフレームで作成した枠の中身を埋めていきます。事前に決めたペルソナに対しての距離感を意識しながら作成します。弊社の場合、カスタマーサクセスグループを身近に感じてもらいつつも失礼のない印象をあたえたかったので以下を特に意識しました。特に3点目については、「理解してもらいたい」という気持ちが強いと、ついつい文章が長くなりがちなので作成後読み返して随時修正していきました。
- 「いたします」「ございます」ではなく、「です」「ます」を使う
- 漢字を多用しない(例:嬉しいです→うれしいです)
- 一つ一つの文章を短くし、読みやすくなるように意識する
6.デザイン制作
HTMLメールを送る場合は先に作成した原稿をHTMLファイルで作成する必要があります。テキストメールと違って、画像や動画を埋め込んで、視覚に訴えるデザイン性の高いメールにできるのがHTMLメールの特徴の1つですが、そのデザインを制作するうえでもペルソナが重要になります。どういったものが好まれやすいか、読まれやすいか、ペルソナを想定してデザインの方向性を検討します。
HTMLデザインを作成するデザイナーが別担当者の場合は、制作前に方向性のすり合わせを行うとよいです。弊社では、デザインイメージの共有のためにベンチマークしている他社サイトをいくつかピックアップし、色味やクリエイティブの方向性を伝えました。あらかじめ共通のイメージを持ったうえでデザインしていくことで、仕上がった際の齟齬が生まれづらくなります。
弊社のウェルカムメールで使用したメインバナー
7.配信スケジュールの検討・配信設定
出来上がった内容をペルソナがどんなタイミングで受け取ったら、最初に決めた目的が達成されそうかを既存ユーザー様の傾向を参考に想像し、配信スケジュールを検討します。
弊社の場合、メール本文のボリュームの観点から2通に分けてお送りしているのですが、配信は以下のようなスケジュールです。ユーザー様の行動パターンから検討しました。
【1通目】
内容 | ログイン方法に関するご案内 |
---|---|
配信タイミング | ユーザー登録された翌日 |
理由 | ユーザー登録と初回ログインのタイミングが近い |
【2通目】
内容 | サポート体制に関するご案内 |
---|---|
配信タイミング | ユーザー登録された5日後 |
理由 | サポートの連絡先が前任者から引き継がれないケースがあり、弊社のサポート体制を認知してもらうため |
また、配信設定の際ですが、一番避けたいのが誤配信です。
配信ミスがないよう、弊社では以下のような工夫をしています。
- 焦りが一番ミスにつながります。スケジュールには十分に余裕を持ち、メール本文の制作が遅れた場合は配信日も遅らせることを検討する
- 設定時は配信チェックシートに沿って、必ず2名体制で配信設定を行う
- 必ずテスト配信を行い、その際、複数名で原稿を確認することで思い込みなどの見落としを防ぐ
配信ツールは、弊社が提供している「Synergy!」を使っていますが、上記のポイントはどのツールを使っても共通しておさえておいた方がいいポイントになるので、ぜひ取り入れてみてください。
実は重要!怠りがちなポイントとは?
