CDPとCRMの違いは?結局何ができるの?CRMベンダー目線でCDPを解説!
CDPとはCustomer Data Platform(カスタマーデータプラットフォーム)の略で、顧客データを実在する個人をキーにして収集・結合するシステムのことを指します。
前回の記事ではCDPについてCRMベンダーの目線から解説しました。
顧客に関連するデータをCDPに集約し、顧客単位のデータに集計/変換(統合)することで、よりよい顧客体験を実現するためのパーソナライズ施策の強化やデータの分析が可能となります。
今回は、より具体的な活用イメージをもっていただくためにCDPそのものの解説ではなく、CDPとCRM/MAを連携させることでどのようなことが実現できるか、そのためにどんな準備が必要かをお伝えしていきます。
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そもそもCDPとCRMって何が違うの?
CRMとは
Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、日本語では「顧客関係管理」または「顧客関係性マネジメント」などと訳します。
ちなみに、“CRMとは”で検索をすると「CRMシステム」を解説するページが多く表示されます。
CDPもCRMも「顧客のデータを管理する」という点では共通の仕組み(システム)になります。
一方でCRMという言葉自体は主にLTVを重視した「マーケティング活動の方針(取り組み)」として使われることもあります。CRM活動を実践するための仕組みとしてシステムが存在しているのが実態です。
CDPはCRMが併用されることも多い
上述の戦略/方針としてのCRMを主語にする場合、ややこしい話ですが、CRMという「活動」を実施する上で、「CDPを利用」することが必要になる場面も多々あります。
多くのケースでは、CDPで集約/変換(統合)したデータをCRM「システム」に連携をし、LTVを伸ばすために顧客体験の改善やパーソナライズ施策の実行(≒方針/活動としてのCRM)を行うような座組みをつくることになります。
システム連携の座組み例
CDP自体には、メール配信やLINEへの配信など顧客に対してアクションを実行する機能がついていないことが多いため、CDPから施策に必要な顧客データをCRMに連携を行い、施策はCRMシステムを通して実行することになります。
CRMベンダー目線でのCDP活用シーン
CDP目線では施策実施のためにCRMシステムが必要となりますが、逆にCRMの目線ではどのような場面でCDPがあるとよいのでしょうか?4つのケースを紹介します。
1.複合的なデータソースを組み合わせて施策を実行したいとき
CRMシステムは一般的には顧客のデータを一元管理することを志向して設計されているため、異なる種類のデータの取り扱いに限界があることもあります。
そもそも、企業が持つ顧客に関するデータはそれぞれ別の環境で管理されていることも多くあります。店舗とECの会員データが別々のシステムで管理されているようなケースはもちろん、他にも以下のようなケースによく遭遇します。
- CRMシステムで既存顧客のWebアクセス履歴データは取得できていたとしても、見込み顧客のWebアクセス履歴データはCRM側で管理できていないケース
- Web接客ツールでの接触履歴など別のマーケティングツールで取得しているデータが存在しているケース
など、CRMだけでの管理が難しいときにはCDPが活躍します。
2.データを集計し、意味あるセグメントを作成したいとき
CRM側でデータを管理していたとしても、そのデータが使いづらい、意味を見いだしづらいケースがあるのではないでしょうか?このような場合もCDPがあると便利です。
例えば、CRM側で購買履歴データ(いつ誰が、何を買ったか)を保有しているとします。
このデータを利用して「商品Aの購入者」に「購入から3日後」に施策を実行することはCRM単体でも容易に実現可能です。
一方で以下のような場合はどうでしょうか。
- 直近1年間の購入のうち、商品カテゴリ1の商品を3回以上購入している顧客を絞り込み
- 毎月購入している顧客の平均購入間隔の日数に合わせた施策を実施
これらのような施策を実施したい場合は、商品と商品カテゴリの紐付けをし、購入回数の集計や特定の商品を毎月購入している顧客を抽出した上で平均の購入間隔を算出する、などといった独自のセグメントを別途作成する必要があります。CRMシステム単体では実現ができない、できたとしても条件抽出の設定が複雑になることも多々あります。
3.高度な分析や外部データと組み合わせたセグメントを作成したいとき
CDPの中には、機械学習の機能と連携性が高いサービスが存在しています。CDPに蓄積したデータから、解約予測を行い、解約見込みの高い会員に対して施策を実行したり、購入見込み度に合わせてインセンティブ提供のだし分けを行ったりといったことも実現可能かと思います。
