API連携とは?マーケ担当者必見!APIシステム連携をわかりやすく解説
複数のシステムを並行して運用しているマーケ担当者の中には、システム同士を連携させたいと考えたことがある方もいるでしょう。システムを連携させる際に便利な仕組みとして挙げられるのは、「API連携」です。
この記事では、API連携の基本的な仕組みと活用するメリット・デメリットについて解説します。API連携の具体的な活用例や利用する手順も紹介していますので、API連携の基本を体系的に理解できるはずです。
<目次>
APIはプログラム同士をつなぐインターフェース
APIはApplication Programming Interfaceの略で、プログラム同士をつなぐインターフェース(接点)を意味します。異なるアプリケーションはそれぞれが独立して動いているため、本来であれば別々に運用しなければなりません。しかし、APIによってアプリケーション同士をつなぐことで、システム間での連携が可能となるのです。API連携はアプリケーションを接続するための手段と捉えてください。
API連携の基本的な仕組み
API連携の基本的な仕組みは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
APIはプログラム同士をつなぐインターフェースであり、ユーザーの指示に対するサービス提供元のレスポンスをつなぐ役割を担っています。
イメージしやすいよう、API連携の役割と位置づけを飲食店に置き換えると、下記のようになります。
■飲食店を例にしたAPI連携の役割と位置づけ
アプリケーションのユーザーは、飲食店でさまざまな料理を注文する客に相当します。客がどの料理を注文したのかを伝え、注文された料理を運ぶのはウエーターの役割です。このとき、料理を作るのがサービス提供元、客の注文内容を聞いたり料理を届けたりする役割を果たすのがAPIと捉えてください。
APIは客と料理人の仲介役を担うウエーターのように、ユーザーからリクエストを受けてアプリケーションの機能をユーザーに提供しているのです。
料理は目に見える物ですが、ソフトウェアは見えない線でつながっています。ユーザーの指示に対するレスポンスをつなぐことが、API連携の役割と捉えてください。
BtoCとBtoB、それぞれのビジネスで活用されるAPI連携
続いては、API連携がビジネスでどのように活用されているのか、BtoCとBtoBに分けてご紹介します。アプリケーションを連携させることで利便性が高まるイメージをつかんでください。
BtoCでのAPI連携
スマートフォンなどで家計を管理できる「家計管理アプリ」では、収支の情報をユーザー自身が入力・記録することもできますが、金融機関の口座と連携することで取引情報を自動取得することも可能です。家計管理アプリと金融機関の口座管理は、API連携をすることによって口座情報の取得が可能となるのです。このAPI連携により、家計管理アプリの提供企業は、口座情報の自動取得という便利なサービスをユーザーに提供できるようになります。
BtoBでのAPI連携
契約書や発注書といった書類を電子契約サービスに取り込む場合、書類を作成するシステムと電子契約を処理するシステムが別々に運用されていると、書類を都度アップロードしなくてはなりません。そこで、API連携を活用することで、書類の作成から申請・承認までをワンストップで処理することが可能となります。書類をアップロードする手間を削減できるだけでなく、送付漏れを防ぐ効果も期待できるでしょう。
API連携を利用する手順
API連携を利用するには、どのような手順で進めれば良いのでしょうか。手順を具体的に紹介します。
1. APIの選定と提供元へのユーザー登録を行う
API連携を利用するためには、まずAPI連携ができるシステムを選定します。その際に、サービス提供元のAPIの連携実績や仕様は、よく確認しておきましょう。APIの連携実績が豊富なサービス提供元であれば、インターネット上で活用事例も多く紹介されており、実装時の参考になるはずです。また、有料サービスの場合は契約が必要となります。
選定や契約を終え、APIサービス提供元にユーザー登録をする際は、連携させたいサービス名やURL、機能概要、利用目的、居住国などの情報が必要です。必要事項を入力して登録申請をすると、サービス提供元企業による利用審査が行われます。審査には数日程度を要することもあるため、登録してすぐに利用できるとは限らない点には注意してください。
2. APIキーとシークレットキーを取得
