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5分で学ぶディスプレイ広告の歴史と今~「枠」から「人」へのコミュニケーションへ

2016年のインターネット広告費は1兆3100億円(株式会社電通発表:2017年2月23日)。インターネット広告費は右肩上がりの成長を続けており、総広告費に占める割合が初めて2割を超えました。すでに雑誌広告費や新聞広告費を追い抜き、その存在感は増すばかりです。

日本でのインターネット広告は、1996年に、「Yahoo! JAPAN」に掲載されたバナー広告から始まったという考え方が一般的です。現在、インターネット広告はディスプレイ広告、リスティング広告などに分けられます。ディスプレイ広告は、大きくいうと 純広告 → アドネットワーク → DSP → DMP のように移り変わってきました。

今弊社がすすめるアドレサブル広告は、既存の顧客データを広告と連携させ、潜在顧客・既存顧客双方への効果的なアプローチを可能にした新たなソリューションであり、広告の変遷の過程で出てきた広告手法です。この記事では、4つの媒体やツールとアドレサブル広告のそれぞれの特徴、メリットとデメリットについて説明します。

「枠」から「人」へ!ディスプレイ広告の歴史

純広告

広告主が媒体の広告枠を買い取り、広告を掲載するものです。Yahoo! JAPANのトップページに掲載されるバナー広告(ブランドパネル)などに代表される、いわゆる「枠買い」といわれる形態です。

【メリット】

  • サイトに来た人に一律でリーチできる(広いリーチを担保できる)
  • 潜在層にリーチできる

【デメリット】

  • 価格が高騰する傾向がある
  • どんなユーザーが来るのかが分からない(選別できない)
  • 認知目的の場合などは、購買にはつながりにくい

そのサイトに来たあらゆる地域・年代の人にリーチでき、インプレッションを稼ぐことが期待できる広告です。そのため、キャンペーン、新商品のリリースなど、認知/ブランディングに向いている広告といえます。

大量のアプローチが期待できる分、例えば大量のインプレッションがあるヤフーのブランドパネルなどに出稿する場合は高額になり、一般の中小企業では手が出せない価格になる傾向があります。

アドネットワーク

複数の広告媒体(Webサイト、SNSなど)を集めた広告配信ネットワークに、まとめて広告を配信するものです。Google AdSenseやYahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)などがこれに当たります。

【メリット】

  • ネットワークが管轄する媒体に大量出稿ができる
  • 効果が見込めるネットワークへピンポイントに掲載できる
  • 純広告に比べて低価格

【デメリット】

  • 実際の出稿媒体を選定できない(想定外の場所に掲載される可能性がある)
  • アプローチしたいターゲットによっては、複数のネットワークに出稿する必要がある

課金形態がクリック課金のネットワーク(メディア)が多いため、低単価で幅広いリーチが期待できる広告です。純広告同様、「枠」に対する広告ですが、ネットワーク側で出稿する広告媒体があらかじめカテゴライズされているので、純広告よりも範囲を絞って出稿することができます。

ネットワーク自体に出し分けなどの最適化の仕組みはなく、ネットワークが設定した場所に広告を配信する形となるため、出稿側で制御ができません。そのため、ネットワーク側のカテゴライズで範囲を絞っても、掲示板サイトなど、ブランドイメージに合わないサイトに掲載される可能性も避けられないことがあります。そのため、ブランディングには不向きです。他方、カテゴリごとに金額を変えて入札できるため、広告主にとっては出稿しやすい広告に進化したといえます。

一度の出稿で成果を上げるというよりは、一度出稿してみて、流入がよい、CVがよいなどの効果がよかったところに対し、次回ピンポイントで出稿するといった使い方が一般的です。

DSP:Demand-Side Platform(デマンドサイドプラットフォーム)

広告最適化を目指すプラットホームのことです。MicroAd BLADEやDoubleClick Bid Managerなどがこれに当たります。純広告に代表される「枠」ではなく、「人(Cookie)」に対する配信ツールです。

【メリット】

  • 人に紐付くため、広告の出し過ぎを防ぐことができる
  • 手作業では難しい自動分析を行い、効果的な配信が可能
  • アドネットワークの媒体にこだわらず広告を配信することができる

【デメリット】

  • 高額になるケースが多い(純広告<DSP<アドネットワーク)
  • DSPごとに課金形態や強み・特徴などが違う

アドネットワークのような広告媒体ではなくツールであり、メディア側の判断によらず、人に依存した制御ができ、いかに効率的に最適化して配信するかという、広告主側に立った広告ツールといえます。

純広告の広告枠やアドネットワークのネットワークという「枠」に制限されず、ユーザーのオーディエンスデータから絞り込んで広告配信を行うことができることが大きな特徴です。ただデメリットに挙げたとおり、各DSPで強み・特徴があり、最適化の精度も違います。そのため、実際に運用する場合には、広告を配信したいセグメントに強いDSPを選ぶことも必要です。