上記で紹介した「企画から配信までの手順」のうち3~7はイメージがつく方が多いと思うのですが、意外と「1.目的の整理」と「2.ペルソナの作成」などが後々重要になってきます。各ステップのうち、実体験を通して実は重要だと感じたポイントを3点ピックアップしてお話します。
- 地味だけど実は重要な「1.目的整理」
- 困った時の判断基準になる「2.ペルソナの作成」
- 開封に響く!「4.件名の検討」
地味だけど実は重要な「1.目的整理」
すぐに原稿作成にとりかかりたくなると思いますが、まずは「1.目的の整理」をしっかりして、その内容を記録に残すことをおすすめします。理解しているつもりでも、いざ原稿作成にとりかかると「あのコンテンツも入れたい、このコンテンツも入れたい」と欲が出てきて、当初の目的を忘れがちになります。
さらに、プロジェクトの関係者が多いとよりおのおのの思考がずれていってしまうので、そんな時「1.目的の整理」の内容を見返すと軌道修正しやすいのでおすすめです。
困った時の判断基準になる「2.ペルソナの作成」
上記の「1.目的の整理」と同様に「2.ペルソナの作成」もとても重要な工程です。
ペルソナの作成には主に2種類あり、ひとつが実際にアンケートなどをとり、データを分析する方法。もうひとつは制作メンバーでアイデアを出し合ってつくる「プラグマティックペルソナ」という方法です。弊社は後者の方法で作成しました。ペルソナもしっかり検討し、記録に残しておかないと、原稿やデザイン制作の際にどの表現が最適かわからなくなります。言葉の表現などに困った際は、「この人(ペルソナ)なら、この表現の方が伝わるだろう」といったように文章の表現などに迷った時、判断基準として使うことができます。
上記の2つの工程以外にも、「4.件名の検討」もしっかりと検討が必要です。
開封に響く!「4.件名の検討」
いざワイヤーフレームが作成できると、どんな原稿にしようとその「中身」の作成に必死になります。もちろん原稿はとても大切な要素ですが、その原稿を読んでもらうにはメールを開封してもらわなければなりません。開封に深く関わっているのが「件名」です。
「件名」を検討する際に特に重要視したポイントは以下です。
【検討のポイント】
- ポイント①:件名で訴求している内容と本文の内容に相違がないか
- ポイント②:新規ユーザー様にもわかりやすいメリットを含める
- ポイント③:差出人名とセットで考える
ポイント①:件名で訴求している内容と本文の内容に相違がないか
メールを受信したあとの読者の行動は「件名を見る→興味をもつ→メール開封→本文を読む」という流れになります。件名と本文の内容が異なると期待を下げてしまい、今後開封してくれなくなる可能性があります。そのため、件名は本文の内容を的確かつ端的に表した内容にすることをおすすめします。
ポイント②:新規ユーザー様にもわかりやすいメリットを含める
ウェルカムメールの受信者は新規ユーザー様、つまりまだ企業と関わりが浅い状態です。今回のケースでも、新たに操作ユーザーとして追加されたことをふまえると、まだSynergy!というシステムへの認知度がそこまで高くない状態であることが想像できます。そういった方々にも興味を持っていただけるような「ワード」を含めることをおすすめします。
(例:「個別相談可能」、「無料相談可能」、「初めてでも安心」など)
ポイント③:差出人名とセットで考える
件名にいろいろな要素を詰め込みたくなりますが、開封前の段階で表示されるのは
パソコンの場合、大体20文字前後です。この限られた文字数内に伝えたい要素を全て詰め込むのは難しいですよね。そんな時、「差出人名」も合わせて検討してみてください。
例えば、弊社の場合、差出人名が「Synergy!カスタマーサクセスグループ」となっていれば、件名にわざわざ「Synergy!(シナジー)」を入れなくても、Synergy!の会社からメールが来たことがわかります。貴重な4文字を別の要素にあてることができます。
メールボックスに届いたメールの表示例
まとめ
いかがだったでしょうか?
正直、本プロジェクトを始めるまでは「目的の整理にそこまで時間をかけなくても大丈夫だろう……」と思っていましたが、いざ制作が始まると、当初に考えていた内容がどんどん頭から抜けていってしまい、途中で何を伝えたかったんだっけ?と迷子になったことが多々ありました。その際、きちんと後から振り返りできるように文章にして残していた有り難みを感じました。
本記事では、弊社の実体験をもとにウェルカムメールの企画から配信までの各ステップとポイントについてお伝えしてきました。これから初めて企画をご担当される方のヒントになれば幸いです。
カスタマーサクセスグループではこのように実体験を重ねながら、ユーザー様のSynergy!活用支援を行っています。
ウェルカムメール以外にも、カスタマーサクセスが行っている活動についてはこちらの記事でもご紹介しています。ぜひご覧ください。
今導入をお考えの企業様も、既にSynergy!をご利用いただいているお客様も何かお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
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