API連携を申請すると、認証情報である「APIキー」と「シークレットキー」がサービス提供元より発行されます。いずれも半角英数字の文字列でランダムに生成された、ユーザーの識別や認証を行うために使用するコードです。例えるなら、Webサービスなどを利用する際のユーザー名・パスワードに相当するものと捉えてください。APIキーとシークレットキーは、API連携を認証するための重要なコードとなるため必ず保管し、機能を必要とするユーザー以外が不正に利用することのないよう、厳重に管理しましょう。
3. 使用するアプリケーションからリクエストを送る
サービス提供元企業の審査を通過すると、API連携が可能な状態となります。利用したいアプリケーションから連携先のAPIへリクエストを送り、APIキーとシークレットキーを使用して連携を完了させましょう。その際、正常にAPI連携ができているかテストをして、動作確認をしておくことが大切です。一度API連携が完了すれば、その後は基本的に連携させた状態でサービスを利用できます。
ただし、セキュリティの観点から、不定期に再認証を求められるケースもあるはずです。その際は、連携先のサービスの指示に従って再認証を行ってください。
API連携のメリット
API連携を利用することによって、具体的にはどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとしては、下記の3点が挙げられます。
開発コストを削減できる
API連携を活用すると、必要な機能を外部のサービスで補完することができます。求める機能を自社で新たに開発する必要がなくなり、開発コストを削減できるのは大きなメリットです。また、すでに公開・提供されているサービスを利用するため、不具合が発生するリスクを軽減する効果も期待できます。開発コストの削減に加えて設計・開発・テストの工程も省略できるため、より重要度の高い業務に組織のリソースを集中させることも可能です。
サービス拡張や顧客満足度の向上も図れる
API連携を活用すれば、必要とする機能をスピーディーに実装できます。さまざまなAPIを組み合わせれば、既存のサービスに新たな機能を実装してサービス拡張を図ることも可能です。
例えば、SNSはAPI連携の代表格ともいえるほど多く利用されているツールですが、SNSの管理ツールとして世界中で活用されているAPI「Sprout Social」を活用すれば、複数のSNSを一括で管理することができます。マーケティング担当者は、アプリの切り替えやログイン・ログアウトを行わなくても、SNSへの投稿や投稿スケジュール、ユーザーからのメッセージを一覧管理できるようになり、投稿漏れやユーザーへの返信漏れも回避できます。SNS上でのユーザーへのアプローチやフォローを一括で行えるようになれば、顧客満足度を高める施策も展開しやすくなるでしょう。
ユーザーへのサービス拡張や顧客満足度向上につなげられる点もAPI連携のメリットといえます。
高いセキュリティレベルを確保できる
必要とする機能を自社開発する場合、課題となりやすいのがセキュリティです。さまざまなアプリケーションを連携させることにより利便性は高まるものの、連携させることで新たなセキュリティホールが生じるリスクは否定できません。
しかし、すでに高い信頼性を保っているサービスが提供するAPIを活用すれば、高いセキュリティレベルを確保しつつ、サービス拡張や利便性の向上を図ることができます。高度なセキュリティレベルが保証されたアプリケーションを最初から設計・開発するのは決して容易なことではありません。高いセキュリティレベルが確保された環境を手軽に提供できる点は、API連携のメリットです。
API連携のデメリット
さまざまなメリットを得られる一方で、API連携にはデメリットとなりかねない面もあります。下記に挙げる2点は、API連携を利用する際の注意点として押さえておきましょう。
システムの仕様は提供元に依存する
API連携は外部サービスの機能を活用するため、システムの仕様はサービス提供元に依存します。サービス提供元が将来的に仕様を変更したり、機能の一部を停止したりする可能性はないとはいえません。そういった仕様変更が自社サービスに重大な影響を及ぼすとしても、変更の内容や時期はサービス提供元の判断によります。つまり、API連携によって実現した機能が急に利用できなくなったり、使い勝手が大きく変わったりするリスクもあるということです。システムの仕様について、自社に決定権がない点は押さえておく必要があるでしょう。
不具合が発生する可能性がある
サービス提供元のサーバに障害が発生するなど、何らかの不具合が生じる可能性があります。万が一不具合が発生した場合には、サービス提供元がトラブルを解消するまで待つしか手段がありません。復旧時期の目処が公表されていれば、ユーザーにその旨を伝えることができますが、不透明な場合は復旧の明確なタイミングを告知できないことも予想されます。そのため、API連携を利用する際には、不具合が発生した場合の対応策も併せて検討しておく必要があるでしょう。