「何のために・誰に出稿するのか」という目的とターゲットを明確にしてDSPを選び、出稿しないと、効果は出づらい広告といえます。

DMPData anagement Platform

さまざまなサーバー上に蓄積された情報・データを管理・分析するためのプラットホームのことです。Yahoo! DMPなどのDMP事業者のもつデータを利用するオープンDMPと、自社が保有するデータを用いるプライベートDMPの二種類に分類されます。

【メリット】

  • マーケティング施策を効率化することができる
  • 新規・既存の両方に対してリーチすることができる

【デメリット】

  • 大がかりになりやすい
  • 既存データの整備が必要(※プライベートDMPの場合)
  • 活用にはデータを整理、把握できる人材が必要

今までWeb上の顧客と実際の顧客は紐付いていませんでした。それがDMPの登場によって、Webと自社の顧客データベースに別々に存在していた顧客を紐付けることができるようになったのです。それにより、これまで広告媒体の推測にもとづくコミュニケーション設計だった広告が、実際に自分たちの目の前にいるお客様の情報を利用して、その人に対してどんな風に広告でリーチするか、Web上のコミュニケーションを取るのか、というところに生かせるようになりました。DMPは、自社データにもとづいて外部データを利用することで、DSPよりさらに精緻なコミュニケーションを取れる広告配信です。

メリットの大きいDMPですが、広告主の側でマーケティングに生かせそうなデータは何があるかを把握し、そのデータをオープンDMPと連携できるようにプライベートDMPを整備することが必要になります。

自社の基幹情報のなかから、マーケティングに使えるデータを別のシステムと連携できる形になっているものが「プライベートDMP」と定義づけられます。このプライベートDMPの導入には企業内での連携が必要になり、自社で運用する場合にはデータ活用に長けた人が行う場合がほとんどです。

アドレサブル広告

シナジーマーケティングが提唱する、企業が持つ顧客データを元にユーザーを特定する広告手法です。識別子交換と共通識別子(ハッシュ化)を用いたマッチング技術を併用し、メールアドレスなど自社保有のデータと広告プラットフォームのデータを照合して広告を配信することができます。

※アドレサブル広告の詳細については「CRMデータを活用した広告施策『アドレサブル広告』とは?」をご参照ください

【メリット】

  • 自社のメディアに反応のなかった顧客に配信できる
  • 自社の優良顧客に類似した顧客に配信できる
  • DMPよりもさらに精度の高いターゲティングができる

【デメリット】

  • 自社データをもとにするため、リーチの絶対量が少なくなる
  • 類似配信は配信する広告プラットフォーム次第で効果にむらがある

DMPの登場で、Webと自社の顧客を紐付けることができるようになり、アドレサブル広告は自社データベースを直接利用することで、さらにOne to Oneに近づきました。また、DMPで導入のハードルの一つになっていた「プライベートDMP」は、弊社Synergy!の顧客データベースが利用できるため、プライベートDMPを用意する必要がなく、手軽に運用できるのもメリットの一つといえます。

そのほか、自社のデータベースを直接利用できることで、

  • 実在のリアルタイムの顧客データでA/Bテストが行え、これまで仮説から導き出していた顧客傾向を裏付けることができる
  • 既存顧客の過去の反応にもとづき、従来のメールに加え、バナー広告、SNSなどさまざまなメディアからユーザーにアプローチできる
    ⇒それにより、休眠顧客を再びアクティブに戻すことができる
  • ユーザーがWeb上でどんな動きをしているかが分かるため、離反防止に役立てることができる

などの施策が考えられます。

ただし、類似配信を行う場合に抽出される層は、連携先のシステムのロジックによって異なります。効果的なリストの抽出・活用には注意が必要です。

また、データの紐付けにメールアドレスを利用できることも、アドレサブル広告のメリットのひとつです。これまで蓄積してきたデータのメールアドレスを活用できるため、あらたにデータを取得しなくても広告配信を行う事が可能です。

リーチ手段の一つとして、ぜひアドレサブル広告を活用してください。

ディスプレイ広告の歴史まとめ

  • 純広告からアドネットワーク
    出稿枠が絞れるようになった
  • アドネットワークからDSP
    「枠」から「人」へ配信できるようになった
  • DSPからDMP
    Web上の顧客と実際の顧客を紐付けられるようになった
  • アドレサブル広告
    さらに「個」を絞り込んだOne to Oneのコミュニケーションが可能になった

日進月歩で変化するインターネット広告市場。広告は、ユーザーの気持ちとマッチしていなければ、ともすれば邪魔なものと認識され、嫌われがちです。それゆえに、広告主の「効率よく、効果的に出稿したい」という広告主自身のメリット目線から、その次の「ユーザーに嫌われない広告を出稿したい」というよりよいコミュニケーションを構築するための要望に応える形で発達してきたともいえます。今後ますます広告がOne to Oneに近づいていくことは確実でしょう。

シナジーマーケティングは、「広告とCRMデータをつなぐ」ことにより、お客様のマーケティングROIの向上を目指します。アドレサブル広告を利用した事例をご紹介するセミナーも、随時開催しています。お気軽にお問い合わせください。

※「Synergy!広告連携オプション」「AD2」は2023年8月31日にサービス提供を終了いたしました。

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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。

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