動画活用で既存顧客からの売上がアップする?動画とCRMの相性がいい理由
“リッチアド”とも呼ばれる動画広告ですが、Web上では当たり前に目にするようになりました。企業やマーケターは、動画とどのように関わっていけばいいのでしょう?
シナジーマーケティングで動画を活用したサービス企画、設計にも携わる多々良 史弥氏に話を聞いてみました。
多々良 史弥:シナジーマーケティング株式会社 事業本部 西日本事業部 CRMアウトソーシングG サブマネージャー
業種業態を問わず、Synergy!の初期設計・導入支援のほか、キャンペーン構築など200を超える案件を担当。日々、メールマーケティングにおけるPDCAを回しお客様のビジネス貢献を目指している。また、近年クライアントが抱える課題から動画の可能性に注目し、メール配信に動画を活用したサービス企画、設計にも携わる。
マーケティングに動画を使うメリットって?
-動画を使ったコミュニケーションは効果がありそうな気がするのですが、作るのに手間もかかりそうですし、労力に見合うものなのでしょうか?
多々良 情報を伝えることはテキストや画像でもできます。でも文字や静止画の情報って能動的に読みとらないといけないので、ボリュームが多いと飽きてくるし、疲れてしまいますよね?動画を使うメリットって何かというと、やっぱり短時間でたくさんの情報をわかりやすく伝えられる、というところなんです。確かに動画はテキストや静止画の表現より多少手間がかかりますが、印象に残りにくい情報をわかりやすく伝えられるということに価値を感じるなら、トライすべきだと思います。
-映像だと受動的に情報を受け取れるから疲れづらいし、印象にも残りやすいということなんですね。具体的には、どんな情報を届けるのに向いているんでしょうか?
多々良 文字や画像だけでは伝わらない情報量を端的に伝えられるという動画の特徴を踏まえると、
- 複雑なサービス形態を説明する動画
- イメージを喚起する動画
この2つのケースで運用すると、すごく相性がいいですね。
動画活用の実情
-動画がマーケティングで効果的に使われている実例をお聞きしたいです。
多々良 説明動画として上手に運用している例としては、保険系、クレジットカード系、金融系といった、複雑なサービス・無形財の商品を扱っている企業様が頭に浮かびました。他には、ECサイトの商品の使い方説明動画も上手いと思います。
イメージを喚起する動画としては、ファッションや車などブランドイメージを重視する企業様。ホテルやレストランなど、その場の雰囲気・世界観を届けたい施設。食品やアトラクションなど“動き”でシズル感を伝えたい企業様など、いろいろありますね。
-なるほど。動画=新規のお客様向けというイメージがあったのですが、情報をたくさん届けられるという点は既存のお客様に対しても効果が見込めますね。CRMとの相性も良さそうです。
多々良 CRM目線でいうと、ある海外のリゾートホテルの事例がわかりやすいですね。ホテルの予約って、名前や住所はもちろん、メールアドレスや家族構成まで、「ザ・CRM」ともいうべき貴重な個人情報が取得できるんです。このホテルはレジャー設備が充実しているのが特徴で、お客様がいつからどういうプランで宿泊予定なのかを把握した上で、レストランの案内や、お部屋のアップグレードといったオプションサービスの動画を訴求し、利用を促進させるという施策を実施していました。宿泊までにそういうクロスセルをどんどんやって、順調に売り上げを伸ばしているそうです。
動画をCRMに活かすには?メールだけじゃないリーチのさせ方
-動画をCRMに活用しようとすると、やはりメールでターゲットに接触させることになるんでしょうか?
多々良 その手法も有効です。ただ、メールマーケティングはメールアドレスさえあれば簡単に始められるというメリットもありますが、動画を届ける上では苦手な部分もあるんです。
大容量の動画を送れない
メールは受信量の制限がありますので、大体5~15秒のgifアニメを貼り付けて送るのが主流になっています。もっとも、この問題はメーラー上で動画を展開させずに外部サイトへリンクさせれば回避できますが、今度は該当のリンクをクリックさせるという別のハードルが出てきます。
開封してもらわないと動画までたどり着かない
こちらもメールという特性上仕方がないことではありますが、件名や配信時間がターゲットに刺さらなくて、一生懸命作った動画を見てもらえない……というケースも考えられます。
-なるほど。CRM目線で動画を活用するには、その2つのハードルを越える必要があるんですね。
多々良 いえ、CRM=メールマーケティングではありません。実は、他にもターゲットに動画を見せる方法があるんです。それは、動画広告を活用すること。『アドレサブル広告』と呼んでいるんですが、シナジーマーケティングでは企業様が持つ顧客データ(CRMデータ)を元に、ユーザーを特定して広告を配信する手法に取り組んでいます。
この手法は動画広告にも置き換えられまして、ユーザーのメールアドレスをベースにマッチングした人に対して、ピンポイントに動画を配信できるんです。
※参考:CRMデータを活用した広告施策「アドレサブル広告」とは?
-そのアドレサブル広告なら、メールのようにターゲットへピンポイントに動画を配信できるんですね。動画広告なので開封の必要もない。
多々良 なにより、ある程度予算でリーチをコントロールできるというのは強みですね。CRMデータを使ってYahoo!・YouTube・Facebook上で動画広告を配信できるので、これらの媒体がターゲットの活動範囲をカバーできていれば高確率で接触させることができます。
-広告ってムダ打ちも多いというイメージがあるので、予算コントロールができるというのはうれしいですね。実際に動画のアドレサブル広告を活用した事例はありますか?
多々良 最近の事例としては、某食品通販会社様に実用いただきました。既存顧客向けに静止画バナーと動画バナーを配信したのですが、動画バナーの獲得率は静止画バナーの5.1倍、獲得単価は59%と大きな差がついたのです。これは自信を持って言えることです。
-なるほど。ターゲットにピンポイントに配信できるから、アドレサブル広告の動画活用はより効果的だと。
多々良 接触しやすさという意味では動画広告が有効ですね。ただし、コミュニケーションの親密さや運用コストの低さという点では、メールマーケティングが勝っています。理想としては、併用することをオススメします。具体的には、メール配信後、未開封の方だけに動画広告を配信するという2段構えの訴求を実施することで、広告運用を効率化していく手法などがあります。
意外と簡単?動画×CRMを始めるために
-CRMでの動画の活かし方がよくわかりました。動画を作ることを考えると大変ですが、それでも取り組む価値はありそうだと感じます。
多々良 そんなに身構える必要はないですよ。動画というとTVCMのような作り込まれたものを想像するかも知れませんが、目的によっては気軽なクオリティーで構いませんし。 それに、僕はお客様に対して「今、手元にある動画を使いましょうよ」という話を、よくするんです。
-今ある動画ですか?
多々良 企業様には動画という資産が眠っている場合が多いです。サイトの商品ページだけで使っている動画とか、一度イベント用で制作したまま使っていない動画とか。それを再加工すれば、それほどコストをかけずに動画は用意できます。そういったご相談も含めて、動画×CRMにご興味のある方はぜひ気軽にご連絡いただきたいです。
まとめ
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※記載されている内容は掲載当時のものであり、一部現状とは内容が異なる場合があります。ご了承ください。