同時に、アプリケーションの運用上で重要度が高い機能については、API連携によって実現するべきかどうか慎重に判断することが大切です。
API連携の活用例
最後に、より具体的なAPI連携の活用例を、3つのケースでご紹介します。ここではマーケティング活動に有効な顧客管理データベースとの連携を中心に解説しています。API連携によってどのような課題が解決できるのか、ビジネスの現場での活用方法を確認していきましょう。
活用例1:会員サイトと顧客管理DBの連携
会員認証を実現するには会員情報をサイト内で保有する必要があるため、セキュリティ面や既存の顧客情報との重複管理が障壁となりがちです。そこで、既存の顧客管理データベースをAPIで認証することにより、会員サイトをより手軽に、かつ安全に構築できます。既存の顧客情報を有効活用する意味でも、有効な施策となりうるでしょう。
■API連携で解決できる課題と具体的な実装例
業種 | 会員組織を持つ業種全般(メーカー、販売、テーマパーク、金融など) |
解決したいこと | 会員サイト・アプリケーションの構築上、必要な会員認証を行いたい |
具体的な実装例 | 【会員サイトのマイページ内にて】 ・会員情報の登録・変更、退会手続き ・会員限定のキャンペーンへの応募(個人情報の登録不要) ・追加サービスへの申し込み(個人情報の登録不要) ・来店などの予約と予約内容の確認 |
活用例2:顧客情報を必要とするシステム間連携
顧客情報を必要とするシステム間の連携を行うと、顧客情報を日々手作業で連携する手間と失敗のリスクが軽減され、二重管理を防ぐこともできます。例えば、ECシステム側の会員情報や購買情報にもとづくメールマーケティングや、基幹システム上の顧客情報を活用したCRM活動(顧客との関係を管理し、関係を深めていくマネジメント手法)なども可能となります。基幹システム側にデジタルマーケティングに必要な機能を新たに開発する必要がなく、開発工数や費用を削減できるという点はメリットです。
■API連携で解決できる課題と連携例
業種 | 全業種 |
解決したいこと | 業務遂行上、必要な個人情報をシステム間で連携させたい |
連携例 | ・ECシステムとメール配信システムの連携 ・基幹システムとマーケティングシステムの連携 |
活用例3:顧客情報や来店管理システムと顧客管理DBの連携
API連携を活用すれば、顧客管理を保有していないシステムと顧客管理DBを連携させることで、顧客行動に応じたマーケティング活動に役立てることもできます。特別セールの案内メールを自動化したり、来店者と顧客情報を連携させて来店履歴をもとにポイントを付与したりといった施策も実現可能です。顧客のニーズに合った販促活動がしやすくなり、売上伸長につながる効果が期待できます。
■API連携で解決できる課題と具体的な実装例
業種 | 実店舗を構える業種全般 |
解決したいこと | 来店情報や購買情報と顧客情報を紐付け、顧客にあった情報配信をしたい |
具体的な実装例 | ・「ピットタッチ」などの来店ポイントアプリケーションとの連携による来店回数に応じたランク付け、特典メールの配信 ・POSシステムなど購買情報との連携による、最終購買日を起点とした再来店案内メールの配信 |
まとめ:システム連携をすることで活用の幅が広がる顧客情報も、「Synergy!」のAPIなら連携可能!
APIとはプログラム同士をつなぐインターフェースであり、API連携によって外部サービスのさまざまな機能を手軽に導入できます。開発コストや工数を大幅に削減し、開発効率の向上やサービス拡張につなげることができる点は大きなメリットです。一方で、API連携を利用することで外部サービスに機能を依存することになるため、サービス提供元の仕様変更や不具合発生時の対応を十分に検討しておく必要があります。API連携は基本的な仕組みを理解し、メリットをいかして利用していくことが大切です。
CRM活動を支援するクラウドサービス「Synergy!」は、Synergy!に格納した顧客データベースと連携が可能なデータベースAPIを提供しています。会員制サイトの運用やECサイトの購買履歴データの取得など、システム連携では顧客情報の活用が重要なポイントとなります。そこで、API連携が可能な顧客管理システムを活用すれば、顧客情報を活かしたマーケティング活動もスムーズに行えるでしょう。Synergy!の主な機能や活用事例は、サービス資料で確認できます。ぜひサービス資料をダウンロードして、Synergy!の導入・活用をご検討ください。
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Synergy! – CRM・顧客管理システム
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