また、自社保有データだけでなく、天候予測のデータなど外部のデータと自社データをかけ合わせたセグメントを作成し、顧客ごとに天気に合わせて配信コンテンツをだし分けるといった高度な施策展開の実現可能性も広がります。
4.システムを横断したマーケティング成果の把握や顧客分析を行いたいとき
最後のケースはCRM施策とは少し外れますが、事業ごとにデータが分断されている場合、マーケティング活動の成果や顧客の傾向が正確に分析できず、適切な戦略が立てられないというお悩みもよく伺います。
例えば、ECと店舗で展開されている企業様の場合、初回購入を店舗でされて以後、ECを利用されている顧客の割合や傾向を把握できなかったり、ECから配信したメールが店舗来店にどの程度影響を与えているのかが計測できなかったりと、PDCAを回すうえでほしい情報をつかめないケースがでてきます。
こうしたケースでもCDPを利用し、データのサイロ化を解消することで、意思決定に必要なデータを見える化することができ、CRMの成果を改善する糸口をつかむことができます。中には、そもそもCRMの成果自体がデータのサイロ化により見えないこともあり、そうした場合もよりCDPが力を発揮することになります。
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CDPの導入判断・検討の進め方
CRMベンダーとして有効なCDPの活用方法をお話してきましたが、CDP導入には幅広いメリットがあります。自社にとっても役に立つかも、と興味が深まった方もいるのではないでしょうか。
続いては、検討はどのように進めればよいのか、ポイントや事前準備について解説します。
CDPはコストがかかる。代替手段は?
上述のようにCRM施策の可能性を広げることができるCDPではありますが、導入にはそれなりのコストがかかることもしばしばあります。
実現したいことのレベル感や現在の事業フェーズによっては、CRM単体での運用はもちろん、ETLやDWH系のサービスを代替手段として利用することができるケースもあるかもしれません。
「Snowflake」というSaaS型のDWHサービスなどを利用することもおすすめです。
(弊社でも構築実績がありますので気になる方はぜひご相談ください)
CDP導入を検討する際のポイント/事前準備
CDPに限った話ではありませんが、テクノロジーを導入する際にはやはり事前の検討/準備が大事になります。
CDPを導入する際にも同じく、事前の準備として導入後の「アウトプット」をイメージしておくことが重要です。
具体的には、CDPを導入することで
- 何の指標を伸ばすためのどんな施策が実施できるのか
- 現在分断されている何の数値や顧客行動が見える化するのか。また見える化したことによってどのような変化が自社の組織や施策に起きうるか。
- 導入後の変化の大きさはどの程度のインパクト(売上など)になるか(※精緻ではなく、改善できる幅を想定しておく)
などに答えられる、少なくとも考慮できている状態であることが望ましいです。
また、そもそも現在保有のデータ上、CDPの導入だけではデータ統合が実施できないケースも想定されますので、導入後にどのような形式のデータに変換を行いたいのか、それが技術上実現可能なのか、という点も事前に検討しておく必要があります。
仮に、現在CRMやMAでマーケティング施策を運用されている企業様の場合は、CDP導入後に実施する施策の整理とそれに必要なデータ項目の設計が完了してから、CDPの導入を進めることが現実的でしょう。
そのために、下記のようなステップで検討を進めることをおすすめします。
こちらの記事でも少し触れていますのでよろしければご参照ください。
▼ステップ例
- 顧客行動/体験の整理(≒カスタマージャーニーの整理)
- 施策実行可能ポイントの洗い出し
- 施策の設計(何を改善するためにどのような施策が必要か)
- 改善仮説の設定(どうすれば施策によって改善が可能か)
- 施策実施のためのデータ要件定義
上記を実施することでCDPの必要性が見えてくると思います。
最後に
前回の記事と合わせて2回にわたって、CRMベンダーの目線でCDPについて解説しました。少しでも皆さまのご参考になれば幸いです。
シナジーマーケティングでは、CRMを中心にデジタルマーケティングにおける戦略設計・システム提供・施策実行のご支援を実施しています。
CDPに関しても、「そもそも今導入すべきなのか?」「導入した場合にどのような効果/変化が見込めるのか?」の検討と現実解をご一緒に見つけていきたいと思います。
CDPに限らず、弊社へのご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。