マーケティングコミュニケーション基礎講座
「LTVを最大化!リピーターを育成するCRMとは?」

開催日:2016.01.20

マーケティングコミュニケーション基礎講座 運営事務局です。
本セミナーは、月1回のペースでマーケティングコミュニケーションにおけるテーマを取り上げ、少人数制のワークショップ形式で運営しています。今回は東京ミッドタウンで初開催。ネスレでウェブ&モバイルコミュニケーションを担当されていた揖斐理香子氏を特別講師としてお招きし、『リピーターを育成するCRM 』について学びました。

LTVを最大化!リピーターを育成するCRMとは?

レポート内①

CRMとは

「CRMの最も重要な目的はなにか」を受講者に問いかけるところから講義はスタート。それぞれワークシートに考えを記入します。次に「それら目的を達成する手段はなにか」について考え、本講義ではCRMを『顧客満足を向上させ顧客との間に良好な関係を構築し(⇒手段)、LTV(顧客生涯価値)を最大化する(⇒目的)マーケティング戦略』と定義づけました。

真実の瞬間という考え方

CRMを実践するうえで参考になる考え方のひとつに『真実の瞬間』があります。『真実の瞬間』とは「顧客が企業の価値判断をする瞬間」のことで、1980年代にスカンジナビア航空が経営再建に取り組んだ際、同社を復活に導いたサービスマネジメントが有名です。お客様は企業に接するほんの短い時間でその企業のサービス品質やブランドを評価します。「顧客と接する一瞬に感動を与えることができているか」、いま一度振り返ってみることの大切さを提言されました。

売上を10%増加させるもっとも簡単な方法とは

売上アップの主な方法は下記の4つです。

  • 見込み客を増やす
  • 見込み客のコンバージョン率を上げる
  • 購入者全員の購入単価を上げる
  • 購入者の一部に再購入を促す

一般的に、新規顧客の獲得には多大なコストがかかるため、利益率が低くなりがちだと言われます。最も楽に売上を上げる(利益率を高める)には、「自分たちのことを好きだといってくれている人(優良顧客)にもう一度買ってもらい、総購入金額を増やす」のが効果的だと思われます。そこで問題になるのが、「優良顧客は誰か」ということです。

揖斐氏はネスレで行ったキャンペーンの実例をお話しされました。マッサージチェアが当たる、スイス往復航空券が当たる、タジン鍋が当たるなどの特典をつけ様々なキャンペーンを行ってこられましたが、結果的には「ネスレ製品詰め合わせ」を特典にしたキャンペーンが「優良顧客を獲得する」という観点で最も効果があったそうです。考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、キャンペーンの特典欲しさに応募をしてくる方が優良顧客になる確率は低く、『自社に真に関心を寄せてくれる見込み顧客を獲得しないことにはキャンペーンの意味はない』のです。

すなわち『最も簡単に優良顧客の卵を見つけ出す方法』は、キャンペーンに再応募してくれた、Webサイトに再訪問してくれた、製品を再購入してくれたといった『リピーター』を見つけることなのです。

LTVを最大化するには

レポート内②

これまで学んできたことを踏まえ、「サイト再訪を促しLTVを最大化するコンテンツプランニング」をテーマに、【1】ターゲットとする顧客像 【2】3年後の顧客像 【3】提供するコンテンツの差別化要因 をワークシートに記入・発表し、揖斐氏からのフィードバックを受けました。年々変わる顧客に適したコンテンツを提供するためのプランニングのフレームを学びました。最後に『「応募者数からリピート率へ」「スパムではなく読まれるメールへ」の転換と、真実の瞬間において満足を提供できるかがCRMの成功の条件である』と講義を締めくくられました。

参加者の声

  • CRMの概念が体系化されていて、わかりやすかった。
  • つい自社のビジネス拡大を優先しがちだが、ユーザーのメリットを追求したい。
  • 開発部門担当なので、マーケティングの話が聞けてとても参考になった。マーケティング部門と共有して顧客満足に向けてシステムを利用したい。
  • 3年間の計画を立てる重要性を感じた。PDCAサイクルを回しながらコンテンツの質を高めていきたい。
  • 違う業種の方の話を聞く機会があり、ためになった。

最後に

私も自社のCRMに関わる立場におりますが、「顧客に何を売るか」ではなく「個客の何を解決するか」を考え行動するよう心がけています。CRM活動を通して見えてきた課題に対して、打ち手を考え実行していくPDCAを回すことが、既存顧客の深耕をはかるうえで重要だと感じています。活動の目的や指標があいまいなまま、システム導入やWebサイトを制作しても十分な効果を上げることはできません。少なくとも3年後、自社がどのような存在となっていたいのか、目標を明確にして推進する必要性を改めて感じた講座でした。

参考リンク・参考書籍

レポート記:運営事務局/星出(ほしで)